スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

アイドリームドアドリーム&脚色

2024-04-17 19:06:03 | 血統
 大阪杯を勝ったベラジオオペラの輸入基礎繁殖牝馬は,4代母で1987年にアメリカで産まれたアイドリームドアドリームです。ソネラ,クヰックランチと祖を同じくするファミリーナンバー4-rの分枝。
                                        
 アメリカで1頭の産駒を産んでから輸入されました。日本での初産駒はエアデジャヴー。1998年にクイーンステークスを勝ちました。
 エアデジャヴーが繁殖牝馬となって初めて産んだのがエアシェイディ。2008年にアメリカジョッキークラブカップを勝っています。
 そのひとつ下の全妹がエアメサイア。2005年にローズステークスと秋華賞を勝っています。
 エアメサイアも繁殖牝馬になりました。2013年の産駒がエアスピネル。2015年にデイリー杯2歳ステークスを勝つと,2017年には京都金杯と富士ステークスを勝ちました。
 エアスピネルのひとつ下の全弟はエアウィンザー。2018年のチャレンジカップの勝ち馬です。
 エアメサイアのひとつ下の全妹はJRAで4勝。繁殖牝馬となって2011年に産んだのがエアアンセム。2018年に函館記念を勝ちました。
 エアアンセムのひとつ下の半妹は競走馬としては1勝。この馬がベラジオオペラの母です。
 エアデジャヴーのふたつ下の半弟はエアシャカール。2000年に皐月賞と菊花賞を制覇。この一族の最初の大レースの勝ち馬がこの馬です。
 エアシャカールのひとつ下の全妹は競走馬としては2勝。繁殖牝馬となり,2014年に鳴尾記念と毎日王冠を勝ったエアソミュールの母になっています。
 このように活躍馬が続出している一族。最近はやや活力が薄れている感がありましたが,3頭目の大レースの勝ち馬が出ました。まだ継続していきそうな一族です。

 仮にスチュアートMatthew Stewartがいっていることが事実であったとしてみましょう。その場合,チルンハウスEhrenfried Walther von TschirnhausがローマにいてステノNicola Stenoと知り合ったという部分が怪しくなります。チルンハウスは,ライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizに『エチカ』の手稿を読ませてもよいのではないかと考えたのです。それはつまり,ライプニッツとチルンハウスはそれくらい親しかったことを意味します。ですからもしもステノがライプニッツと一緒に仕事をしていたのであれば,ステノとチルンハウスもどこかで知り合っていた可能性があるからです。なのでこの場合は,ステノが何らかの画策で『エチカ』の手稿を入手したのはローマではなく,それをステノがローマにもっていったという可能性まで想定しておかなければならないでしょう。チルンハウスがローマにいたということは,『スピノザー読む人の肖像』では確定的に記述されていますが,これを史実としてよいという情報は示されていませんので,そういう可能性がまったくなかったとは僕はいいません。
 しかし,スチュアートがいっていることはたぶん史実ではありません。『宮廷人と異端者The Courtier and the Heretuc : Leibniz,Spinoza,and the Fate of God in the Modern World』は元来は脚本として書くことを意図されていた内容であって,そこにはおそらくスチュアートの脚色が入っていて,この部分はおそらくそのひとつであると僕は思います。ステノとライプニッツが一緒に仕事をしていたという情報を僕はほかに知りませんし,そもそもステノがこのときにライプニッツと一緒にいたことも疑わしいのです。
 あらかじめいっておいたように,この部分はライプニッツはスピノザの遺稿集Opera Posthumaが発刊されるのを楽しみにしていたというエピソードとして,たぶん創作されています。ただこの脚色は,脚色としてはよくできたものだとは思います。仮にステノとライプニッツが一緒に仕事をしていて,それならライプニッツはステノに,スピノザの遺稿集の出版の準備が進んでいて,その編集をしているのがだれであるのかということを教えたのかといえば,やはり教えることはなかったであろうからです。ライプニッツはカトリックとプロテスタントの統一を真剣に考えていたくらいですから,教会の有力者の知人がまったくいなかったとは考えられません。
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ローミンレイチェル&三者面談

2024-01-12 19:21:19 | 血統
 全日本2歳優駿を勝ったフォーエバーヤングの母は2013年にアメリカで産まれたフォエヴァーダーリングという馬で,フォーエバーヤングの基礎繁殖牝馬になります。しかしフォエヴァーダーリングの祖母にあたる,1990年にアメリカで産まれたローミンレイチェルという馬も繁殖牝馬として輸入されていて,このローミンレイチェルを祖とする一族は日本で繫栄しています。英語表記はRoamin Rachel。ファミリーナンバー2-b
                                        
 ローミンレイチェルは日本では3頭の産駒しか産んでいません。そのうちの1頭がゼンノロブロイです。
 ゼンノロブロイのひとつ上の半姉が,ローミンレイチェルが日本で初めて産んだ馬です。この馬は1戦しかできなかったのですが,牝馬だったので引退して繁殖牝馬に。2009年にファンタジーステークスを勝ったタガノエリザベート,2015年のクイーンカップを勝ったキャットコイン,2019年に愛知杯を勝ったワンブレスアウェイ.2017年の札幌2歳ステークスを勝ったロックディスタウンと,実に4頭の重賞勝ち馬の母になりました。ローミンレイチェルが日本で産んだ牝馬はこの馬だけなのですが,産まれた重賞勝ち馬の4頭がいずれも牝馬ですから,その子孫から活躍馬が出てくることはあり得るでしょう。
 フォーエバーヤングの母が輸入されたのは,やはりローミンレイチェルの孫であったということが大きかったのだろうと思います。
 ローミンレイチェルの3つ下の全妹も繁殖牝馬として輸入されています。その馬の孫に,2022年にスパーキングサマーカップ日本テレビ盃を勝ったフィールドセンスがいます。
 ローミンレイチェルの3代母が大きな分枝を作っていて,ここまでいくと活躍馬をすべて記すことができないほどです。先日紹介したばかりのメーデイアもこの一族にあたります。

 5月11日,木曜日。妹を通所施設に迎えに行きました。帰宅すると,新型コロナウイルスのワクチンの接種券が送付されていました。5回目のものです。
 5月12日,金曜日。妹の歯科検診がありましたので,指定歯科であるみなと赤十字病院に連れていきました。
 5月13日,土曜日。午後7時40分に,ピアノの先生からの電話がありました。翌日のレッスンの開始時刻の通知です。
 5月14日,日曜日。妹のピアノのレッスンでした。午後4時半の開始でした。
 5月15日,月曜日。妹を通所施設に送りました。
 5月18日,木曜日。この日が前期の三者面談でした。場所はグループホームです。対面式の三者面談は,僕は新型コロナウイルスの蔓延があって以降は初めてでした。三者面談は,通所施設のものとグループホームのものがあって,別々に行われます。この日は先にグループホームの三者面談があって,その後に通所施設の三者面談でした。三者というのは妹の担当者と妹,そして僕のことです。グループホームの妹の担当者は,最初の担当者が地域支援担当主任に就任したときに変わりましたが,それ以降はずっと同じ人です。通所施設の担当者は長くても2年で,現在の担当者も今年度,つまり今年の4月から担当になった人です。それぞれの面談が終わった後,そのまま妹を連れて家に帰りました。迎えの日に面談をするというのは僕にとっては最も好都合です。この日は,僕が最も希望していた日でした。
 5月19日,金曜日。妹の本牧脳神経外科の通院の日でした。この日は診察を受けただけです。
 5月20日,土曜日。妹を通所施設に送りました。土曜レクリエーションがあったので,妹をそれに参加させるためです。この日が土曜レクリエーションであるということを,前回の脳神経外科の通院の日には分かっていなかったので,19日の脳神経外科の予約を入れてしまったのです。なので事前の予定ではこの日に妹を送っていく予定はなかったのですが,5月の予定を提出した後で,この日が土曜レクリエーションであるということが判明したので,提出した予定を変更するように依頼し,それがグループホームによって受諾されたのです。
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ミュージカルウェイ&レヴィナス

2023-12-09 19:40:11 | 血統
 エリザベス女王杯を勝ったブレイディヴェーグの祖母は2002年にフランスで産まれたミュージカルウェイという馬で,ブレイディヴェーグの輸入基礎繁殖牝馬になります。トップニュースⅡとデュプリシト,ドバイマジェスティと同じファミリーナンバー2-sの一族。
                                        
 現役時代は主にフランスで走って重賞3勝。
 繁殖生活は日本で送ることになりました。最初に産んだ牝馬はオープンまで出世。この馬が後にブレイディヴェーグの母になっています。ブレイディヴェーグのひとつ上の半兄は現役のオープン馬です。
 2頭目の産駒は牡馬。この馬もオープンまで出世しました。
 3頭目の産駒が牝馬。この馬は2015年にJRA賞の最優秀3歳牝馬に選出されたミッキークイーンです。ミッキークイーンはすでに繁殖牝馬になっていて,産駒の1頭は先月に4勝目をあげてオープン馬になっています。
 4頭目の産駒も牝馬。この馬も繁殖牝馬になっていて,産駒の1頭がすでにオープンを勝っている現役馬です。
 これ以降の産駒とその子孫からは目立った活躍馬は出ていません。
 15年ほどの間で重賞の勝ち馬が2頭。ただその2頭が大レースを勝ちました。さらに重賞は勝てないまでもオープンまでいっている馬が多数いますので,この牝系からはまだ活躍馬が出てくるでしょう。

 後藤の論文に関連して僕がいっておきたかったのはこれだけです。何度もいいますが,僕はメンデルスゾーンMoses Mendelssohnについては詳しくは分かりませんから,これについてはこれだけにして,先に進みます。
 『スピノザーナ11号』は,平尾と後藤のメンデルスゾーンに関連した論考の後,合田正人の「欲望の倫理」という論文が掲載されています。これにはスピノザを廻るラカンJacques-Marie-Émile LacanとレヴィナスEmmanuel Lévinasという副題がついています。ただこの論文については僕の方から何かいいたいことはありません。なのでこの論文とは関係なく,レヴィナスのスピノザ論を解するときに注意するべきことをいっておきます。
 レヴィナスは思想家であって,同じように思想家としてのスピノザを批判しています。たぶんレヴィナスは自身でもそのようにしていると思っていると推測されます。ただこの理解にはひとつの陥穽があります。というのもレヴィナスはユダヤ教徒のユダヤ人であって,スピノザはユダヤ人でありながらユダヤ教会から破門されたという歴史的事実があるからです。たとえばレヴィナスは,ナチスによるユダヤ人の大量虐殺という史実の後に,スピノザが同じような思想を展開することができたかは疑問であるという主旨のことをいっていますから,確かにレヴィナスとスピノザの間に,同じ人種としての宗教上の相違というものがあるのであって,レヴィナスがそれを自覚しているのかしていないのかということは別にしても,そうした相違がレヴィナスによるスピノザ批判には反映されているのです。なのでレヴィナスによるスピノザ哲学に対する批判を理解する上で,レヴィナスのある意味では個人的な心情というものが影響を与えているといえなくもないのです。合田がこのことをよく理解しているということは,この論文よりも『現代思想』のスピノザ特集号に掲載されている「白い曠野」という論文から明らかですので,合田の論文を読解する際にはこのことは問題にはなりませんが,このことに注意しないでレヴィナスを研究している場合は,それを読む側が注意しなければなりません。レヴィナスはスピノザのことを,ユダヤ教に対する裏切り者であると規定しているからです。
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ファイアフラワー&訳

2023-09-21 19:10:06 | 血統
 先週の若武者賞を勝ったグラッシーズマンの輸入基礎繁殖牝馬は5代母にあたるファイアフラワーです。1972年にイギリスで産まれました。
                                        
 繁殖生活は1975年から日本で送りました。直仔で重賞を勝ったのは1984年に産んだダイナカーペンター。1988年の阪神大賞典と1989年の京都記念を勝ちました。
 ダイナカーペンターの7つ上の半姉,1977年に産んだ牝馬は繁殖入り。この馬の産駒がフラワーパークです。フラワーパークは繁殖牝馬となり,2015年の東京新聞杯を勝ったヴァンセンヌの母になっています。
 フラワーパークのひとつ下の半姉も繁殖牝馬に。この馬の産駒には2007年にシルクロードステークスを勝ったエムオーウイナーがいます。
 ダイナカーペンターのふたつ下の半妹も繁殖牝馬になっています。その馬の曾孫にあたるのが2013年のNARグランプリで2歳最優秀牝馬に選出されたブルーセレブ。グラッシーズマンはこのブルーセレブの産駒になります。
 牝系自体の活力はすでに衰えているとみていいかもしれません。ただ,枝葉は広がっていますので,ある程度の活躍馬が出てくる可能性は十分にあるでしょう。

 第二部定理三二の意味に関しては僕が示したことに同意するとしても,もしもその意味を示すのに,すべての観念ideaは神Deusに帰せられれば真verumであるというよりも,すべての観念は神に還元されれば真であるといった方が、その意味が分かりやすい訳になっていると考えるのであれば,そちらの訳を用いる方がいいでしょう。重要なのはこの定理Propositioでスピノザが示そうとしたことについて,どのような訳を選択すればその意味が理解しやすくなるのかということなのであって,もしも畠中の訳が最も分かりやすいと思うのであれば,とくにその訳を変更しなければならない理由というのはありません。僕は帰するという語を用いるのが最もよいと思いますので,これを使用するということであって,このように訳さなければならないということを主張するものではありません。
 ここからは僕独自の考察になります。僕はこの定理を,観念は神に帰せられるなら真であるというようにいいますが,この定理の意味を確定させる過程で探求した事柄は,当たり前のことですが,帰するといおうが関係するといおうが同じです。したがって,第一部定理一五にあるように,あるものはすべて神のうちにあるQuicquid est, in Deo estのであって,観念というのも神のうちにあるわけですから,神に関係させることができない観念は存在しないのと同様に,神に帰することができない観念というのは存在しません。なので,この定理は,すべての観念は真であるというようにも読解できるのですが,実際にはそうではなく,神に帰せられていない観念,いい換えればたとえば僕たちの精神mensに帰せられている観念というのがあって,その限りでは誤った観念idea falsaがあるということが前提となっているのです。
 このことから分かるように,観念は神に帰せられれば真であるのですから,もしも僕たちの精神のうちにある観念があるとき,この観念が神に帰せられているのであれば,それは僕たちの精神のうちで真の観念idea veraであるということになります。ですが,これも考察の中で示したように,僕たちの精神のうちに表象像imaginesがあるときには,僕たちはそれを神に帰することができません。よってそれは僕たちの精神のうちでは誤った観念です。
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バルドウィナ&隣人愛の場合

2023-05-20 19:22:17 | 血統
 NHKマイルカップを勝ったシャンパンカラーの輸入基礎繁殖牝馬は2015年にイギリスで産まれた母であるメモリアルライフです。このメモリアルライフが輸入されたのには理由があって,メモリアルライフの祖母,シャンパンカラーの三代母である,1998年にフランスで産まれたバルドウィナという馬が輸入されていて,繁殖牝馬として日本で成功を収めていたからです。Baldwinaは姓のひとつ。英語だとボールドウィナです。ファミリーナンバー1-n
                                        
 2004年にイギリスで1頭の産駒を出産してから輸入。日本での初産駒となったのがワンカラットで,2009年にフィリーズレビューを勝つと2010年には函館スプリントステークスとキーンランドカップ,2012年にはオーシャンステークスを勝ちました。
 ワンカラットの7つ下のの半妹がジュエラー。2016年に桜花賞を勝っています。
 メモリアルライフは2004年にイギリスで産まれたバルドウィナの産駒の娘。メモリアルライフは繁殖生活は日本で送っていて,シャンパンカラーは2頭目の産駒になります。まだ繁殖生活を送っていますから,シャンパンカラーの弟や妹も,いずれは競走馬として出走してくることになるでしょう。
 重賞の勝ち馬はこの3頭だけですが,重賞の入着馬というのはほかにも何頭かいます。バルドウィナはおそらく日本の競馬に対する適性が高い繁殖牝馬で,バルドウィナを一族の祖とする馬たちからは,おそらくまだ活躍馬が出てくるものと思います。

 愛amorという感情affectusは必ずしも理性ratioから生じるわけではありません。受動感情として現実的に存在する人間のうちに生じる場合もあります。第三部定理三九は,愛が能動的に生じようと受動的に生じようと同じように成立するわけですから,どちらにしても愛を感じた人間は,その愛の対象に,条件付きとはいえ親切をなすでしょう。この親切をなす行為自体は合倫理的な行為ではありますが,もしも受動的な愛によって愛する対象に親切をなすのであれば,それは有徳的であるとはいえません。理性に従って愛を感じ,その愛のゆえに親切をなすときだけ,その人間は有徳的であるといわれるのです。
 このことは,『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』のスピノザの主張と重なる部分があるのであって,あるいはスピノザはこの定理Propositioについて,そのことを想起していたかもしれません。スピノザによれば新約聖書の教えというのはふたつしかなく,そのうちのひとつが隣人を愛せということでした。隣人を愛するということはそれ自体で合倫理的であるといえます。この愛が隣人に対して親切をなす要因となるからです。しかしその聖書の教えに服従することによって隣人を愛し,また隣人に親切をなす人間は,合倫理的ではあっても有徳的であるとはいわれません。ただ理性に従って隣人を愛し,隣人に親切をなす人間だけが有徳的であるといわれるのです。隣人に親切をなすことは共同体や社会societasといった人間の集団に融和を齎すものであって,亀裂を生じさせるようなことではありません。ですからスピノザは新約聖書のこの教えを称揚し,それが合倫理的であるということは是認します。しかしある人間が人間集団に融和を齎すからといって,それだけでその人間が有徳的であるということにはならないのです。
 受動passioというのは第三部定理一により,混乱した観念idea inadaequataに依存します。そして國分がいっている通り,現実的に存在するある人間の受動というのは,その人間の本性natura humanaのみによって説明される力potentiaに対して,その人間とはほかのものの力がより多く表現されている場合にいわれるのでした。したがって,僕たちの精神mensのうちに混乱した観念が発生するということも,力の対比によって説明できる筈です。
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エイプリルソネット&共通

2023-04-01 19:07:48 | 血統
 昨年末の全日本2歳優駿を勝ち,先日のUAEダービーを鮮やかに逃げ切ったデルマソトガケの3代母は1981年にアメリカで産まれたエイプリルソネットという馬で,日本での基礎繁殖牝馬となります。ビューチフルドリーマーと同じくファミリーナンバー12
                                       
 アメリカで2頭の産駒を産んでから輸入されました。1990年から2004年までの間に13頭の産駒を日本で産み,そのうちの7頭が牝馬であったため,牝系が広がっていきました。
 一族から最初の重賞の勝ち馬は,1997年に産まれた牝馬から出ています。この馬は競走馬としてもオープンを勝つなど活躍しました。この馬が2004年に産んだのがミリオンディスク。2009年にカペラステークスを勝って一族にとって初の重賞制覇を達成。翌2010年には北海道スプリントカップも勝ちました。
 ミリオンディスクの6つ下の半妹がアムールポエジー。こちらは2013年に関東オークスを勝っています。そして繁殖牝馬となってからはデルマソトガケの母になりました。
 デルマソトガケは一族の最初の大レースの勝ち馬というわけではありません。エイプリルソネットが1992年に産んだ牝馬の孫に,ワイドファラオがいます。2019年にニュージーランドトロフィーとユニコーンステークスを勝つと,翌2020年にはかしわ記念を勝っています。
 デルマソトガケまでで一族からの重賞の勝ち馬は4頭しかいません。ただ未勝利で終わるような馬はそれほど出ていない一族です。こうした一族が代を経て活躍馬を量産するようになるということはそれなりにあることですから,エイプリルソネットがそのような基礎繁殖牝馬となる可能性は残っていると思われます。

 第二部自然学①補助定理二は,第二部定理三八系を論証するにあたっては有効ではありません。この系Corollariumは,現実的に存在する人間は外部の物体corpusと何らかの関係をもつことを前提しているといえます。このことを暗黙の前提とすることについては,僕は否定しません。第二部自然学②要請三から明白だといえるからです。また現実的に存在する人間の精神mens humanaによる認識cognitioについていうなら,第二部定理一四から明らかだといえるでしょう。逆にいえばスピノザは第二部定理三八系を証明するにあたっては,これらの要請Postulatumと定理Propositioとに合わせて訴求する方がよかったであろうと僕は思います。
 これはスピノザの過失といえば過失といえるのかもしれません。この過失はきわめて微細なものであって,僕にとってはさして問題とするに値するようなものではありません。ただ,ドゥルーズGille Deleuzeが第二部定理三八第二部定理三九を,共通概念notiones communesの適用の論理と形成の論理とに分けて考えているということに対しては,いくらかの影響を与えた可能性も残ります。少なくとも第二部定理三八系を第二部定理三八と合わせて理解するなら,いい換えれば定理と系を一体化したものと考えるのであれば,第二部定理三八と第二部定理三九を,ドゥルーズが示したような仕方で分節することはできなかったかもしれないからです。
 ここまで僕が示してきたことは,第二部定理三七および第二部定理三八で,すべてのものに共通するといわれているときの,共通ということをどのように解するべきなのかということと関係してきます。もっとも第二部定理三七は,すべてのものに共通するものは個物res singularisの本性essentiaを構成しないといわれているだけであり,この個物の本性というのは現実的に存在するある個物,現実的に存在する物体corpusの本性と解することができますから,単にすべての物体に共通するものと理解してもよいかもしれません。しかし第二部定理三八は共通するものの観念ideaについて言及されているのですから,それと同じように解することはできません。その共通するものの観念は,現実的に存在する外部の物体と接触することによって,接触した人間の精神のうちに形成されるということになっているからです。
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マルペンサ&別の解釈

2023-01-16 19:17:14 | 血統
 ホープフルステークスを勝ったドゥラエレーデの祖母は2006年にアルゼンチンで産まれたマルペンサという馬です。Malpensaはミラノにある国際空港の名前。ナイスランディング,ローザネイと同じくファミリーナンバー1-w
                                        
 アルゼンチンでGⅠを3勝した馬。競走生活を引退した後で輸入され,繁殖生活は日本で送りました。
 輸入されて最初に産んだのがサトノダイヤモンド。2016年のJRA賞で最優秀3歳牡馬に選出されました。
 その後に残した産駒は3頭だけ。すべて現役は退いています。この3頭のうち,サトノダイヤモンドのひとつ下の半妹とふたつ下の半妹は牝馬で,いずれも繁殖牝馬になりました。ドゥラエレーデの母になったのはふたつ下の牝馬の方で,こちらもドゥラエレーデが初めての産駒になります。
 マルペンサはすでに繁殖生活を送っていませんので,2頭の牝馬が今後の一族を担っていくことになります。マルペンサもドゥラエレーデの母も,最初の産駒が大レースを勝ちました。サトノダイヤモンドのひとつ下の半妹,つまりドゥラエレーデの母のひとつ上の半姉は,重賞で2着が2回,3着が1回と,未勝利に終わったドゥラエレーデの母よりも競走馬として活躍し,そのために繁殖牝馬となったのは半妹よりも後になりました。産駒は今年が2歳なので,順調にいけば今年か来年にデビューするでしょう。初産駒が活躍する傾向の一族ですから,注目してみるのもよいかもしれません。

 第五部定理四二備考で,賢者が存在することをやめることはないといわれていることは,現実的に存在するある人間の精神mens humanaのうちに何らかの十全な観念idea adaequataがあるなら,その人間はそのものについて誤謬errorを犯すということはないので,賢者として存在し続けるというように解釈することは可能です。そしてこの解釈が,現実的に存在するある人間についてその人間を賢者という場合,あるいは同じことですが現実的に存在するある人間を賢者としてみる場合に,最も適切な解釈であると僕は思います。しかし一方でこの部分は,それとは別の,字義どおりに近い意味で解釈することもできますので,その解釈についても僕の見解を述べておきます。
 第五部定理四二備考で,無知者は存在することをやめるという場合,それは第一義的に解釈すれば,文字通りに無知者が存在することをやめるのでなければならないということだと僕はいいました。無知者は現実的に存在するある人間として想定されているわけですから,人間が存在することをやめるというのは,その人間が死ぬという意味です。しかしこのような意味でその備考Scholiumを解釈することができないということは明白です。明白であるということを知っていながら僕があえて第一義的にはこのような意味でなければならないということをいっておいたのは,その後の賢者の場合と比較する上でのことです。
 賢者は賢者としてみられる限りで存在することをやめないというのは,第一義的には賢者は賢者として存在し続けるという意味なのであって,それは賢者は死ぬことはないという意味でなければなりません。しかしこれは不条理です。賢者として想定されているのも無知者と同様に現実的に存在する人間なのであって,人間は現実的に存在するものとしてみられる限りは必ず存在することをやめるからです。これは生きている人間は必ず死ぬという意味であって,賢者であろうと無知者であろうと関係ありません。もっといえば,持続duratioのうちに存在するいかなるものもいずれは現実的に存在しなくなるので,このことは現実的に存在するいかなる個物res singularisにも妥当します。現実的に存在するとは持続のうちに存在するという意味なのです。
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バイザキャット&再考察

2023-01-14 19:33:37 | 血統
 アユサンの母は1995年にアメリカで産まれたバイザキャットという馬です。アマゾンウォリアー,ファンシミン,マイグッドネス,アンティックヴァリュー,ソルティビッドと,日本で多くの活躍馬が出ているファミリーナンバー9-fの一族。
                                        
 アメリカで4頭の産駒を産んでから輸入されました。アユサンは日本で4頭目の産駒で,産駒の中で活躍した初めての馬となりました。
 アユサンの5つ下に全妹がいて,この馬は重賞は勝てなかったものの,2017年の阪神ジュベナイルフィリーズで3着,翌年のフィリーズレビューと紫苑ステークスで2着になり,桜花賞とオークスで5着になるなど,2頭目の活躍馬となっています。
 アユサンが繁殖牝馬となって5頭目の産駒が朝日杯フューチュリティステークスを勝ったドルチェモア。こちらもアユサンの産駒としては初の活躍馬といえる存在です。
 多くの活躍馬が出ているわけではありませんが,重賞を勝った2頭は大レースまで手が届きました。現状では活躍馬が続出するわけではないけれども,トップクラスまでいく馬がぽつぽつと出てくる一族という傾向になっています。

 第四部定理一の意味は,本来はある人間の精神mens humanaのうちにあるXの十全な観念idea adaequataは,Xの混乱した観念idea inadaequataの積極性を排除しないということです。つまり,現実的に存在するある人間の精神のうちにXの混乱した観念があるとき,その同じ人間の精神のうちにXの十全な観念が発生したとしても,Xの混乱した観念は除去されないということであり,また同時に,現実的に存在するある人間の精神のうちにXの十全な観念があったとしても,その同じ人間の精神のうちにXの混乱した観念が発生することは妨げられないということです。したがって,ある人間の精神のうちにAの十全な観念があり,それがそれとは別のBの混乱した観念あるいは表象像imagoに移行するということを直接的に意味するものではありません。とはいえ,ある人間の精神のうちにXの十全な観念があっても,その同じ人間の精神のうちにXの混乱した観念が発生し得るということについては明確に肯定しているとみなければなりませんから,ある人間の精神が,Xの十全な観念からXの混乱した観念へと移行するということについては肯定しているとみなければならないのであり,人間の精神が十全な観念から混乱した観念へと移行し得るということについては,この定理Propositioが認めているとみてよいでしょう。
 したがって,ある人間の精神が十全な観念だけにとどまるということはないのであり,第五部定理四二備考で賢者が存在することをやめないといわれているとき,賢者は何らかの十全な観念から混乱した観念へと移行することはないという意味に解するのは無理があると僕は考えるのです。ただこの意味でも解釈することができないとなると,そこの部分でスピノザがいわんとしていることが何であるかということを考察する際に,あり得るとした解釈のすべてが否定されてしまうことになります。しかしそれらのうちのどれかに解釈することができるのは確実だといわなければならいので,ここまでの考察を生かした上で,再び適切な解釈はどれであるのかということを考えていきます。
 第四部定理一は,Xの十全な観念とXの混乱した観念が,現実的に存在する同じ人間の精神のうちに同時に存在するということも示します。
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スコッチプリンセス&段階

2022-12-16 19:11:14 | 血統
 JBCスプリントを勝ったダンシングプリンスの輸入基礎繁殖牝馬は3代母のスコッチプリンセスです。ファミリーナンバー11-f
                                        
 1970年にアメリカで産まれた馬。繁殖生活は日本だけで送りました。繁殖生活中に産んだ牝馬は5頭いましたが,現在も続いているのは主にふたつの系統です。
 主軸となっているのは1986年に産まれたサワヤカプリンセスの子孫。その馬が1996年に産んだのがサイキョウサンデーで,1999年に中日スポーツ賞4歳ステークスを勝ちました。これがこの一族の最初の重賞制覇。
 サイキョウサンデーの3つ下の全弟がデュランダル。こちらは一族から初の大レースの勝ち馬になりました。
 デュランダルの3つ下の半妹は繁殖牝馬となり,ダンシングプリンスの母になっています。
 総じていうと,未勝利で終わるような馬はあまり出ず,かといって重賞レベルまで強くなる馬もそれほど出てこなかったという一族。ただ,未勝利馬があまり出ずに何頭かが重賞を勝つまで出世するような一族が,日本で世代を経て大レースまで届くようになるというケースは意外とあります。なのでこの一族からさらに活躍馬が出てくるという可能性も,それなりに残っているのではないでしょうか。

 では一般的な意味で,基礎部分を復習するということにどのような意義があるのかということから僕の考えを示していきます。
 どのような知識あるいは技術を習得していくにしても,それを習得するためには必ず必須となる部分というものが含まれます。これが一般的に基礎とか基本といわれる事柄です。知識あるいは技術の向上というのは,その基礎的部分あるいは基本的部分を習得した上で可能になります。さらに,知識であれ技術であれ,それを向上していくのには段階というものがあります。いい換えれば,習得するのが容易な知識や技術もあれば,それが困難な知識や技術もあります。もちろんここには各個人による差異があるのであって,Aという知識を習得することは,Xには容易であるけれどもYには困難であるとか,Bという技術の習得はXにとっては困難だがYにとっては容易であるということは生じ得ます。したがって,段階というものがどのような順序を踏んでいくのかということは人それぞれどいえますが,段階というものがあるということについてはどのような人にとっても同一です。
 そこで,それぞれの段階に,順序があると仮定します.もちろんその順序は人によって異なるでしょうが,順序があることは間違いないので,順番をつけること自体には問題ないでしょう。このとき段階1というのは,その知識なり技術なりを習得するためには必ず身につけておかなければならない基本的な部分であるとします。よって段階1については,その技術なり知識なりを習得するためには,だれであっても習得しておかなければならない段階です。この段階1をクリアすることで,段階2に進むことができます。実際には段階1から進む段階2は,段階2-A,段階2-Bというように,複数が存在することが普通ですが,ここでは説明を容易にするために,そうした種別も含めて段階2といっておきます。
 この段階は,一般的には無際限に継続します。技術であれ知識であれ,その習得に最終段階があるというのは,現実的には稀なのであって,最終段階があるとするなら,それは便宜的に設定されたものである場合がほとんどであるといっていいでしょう。
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ブランシュレイン&真理の否定

2022-12-03 19:32:58 | 血統
 天皇賞(秋)を勝ったイクイノックスの輸入基礎繁殖牝馬は4代母に当たるブランシュレインという馬です。Blanche Reineはフランス語で白の女王。ヴィキュニアと同じでファミリーナンバー16-b
                                        
 1982年にフランスで産まれた馬。2頭の産駒をフランスとアメリカで産んだ後で輸入されました。
 日本で最初に産んだ産駒が牝馬で,競走生活では5勝。その後に繁殖牝馬になりました。この馬がサクラバクシンオーと配合されて産まれたのがブランディス。降雪のために延期され,2004年1月に実施された中山大障害と,同年4月の中山グランドジャンプを勝ち,JRA賞でこの年の最優秀障害馬に選出されました。
 ブランディスのひとつ下の半妹は競走生活は2勝。繁殖入りした後で,キングヘイローを父とする,2015年のマーメイドステークスを勝ったシャトーブランシュの母になりました。
 シャトーブランシュが繁殖牝馬となって2頭目の産駒がキングカメハメハが父のヴァイスメテオール。昨年のラジオNIKKEI賞を勝っています。そのひとつ下の半弟が,キタサンブラックと配合されたイクイノックスになります。
 一族に牝馬の割合が少ないので,分枝が大きく広がっているわけではありません。それでもこれだけの活躍馬を出していますから,少ない牝馬が繁殖入りして,さらに活躍馬が輩出するという可能性はあるでしょう。

 第三部定理二真理veritasです。したがって,人間の身体humanum corpusは自分の精神mensを思惟作用に決定するdeterminareことはできません。そして人間の精神は自分の身体を運動motusや静止quiesに決定することもできません。僕はこの定理Propositioをテーマとして設定して深く論考したことがありますが,そのときに,この定理が真理であるということを,単に論理的に示しただけではなく,僕たちの経験的にもそうでなければならないということを示しました。ですからこの定理が真理であるということについてはここでは繰り返しての説明は与えません。ただ,僕たちが現に生きているこの社会では,むしろこの定理は虚偽falsitasであるとされているのであって,人間の精神が自分の身体を運動にも静止にも決定することができるということになっています。
 同様のことは第二部定理四九および第二部定理四九系についてもいえます。これらの定理や系Corollariumも真理なのであって,これについてもまた僕は単に論理的に真verumであるということだけではなく,僕たちが事物を認識するcognoscereあり方を反省的に考えることによって,経験的にも真でなければならないということを示してありますから,ここではそれを繰り返すことはしません。ただ僕たちが生きている現代社会あるいは近代社会においては,むしろ虚偽とされているのであって,人間の精神を構成する諸々の観念ideaには限界があるのだとしても,同じ人間の精神にはそれを超越する自由意志voluntas liberaが備わっているのであり,その限りにおいては意志と観念は同一ではなく,意志は観念を超越するということになっています。そもそもスピノザの哲学では,第二部定理四八で,人間の精神には自由意志は備わっていないとされているばかりでなく,第一部定理三二系一により,Deusにも自由意志は備わっていないとされているのですから,これでみればスピノザの思想の形而上学に該当する部分,とくに第二部定理四八と第二部定理四九,そして第二部定理四九系を支えている形而上学的部分が,現代社会では虚偽であるとされていることになります。
 このように,反省的に考えれば真理とされなければならない事柄が,社会において虚偽とされるということは,実はさほど不自然なことではありません。
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ローザネイ&記号表現

2022-12-02 19:48:54 | 血統
 エリザベス女王杯を勝ったスタニングローズの4代母は1988年にフランスで産まれたローザネイという馬です。このローザネイを起点とした一族は薔薇一族といわれ,日本で大きく発展しました。ナイスランディングと同族で,ファミリーナンバー1-w
                                        
 繁殖生活は日本だけで過ごしました。初仔が牝馬のロゼカラー。1995年にデイリー杯2歳ステークスを勝ってすぐに重賞の勝ち馬が輩出しました。ロゼカラーの3つ下の半弟がロサード。この馬は1998年に新潟3歳ステークスを勝つと翌年には京阪杯を制覇。2001年には小倉記念,2002年にオールカマー,2003年にまた小倉記念と,重賞を5勝しました。さらにその4つ下の全弟がヴィータローザ。この馬は2003年にラジオたんぱ賞とセントライト記念,2006年に中山金杯と重賞3勝。
 ロゼカラーが繁殖入りしての初仔がローズバド。2001年のフィリーズレビューと2003年のマーメイドステークスと重賞を2勝しました。ローズバドの4つ下の全弟はローゼンクロイツ。2005年に毎日杯,2007年に中京記念と金鯱賞を勝ち重賞3勝。
 スタニングローズはローズバドの初仔の産駒になります。
 ローズバドの産駒にはローズキングダムもいます。この一族で初の大レースの勝ち馬になったのがこの馬でした。
 ここにきてさらに大レースを勝った牝馬が出てきました。なのでこの一族はさらに繫栄していくことになるでしょう。

 第一部定義六は,絶対に無限な実有ens absolute infinitum,あるいは無限に多くの属性infinitis attributisからなっている実体substantiamを神Deumと定義しています。しかしこれは何度もいっていることですが,そうした実有あるいは実体が,神と定義されなければならない根拠は何もありません。別に神とは異なった記号で表現されても構わないのです。ただその場合,たとえばそれが神ではなくXと記号化された場合には,『エチカ』あるいはスピノザの思想で神といわれている部分が,すべてXといわれなければならないというだけのことです。したがってスピノザは第一部定理一一で,神は存在するということを論証していますが,そこでそれが存在すると論証されているのは第一部定義六でいわれている神なのですから,この神を神ではなくXと記号化するなら,存在すると証明されるのは神ではなくXになるということです。
 しかし,神とXが同じように定義されて,単に記号表現としてのみ差異があるのであれば,これらふたつの形而上学は,記号の表現上の相違があるだけで,その内容は事実上は同一であるということになるでしょう。いい換えれば,同一の形而上学が異なった記号で表現されるということは現にあり得るのです。これが形而上学には正解があるわけではないということで僕がいいたいことの意味です。ですから形而上学を支える定義Definitioに関しては,時として振り返っておくことはとても意義のあることだと僕は考えているのです。
 ここまでは形而上学一般の場合です。これをさらにスピノザの思想とそれを支える形而上学に限定した場合には,さらに特有の事情が発生してきます。このことは,『はじめてのスピノザ』でも注意が与えられているのですが,それは比喩的な注意になっていますので,僕の説明の後で紹介します。この國分の比喩は絶妙な比喩だと僕は思いましたが,それはスピノザの思想に特有の事情が何であるかを理解した後の方が,おそらく腑に落ちてくるでしょう。
 スピノザは第三部定理二で,人間の精神mens humanaが自分の身体corpusを何らかの運動motusや静止quiesに決定するdeterminareことはできないといっています。もちろんここにも形而上学的な支えがあります。そのひとつは,第一部公理五であるといえます。
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スタセリタ&振る舞い

2022-04-19 19:10:33 | 血統
 桜花賞を勝ったスターズオンアースの母は,2013年にイギリスで産まれたサザンスターズです。そしてその母で,2006年にフランスで産まれたスタセリタという馬も,その前に輸入されています。日本での母系はこのスタセリタから始まっています。セリエンホルデとサロミナの7代母が,スタセリタの7代母にあたる同一牝系でファミリーナンバー16-c
                                        
 スタセリタはGⅠを6勝した名馬。サザンスターズが最初の産駒で,サザンスターズを生んだ後,種付けをされた状態で輸入されました。来日してから産んだのがソウルスターリング。2016年に阪神ジュベナイルフィリーズを勝ってJRA賞の最優秀2歳牝馬に選出されると,翌年はチューリップ賞とオークスを勝ち,JRA賞の最優秀3歳牝馬に選出されました。
 ソウルスターリングのふたつ下の全妹がシェーングランツ。この馬は2018年にアルテミスステークスを勝っています。
 サザンスターズはおそらくソウルスターリングの活躍があったため,最初から日本で繁殖生活をスタート。スターズオンアースは日本で2頭目の産駒となります。
 これだけ短期間で大レースの勝ち馬が2頭出ていますし,その2頭を含む重賞勝ち馬の3頭がいずれも牝馬ですから,日本でも牝系が発展していきそうです。現時点で気掛かりなのは,ソウルスターリングはオークスを勝った後,シェーングランツはアルテミスステークスを勝った後,いずれも勝てなかったように,やや早熟の傾向がみられること。その意味では世代を経たスターズオンアースが,これ以降どのくらい活躍することができるのかという点に,血統面から注目しています。

 第四部定理三五は,人間は理性ratioの導きに従う限りでは,本性naturaが一致するといっています。いい換えればこの限りにおいては人間が対立的であるということはありません。それがスピノザのいう敬虔pietasの意味なのですから,人間は理性に従う限りでは敬虔であるということになります。これはもちろん,キリスト教の信者であるかないかということとは関係ありません。キリスト教徒だけが理性の導きに従うことができるというわけではないからです。たとえキリスト教を信じていなくても,あるいは同じことですが,イエスをキリストとは認めていないとしても,人間は敬虔であるということができるのです。
 一方,スピノザが解するキリスト教の教えのふたつのうちのひとつは,隣人を愛せということでした。人は隣人を愛する限りでは対立的であることはありません。いい換えれば敬虔であることができます。したがって,この教えを遵守する限りでは,人間は敬虔であることができます。つまり,理性に従う人と同じように行動することになるでしょう。よって,理性に従って振る舞う場合と,聖書の教えを忠実に守って振る舞う場合は,その振る舞いの内容は一致します。前者は理性によって,つまり精神の能動actio Mentisによって敬虔であるのに対し,後者は聖書の教えによって,つまり聖書から働きを受けるpatiことによって敬虔であるのですが,振る舞いは一致するのです。つまり,現実的に存在する人間は,ある種の受動passioによって,能動的な人間,スピノザの哲学でいうところの自由の人homo liberと同じように振る舞うことができます。そしてこの限りにおいては,スピノザは受動的であること,本来的には非道徳的なことを,むしろ推奨するのです。
 これは今の考察とは無関係ですが,僕はここに示したスピノザの考え方については,論理的な飛躍が含まれているのではないかという疑いをもっています。しかもふたつの論理的な飛躍が含まれているのではないかと思っています。これはこれでスピノザの哲学の探求にとっては重要なことでしょうから,この機会に僕の疑念を説明しておきましょう。
 まずひとつは,スピノザがキリスト教の教えといっている,隣人を愛せという点です。
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ファーガーズプロスペクト&対決

2022-02-03 19:57:30 | 血統
 NARグランプリで年度代表馬に選出されたミューチャリーの3代母は,1990年にアメリカで産まれたファーガーズプロスペクトという馬で,ミューチャリーの基礎輸入繁殖牝馬になります。ファミリーナンバー3-d
                                        
 直仔の中で最も活躍したのはデビューした1998年にオープンを勝ち,ファンタジーステークスが2着,阪神3歳牝馬ステークスで3着,翌年にオープンを勝ち,チューリップ賞で2着,桜花賞で4着になったゴッドインチーフという馬。この馬がミューチャリーの祖母になりました。
 ゴッドインチーフの5つ下の半妹からも子孫が発展。この半妹を母にもつのが,2014年にオークスとローズステークス,2015年に中山記念,2016年にレッドカーペットハンデキャップを勝ったヌーヴォレコルトです。
 ファーガーズプロスペクトのひとつ下の半妹も輸入されました。この馬の孫に2013年に優駿スプリントアフター5スター賞を勝ったハードデイズナイトがいます。
 ファーガーズプロスペクトの母の子孫には,一昨年の共同通信杯を勝っている現役のダーリントンホールがいます。
 ファーガーズプロスペクトの3代母はひとつの分枝。ここまで広げるとその子孫には993年にニュージーランドトロフィー4歳ステークス,1994年に平安ステークス,1995年にマーチステークスを勝ったトーヨーリファールや,一昨年のサンバサウジダービーカップを勝っている現役のフルフラットがいます。
 さらにその母は世界的に大きく分枝を広げた馬。2003年にジャパンカップダートを勝ったアメリカのフリートストリートダンサーは,その子孫になります。
 輸入されている馬が少ないので,日本で牝系が大きく広がっているわけではありません。ただ近年のヨーロッパでは多くの活躍馬が出ていますので,これから輸入される馬が増えてくる系統かもしれません。

 これはプロ棋士の実戦の対局になりますから,将棋のルールが分からない人には理解は困難かもしれません。ただ,青野が右脳と左脳の対決をどのように実感しているかは,何となく分かるかと思います。
 1995年2月3日の関西将棋会館での対局で,青野は第1図の局面を迎え,熟考しました。先手が青野です。そして青野はこの局面は優勢であると感じていました。この点は意外に重要です。
                                        
 このとき青野の第一感は☗1七桂でした。これは取られそうな桂馬を逃げながら後に活用しようという手です。この手が本筋であるに決まっていると青野は思いました。これは青野のいい方に倣えば,右脳が☗1七桂を認識し,左脳がそれを本筋と認めたということになるでしょう。
 しかし優勢を意識していた,この意識も左脳による意識ですが,青野はこの局面で☗1七桂と指すと,☖3一歩と打たれてチャンスを逃すのではないかと考えました。これも左脳の働きです。このチャンスを逃すというのは,優勢であったのが互角になってしまうという意味ではなく,優勢であるには違いないが,すぐに勝てる局面にはならないという意味だと理解してください。そこで青野は,この局面でチャンスを逃さない手,つまり早い段階で勝利に結び付ける手はないかと考え,☗6五桂という手を発見します。これは左脳による発見といえるでしょう。
 青野はこの発見により,実戦でも☗6五桂を選択します。これを青野は,右脳は☗1七桂を本筋といっているのに,左脳の誘惑に勝てなかったといういい方で表現しています。以下の指し手は☖8四飛☗3三角成☖同桂☗1六飛で第2図になります。
                                        
 左脳が☗6五桂を発見したのは,第2図のように進むと,後手の1九の成香を,代償なしに取ることができるからです。これを将棋用語で駒得というのですが,駒得を目指すのは将棋のセオリーのひとつです。ですから論理的な認識cognitioがそのような手順を発見したことは,ごく自然なことであったといえるでしょう。
 実戦は第2図から☖1四香☗8五歩☖6四飛☗2六飛☖6五飛☗2一飛成と進んで先手が勝ちました。でも青野の左脳の判断が正しかったわけではありません。
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グレートクリスティーヌとスターマイライフ&一例

2022-01-05 19:08:26 | 血統
 阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったサークルオブライフの輸入基礎繁殖牝馬は,3代母で1994年にアメリカで産まれたスターマイライフという馬です。ナイトライトミルレーサーとミルカレントと同じでファミリーナンバー22-d
                                        
 繁殖生活は日本で送りました。産駒からは活躍馬はいませんでしたが,2000年に産まれた牝馬は繁殖牝馬となり,2011年にフラワーカップを勝ったトレンドハンター,そのひとつ上の半姉で2012年にスパーキングレディーカップを勝ったスティールパスの姉妹の母になりました。サークルオブライフの祖母がその馬の4つ下の半妹にあたります。
 スターマイライフの7つ上の半姉がグレートクリスティーヌという馬。この馬は2003年にJRA賞の最優秀4歳以上牝馬に選出されたビリーヴの母になっています。
 近親からの活躍馬はさらに出ています。グレートクリスティーヌの5つ上の半姉の産駒は何頭か輸入され,1992年に産まれた牝馬の産駒に2004年にファルコンステークスを勝ったキョウワハピネス,1993年に産まれた牝馬の孫に2019年に函館記念を勝っている現役のマイスタイル,1995年に産まれた牝馬の産駒に2010年にフィリーズレビューを勝ったサウンドバリアーがいて,サウンドバリアーは繁殖牝馬となって2020年に京都金杯,京都牝馬ステークス,阪神牝馬ステークスと重賞を3勝したサウンドキアラの母になっています。
 グレートクリスティーヌとスターマイライフの母の妹の子孫にも活躍馬がいます。1996年に根岸ステークス,1997年にガーネットステークスと群馬記念を勝ったストーンステッパーです。
 1990年代の後半から一族が日本で走り始め,すぐに活躍馬が出たのを契機として,それが現在まで持続しています。輸入されている馬が多くいることもあり,この牝系は長く日本でも継続していくことになるでしょう。

 回数が増えれば増えるほど,いい換えれば経験を積めば積むほど,成功することも失敗することもそれだけ増すことになります。麻雀は1対1で勝負するものではないですから,その点でいえば失敗の方が多く増えそうですが,たとえば4人でプレイしているとして,2人が失点を回避する打ち方をすれば,その場のプレイだけでいえば事実上は1対1になりますので,成功の体験もそれなりに増していくといえるでしょう。
 それらの失敗と成功を分析したとき,あるパターンがあったとします。すると次にそうした機会を迎えたときに,そうしたパターンに準じてプレイするということが生じ得るでしょう。これはオカルトになり得ます。というのは,その分析というのが,必ずしも論理的な分析であるとは限らないからです。何度もいうように,麻雀というのは何らかの合理性に基づいてプレイすれば,必ず勝つことができるというものではありません。ですから同一の合理性に基づいてプレイしたとしても,それを個々のプレイに当て嵌めれば,成功する場合もあれば失敗する場合もあるのです。このとき,もしその合理性に基づいて考察すれば,失敗は麻雀というゲームの性質に依拠するものなのだから,止むを得ない失敗であった,あるいはスピノザの哲学により引き付けていえば,必然的な失敗であったという結論になるでしょう。これも前にいったように,麻雀のようなゲームの合理性は単一の合理性ではないので,ある合理性から別の合理性に移行するということはあり得るでしょうが,同一の合理性に基づいて分析するなら,結論は必ずそのようなものとなる筈です。したがって失敗した場合のパターンと成功した場合のパターンに分けて分析するということ自体が,実は合理性には基づかない,オカルト的な行為であるといえるのです。そして実際にそのパターンに基づいてプレイするようになったら,このプレイヤーはオカルトに依拠してプレイするプレイヤーであるということになるのです。
 これは一例ですが,麻雀というゲームにオカルト的な要素を重視するプレイヤーが生じるのには,理由がないことではないということは分かるのではないかと思います。
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ソルティビッド&両存

2021-12-07 19:07:35 | 血統
 アパパネの母は2000年にアメリカで産まれたソルティビッドという馬です。アマゾンウォリアー,ファンシミン,アンティックヴァリューなど,日本で多くの牝系が発展しているファミリーナンバー9-fの一族。
                                        
 ソルティビッドは競走馬として輸入されました。2戦目で初勝利をあげた後,オープンを勝利。2歳の暮れに重賞で2着になり,年明けにまたオープンを勝利。ただその後は勝利をあげることができませんでした。競走馬としては早熟のスピードタイプ。当時のアメリカ産の輸入馬には,こういうタイプの馬が多くいました。
 4歳の3月のレースを最後に繁殖牝馬に。2007年の産駒がアパパネです。繁殖牝馬としては,自身と違ったタイプの産駒が輩出したことになります。
 繁殖牝馬となったアパパネの産駒は現時点で4頭が競走馬としてデビューし,いずれもJRAの現役馬です。最初の産駒が4勝。2頭目の産駒も4勝し,この馬は重賞2着が2回と3着が1回。3頭目の産駒も4勝していて,重賞3着が1回と大レース4着が1回。そして4頭目の産駒が今年のクイーンカップと秋華賞を勝ったアカイトリノムスメですから,繁殖牝馬としてのアパパネもかなり優秀です。
 日本での歴史はまだ始まったばかり。アカイトリノムスメも,アクシデントさえなければゆくゆくは繁殖牝馬となる筈ですから,さらに活躍馬が出てくるという可能性を大いに秘めた牝系だといえそうです。

 麻雀におけるオカルトの発生を,哲学的な観点から一例だけ説明しておきましょう。
 まず基本的な前提として,第二種の認識cognitio secundi generisで認識するcognoscereことができる事柄について,第一種の認識cognitio primi generisに頼ってプレイするということが,人間にとって可能であるということをみておかなければなりません。このことは,第四部定理一から説明することができます。この定理Propositioは,第一種の認識で認識したことが有する積極的なものは,第二種の認識ないしは第三種の認識cognitio tertii generisで認識した事柄によって除去されることはないということを意味しています。このことは,人間の精神mens humanaが第一種の認識で何かを認識するということは,そのものを誤って認識する,いい換えればそのものの誤った観念idea falsaがその人間の精神のうちに発生するというのと同じ意味であり,人間の精神が第二種の認識ないしは第三種の認識で何事かを認識するということは,その人間の精神がそのものを真に認識する,いい換えるなら,その人間の精神のうちにそのものの真の観念idea veraが生じるという意味であるということから明白です。したがって,あるプレイヤーが麻雀を打っているとき,自身の打ち方がオカルトに即してどのようになるのかということを認識しているとき,その認識は,そのときにデジタルに即した場合にどう打つのかという認識によっては除去されません。これは,僕がオカルトのプレイヤーはデジタルな打ち方ができないプレイヤーなのではなく,デジタルな打ち方にオカルトの要素をわざわざ上乗せして打つプレイヤーであるということとも関連しています。オカルト的要素を含む認識は,デジタルな認識によっては除去されないのですから,同じプレイヤーのうちに,デジタルな要素とオカルトの要素が両存するということも,この定理から明らかになっているからです。
 もう一点,この定理で除去されないのが,単に誤った観念といわれているのではなく,誤った観念が有する積極的なものといわれている点にも注意が必要です。これは僕がこのブログで虚偽の積極性といっているものであって,人間の精神のうちにある誤った観念あるいは同じことですが混乱した観念idea inadaequataのうちにも,積極的なものが含まれているのです。
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