東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

抵当権付賃貸マンションを借り、裁判所から債権差押命令通知が

2007年12月15日 | 賃貸借契約
大阪市住吉区東粉浜3丁目の賃貸マンションの1階部分を期間2年の契約で平成14年5月にスケルトンで賃借した森田義雄さんは、貸主の了解で「ふぐ料理店」を開業するために2000万円を費やし改装しました。
 その後、賃貸借契約は平成16年5月に法定更新され、期間の定めのない建物賃貸借になっていました。

 平成18年8月、突然大阪地裁から「債権差押命令申立事件」の「通知書」が送られ、平成18年9月「債権差押命」が届けられてきました。同時に、大阪地裁は、森田さんへ「事情届」用紙も送ってきました。

 森田さんは、当時はその「通知書」が何を意味しているのか理解できず、その後も月額20万円の家賃を振込み続けていました。

 さらに、平成19年1月、大阪地裁から債権者の変更の「通知書」が送られてきました。
 そして、同時にこれまで聞いたことのない株式会社虎ノ門債権回収という企業から、家賃の支払先を明示した通知書が送られ、さらに、平成19年8月にニッシン債権回収株式会社と名乗る企業からも家賃の振込先を通知してきました。

 その上に、平成19年10月大阪地裁から「債権申立事件」の「取下書」が森田さんへ送られ、新所有者の代理人と称する株式会社リブ・マックスから「賃借権が抵当権設定後であるため、不動産の速やかな引渡しを求める」旨の連絡書が送られてきました。

 森田さんは、これまで家賃の滞納もなく、改装費の返済もできる見通しができ、何とか事業も軌道に乗ったと思っていた矢先の出来事でした。

 <抵当権付と聞いたが、よくわからなかった>
 11月22日、民主商工会の紹介で住吉借地借家人組合の千葉事務局長に相談し、深刻な事態になっていることを初めて知りました。

 森田さんは、平成14年5月30日付けの賃貸借契約書を確認すると、仲介業者を通じて貸主代理人(管理会社)との間で契約しており、建物所有者とは契約していないことが解りました。

 建物所有者は、平成2年7月に抵当権を設定して金融機関から融資を受けており、森田さんが賃貸借契約を締結する際、仲介業者から抵当権が設定されていることを知らされいましたが、抵当権の意味が理解できず競売後の新所有者に対抗力もなく、200万円の敷金も返還されないことも知りませんでした。

 森田さんは、「賃貸借契約時に仲介業者から競売になった場合、新所有者から明渡を求められと無条件で解約されることを事前に詳しく説明を受けておれば、契約しなかっただろうし、父親に連帯保証人になってもらってまで改装費用を工面をしなくて済んでいたのに」と悔やんでいます。

 森田さんは、弁護士に相談し、今後の対策を検討することになりました。 


 <短期賃貸借まではほとんど説明しない>
 仲介業者を指導している大阪府建築振興課は「重要事項説明書に抵当権設定を記載していても、短期賃貸借制度についてまで仲介業者は詳しく説明していないと思われる。本来仲介業者は、説明するべきであろうが、ほとんどの物件に抵当権が設定されている中で、そこまで説明すると成約できないのではないだろうか。今後機会ある毎に業界を指導していく」と語っています。


全国借地借家人新聞より



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合まで

一人で悩まず 042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

更新事務手数料仲介人に支払わないといけないのか

2007年12月14日 | 追い出し屋被害 家賃保証会社
(Q) 入居中のマンションの更新が近くなってきました。更新はするつもりですが、その際に更新事務手数料として2年に一度、家賃の25%を仲介人(不動産業者)に支払わなければなりません。家賃が20万円近いのでかなりの出費です。

 入居時に契約書を熟読した折に、『特約』としてそのことについてかかれており、更新事務手数料なんて今まで払ったことがなかったので、仲介人に『この項目は無しにしてくれ』と掛け合ってみたものの、『できない』との回答で、当時第2子目の出産を真近に控えていたため、この物件に決めざるをえず、はんこを押してしまいました。が、今になって惜しくなってきました。

 もちろん、契約書に押印したことで、この項目は有効ではあると思うのですが、この手数料は合法なのでしょうか?なにかするすべはあるのでしょうか?ご指導下さい。

(東京都 30歳代 主婦)




(A) 更新手数料の支払は拒否できます
 まず、「手数料」というものの性格を考えてみてください。普通、業務を依頼した人が、業務の依頼を受けた人に支払うのが原則です。

 更新手続の場合、本来は家主と借主との間で行うのですが、家主が面倒がって、家主のすべき業務を管理会社に委託した場合、その手数料は家主が支払うべきであって、業務の委託をしていない借主が支払う合理的理由は一切ないはずです。

 ところが、この業界の悪しき慣習として、本来、家主が支払うべき手数料を借主に転化して請求しているのです。従って、更新手数料の支払は拒否できます。

 そして、「更新手数料を支払うつもりはないので、直接、家主と更新手続を行う」と宣言してください。

 契約書の「特約」に「更新手数料を支払う」という項目があるということですが、本来、家主が更新手数料を受取るわけではないのですから、賃貸借契約自体には無関係の第三者(仲介業者)に費用を支払うという規定自体に、合理的な理由がありません。

 さらに、消費者契約法によれば、「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」としていますので、2001年4月以降の契約であれば直接的な適用がありますし、それより前の契約であったとしても、消費者契約法を盾にとって、支払拒否をしてください。

 それに、仮に更新手数料を支払うとしても、書類作成料としてせいぜい5000円程度あれば十分のはずです。5万円もの書類作成料はボッタクリ以外の何ものでもありません。

 早く、このような悪しき慣習がなくなるように、一人でも多くの人が拒否することが必要なのです。

(住宅ねっと相談室カウンセラー 大学生協職員 朝永 彰)



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1年ごとに更新されていた更新されていた土地賃貸借契約が一時使用目的とされた事例

2007年12月13日 | 最高裁と判例集
20年以上にわたり1年毎に更新されてきた建物所有を目的とする土地賃貸借が一時使用目的とされた事例 (東京地裁平成6年7月6日判決、判例時報1534号)


 (事案)
 1、Xは昭和46年12月にアルミサッシ等を製造販売することを目的として設立された株式会社で、当時作業場等を建てる土地探していた。Yは本件土地はいずれは自宅を建てるつもりでいたので他に賃貸することは考えていなかった。X会社をYに紹介した者が明渡請求があればいつでも明渡すことを保証すると言明、またXの社長も最近独立したばかりで用地の確保に困っており一時貸しでも良いから是非貸してほしいと懇願した。そこでYは一時貸しを条件にXの申入れに応じることにした。

 2、このような経緯でYはXに対し、昭和47年4月1日、一時的建物所有の目的、期間1年、賃料1か月10万円で本件土地を賃貸する旨の契約書を取交して賃貸した。その際一時使用のための賃貸借とすることを明確にする趣旨でXはYに対し、Yから明渡請求があったら速やかに原状回復して明渡す旨の誓約書を差入れ、紹介者も保証人として署名捺印した。なお、権利金や敷金の類の金銭の授受は一切なかった。

 3、X(賃借人)は早速本件土地に組立てハウス(軽量鉄骨カラー鉄板葺き)平屋建倉庫作業場約190㎡を建築し、以後これをXの倉庫、事務所作業所として使用してきた。

 4、その後本件賃貸借契約は「土地一時使用賃貸借契約書」を毎年取交して更新され、結果的には平成5年3月31日まで20年以上にわたって継続してきた。

 5、Y(賃貸人)が右期間満了後の本件土地明渡を求めたため、Xが昭和47年4月1日から30年の借地権の確認を求めて提訴、Yは反訴として建物収去土地明渡を求めた。


 (判旨)
 「以上認定の事実によれば、本件賃貸借契約は当初から、暫定的にXが倉庫作業所を建築使用するために、一時使用の目的で締結されたものであることが明らかであり、Yが借地法の規定を潜脱する意図に出たものとは到底認められないから、本件賃貸借関係が結果的には20年余の長きにわたって継続してきたものであるが、借地法9条にいう「一時使用ノ為借地権ヲ設定シタルコト明ナル場合ニ該当スル」としてYの主張を容れ、Xに建物収去土地明渡を命じる判決をした。


 (寸評)
 本件の特徴は、1年後とに一時使用契約を締結してきたが、それが20年以上経ったのだから、実質的には一時使用のためではなく、借地法が適用になる普通の借地契約なのではないかという点にある。本件事案の全体を読むと(例えばXは既に代替地を取得してあまり必要がなくなった)判決の結論はやむを得ない感じがする。  1995.11.


(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

年金記録―どうする、舛添さん (朝日社説12月13日)

2007年12月13日 | 政治経済
 年金の記録があるのに持ち主が分からない。いわゆる「宙に浮いた年金記録」約5千万件のなかで、コンピューターで名寄せしても解明できない記録が約4割にあたる1975万件もある――。

 年金加入者や受給者に、過去の保険料納付記録を通知する「ねんきん特別便」の発送が始まるのを前に、舛添厚生労働相はこんな数字を公表した。

 社会保険庁の手で約2割は名寄せができた。1割は氏名がのっていないために確認中だ。死亡が判明したり脱退手当金をもらったりして受給に結びつかない記録も約3割あった。

 しかし、残りの4割は結婚などで氏名が変わったり、過去の記録を間違って入力したりしたため、名寄せできない。本人の申し出や原簿の台帳との突き合わせが必要となる。時間がかかるし、最終的に本人に結びつかない恐れも強い。

 気の遠くなるような数字である。ずさんな仕事ぶりに改めて怒りがこみ上げる。社保庁の総力をあげて解明にあたるべきだろう。

 それにつけても釈然としないのは安倍前首相や舛添氏のこれまでの言動だ。

 「最後の一人、最後の一円まで確実に給付につなげる」。安倍氏は参院選挙でこう訴えた。舛添氏も大臣就任にあたり同様の約束をした。その際に強調されたのが3月末までに、と言う照合の期限だ。3月末までに「宙に浮いた年金記録」の問題が解消される。そう思った人は少なくない。

 ところが舛添氏は「あれは選挙のスローガン。意気込みを示したまで」と修正した。今になって作業は「エンドレス」といわれても誰も納得しないだろう。安倍氏の釈明も聞いてみたい。

 舛添氏は派手なパフォーマンスで国民受けを狙う劇場型政治が目立つ。が、そんな手法ではかえって不信を招くことになりかねない。やはり、ここはもっと率直に説明し、国民の協力を求めることが必要なのではないか。

 年金では、ほかに保険料を納めたのに記録がない「消えた年金記録」の問題もある。こちらは総務省に作られた第三者委員会で処理しているが、申し立てがあった2万7000件のうち、記録が回復したのはまだ数%にすぎない。

 年金の制度をめぐっては、保険料を固定し年金水準を削減するいまの制度を維持するのか。それとも、基礎的な部分は最低保障年金として税で賄うのか。与野党の考えは食い違ったままだ。

 おまけに、すでに法律に定められた基礎年金への国庫負担の3分の1から2分の1への引き上げも、いまだに財源のめどが立っていない。

 老後の支えとして「安心できる年金」は欠かせない。年金への信頼を取り戻す第一歩として、年金記録の回復は避けて通れない道だ。政府がどこまで「宙に浮いた年金記録」を減らすのか、それをエンドレスで見届けたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東借連理事会で組織活動改善をテーマに論議

2007年12月12日 | 東京借地借家人組合連合会
東借連第9回理事会は、11月25日に鬼怒川観光ホテル別館において6名の参加で開催された。理事会は、報告事項として都主税局交渉、国土交通省交渉、住宅難・住宅困窮を告発する集会、借地借家法一部改正法案の審議入りと民主党法務委員理事との懇談等について報告がされた。
 
 討議事項では、組織活動の改善をテーマに、①請負的相談活動の克服、②組合の民主的運営、③減らさないで増員できる組合活動、④一代限り組合から持続可能な組合づくり、⑤相談中心の活動から住宅要求運動団体に以上について活発な論議を行なった。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地主が更新料請求を拒否したら法的手段を検討すると脅かす

2007年12月11日 | 契約更新と更新料
 最近、バブル時に匹敵するような高額な借地更新料を請求される事例が増えている。

 狛江市に借地している山田さん(仮名)は、地主から坪8万5千円、37坪で315万円もの高額な請求額だ。20年前にも149万を支払っている。

 地代も平成3年から公租公課の3倍の地代に値上がりし、現在月額坪519円を支払っている。山田さんは、組合に相談し10月に更新料は最高裁判決でも支払い義務はないと認めていること等を理由に請求に一切応じられないと通知した。

 すると地主が返答してきた。更新料の支払いを承諾しているとして、①前回の契約更新で更新料を支払っている。②契約書に更新料の支払いが明記されている。③他の賃借人は更新料を支払っている。④賃料が低廉である。等の理由を上げて、「山田さんが更新料の支払いを拒絶するなら法的手続きなどを検討せざるを得ない」と脅かしてきた。

 山田さんは、他にもこの地主から125坪借りている。他の借地人は更新料を支払うために借地を一部返還させられている例もあり、このまま言いなりになっていたら、借地を維持できなると勇気を出して更新料を拒否することを決意した。そこで、組合から直接地主に反論することにした。「前回更新料を支払った事実があるというだけで、更新料支払いの合意があったことの根拠とすることはできない」との東京地裁の平成16年5月21日の判決を示し、契約書にも今回の更新時に更新料を支払う約束は一切ないと具体的反論した。山田さんは、今後地主の出方を見守ることにした。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地上権と賃借権どう違うの?

2007年12月10日 | 借地借家の法律知識
借地借家法と旧借地法では、借地権について地上権と賃借権と2つの言葉で呼ばれていますが、この地上権と賃借権とどう違うのか。借地借家法では何も書かれていません。
 民法では、地上権は265条、賃借権は601条に規定がありますので六法全書で調べてください。地上権は民法の物権、賃借権は債権に分かれます。債権である賃借権については、民法601条では「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」と規定しています。
 これに対して、物権である地上権は家屋等の所有を目的として、他人の土地について、地上権者の自由の意思により直接的に支配することができ、土地の所有者の意思によって左右されることのない権利といわれ、地上権は地主に承諾を得ないでも自由に売買できる権利となります。
 私たちが借地権と呼ぶ権利は、ほとんどが賃借権で、地主に賃料を支払って土地の使用収益を可能にする権利ですので、「地主が所有者としてもつ処分権限、すなわち、その土地を他に売却する意思までも賃借権によって制限できない」(平凡社『ゼロからわかる民法』川田昇著)ことになります。すなわち、地主は借地で貸してある土地でも、誰に何時売ろうが自由ということになります。
 そこで借地人は、地主が土地を第三者に売ってしまっても大丈夫なように建物の保存登記をしておくことが必要となります。賃借権である借地権の場合には、借地権者の名前で建物に保存登記をしておかないと、逆に借地権を売買されたと瞬間に借地権を主張できなくなってしまうのです。借地権は借地借家法などで守られている権利ですが、一方で様々な制約のある権利であることを認識する必要があります


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合   042(526)1094

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

住宅困窮者を公平性の名の下に強制的に追い出す公営住宅の承継問題

2007年12月08日 | 国と東京都の住宅政策
 公営住宅の承継問題がマスコミにも取り上げられ社会問題になっている。

05年国土交通省より公営住宅の使用継承については「配偶者と高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る必要のある者」との住宅局長通知が出され、東京都では今年の8月から、配偶者以外に60歳以上の高齢者、重度障害者(1、2級)、病弱者のみ承継を認めた。

 問題は「特に居住の安定を図る必要のある者」の判断が都道府県に任されていることで、妻以外の承継者が知的障害者の場合、東京都では「軽度」とみなされ立退かされてしまうが、神奈川県では障害者は4級まで認められ、母子、父子家庭、特別低額者等と承継対象の範囲がかなり広く、全国で対応が異なっている。

 東京都は「住宅マスタープラン」で、「公営住宅の入居機会の拡大」と称し、都営住宅の使用継承をこれまでの一親等親族から原則配偶者のみとする方針を決めている。入居機会の公平を図るためという理由だが、「公平性」の名の下に、障害者や60歳以下の低額所得者を都営住宅から追い出すことが果たして「公平」といえるのか。母子家庭の場合でも母親が亡くなれば、子供20歳に達すれば住み続けることができないという。都から親が亡くなると直ぐに6ヶ月以内に退去を迫る誓約書が送付され退去しなければ家賃を大幅アップするというから血も涙もない話だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

住まいを財界に売り渡すな 全国自治協集会に900人超 公団住宅の民営化阻止を

2007年12月07日 | 国と東京都の住宅政策
 全国公団住宅自治会協議会(全国自治協)は六日、「公団住宅の民営化反対、売却・削減阻止!居住の安定を求める二〇〇七年全国総決起集会」を東京都千代田区の日本教育会館で開きました。 全国百五十二の公団自治会から九百四十人余が参加。公団住宅を管理する都市再生機構(略称UR、旧住宅公団)などの独立行政法人の廃止・民営化に向け、政府が年内にも「整理合理化計画」を策定しようとしています。参加者は「私たちの住まいを財界に売り渡すな。公団住宅を守ろう」と呼びかけました。

 開会あいさつで楓健年代表幹事は、「公団住宅が公共住宅として守られるかどうか重大な局面」だとし、「偽装で謝罪が相次いでいるように、採算偏重の民間に住宅をゆだねて本当にいいのか」と問いかけました。

 全国自治協が呼びかけた「公団住宅を守れ」の意見書は全国五十四議会で可決され、十二首長から要望書が政府に提出されています。各地の代表から、地方議会で意見可決をすすめる活動や、駅頭で七十代、八十代の居住者が訴えた取り組みなどが語られました。

 井上紘一事務局長が「署名は、国土交通相あてに二十四万一千五百二十五筆。都市再生機構理事長あてに二十四万八千百九十一筆集まった」と報告。「議会での意見書採択や議員への陳情、自治体の住宅担当者との交渉などをさらに強めていこう」と提起しました。

 集会は、政府・都市再生機構に対し、公団住宅の民営化、売却・削減計画の中止などを求める決議を採択。集会後、国交省と都市再生機構に要請しました。

 日本共産党から穀田恵二衆院議員が来賓あいさつ。「大事なのは民営化は絶対あかんということ」だと強調し、「国は赤字だから売却するというが、住んでいるみなさんが赤字をつくったわけではない。国と旧公団の責任です」とのべ、「共産党もみなさんと団結して民営化阻止へ全力を尽くす」と激励しました。

(しんぶん赤旗12月6日)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

連帯保証人になったが、家主から突然滞納家賃1年分請求されたが

2007年12月07日 | 借地借家の法律知識
(問)友人の息子Aのマンション入居時に保証人を頼まれ、連帯保証人になった。ところがAの家主から突然、1年分の滞納家賃と共益費の支払を求められたが、請求に応じなければならないのか。また保証人になると何時までも責任を負わなければならないのか。

(答)入居時の契約でAの保証をしたが、その後家主から保証人に関する連絡などは何もなく、契約の更新にはノータッチであったという。このように保証人の自覚もない人間に対し、家主からの保証債務の履行請求は寝耳に水の事であり、その請求に不満を持つのは当然の気持ちである。
 だが判例の傾向は保証人には厳しいものである。最高裁は原則として契約更新後についても保証人の責任を認めている。その理由として賃貸契約は正当事由がない限り、更新拒絶が出来ないなど本来相当長期間の存続が予定されている。従って保証人も更新を前提とした賃貸借契約の存続を当然予測できる筈である。また保証人の債務は賃料債務を中心とするので賃料額は特定されており、更新後といえども保証人の予期せぬ責任が一挙に発生することがない。以上の理由から「特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責を負う趣旨で合意されたものと解するのが相当であり、保証人は賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」(最高裁平成9年11月13日判決)と判示した。
 最高裁判決の原則から言えば、相談者は家主からの滞納家賃請求に応じなければならないことになる。
しかし最高裁は同判決で例外として①更新後の債務について保証しないなどの期間満了後の保証責任について格別の定めがある場合②格別の定めがなくても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がある場合③保証債務の履行を請求することが信義則に反する場合、に関しては責任義務がないとしている。
Aの家主には保証人の損害を回避すべき義務があり、それを怠って損害を拡大した責任は重い。それゆえ前記「例外」の③に該当するので、保証人の保証債務責任を認めるべきではない。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

改正建築基準法の影響、一層深刻化 帝国データバンク

2007年12月06日 | 最新情報
帝国データバンクは12月5日、景気動向調査(11月調査)の結果を発表した。

 それによると、07年6月の改正建築基準法の施行による建築確認の長期化や、手控えが収まらず、建設、不動産や建材、鉄鋼など周辺業界への影響が一層深刻化している。

 全体の景気動向指数(11月)は39.5ポイント(前月より1.1ポイント減少)で、8カ月連続の悪化となった。また、03年12月以来、47カ月ぶりに40ポイント割れとなった(景気動向指数は0から100で、50が判断の分かれ目)。

 業界別でみると、「不動産業」は44.9ポイントで2年11カ月ぶりに10業界中2位に後退した。改正建築基準法の影響だけでなく、9月30日に施行された金融商品取引法によるファンド規制強化も影響している。(住宅新報より)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地主が土地の有効利用で高齢借地人に明渡し請求

2007年12月05日 | 明渡しと地上げ問題
 大田区蒲田本町に居住する高橋さんは約九坪、田中さんは約一二坪の土地を賃借。今年の七月の契約更新に当り更新拒絶を通告され昨年6月組合に入会。地主代理人弁護士との交渉での奮闘の内容は昨年本紙に掲載された。

 その後も組合役員を介して弁護士と数回交渉を行うが、北海道旭川市に移り住んで数十年経過した地主は、自己使用・土地の有効活用の主張をするばかりで決裂。それから約半年経過した11月に建物収去土地明渡請求の訴状が届いた。すでに裁判も想定されて弁護士に相談していた両名は、組合の顧問弁護士に依頼した。土地の有効利用を理由に借地人の生活基盤を脅かす理不尽な請求には絶対に負けられないと、裁判にのぞんで決意を新たにしている。
 

借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3テナントが結束し、家主の明渡し請求を撤回させる

2007年12月04日 | 明渡しと地上げ問題
 荒川区西尾久で4階建マンションの1階店舗(約12坪)を借り電気店を営む鈴木さんは、4年前の秋に漏水事故が発生し家主からマンションを建て直すから明渡してほしいと通告された。このマンションは2階から上は居室で20数世帯以上の入居者がいたが、水道の設備が悪く時々漏水事故が数箇所で発生していた。

 店舗を借りている人は6店舗だが、気がついてみると居住者も減り店舗も3店舗となった。更新時が来る人から徐々に立退いたようだ。鈴木さんは最後まで残って営業を続けていた他の2人に声をかけ3人で組合に相談し入会した。「水漏れ程度なら修繕で直せるのにどうしても追い出すなら、それなりの補償をするか、近くに代替の店舗を確保し再築時には現行の賃料で再入居させよ」と何度か家主と交渉を続けた。

 この間に家主は代替の店舗を探してきたが店舗としては狭すぎるため、建て直し期間中に品物の展示できないために他の倉庫を借りて保管しなければならず、鈴木さんたちは倉庫の賃料も補償してほしいと主張した。家主は考えると回答したものの何ら誠意も見せず時間が経過し、最近になってついに建て替えをあきらめ建物を部分的に補修し、入居者の募集を始めた。徐々に入居者が増え、空き店舗にも新しい入店者が入ってきた。

鈴木さんたち3人は最後まで営業を守り頑張りぬいた結果、家主の明渡し請求を撤回させる大きな成果を上げた。この経験を生かして今後は商売繁盛に力を入れると張り切っている。


借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

前の入居者が浴室で亡くなっていたなんて……

2007年12月03日 | 借地借家の法律知識
(Q) 賃貸アパートに入居して1年と少しです。近所の人から、前の入居者がお風呂場で病死したことを知らされました。

 契約時の説明はなく、入居してから「前の人は転勤で地元に帰った」といううそを耳にしていました。亡くなって3カ月ほどで私たちが入居したことになります。

 こういう内容は契約時に説明する義務はないのでしょうか。こちらとしては、知っていたら入居しなかったと思います。

 このことを理由に引っ越し費用の請求もしくは家賃の引き下げを要求できますか?

 大家さんと不動産会社に憤りを感じています。アドバイスよろしくお願いします。



(東京都 20歳代 主婦)




(A) 住居とは人が安心して死ねる場所です
 初めに、ちょっとお説教じみた回答になってしまいますことをお許しください。

 人は太古の時代、遊牧生活から定住生活にシフトし、憧れの「マイホーム(住居)」を手に入れました。この「住居」に求めたものは、生活基地としての安住性の要素と同時に、安心して死ねる場所の確保という要素もありました。これらの要素は、今も変わりません。

 花瓶に飾った花が、いつかは枯れていくように、人もまた生物として死期を迎えます。その死期を、暮らし慣れた土地の、屋根ある我が家で迎えられることができればどんなに幸せだろう。こんな思いが「住居」という概念に含まれています。このことは、持ち家や賃貸の区別もありません。この場所を確保するために、人はお金を払って「住居」を買ったり借りたりするのです。

 ぜひ、人の死を、異常なことととらえないでください。また、自分の家族の死と他人の死を、必要以上に区別しないでください。

 以上が精神的なこの件に関する考え方です。

 したがって、法律的にも、殺人事件や事件性のある自殺(通常の自殺は病死の延長線ととらえるべき)があった場合は、重要事項説明として告知義務を認めていますが、それ以外の場合は告知不要としています。そう考えないと、賃貸住宅や中古住宅マーケットは、成り立ちませんよね。

 新築も含め、新しい住居に暮らし始める際、住居の四隅に盛り塩をするなどして、お清めをすることによって、気持ちを切り替えている人もいらっしゃいます。

 皆が正しい住居観を持ち、日本の住宅が、再びストック財産に戻れることを願います。

(住宅ねっと相談室カウンセラー NPO理事 石田 光曠)



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大家さんに遺体搬入を断られた

2007年12月01日 | 借地借家の法律知識
(Q) 元気そうだった叔父(72)がガンで他界しました。叔父の住まいは賃貸マンションなのですが、その大家さんから「遺体を部屋に入れるな。葬儀を自宅でするな。遺骨も帰宅させるな。法事関係は全てお断り」と言われました。

 入院から1カ月足らずで急逝したので、大家さんと前もって話し合う時間も無く、叔父の死に直面した私達には、大家さんと交渉する気力もなく言われるままに従いました。

 叔父の遺体は約20年以上、住み慣れた家に戻ることも叶わず、病院から直接葬儀場に運ばれ、翌日には、火葬、告別式、納骨、49日と慌ただしく執り行いました。もう、葬儀も済んでしまったので、今回は大家さんと揉めるつもりはないのですが、残された叔母が「私も、帰って来れないのね」と言うのを聞いたら、なんだかとても納得が出来なくなりました。

 賃貸の場合、部屋で死人が出ると次の人が入らなくなるという事情もあるのはわかりますが、叔父のように高齢で病院で病死しても、大家さんに断られたら借りている部屋での葬儀は執り行えないのでしょうか?



(山形県 30歳代 主婦)



(A) 住宅は人が死ぬ場所でもあります
 住宅は、人が住む場所であり、かつ、人が死ぬ場所です。病院で死を迎えるようになったのは最近のことで、戦前は病院で死ぬのはごく少数です。将来についても、可能な限り本人の望む場所で死を迎える権利が認められるようになることでしょう。

 アメリカの健康保険組合(民間で運営しています)の統計でも、自宅で終末を迎える人が9割ぐらいと、あるセミナーで聞いたことがあります。もちろんそのために、ターミナル・ケア(自宅で家族を看取ること)に対する保険のケアは厚くなっているとのことです。日本でもターミナル・ケアを奨励する医師も増え始めています。

 大家の発言は人権蹂躙で、個人的にはまったく聞き入れる必要がなかったと思います。むしろ、頑張って戦ってほしかったと思います。

 法律的にも、大家に説明することはあっても、許可を得る必要はまったくありません。賃貸借契約書に使用目的という項目があると思いますが、おそらく「乙は居住を目的として本物件を使用する」という内容が記載されていると思います。この項目の趣旨は、住宅を営利目的に使ってはいけないということです。

 宗教上の行為は、信教の自由が憲法で保障されている以上、また、大半の国民が仏壇を持つ、あるいは神棚を持つように、慣習として住宅の一部として認められています。

 死はタブーではなく全ての人に訪れるわけで、幸せなターミナル(終末)を迎えられる賃貸住宅が「良い物件」だと思います。

(住宅ねっと相談室カウンセラー 税理士 松下 明夫)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする