スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイグッドネス&愛の場合

2021-06-15 19:15:31 | 血統
 6日の安田記念を勝ったダノンキングリーの母は,2005年にアメリカで産まれたマイグッドネスという馬で,この馬の基礎輸入繁殖牝馬になります。11代母がアマゾンウォリアーの7代母,またファンシミンの6代母にあたる,日本で多くの活躍馬が出ているファミリーナンバーである,9-fの分枝です。
                                        
 マイグッドネスはアメリカで繁殖生活に入り,最初に産まれた産駒が競走馬として輸入されました。この馬がダノンレジェンド。2014年のカペラステークスで初重賞制覇を達成すると,2015年には黒船賞,東京スプリント,クラスターカップ,東京盃と重賞を4勝。さらに2016年には黒船賞,北海道スプリントカップ,クラスターカップと重賞を3勝した後,JBCスプリントで大レースも制覇して競走生活を終えました。
 翌年にアメリカで産駒を産んだ後,輸入されました。2012年に日本で産まれた最初の産駒はオープンを勝っています。
 2016年に産まれたのがダノンキングリー。2019年に共同通信杯を勝って春のクラシックで善戦。秋に毎日王冠を勝つと,翌年の春には中山記念も制覇。そして今年に入り,ついに安田記念で大レースを制覇しました。
 産駒に牡馬が多いので,一族が繁栄していかれるかは微妙な面があります。とはいえ産駒のうち2頭が大レースを勝っているわけですから,子孫だけでなく,近親にも注目の一族とはいえるでしょう。

 今の考察とは無関係ですが,愛amorの場合も具体的に示しておきましょう。
 ある人Aがいて,このAが別の人,Bに何か親切なことをされたと仮定します。それが思いもよらぬこと,いい換えればBがAに親切にする原因causaがA自身のうちにあるとAが認識していない限りにおいて,AはBを愛するようになります。このことは第三部定理四一の様式でAのうちに生じます。このときAは,Bの自分に対する親切を,Bの自分に対する愛,無償の愛というような語で表現されるような愛と認識するcognoscereのです。そしてその愛に対して,AもまたBのことを愛するようになります。
 しかし後に,BのAに対する親切が,別のある原因と連結したり結合したりするときには,AのBに対する愛が消滅したり減少したりするということが生じます。ここでは分かりやすく,Bはある何らかの下心をもってAに対して親切なことをなしたのだと,Aが認識するようになったと仮定してみましょう。この場合,AのBに対する愛は,Bの下心という観念ideaと連結あるいは結合することになるため,AのBに対する愛は消滅したり,あるいは消滅まではしないとしても,その表象像imagoと結合する以前に感じていた愛より,その強さが弱まるのです。このようなことが実際に起こることは,経験的に多くの人が知っているところだと思います。そしてこの場合には,憎しみodiumで説明した例のように,あるものに対する憎しみが別のものに対する憎しみに変ずるのに対し,あるものに対する愛が別のものに対する愛に変ずるわけではなく,愛そのものが消滅するか減少するかすることになります。もちろん憎しみの場合にもそのような変化が生じるということはありますし,逆に愛の場合にも,あるものに対する愛が,別の原因と結合あるいは連結することによって,別のものの愛に変じるという場合もあります。
 これで第三部定理四八は,憎しみだけでなく愛にも適用されるということについては説明することができました。なので本来の考察の方に戻ります。すでに明らかにしたように,志村けんさんが亡くなったことによる悲しみtristitiaは,志村さんへの憎しみとはならず,新型コロナウイルスへの憎しみとなります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする