山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

久しぶりの摩周湖

2009-09-28 03:26:12 | くるま旅くらしの話

3年ぶりくらいでしょうか、毎年の北海道行なのですが、しばらく摩周湖を訪ねていませんでした。霧の摩周湖とよく言われ、事実気象条件が厳しい所ですが、私どもはずっと好天に恵まれ、わざわざ霧の摩周湖を見たいと曇った日を選んで訪ねたこともありました。しかし、いざ行って見ますと霧の中では全く何も見えず、まさに五里夢中であって、歌の文句のような気持ちにはとてもなれないと思いました。霧が酷いというのは寒さも酷いということであり、展望台まで行っては見たものの、寒さに震え上がってたちまち車に跳んで戻ると言った状況でした。霧の摩周湖は、ロマンチックな気分からは遠い情景なのを思い知らされたのでした。

さて、今回は近くの900草原で天気の具合を見計らっての訪問でしたから、霧とは無関係のいつもの神秘的な摩周湖を見ることが出来ました。そのときの感想をちょっと述べつつ、摩周湖を紹介したいと思います。

車での来訪には、摩周湖には3つのコースがあります。一つは弟子屈町の方から道道52号線を登って第1展望台に行くコース、もう一つは川湯の方から同じ道道52号線を第3展望台に向うコース、そしてもう3つ目は、斜里町側から道道150号線で裏摩周展望台へ行くコースです。前記の二つは同じ道を双方から行くということで、結果的には同じことなのですが、違いといえば第一展望台の駐車場は有料なのに対して第3展望台の方は無料ということです。勿論見える景色は異なります。その展望の是非は見る人次第です。これに対して裏摩周展望台は、独立しており、やや展望の条件が劣る感じがします。

今回は弟子屈町側から登って、第1展望台をパスして第3展望台へ行ったのですが、写真撮影上ここからでは斜里岳を正面に捉えた構図が成り立たないという相棒の要請で、第1展望台へももう一度戻っての訪問となったのでした。ケチるわけではない(といいながらケチっていますが)たかがチョコッと景色を見るだけなのに一々お金を払うというのは、どうも気に入らないという貧しき根性があるものですから、この頃は第1展望台へはご無沙汰だったのです。しかし必要であれば、これはもうやむを得ません。

摩周湖というのは、本当に神秘的な湖です。アイヌの人たちならずとも、恐怖のような畏敬のような、心を震わす何かがあるように思います。一体「摩周」というのはどういう意味なのか、山田地名辞典を見ましたが、解からない、見当もつかない、それ故神秘的な名前でもあると書かれていました。その成り立ちから言えば、火山活動の末の陥没の後に水が溜まった、いわゆるカルデラ湖ということなのでしょうが、そのような理屈を通り越しての神秘さを感じます。

この湖の水を全部汲み出すと、どうなるかを想像してみました。恐らく中央近くにパラボラアンテナの芯のように尖った山(カムイッシュ島)があり、その周辺は深く落ち込んだ谷になっているのでしょう。その谷を作っているのが、摩周岳(カムイヌプリ)をはじめとする切り立った崖のような山であり、その一部にそれぞれの展望台があるのだと思います。流れ入る水も、流れ出る水もないというのもこの湖の特徴だと思います。横腹にトンネルを掘ったら、一気にその水は流れ出て、付近を大洪水に陥れるのかも知れません。良くない想像です。

透明度は世界一だったとか。今は違っているようですが、その理由が何なのかが気になります。環境汚染だとしたら、誰がどの様に汚染の原因を作っているのかも気になるところです。もし見物に来る人の所為だとしたら、私はもう訪ねることを止めにしたいと思います。

いろいろなことを思い浮かべながら、何枚もの写真を撮りました。その中から説明用に幾つかを選びました。

     

第3展望台からの景観。切り立った崖には樹木が繁って穏やかに見えるが、実際手摺に縋って下を覗き込むと、魂までが吸い込まれてゆくような錯覚に襲われる。

      

第1展望台からの景観。正面彼方の山が斜里岳。中央の黒っぽい小さな島がカムイッシュ島。大きな景観である。

   

第1展望台から摩周岳(カムイヌプリ)を望む。このアングルがカメラを構える人の標準的なものだと思う。サイズダウンしているので、切り立った断崖などが鮮明に見えないのが残念。

   

第3展望台付近から見た硫黄山。摩周湖と屈斜路湖の間に現役の煙をあげる活火山の硫黄岳がある。この辺一帯は、神秘的であると同時に不気味でもある。

 

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野付半島(2)原生花園の花たち

2009-09-28 00:32:14 | くるま旅くらしの話

昨日は暗い話をしましたので、今日は明るい話をすることにします。昨日のトドワラが地獄であれば、今日の原生花園は天国といえます。しかもこの両者は隣り合っているのです。原生花園の細い散策の道を歩いてゆくと、その先端がトドワラとなっているのですが、原生花園の中は野草の天国で、数多くの天使たちがその美しさをそれぞれの形で表わし、競っているようでした。それらの中から、幾つかを紹介したいと思います。

*野付半島原生花園風景

    

ネイチャーセンターからトドワラに至る3kmほどのエリアは、両端を干潟のような海に囲まれた原野が広がっており、それを原生花園と呼んでいます。この原野の中には、様々の野草や背丈の低い潅木などが密集しており、そこには季節によって色とりどりの花が咲き乱れるのです。 

*チシマフウロ(千島風露)

   

北海道ではどこにでも見られる愛らしい花です。フウロと呼ばれる花には、何種類かがありますが、このチシマフウロはそれらの花の中でも一番身近に見られる正統派のフウロだと思います。最近では守谷の辺りでもアメリカフウロと呼ばれる外来種を多く見かけるようになりましたが、それに比べると断然の風情があります。

フウロとは、風露と書き、この花の持つイメージにぴったりの和名だと思います。今回の野付では、既に開花の最盛期を過ぎており、数は少なかったですが、その美しさは変わらないなと思いました。 

*ナミキソウ(浪来草)

 

草丈は30cmくらいで、薄紫の唇形の花をつけたその姿は楚々たるものですが、良く見るとある種の濃艶さのようなものも感ずるのです。唇形の花の殆どは、シソ(紫蘇)科の植物のようです。このナミキソウもシソ科に属しています。シソの花を見たことがありますか?シソの花も虫眼鏡で見ると、立派な唇状花なのが判ります。タツナミソウなどはこのナミキソウに花の形が良く似ていますが、勿論シソ科です。この両者に共通している「ナミ」というのは、その花の形が浮世絵などに描かれた浪の形に似ているところから付けられたようです。

*センダイハギ(千代萩)

 

萩という名が付いていますが、勿論萩とは別の種類の植物です。萩は確か草ではなく、木の仲間ではなかったかと思います。センダイハギはマメ科の植物で、黄色の花を咲かせ、花が終ると豆の入った莢(さや)を下げるのだと思いますが、まだそれを確認したことはありません。図鑑では春の野草の部に入っているようですが、野付の原生花園では、まだ結構多くの花数が見られました。

*カワラマツバ(河原松葉)

    

この野草も原生花園には多く見られるものです。地味な存在で、黄色い小さな花の固まりは、ちょっと目にはそれが花なのか判りにくい感じがします。名前のカワラマツバは、河原のような場所にあって、その葉が細く尖っているような形で、松の葉に似ているところから名付けられたようです。

*ハマナシ(浜梨)

   

海道のハマナシは有名です。ハマナスと呼ぶこともあるようです。ハマナシも野草ではなく潅木のようで、野草図鑑には掲載されていません。野付を訪れた8月の初めは、もう開花期は殆ど終わりに近づいていて、青い実や既に色づいた実をつけているものもありました。花も綺麗ですが、その実の朱色も美しいと思います。ハマナシの実でジャムを作ることができると聞いていますが、今度長期滞在するチャンスがあった時には、相棒に是非作ってもらおうかなと思っています。

*ノハナショウブ(野花菖蒲)

    

この花がアヤメなのか、それともノハナショウブなのか判別に迷いました。アヤメよりも花びらの黄色い部分が小さくてスッキリしているので、これはノハナショウブだろうと判定しました。もしかしたら間違いかも知れません。アヤメの仲間はみな似たような花が多くて、その判別は難しく、時々あまり神経質にならずに皆アヤメでいいんじゃないかなどと思ったりします。根室半島や霧多布あたりの湿原一体には、ノハナショウブやアヤメの大群落があり、初夏に訪れると一面が紫色に染め上げられた原野を見て感動します。今回の野付半島では、咲き遅れたのか、奇跡的に残って花を咲かせていた数本を見かけただけでした。

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