山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

釧路湿原の花(1)

2009-09-10 01:16:22 | くるま旅くらしの話

文章を書くばかりで私自身も少し疲れました。今日と明日は釧路湿原の花を紹介することにします。

釧路湿原は我が国最大規模の湿原だと思いますが、これをどのようにして見たら良いのかと、私どもはその広大な原野のあちらこちらを訪ねてみたのですが、単に展望するだけでは湿原の本当の姿を見ることは出来ないと考え、散策できる場所を探しました。その結果、今のところ一番その願いが叶うのが鶴居村にある恩根内ビジターセンターではないかと思っています。ここには湿原の中に木索道が作られており、その実態を歩きながら観察することが出来ます。

私の夢としては、湿原の中をカヌーのような小舟で縦横無尽に探索してみたいのですが、今のところそれは無理のようです。カヌー愛好者の方に訊いたら、夏の湿原には蚊や虻などの攻撃がもの凄い状況らしく、思いとどまった方が良いと、半ば呆れ顔でのアドバイスを受けたりしました。防虫ネットは少し煩わしいですが、それをつければ大丈夫ではないかなどと思ったりしました。そんなことよりもカヌーが無いし、手に入れたとしてもどうやって持って行くかなどを考えると、ま、いいやと思いとどまっています。

さて、そのような殆ど未開拓()の釧路湿原を、今年も7月の終わり近くに訪ねました。その最大の楽しみは、湿原に息づく野草たちの観察でした。私は、糖尿病の宣告を受けて以来、歩くことに専心していますが、ただ歩くだけでは勿体ないと考え、野草の観察を始めたのですが、今ではそれが病みつきとなり、おかげさまで地球上のどこへ行っても退屈しないのです。植物というのは、想像を絶するような環境、場所でも驚異的な生命力を持つものがしっかり存在しており、見事な花を咲かせたりしているものです。そのような奴に出会うと、妙に嬉しくなってしまうのです。釧路湿原の中にも、時々そのような奴を見出すことがあります。

この時期の花として期待していたサワギキョウは、未だ蕾の状態でその濃い紫の高貴な花を見るには少し早すぎた感がありました。しかし、何種類かの美しい花に出会えて、十二分に満足でした。それらの姿を紹介したいと思います。

*湿原風景

 

釧路湿原は、一見すると、ただの渺茫たる草っ原と背の低い何種類かの樹木が点在するだけの原野です。このような風景を人は「何も無い」と表現することが多いようですが、それは全くの見当違いの誤りだと私は思っています。そこには無数の生命が熾烈な生存競争を展開しているように思えます。その競争相手は、同じ動植物の仲間だけではなく、何よりも厳しい自然環境の変化ではないかと思います。釧路湿原は不可解です。

*ホサキシモツケ(穂先下野)

シモツケは下野のことであり、現在の群馬県エリアを指していますが、このエリアで最初に発見されたことからシモツケと名付けられたと聞きます。シモツケの花は、小さい花がたくさん集まって出来ている集合花で、その仲間はたくさんあるようです。この花は北海道の夏のどこにでも見られる花で、名前の通り穂の先がシモツケの特徴を如実に示しています。多くの人々はその本当の美しさを知らないで見過ごしているようです。集合花を見るときには、虫眼鏡が必携です。その神秘的な美しさに思わず感嘆の声を発してしまうに違いありません。 

*エゾシモツケ(蝦夷下野)

 

これもシモツケの仲間です。正確にはこの呼び方が正しいのか自信がありません。図鑑を見ても判らないので、とりあえずこのように呼ぶことにしました。湿原の所々に美しい花を咲かせています。

*タチギボウシ(立ち擬宝珠)

 

ギボウシというのは、この花の蕾が橋の欄干の擬宝珠に似ているところから付けられたと聞いていますが、この仲間も何種類かあり、湿原にあるのはタチギボウシと呼ばれているようです。ギボウシは、育った茨城県の田舎ではウルイと呼ばれ、山菜の一つとして用いられていましたが、今でも春の東北ではメインの山菜の一つとして人気があるようです。釧路湿原のタチギボウシは、楚々たる紫色の品格のある花を咲かせています。

*ツリフネソウ(吊船草)

 

ツリフネソウも幾つか仲間があるようですが、釧路湿原ではこの花の他に黄色のキツリフネがありました。ツリフネとは吊船のことで、花を観察すると、丁度船を吊り下げたような形をしています。実に珍妙な花の形です。その命名の由来が納得できます。

*キツリフネ(黄吊船)

ツリフネソウは紫色ですが、この花は黄色です。自然界は不思議な花を作り出すものです。不思議としか言いようがありません。

<明日に続きます>

 

コメント
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