花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

もはや戦後ではないけれど

2009-12-03 23:23:26 | Weblog
 今日の朝日新聞朝刊の天声人語と、同じく朝日新聞夕刊の文化欄をつなぐキーワードは「戦後」です。天声人語では、「もはや戦後ではない」というタイトルの評論を書いた中野好夫氏の意図が、「戦後」を言い訳に使う当時の風潮を批判し、「戦後」に甘える姿勢を捨てよと訴えるものであったことが紹介してありました。一方、夕刊の文化欄では「『戦後と知識人』再考」と題して、一年前に亡くなった加藤周一氏が「戦後」とどう向き合っていたかを、成田龍一・日本女子大教授が振返っています。
 加藤氏は「原点を戦争批判に持ち、あらたな価値をもつ戦後を創りだすべく実践をしたという意味において『戦後知識人』ということができ」、「現状と緊張関係をもち『正確な判断』を有しながら、社会的な実践を行なう知識人たち」に共感を示した、と成田氏は書いています。加藤氏と中野氏のメッセージに共通するのは、その時々の雰囲気に流されるなということであり、その時々に対して責任をもって生きよということであるかと思います。そして、さらに言うならば、戦後かなり経って生まれた私たちではありますが、戦争が如何なるものであったかを知っている以上、それを歴史の教科書の中だけのものとせず、再び繰り返さないための責任を負わなければならいと、訴え掛けられているように感じます。もはや戦後ではありませんが、1945年8月15日以降を生きるものにとって、戦後の意味が終わることはないと思います。