スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

アマゾンウォリアー&第四部定理五〇まとめ⑦

2008-02-08 19:56:13 | 血統
 川崎記念で大レース制覇を達成したフィールドルージュ。すでに記事にしたように,この馬の曾祖母はメジロラモーヌですが,今日はこの馬の牝系をもう少し遡って紹介することにします。
     
 日本での祖となっているのは1960年にアメリカで産まれたアマゾンウォリアーファミリーナンバー9-fで,これはファンシミンと同じ。1966年には日本で産駒を出していますので,すでに日本で40年以上の歴史をもつ牝系ということになります。
 アマゾンウォリアーの直仔には,種牡馬として大レース2勝のメジロパーマーを出したメジロイーグルがいますが,メジロイーグル自身は大レースの勝ち馬ではありませんので,この一族で初の大レースの勝ち馬が,アマゾンウォリアーの孫にあたるメジロラモーヌ。そしてフィールドルージュは2頭目になります。
 一族の名前にメジロ○○という馬が多いことから分かるように,アマゾンウォリアーはメジロ牧場の輸入馬。メジロ牧場というのは牝系を大事にし,また生産した馬を売らずに自分で走らせますので,産まれた牝馬が牧場に戻ってくる確率が非常に高いため,牝系が大きく発展する傾向があります。メジロ牧場にはそうした牝系がいくつかあるのですが,このアマゾンウォリアー一族もそのひとつ。メジロ牧場によって発展し,またメジロ牧場を支えてきた牝系であるといえるのではないかと思います。

 明日は朝日杯将棋オープンの準決勝と決勝。午前中に準決勝が二局指され,その勝者が午後に決勝を指します。準決勝の組合せはひとつが羽生善治二冠と丸山忠久九段,もうひとつが行方尚史八段と阿久津主税六段。ここでは決勝の将棋を取り上げます。

 第四部定理五〇はこれで証明されました。しかし今回は感情論も対象としていましたので,これについてもまとめておきます。
 まずスピノザは人間の感情affectusを基本感情affectus primariiとしての欲望cupiditas,喜びlaetitia,悲しみtristitiaの三種に分類し,すべての感情はこれらの感情の一種か合成であると考えます。
 次にスピノザは第三部定理五六により,感情の種類というのは本来は無数にあると考えます。しかしもしもある感情をひとつの感情として考えるならば,この感情の性質は量的なものであり質的なものではありません。すなわちある感情とそれと同じ別の感情の比較は,対象の相違といった質的な面からはすることができず,ただ基本感情の大きさという量によってのみ比較されることが可能になります。
 そしてスピノザは,第四部定理四により,人間が受動感情から逃れることはできないと考えます。これは,人間が理性ratioによって感情を完全に統御できるということを否定するnegareという意味合いがあります。これはたとえばデカルトRené Descartesの哲学と比較の上で,道徳的あるいは倫理的に大きな差異をもたらす考え方だといえるでしょう。
 さらにこの受動感情の相違が,個々の人間の本性natura humanaという考え方にも影響を及ぼします。すなわち受動感情に導かれる場合の人間は,第四部定理三二にあるようにその本性は一致しません。そしてその差異は,第三部定理五七に示されるように,各々の人間が受動するaffici感情の差異に一致しているのです。
 最後にスピノザは,第四部定理八により,善悪を諸個人が感じるそうした喜びと悲しみの認識cognitioと同一視します。よって人間にとっての善悪は普遍的概念ではないということ,そして人間による善bonumの希求と悪の忌避は,善であるものを希求し悪malumであるものを忌避するのではなく,自らが希求するものを善とみなし,忌避するものを悪とみなすという考え方が出てきます。このとき,善の希求と悪の忌避は,まさに基本感情としての欲望ですので,これも実は善悪論であるとともに感情論なのです。
 これでこのテーマは終りです。明日からはまた別のテーマを設定します。
コメント
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