東京多摩借地借家人組合

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前の入居者が浴室で亡くなっていたなんて……

2007年12月03日 | 借地借家の法律知識
(Q) 賃貸アパートに入居して1年と少しです。近所の人から、前の入居者がお風呂場で病死したことを知らされました。

 契約時の説明はなく、入居してから「前の人は転勤で地元に帰った」といううそを耳にしていました。亡くなって3カ月ほどで私たちが入居したことになります。

 こういう内容は契約時に説明する義務はないのでしょうか。こちらとしては、知っていたら入居しなかったと思います。

 このことを理由に引っ越し費用の請求もしくは家賃の引き下げを要求できますか?

 大家さんと不動産会社に憤りを感じています。アドバイスよろしくお願いします。



(東京都 20歳代 主婦)




(A) 住居とは人が安心して死ねる場所です
 初めに、ちょっとお説教じみた回答になってしまいますことをお許しください。

 人は太古の時代、遊牧生活から定住生活にシフトし、憧れの「マイホーム(住居)」を手に入れました。この「住居」に求めたものは、生活基地としての安住性の要素と同時に、安心して死ねる場所の確保という要素もありました。これらの要素は、今も変わりません。

 花瓶に飾った花が、いつかは枯れていくように、人もまた生物として死期を迎えます。その死期を、暮らし慣れた土地の、屋根ある我が家で迎えられることができればどんなに幸せだろう。こんな思いが「住居」という概念に含まれています。このことは、持ち家や賃貸の区別もありません。この場所を確保するために、人はお金を払って「住居」を買ったり借りたりするのです。

 ぜひ、人の死を、異常なことととらえないでください。また、自分の家族の死と他人の死を、必要以上に区別しないでください。

 以上が精神的なこの件に関する考え方です。

 したがって、法律的にも、殺人事件や事件性のある自殺(通常の自殺は病死の延長線ととらえるべき)があった場合は、重要事項説明として告知義務を認めていますが、それ以外の場合は告知不要としています。そう考えないと、賃貸住宅や中古住宅マーケットは、成り立ちませんよね。

 新築も含め、新しい住居に暮らし始める際、住居の四隅に盛り塩をするなどして、お清めをすることによって、気持ちを切り替えている人もいらっしゃいます。

 皆が正しい住居観を持ち、日本の住宅が、再びストック財産に戻れることを願います。

(住宅ねっと相談室カウンセラー NPO理事 石田 光曠)



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