スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ドバイワールドカップデー&第二部定理四八

2017-03-26 19:15:01 | 海外競馬
 日本時間で昨日の深夜から今日の未明にかけて開催されたドバイワールドカップデー。今年は6つのレースに10頭の日本馬が出走しました。
 ゴドルフィンマイルGⅡダート1600m。カフジテイクはほかの馬より少し遅れ気味の発馬。道中は後方2番手から。直線は外から伸びて勝ち馬から約6馬身半差の5着。自身が得意とする競馬に徹してのもの。自らレースを作っていけないのは弱みですが,この馬の特性から考えればかなり健闘したといっていい内容だったと思います。
 UAEダービーGⅡダート1900m。発走後はアディラートがハナでエピカリスが2番手。しかしエピカリスの方が内枠からの発走だったためコーナーワークでエピカリスの逃げになりアディラートが2番手からの競馬に。3コーナー付近で外から1頭が上昇してくるとアディラートは一杯になり勝ち馬からおよそ17馬身半差の12着。直線は逃げたエピカリスと上昇してきた馬とのマッチレース。直線で相手が外によれるところがあり,瞬間的にまた差が開いたのですが,その後でまた立て直されると伸びてきて,ハナ差だけ差されてエピカリスは2着。とはいえエピカリスは世界的にも相当な能力があるということは明らかにできたと思います。アディラートは現時点では能力が足りなかったといったところでしょう。
 ドバイゴールデンシャヒーンGⅠダート1200m。ディオスコリダーは伸び上がるような発馬。短距離戦でしたがすべての馬が集団を構成するレースの最後尾。直線でも離されていき勝ち馬からおよそ10馬身ほどの11着。この馬の場合は勝ち負けというよりレースにどこまで参加できるかが焦点と思っていました。その意味では発馬で不利があったのは残念でした。
 ドバイターフGⅠ芝1800m。ヴィブロスは発走後の直線で内に入れ中団に。ずっと内でじっとしていたので直線に入ったところでは後方3番手。そこから徐々に外に持ち出されて進路が開くと末脚を発揮。競り合っていた2頭を外からまとめて差し切って優勝。
 優勝したヴィブロス秋華賞以来の大レース2勝目。芝の中長距離の日本馬はレベルが高いのですが,この馬の場合は秋華賞以降は休養し,中山記念に出走して5着だったので,古馬の牡馬を相手に力量が通用するだけの裏付けはまだなかったので半信半疑の面がありました。ここは好騎乗に助けられた面もありますし,メンバーのレベルもそこまで高くなかったとはいえますが,通用するということは明白になったと思います。今後も相応の活躍が期待できるのではないでしょうか。父はディープインパクト。祖母がハルーワソング。全姉に2013年2014年にヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナ。半兄に昨年の阪神大賞典とアルゼンチン共和国杯を勝っている現役のシュヴァルグラン。Vivlosはギリシアの地名。
 日本馬による海外の大レース制覇は昨年の香港カップ以来。ドバイでは昨年のドバイターフ以来。騎乗した香港のジョアン・モレイラ騎手は昨年の香港ヴァーズ以来の日本馬に騎乗しての大レース制覇。管理している友道康夫調教師は秋華賞以来の大レース制覇。昨年のニエユ賞以来の海外重賞2勝目。
 ドバイシーマクラシックGⅠ芝2410m。サウンズオブアースはやや抑え気味の発馬。道中は外目の4番手を追走。超スローペースの瞬発力勝負になりましたが目立った伸び脚がなく勝ち馬から約10馬身差の6着。この馬は日本でもあまり安定して能力を発揮できていませんが,力を十分に出せばここまで負ける馬ではありません。チャンスもあると考えていただけにやや残念な結果になってしまいました。
 ドバイワールドカップGⅠダート2000m。アウォーディーは5番手の内。アポロケンタッキーはその後ろ。ゴールドドリームは最初は後ろよりでしたが徐々に外を追い上げアウォーディーの外。ラニは押しても押してもついていかれず馬群から離れた後方。このレースは現役世界最強と目される1頭が発走直後に両隣の馬に挟まれて後方から。その馬が3コーナー付近から進出していき,ここでアポロケンタッキーとゴールドドリームは手応えを失いました。アポロケンタッキーが勝ち馬から約20馬身半差の9着でゴールドドリームは約60馬身差の最下位。この2頭は世界を相手にこの距離のダートで戦うだけの力量に不足していたということでしょう。アウォーディーは直線で1頭分だけ外に出され,優勝争いには参加できませんでしたが外で並んでいた馬との競り合いは制して10馬身半差の5着。世界最強クラスとはさすがに能力差がありますが,まずまずの結果だったと思います。距離がもう少し長い方がより戦えるのではないでしょうか。ラニはずっと追われ通しでしたが最後まで諦めることはなく約15馬身半差の8着まで追い上げました。スピード不足は相変わらずですが,ついていかれるようになればある程度は通用するようになると思えるレースでした。

 人間の精神mens humanaが理性ratioを行使すれば,必然的にnecessarioその精神のうちに何らかの観念ideaが発生することになります。このことは哲学的伝統あるいは現代でも主流の認識論と,スピノザの哲学との間でも一致します。そこでこれを統一的な規準として考察を開始します。
 もし人間が意志することによって理性を行使できるのであれば,その分だけ意志voluntasは観念より広きにわたることができます。意志が観念の原因causaとなっているのですからこれは明らかでしょう。なおかつ,この場合には人間が何を意志し,何を意志しないのかということを選択することも可能であるということが実際には前提されているので,人間は何を認識し何を認識しないのかということ,他面からいえばどんな観念を形成しどんな観念を形成しないのかということも,意志によって決定し得ることになります。僕はここではこのような意味での意志を,観念を超越するという意味において,超越的な意志といいます。
 スピノザは意志という思惟の様態cogitandi modiが存在するということは認めますが,この種の超越的意志は認めません。そしてこの超越的意志は,いわゆる自由意志voluntas liberaというものですから,スピノザは自由意志を認めないというのとこれは同じです。このことは第二部定理四八に示されています。
                                     
 「精神の中には絶対的な意志,すなわち自由な意志は存しない。むしろ精神はこのことまたはかのことを意志するように原因によって決定され,この原因も同様に他の原因によって決定され,さらにこの後者もまた他の原因によって決定され,このようにして無限に進む」。
 この定理Propositioは,人間の精神の中に自由な意志が存在しないことを示そうとしています。しかし絶対的な意志,すなわち自由意志が存在しないということは,その主体subjectumを人間と規定しても神Deusと規定しても同じことです。つまりスピノザは,無限知性intellectus infinitusは思惟Cogitatioの無限様態modus infinitusであって神の絶対的本性ではないと主張するのと同じように,意志もまた思惟の様態であって,神の絶対的本性には属さないと考えるのです。このことは第一部定理三二で,意志が強制された原因といわれることから明白ですが,第一部定理三二系一からなお明瞭だといえるでしょう。
コメント
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