(問)平成15年に2年契約で店舗を借りた。2年後の更新は法定更新となった。平成19年4月に競売になり、11月に競落した買受人から店舗の明渡請求をされている。不動産業者は契約時に抵当権が設定されていることを一切説明していない。そのことを知っていれば設備費に300万円を投入していなかった。この設備費を不動産業者に賠償請求が出来ないか。また、200万円の保証金返還請求は誰にすればいいのか。
(答)【短期賃貸借の保護】利用権が602条の短期賃貸借(建物賃貸借の場合は3年以内の契約)である場合は抵当権の登記後に設定された賃貸借でも、抵当権者や買受人に対抗出来る(民法395条)と規定されていた。だが、平成16年4月1日、民法395条「短期賃貸借保護制度」は廃止された。しかし、「短期賃貸借に関する経過措置」(附則第5条)により次の条件を満たしていると「短期賃貸借の保護」は継続される。即ち抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。
但し、抵当権実行による差押さえの効力が発生した時以降に期間満了した場合にはもはや更新できないものとされている(最高裁昭和38年8月27日判決)。
なお、「期間の定めのない建物賃貸借契約」は、「正当事由」があればいつでも解約できるのであるから民法395条にいう短期賃貸借に当たるという最高裁昭和39年6月19日判決がある。
相談者の賃貸借契約は「短期賃貸借に関する経過措置」により民法旧395条の短期賃貸借の保護がある契約であるから買受人(新所有者)に対して対抗力がある。従って、賃借人の預託した敷金(保証金)は原則として新所有者から返還される。また、賃借人の賃借権は新所有者に対抗出来るので無条件で解約されることはない。新所有者の明渡請求裁判が確定するまでは建物を明渡す必要はない。
登記簿の調査義務に関して、熊本地裁平成8年9月4日判決では、宅建業者の重要事項説明(宅建業法35条1項1号)に差押登記の有無も含まれるとして不動産業者の差押登記の調査説明義務違反を理由にして損害賠償責任を認めている。
(東京借地借家人新聞)
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(答)【短期賃貸借の保護】利用権が602条の短期賃貸借(建物賃貸借の場合は3年以内の契約)である場合は抵当権の登記後に設定された賃貸借でも、抵当権者や買受人に対抗出来る(民法395条)と規定されていた。だが、平成16年4月1日、民法395条「短期賃貸借保護制度」は廃止された。しかし、「短期賃貸借に関する経過措置」(附則第5条)により次の条件を満たしていると「短期賃貸借の保護」は継続される。即ち抵当権設定後の建物賃貸借であっても平成16年3月31日までに契約された対抗力のある期間3年以内の建物賃貸借契約の場合は「短期賃貸借の保護」が適用され、その後の更新も認められる。
但し、抵当権実行による差押さえの効力が発生した時以降に期間満了した場合にはもはや更新できないものとされている(最高裁昭和38年8月27日判決)。
なお、「期間の定めのない建物賃貸借契約」は、「正当事由」があればいつでも解約できるのであるから民法395条にいう短期賃貸借に当たるという最高裁昭和39年6月19日判決がある。
相談者の賃貸借契約は「短期賃貸借に関する経過措置」により民法旧395条の短期賃貸借の保護がある契約であるから買受人(新所有者)に対して対抗力がある。従って、賃借人の預託した敷金(保証金)は原則として新所有者から返還される。また、賃借人の賃借権は新所有者に対抗出来るので無条件で解約されることはない。新所有者の明渡請求裁判が確定するまでは建物を明渡す必要はない。
登記簿の調査義務に関して、熊本地裁平成8年9月4日判決では、宅建業者の重要事項説明(宅建業法35条1項1号)に差押登記の有無も含まれるとして不動産業者の差押登記の調査説明義務違反を理由にして損害賠償責任を認めている。
(東京借地借家人新聞)
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