山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

旅の記録から:2005年東北の春訪ね旅(第1日)

2009-03-02 05:53:43 | くるま旅くらしの話

このところ寒い日が続いて、花粉の飛ぶ量もさほど多くないという予報なのですが、そのような予報とは無関係に、私の顔面はもはや自分のものとは言えない感覚となりつつあります。もう30年以上も前から、この季節になると真に憂鬱な気分となり、思考停止の状態となってしまいます。

医者に行って、1時間半も待ち、たった1分程度の会話を交わしただけで、昨年まで飲んでいた薬を処方して貰って、そのおかげで鼻水の方は免れているのですが、顔全体と頭の中は重い鉛が居座ったような感じで、何とも早やどうにもなりません。

花粉症というのは、もはや国民病として定着した感があります。私には、この病は杉を初めとする植物たちの人間に対する恐るべき復讐のような感じがしています。その復讐は、やがては薬だけではどうにもならなくなるのではないかと思ったりしているのですが、とにかくこの季節となりますと、彼らの総攻撃を甘んじて受けるしかないと思っている次第です。

そのようなわけで、ブログの新たな原稿を書き続けるのは厳しい状況となりましたので、少し古いのですが、4年前に東北の春を訪ねた時の記録を、なるべく写真をたくさん入れて、紹介させて頂くことにしたいと思います。

*  *  *  *  *  *

2005年 東北の春訪ね旅

  期間:4月24日~5月17日(23泊24日)

 旅車:SUN号(グローバル社製キング5.3)

 旅の人:山本拓弘(馬骨)&邦子

 総走行距離:4,705km

 

毎年冬が終り桜が咲く頃になると、旅の虫が騒ぎ出して、東北の春を訪ねているが、今年はいつもより長い時間をかけてその春を味わうことが出来た。

4月24日から5月17日まで24日間、総走行距離約4,700kmの旅だった。家内と二人の相変わらずのでこぼこコンビの旅だが、今回は途中から連休で時間の取れた倅も1週間ほど合流して、トリオメンバーとなった旅だった。少しくその行程を振返ってみよう。

第1日 <4月24日()

自宅→友部SA(常磐道)→(日立北ICより陸前浜街道)→大津港(茨城県北茨城市)→白水阿弥陀堂(福島県いわき市)→あぶくま洞(福島県滝根町)→(小野ICより磐越自動車道)→阿武隈高原SA(泊)<244km>

棲家のある茨城県守谷市を出発して、常磐道経由で陸前浜街道を行き、福島県いわき市へ。ここで邦子どのの要望で、内郷にある国宝白水阿弥陀堂(願成寺)に立寄る。白水とは、平泉の泉という字を分解して付けた呼称とか。由緒能書のことはよく判らないが、平安時代の昔国守の未亡人となった藤原の清衡の娘が夫の冥福を祈ってこの地に建立したものとか。邦子どのが拝観料を払って中に入っている間、浄土庭園というらしい境内の池を含む広大な庭の中にある細道を3周ほど歩いた。1周1km弱ほどだ。借景となる境内を囲む裏山は、萌え出した新緑の中に何本かの山桜が薄紅色の灯りを点して、穏やかな春の風情に包まれた真に浄土を想わせる景観である。何度廻っても飽きない、いい時間だった。

   

   阿弥陀堂への入口。この橋を渡って正面に見えるお堂へ行くことが出来る。

   

   浄土庭園の景観1:真に浄土に相応しい景観である。

   

   国宝白水阿弥陀堂。何ともいえないほどに、しっとりと落ち着いた建物である。

   

   浄土庭園の景観2:山桜の一枝越しに見える庭園の池の向うの山は静かにも生命の躍動を伝えていた。

   

   浄土庭園の景観3:新緑の山もみじ。これまた何ともいえない浄土の春の彩どりに心が洗われる思いがする。

その後、あぶくま洞という鍾乳洞をついでに見てみようということで願成寺を後にする。というのも明日は朝一番で三春の滝桜を観ようと考えており、今夜は無粋だけれど磐越道の阿武隈高原SAに泊まる予定なので、未だかなり時間が余っているからである。滝根町にあるあぶくま洞へ着くまでには結構時間がかかった。急な坂道を登って着いた所は最近までセメント用の石灰岩を切り出した巨大な壁というか崖というか、その高さは140mもあって、人間が大自然を侵食した跡が歴然としている場所だった。到着時間が少し遅かったので鍾乳洞の中に入るのは止めた。(実は拓は閉所恐怖症の気があり、洞窟に入るのは苦手なのである)

   

   あぶくま洞の入口に聳える、高さ140mの絶壁。見上げるだけでクラクラする迫力だ。

しかし、実はその時もっと大変な事態に巻き込まれてしまっていた。突然眩暈(げんうん=目がくらみ頭がふらふらする感じ)が起こって、気分の悪い状態となってしまったのだ。ベンチに横になって空を見上げると、青空も雲も歪んで揺れ動いて見えた。これはまずいな、運転は大丈夫かなとさすがに不安が膨らんだが、邦子どのには知らぬふりをした。こんな状態を正直に話したりしたらパニックになるに違いない。彼女は天国から地獄へ落ちやすい人間なので、あまり驚かせてはならないのである。歩いているとふらりとなるのをごまかすのに苦労したが、しばらく休むとかなり気分は回復した。それでも車の運転席に座ると、どういうわけかシャキッとして何でもなくなるのはどういうわけだろう。この不思議な眩暈の原因は、多分ここ5日ほど続いた睡眠不足と次第に深みにはまりつつある老人症の一種なのだろうと勝手に考えたが本当のことはわからない。とにかく早く阿武隈高原SAに行き、早く休むのが何よりも大事と考え、あぶくま洞のことは忘れて道を急いだ。

コメント
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