東京多摩借地借家人組合

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賃貸更新料また返還命令…京都地裁

2009年09月29日 | サポーター会員制度
 賃貸住宅の契約更新の際に支払いが求められる「更新料」を巡り、京都市内のマンションを借りていた熊本県と東京都の女性2人が家主側に支払い済み更新料計34万4000円の返還などを求めた2件の訴訟の判決が25日、京都地裁であった。滝華聡之裁判長は「更新料を定めた契約条項は、消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に反して無効」として、いずれも家主側に全額の支払いを命じた。家主側は控訴する方針。

 更新料を無効とする司法判断は、7月に同地裁で、8月には大阪高裁で出ており、借り主側の弁護団は「判決の流れは、もはや止められない。家主側は不当条項を速やかに見直すべきだ」と話している。

 判決によると、熊本の女性は2003年4月、東京の女性は06年3月に入居。更新料は、いずれも1年ごとに賃料2か月分とする契約で、それぞれ3回分22万8000円、1回分11万6000円を支払った。

 家主側は訴訟で「更新料には賃料を補充する性質がある」などと主張したが、判決で、滝華裁判長は「趣旨不明瞭(めいりょう)な部分が大きい」と指摘。そのうえで「更新料条項について、情報や交渉力で格差のある借り主側に誤認状態で契約を結ばせ、不利益を与えた」とした。

 この日は、家主が借り主に未払いの更新料10万6000円の支払いを求めた訴訟の判決も京都地裁であり、佐野義孝裁判官は消費者契約法に基づき、契約条項は無効として請求を棄却した。

(2009年9月26日 読売新聞)
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賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除は信義則に反し許されないとされた最高裁判例

2009年09月29日 | 最高裁と判例集
最高裁三小判昭和39.07.28 昭和37(オ)747 家屋明渡等請求(第18巻6号1220頁)  (最高裁判例HP該当判例)

(判決要旨)
   家屋の賃貸借において、催告期間内に延滞賃料が弁済されなかつた場合であつても、当該催告金額九六〇〇円のうち四八〇〇円はすでに適法に弁済供託がされており、その残額は、統制額超過部分を除けば、三〇〇〇円程度にすぎなかつたのみならず、賃借人は過去一八年間にわたり当該家屋を賃借居住し、右催告に至るまで、右延滞を除き、賃料を延滞したことがなく、その間、台風で右家屋が破損した際に賃借人の修繕要求にもかかわらず賃貸人側で修繕をしなかつたため、賃借人において二万九〇〇〇円を支出して屋根のふきかえをしたが、右修繕費については本訴提起に至るまでその償還を求めたことがなかつた等判示の事情があるときは、右賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除は信義則に反し許されないものと解すべきである。

(参照・法条)
   民法1条3項,民法541条

(判決理由抜粋)
 「所論は、相当の期間を定めて延滞賃料の催告をなし、その不履行による賃貸借契約の解除を認めなかつた原判決違法と非難する。しかし、原判決(及びその引用する第一審判決)は、上告人が被上告人Aに対し所論延滞賃料につき昭和三四年九月二一日付同月二二日到達の書面をもつて同年一月分から同年八月分まで月額一二〇〇円合計九六〇〇円を同年九月二五日までに支払うべく、もし支払わないときは同日かぎり賃貸借契約を解除する旨の催告ならびに停止条件付契約解除の意思表示をなしたこと、右催告当時同年一月分から同年四月分までの賃料合計四八〇〇円はすでに適法に弁済供託がなされており、延滞賃料は同年五月分から同年八月分までのみであつたこと、上告人は本訴提起前から賃料月額一五〇〇円の請求をなし、また訴訟上も同額の請求をなしていたのに、その後訴訟進行中に突如として月額一二〇〇円の割合による前記催告をなし、同被上告人としても少なからず当惑したであろうこと、本件家屋の地代家賃統制令による統制賃料額は月額七五〇円程度であり、従つて延滞賃料額は合計三〇〇〇円程度にすぎなかつたこと、同被上告人は昭和一六年三月上告人先代から本件家屋賃借以来これに居住しているもので、前記催告に至るまで前記延滞額を除いて賃料延滞の事実がなかつたこと、昭和二五年の台風で本件家屋が破損した際同被上告人の修繕要求にも拘らず上告人側で修繕をしなかつたので昭和二九年頃二万九〇〇〇円を支出して屋根のふきかえをしたが、右修繕費について本訴が提起されるまで償還を求めなかつたこと、同被上告人は右修繕費の償還を受けるまでは延滞賃料債務の支払を拒むことができ、従つて昭和三四年五月分から同年八月分までの延滞賃料を催告期間内に支払わなくても解除の効果は生じないものと考えていたので、催告期間経過後の同年一一月九日に右延滞賃料弁済のためとして四八〇〇円の供託をしたことを確定したうえ、右催告に不当違法の点があつたし、同被上告人が右催告につき延滞賃料の支払もしくは前記修繕費償還請求権をもつてする相殺をなす等の措置をとらなかつたことは遺憾であるが、右事情のもとでは法律的知識に乏しい同被上告人が右措置に出なかつたことも一応無理からぬところであり、右事実関係に照らせば、同被上告人にはいまだ本件賃貸借の基調である相互の信頼関係を破壊するに至る程度の不誠意があると断定することはできないとして、上告人の本件解除権の行使を信義則に反し許されないと判断しているのであつて、右判断は正当として是認するに足りる。」
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