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建築基準法改正:審査厳しく倒産も 国交省は回復を楽観

2007年12月28日 | 国と東京都の住宅政策
耐震偽装事件を受け、建築基準法改正に伴い厳格になった建築確認審査の影響を受けた住宅着工件数の減少が止まらない。国土交通省が27日発表した11月の新設住宅着工数は前年同月比27%減の8万4252戸で、7月から5カ月連続で前年を下回った。関連業界では倒産する会社も出始め、景気全体への悪影響を懸念する声も上がっている。【高橋昌紀、辻本貴洋】

 負債総額約37億円で、駐車場製造・販売の「東京パークエンジニアリング」(東京都中央区、従業員55人)が、民事再生法の適用を受けたのは今年10月だ。3月期の売り上げは約36億円と業界では名を知られた存在だった。民間調査会社「帝国データバンク」の調査に、担当者は「製品を納入するマンションなどの着工が遅れ、資金繰りに行き詰まった」と語ったという。

 帝国データバンクによると、6月施行の改正法の影響による倒産(負債額1000万円以上)は10月に始まり10件。建築工事6、駐車場製造など2、不動産・建築販売1、建築部材1で、総額は約158億円に上る。

 改正法では、建築確認の際に1級建築士や大学教授が務める「適合性判定員」が、耐震偽装事件で表面化した構造計算が偽装されないようチェックする。判定員は2人以上だが、それぞれが同じ作業を繰り返したり、誤字・脱字程度のミスでも再申請を要求するケースがあり混乱した。日本建築士事務所協会連合会の三栖邦博会長も「改正法の運用について、判定員の解釈がばらばら。国交省の指導不足だ」と指摘する。

 国交省は▽9月に判定員のための相談窓口を設置し運用方法の周知徹底を図る▽11月には判定員に対して、再申請が不必要なケースを具体的に示す▽12月から小規模で単純構造の建築物には判定員1人でも可能とする--などの対策を打った。

 住宅着工は、9月は6万3018戸、10月が7万6920戸と、11月まで連続で増えた。このため、国交省は先行きを楽観するが、07年度の住宅投資は前年度比12.7%減の見通しだ。新日本製鉄が10月から3カ月間で建築用鋼材を10万トン減産するなど関連産業への影響も広がる。日銀は11月の金融政策決定会合で、「住宅投資の減少が長期化すれば、心理的な面も含めて(マクロ経済全体に)影響が広がる」と分析している。

 ◇11月の住宅着工は34.6%減

 国交省によると、11月の新設住宅着工戸数は、改正基準法施行後の7月から5カ月連続で減少している。この間の住宅着工数は36万9000戸で、前年同期比34.6%減だ。

 分野別の着工戸数は、マンションが同63.9%減の8331戸。法改正で導入された構造計算適合判定は、11月の申請1833件に対し、合格は10月比557件増の1430件。12月も増加傾向だが、国交省が標準的な件数として想定する月5000件には届いていない。

 福田康夫首相は26日の日本経団連の会合で、「反省している。(国交省に)積極的に建築許可が出るようにするようにとお願いした」と陳謝した。【辻本貴洋】

(毎日新聞 12月27日)
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