第8日 <7月17日(土)>
【行 程】 月形町:皆楽公園キャンプ場 →(道道11)→ 厚田港・北海道HMCCキャンプ地(泊) <34km>
皆楽公園キャンプ場の夜は、雨は降らなかったのだが、明け方近くになって少し雨粒が落ちてきた。ジャガイモを入れた後部キャリアの蓋を開けておいたので、慌ててそれを閉めに行ったりしたのだが、その後は雨とはならず、雲は多かったけど過ごしやすい朝となった。月形温泉前側の駐車場は我々の車だけで誰もおらず、少し離れた所に新築中のトイレの工事用の車が何台か留まっているだけだった。間もなく花火大会があるとかで、それに間に合うように急ぎの工事に取り掛かっているらしい。このキャンプ場のトイレは、老朽化しており、お世辞にもきれいとはいえない。新しいトイレが出来上がるのが、旅の者にも待ち遠しい。早朝ほんの少しばかり水を汲む。
朝食後一段落の後、公園の中を散策に出かける。今まであまり遠くまで園内を歩いたことがない。今日は少し足を延ばすことにした。ここは近くを流れる石狩川の流れが変わって、取り残されてできたようで、かなり細長く沼が続いていた。途中に向こう側に渡るかなり長い橋も架かっていて、沼の周辺にはキャンプ場やパークゴルフ場などが取り巻いてつくられている。キャンプする人は少ないのかなと思ったら、広くて気づかなかったのだが、沼の周辺にはかなりの数の車が止まり、テントが張られていた。釣り糸を垂れている人も多く見られ、何を釣るのか判らないけど、ここは太公望の集う場所でもあるらしい。
皆楽公園風景。細長い沼を挟んだ緑地の中に、キャンプ場やパークゴルフ場などが綺麗に整備されている。沼を横切る赤い橋も印象的だ。
足元にイヌナズナに混ざって小さな白い花を咲かせている野草があった。内地では今まで見たことのない花である。ムラサキキサゴケに良く似ているけど、花の色も葉の形も違っていた。今回は図鑑を持参していないので、帰宅したら調べようと写真を撮った。毎年一つくらいは新しい野草に出会っており、楽しい。パークゴルフ場では、これから仲間同士の大会でもあるのか、十数人の年配者の男女が、プレー前の舌戦を繰り広げているようだった。小1時間ほど歩いて車に戻り出発。
今日から2泊予定で、厚田港(石狩市)での北海道HMCCのクラブキャンプに参加させて頂くことにしており、月形町のここからは山一つ超えて日本海側に出る道道を行けば、そこが厚田港である。初めて通る道だけど、北海道の道路は良く整備されており、離合に困るようなことは滅多にないので、心配はしていない。少し早いなと思いつつ出発したのは9時半近くだった。山を行く道の両側には山ヒヨドリやエゾシモツケの花が幾つも点在し、時々ようやく咲き始めたらしい山アジサイが鮮やかな青色の花を浮かばせていた。少し先にはヤナギランの赤紫の群落があったりして、山道の走行でも少しも退屈している暇は無いという状況だった。40分ほどを走って、あっという間に厚田の港に出てしまった。
港の上方の国道沿いに、夕日の丘という展望駐車場があり、先ずはそこへ行って休憩することにする。今日は、土曜日とあってか、かなりの数の車やバイクが止まって眼下に広がる港や海の展望を楽しみながら休んでいた。あまりにも早く来過ぎて、HMCCの方は未だ誰も到着していないようで、ドームテントもキャンピングカーも見えなかった。駐車場の端に車を止め、昼近くまで一眠りすることにする。どうやら天気は予報を少し裏切るらしく、雲が切れてその合間からの日差しがかなり厳しい、外は少し風が吹いていて心地良いのだが、車の中は少し蒸し暑くなりだしていた。それでも横になっている内にいつの間にか睡魔がやってきて、目覚めた時は12時近くになっていた。双眼鏡で下を見ると、ドームテントが設営されており、それらしき知人の体型をした人物が見えたので、懐かしく安心した。
軽い食事の後、キャンプ場所へ。思いの外多くのメンバーの方たちが集まっておられた。やあ、やあ~、しばらくでしたと、1年間のご無沙汰を取り戻すべく、お一人お一人と挨拶を交わす。本当に懐かしく、嬉しい。このメンバーの方たちと知り合えたのは、我々夫婦にとっては、人生の宝物だと思う。旅の恵みだという思いを益々強くした。少し落ち着いて皆さんの消息などを聞いていると、常連の方や必ず参加されるのではないかと思っていた道外からのゲストの方が見えないので、訊ねると、何と体調を崩しての入院や旅の途中の怪我などでいろいろトラブル続きとかの話を聞き驚いた。健康あっての旅であり、キャンプということなので、自戒の思いを深めるとともに、トラブルの渦中にある方たちの一日も早い回復を祈った。
ドームテントの中で談笑する北海道HMCCの皆さん。只今はエゾシカの焼肉準備の最中であり、一しきりエゾシカの話題に花が咲いた。
それから後のことは、いろいろあって、とても全部は書ききれない。一つだけ特記するとすれば、それは今年も又大タコを1匹仕入れて、皆さんと一緒にその滅多に味わえない刺身を賞味堪能したことであろう。何しろ7kgを越す大物で、皆で3本の足を食べるのが精一杯で、それもしゃぶしゃぶでの食べ方も加えてやっとという状態だった。残りはもう生ではギブアップで、茹でることとなったが、持参した鍋では一度に茹でるのはとても不可能で、何度かに分けての大仕事となった。茹で上がったのを見ると、足1本の大きさに改めて感嘆の声を上げたのであった。
今年も活大タコが手に入った。1年ぶりの本物のタコの刺身を賞味させて頂いたが、今は食べる前に足1本を捌いているところ。皆はもう、固唾を呑んで出来上がるのを待っている。
ほろ酔い気分の中であれこれと話は弾み、気づけば22時をとうに過ぎていた。楽しみを明日に持ち越し、一先ず今日はお開きとなった。