山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

'11北海道くるま旅( 第41日)

2011-07-23 06:22:36 | その他
《今日の予定》
美深アイランドキャンプ場→道の駅:音威子府→歌登グリーンパークホテル(温泉)→クッチャロ湖畔キャンプ場(泊)


《昨日のレポート》
昨夜の美深もかなりの寒さだった。北海道各地のこの季節の朝は、霧の世界から始まることが多いようだ。美深の今朝もしばらくは深い霧の中だった。自然と「牧場の朝」の唱歌が思い浮かび、散歩の足が軽くなった。牧童も鐘の音も無いけど牧場の情景は少しも変わらない。1時間ほどの早朝散歩を楽しんだ。今日は終日このキャンプ場で過ごすことにしている。
やがて霧は晴れ、青空が顔を出して暑さが膨らみだした。午前中は、かなり汚れがひどくなっている車の内外をきれいにすべく汗を流した。夏のくるま旅では、虫たちが衝突するので、車の前面の汚れはかなり酷い状態となる。それに雨の中を走ると、キャンピングカーという奴は車体の後ろの面がとてつもなく汚れるのだ。洗車は旅先では無理なので、とにかく丁寧に汚れを拭き取るだけである。かなりの暑さの中での作業は結構厳しかった。ついビールなどに手が行き、予定していた終了後の温泉入浴は、面倒くさくなってしまい、午睡となり、目覚めた後となった。
夕刻はWさんご夫妻とのパーティーで、楽しい歓談の時を過ごした。お二人合わせて170歳を超える現役のくるま旅実践者は、日本広しと雖もそうたくさんおられるものではない。Wさんのくるま旅歴は、奥様の健康を気遣われての早期退職以来もう四半世紀に渡っており、日本全国を訪ねておられ、特に北海道は、北海道在住の方よりもはるかに詳しいのではないか。
私はWさんご夫妻を、くるま旅の大先輩のお一人として尊敬して止まないのだが、その理由の最大のものは、このご夫妻に松尾芭蕉のような旅への情熱を感じているからである。「旅に病んで夢は枯れ野を駈けめぐる」というような旅への気迫を感ずるからである。芭蕉翁は一人旅(随伴者はいたけど)だったけど、Wさんはご夫婦二人旅であり、現代ならではの旅のスタイルだ。Wさんご夫妻のくるま旅にかける情熱の凄さは、老齢となられてお互い自身を自在に動かすのにも苦労されているのに、相手を気遣いながら、いわゆる介護の世界に入りながらも、遠く四国から夏の北海道へやって来られて、この地の恵みを目一杯享受されている、その姿である。とても常人にはできるものではない。とてつもなく強い意志と命懸けの覚悟、そして類い希なる責任感がなければこの様な旅は不可能だ。
世の多くの人は言うに違いない。老いた妻を車椅子に乗せ、自らも病で曲がった腰をたどたどしく動かしながら、車椅子を押している姿を見て、「何もそこまでして旅をしなくてもいいんじゃないか。何かあったらたいへんだし、周りに迷惑をかけるんじゃないか」と。そのことを一番思っているのは恐らくご家族の方々であろう。そしてそれ以上にそれを承知しているのは、ご本人なのではないか。覚悟というのはその様なものなのだと私は思っている。ご本人もご家族も覚悟されているのである。
私はWさんご夫妻の生き方を支持したい。いや、したいのではなく支持する。そして、大きなエールを送りたい。くるま旅の先駆者のお一人としての、その情熱を驚異と尊敬と憧れを持って支持したい。夫婦としての生き方の、かけがえのないお手本を見せて頂いていると思っている。Wさんご夫妻に深刻さを見せられたことは一度もない。ジョークの巧みなご主人から、奥様を介護することの深刻さやご自身の病の深刻さを感じたことはない。これは達人の生き様なのだと思う。
思わず長くなってしまったけど、Wさんご夫妻とのささやかなパーティーは、自分にとっては大きな学びの場であり貴重な時間だった。どうかこの後もご無事で毎日が旅の恵みに満たされたものでありますように。お二人のご健康を心から願い、祈ったのだった。
コメント
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