スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。
25日に指された第96期棋聖戦挑戦者決定戦。対戦成績は永瀬拓矢九段が2勝,杉本和陽五段が0勝。
振駒で杉本五段の先手となりノーマル三間飛車。後手の永瀬九段の居飛車穴熊に杉本五段も穴熊に囲っての相穴熊戦。この将棋はうっかりだったとは思えないのですが,中盤で後手が駒得となり,大きなリードを奪いました。

先手の徹底抗戦に後手がややてこずりつつ迎えた局面。ここは☖1五歩と突く手が有力で,それなら後手が勝っていたものと思われます。
実戦は☖6六角と打ちました。対して☗5七歩と受けたのですが,これを後手は見落としていたようです。
先手の狙いは☖同角成なら☗4三桂☖同銀☗8六角と詰めろ飛車取りをかける狙い。このとき5七に馬がいると☖5一歩と受けることができません。それでも☖同角成がベストであったのですが,時間がなかったために読み切れず☖同飛成と受けに回りました。しかしこれには☗3四歩と打つのが好手で攻守逆転。この後の後手の粘りに今度は先手が手を焼くことになりましたが,何とか最後まで押し切りました。
杉本五段が勝って挑戦権を獲得。規定により六段に昇段しました。第一局は6月3日に指される予定です。
4月5日,金曜日。退院する妹を迎えるために午前9時45分に病院に到着しました。
病院ではまず薬剤師による点眼薬の説明がありました。点眼薬は4種類ありました。短期的に使用するものと長期的に使用するものがあり,また,1日に何度の点眼をするのかということも薬剤によって異なっていました。妹は癲癇の薬は自分で用意して飲むことができますが,点眼は自分ではできません。なのでこの説明は妹に対してなされたというより,僕に対してなされたものと理解してください。4種類もあって複雑ですから,紙の資料も渡されました。グループホームに戻っても点眼は続けられることになりますから,この資料は後にグループホームの職員に渡しました。
この後で看護師による確認があり,退院となりました。ただ会計の前に眼科に行くように言われましたので,そうしました。眼科では眼科の看護師による目薬の説明があり,また目の保護の仕方の説明もありました。白内障の手術の後は目を保護する必要があります。今は花粉症を防御するためのゴーグルが100円ショップなどでも販売されていますが,そのようなゴーグルを装着します。これは入院前から指示されていたことであり,また手術後すぐに必要な措置ですから,僕は前日にこのゴーグルを担当の看護師に渡していました。つまりこの時点ですでに妹はそのゴーグルを装着していたことになります。ただ,眠るときはゴーグルは邪魔です。しかし眠っている間に目を無意識にいじってしまうということは生じ得ますので,これは防がなければなりません。なので眠るときは専用の眼帯を使用することになります。妹は眼帯の装着も自分ではできませんから,僕が装着しました。
こうした説明が終わった後で会計に向かいました。会計を済ませると領収書が自動的に発行されますが,この領収書の中に次回の予約日が印刷されているという仕組みにみなと赤十字病院ではなっています。ところがこのときは眼科の予約が入っていない状態になっていました。なので再び眼科に戻り,予約を入れてもらってから帰りました。帰宅したのは午後12時10分でした。この後しばらく,妹は家で過ごしています。
第36期女流王位戦は挑戦者決定戦を勝った西山朋佳女流三冠が体調不良で入院し手術をすることになったため,敗れた伊藤沙恵女流四段が挑戦者に繰り上がり,24日に塩田温泉で第一局が指されました。対戦成績は福間香奈女流王位が32勝,伊藤沙恵女流四段が11勝。
振駒で伊藤女流四段の先手。先手がすぐに飛車先の歩を伸ばしたので後手の福間女流王位のノーマル向飛車になり,相銀冠の持久戦になりました。

ここで後手は☖3九角と打ちましたが,これがあまりよくなかったようです。角を打つのであれば☖5九角と打つ手が優りました。
先手は☗4七飛と逃げます。☖4六歩に☗同飛と取ってくるというのが後手の読みの中心だったのではないかと推測しますが先手は☗2七飛と逃げました。
☗3八金や☗4九金と打たれる角の行き場所がありませんから後手は忙しくなっています。☖4四角と歩を取りました。そこで先手は☗3二銀。

これが好手で,早いようでももう先手の勝ち筋に入っています。
伊藤女流四段が先勝。第二局は来月13日に指される予定です。
3月30日,金曜日。グラビット点眼薬をグループホームに届けました。この点眼薬は手術の5日前から使用するものです。手術は4月4日でしたから,翌日からは使用しなければなりません。使用する前日に届けた方がいいだろうと思いましたので,前もって届けることもできましたが,この日に届けたものです。なお,妹は全身麻酔で手術をする関係で,両目を同時に手術することになっていました。したがってグラビット点眼薬も両目に使用することになっていました。
4月1日,月曜日。みなと赤十字病院の入院支援センターに行きました。妹が手術前検診を行った日にも行きましたが,入院前にもう1度来るようにいわれていました。妹はいなくてもよいとのことでしたので,この日に僕がひとりで出向いたものです。このときに入院する前と入院中のことについて,かなり具体的な説明を受けました。そして4日に手術をするわけですが,手術を受けたその日は入院して,翌日には退院するということが分かりました。
4月3日,水曜日。妹を通所施設に迎えに行きました。ところがこのとき,妹が健康保険証を持参していませんでした。明日が入院して手術ですから,これは必要です。それでグループホームに連絡を入れてもらったのですが,保険証は僕が持っているのではないかと指摘されました。実際はそうではなかったのですが,グループホームの担当者がそう錯覚したのにはある事情がありました。
僕が妹をグループホームに送ったのは3月11日です。この日は手術前検診で,時間が遅くなりすぎたので病院からタクシーを利用しました。妹が保険証を持ち帰っている場合は,僕は必ず送るときに返却します。このときもそうでした。ただこの日はグラビット点眼薬の処方箋が出ていて,これは薬局に提出しないうちにグループホームに行ったので,おくすり手帳は僕が持っている必要があり,返却せずにそのまま持ち帰ったのです。グループホームの担当者は,このときにおくすり手帳だけでなく,保険証も僕が持ち帰ったと勘違いしていたということです。いずれにしても保険証は必要ですから,この日はグループホームに寄り,それを受け取ってから帰宅しました。
19日に片山津温泉で指された第10期叡王戦五番勝負第二局。
斎藤慎太郎八段の先手で相掛り。どうも後手の伊藤匠叡王の研究の方が上回っていると思えるような進展でした。

この局面で先手は本当は☗6五歩と打ちたかったようです。しかしそれは☖5四桂という手があって断念。この☖5四桂を先手が難敵とみたことが勝敗に影響しました。
☗7七桂と打って☖8一飛。
そこで☗8四歩と打ったのですがやはり☖5四桂が生じて後手が局面をリードすることになりました。
ここでは☗5七金と受ける手があったようです。後手は☖5四桂を打つことができるのですが,先手は飛車を引かせたので☗6五銀と上がることができます。これはむしろ先手が有利なので後手は☖8六歩☗8八歩☖3五歩と攻めることになるのですが,これはまだ難しい局面でした。
伊藤叡王が勝って1勝1敗。第三局は来月4日に指される予定です。
この日は僕の前の患者の診察が順調に終わったようで,予約時間である午後3時半に僕の診察が開始されました。
HbA1cは7.3%で,2月の通院のときと比べると大幅に下がっていました。これは3月になって暖かい日が多くなってきたことの影響であったと思われます。血糖値の平均も下がっていました。ただ低血糖の発症は,2月のときは0.9%にすぎなかったものが,今回は2.4%と上昇していました。HbA1cの下降が急激だったこともあり,注射するインスリン製剤の量については,思い切った変更が加えられました。まず,持続効果型のインスリン製剤であるトレシーバに関しては,0.11㎎の注射をしていたのを,0.1㎎に減らすことになりました。次に,超即効型のインスリン製剤のヒューマログについては,朝食前の注射量を0.06㎎から0.05㎎に減少し,さらに夕食前の注射量も0.09㎎から0.08㎎に減少することになりました。僕の血糖値は,0.01㎎単位の変更で変動するということが過去の経験から分かっていました。今回は一度に0.03㎎も減少させるわけですから,これでは高血糖が多くなってしまうのではないかという不安がなかったわけではありません。とはいえ僕は月に1回は通院しているわけですから,高すぎる血糖値が頻出するようであればまたそのときに調整をすればよいだけのことです。高血糖というのは長期的にみた場合に身体に対して悪影響を及ぼしますが,低血糖はすでにその時点で身体に負荷をかけてしまいますから,どちらかをなくすのであれば副作用である低血糖を減らす方がよいのです。なのでここでは医師の指示に従い,これまでにはなかったような大幅な変更を実施することにしました。
この日はこれ以外には異常が出ていませんでした。僕はアルブミンの値に関して下限値を下回るという異常が出ることが多いこともあり,一切の異常がなかったというケースは前年の8月以来のことになります。
この日はおくすり手帳を持参するのを忘れてしまったのですが,問題なく薬局でインスリンも注射針も受け取ることができました。帰宅したのは午後4時55分でした。
15日に指された第18期マイナビ女子オープン五番勝負第二局。
西山朋佳女王の先手で三間飛車。なかなか態度を表さなかった後手の福間香奈女流五冠ですが,26手目に三間飛車に振っての相振飛車となりました。この将棋は後手が居玉のうちに先手から仕掛ければよかったと思うのですが,見送って駒組に進めたため,先手の作戦失敗のような将棋になりました。

後手が端から攻めていったところ。ここで☗4七銀と引いたのですが,これはたぶんあまりよくなく,☗4五歩と突くべきであったと思われます。
☖1五香☗1七歩☖2六歩☗同歩と受けに回って☖2五歩の継ぎ歩。そこで先手は☗6六角と上がりました。後手が☖2六歩と取り込むのは当然。

ここで☗7五歩と突いて角を交換する順に進めたのが先手の決定的なミス。あとは一方的にパンチを食らう展開になりました。ここは単に☗8八飛と回っておけば,まだどこかでチャンスが回ってくることもあり得たのではないでしょうか。
福間女流五冠が勝って1勝1敗。第三局は来月18日に指される予定です。
これまでは自動的に契約が更新されていたのですが,昨年度から自動更新されず,単年度の更新になったのは,施設側の事情でした。
グループホームに関しては前にもいったことがありますが,もしも利用者が365日をグループホームで過ごせば,この365日というのは24時間という意味ではなく,1日のうちに何時間かグループホームに滞在すればという意味ですが,この場合はグループホームは安定的に経営できます。1日のうちにいくらかでもグループホームに滞在していれば,補助金が出る仕組みになっているからです。ただこれは必ず安定的に経営できるという意味であり,たとえば夏休みと年末年始などに何日間か不在になっても,それほど大きな影響が出るわけではありません。ただ毎週末に帰宅し,グループホームに滞在しない日が増えてくると,経営は厳しくなっています。僕自身の意見として前にもいったように,これは福祉政策の制度設計の方に問題があるのですが,現にそうなっているのですから,グループホームが経営を安定させるために利用者側に注文をつけざるを得なくなっているわけです。
これと同じように,通所施設に支給される補助金も,実際に利用者が利用しているかいないかによって変動します。とくに通所施設の場合は,施設に滞在している時間によって支給金額が変動するように制度が変更されました。なので,施設側としてはとくに理由もなく休まれてしまえば困りますし,制度が変更されましたから,たびたび遅刻するというようなことがあっても経営に支障を来すようになったのです。通所施設だけを利用しているという場合は送迎が必要なので,たとえば雨の日は送迎が大変だという保護者もいるでしょうし,利用者本人が外出を渋るというような場合もあるでしょう。しかしあまりにそれが頻発すると,経営状況が悪化しますから,そのような利用者に対して契約を更新しないという選択が施設側に付与されるためには,契約が自動更新されるよりも,単年度ごとに更新した方がよいということになったわけです。今回は単年度更新の最初の年度に該当しましたから,全利用者の保護者が面会で更新することになりました。
11日に指された第51期女流名人戦五番勝負第五局。
報知新聞の社長による振駒で福間香奈女流名人の先手。後手の西山朋佳女流三冠の三間飛車に先手の中飛車という相振飛車に。

この将棋はここで☖6三金と上がったのですが,これが一手パスのような手で☗7三歩☖同桂☗9五香となって後手が苦戦を招きました。
感想戦によるとここで後手は☖1二飛という手を考えていたようです。たぶんここはそういう攻めを目指す手を指した方がよく,☖1三桂とか☖3三桂といった手が候補にならなければいけなかったのではないでしょうか。
福間女流名人が勝って3勝2敗で防衛。第36期,37期,38期,39期,40期,41期,42期,43期,44期,45期,46期,47期,50期に続く連覇で14期目の女流名人です。
これでやらなけれならないことは終わりましたので,会計に向かいましたが,会計の方で採尿をするようにという指示が出ました。なので一旦は中央検査室に戻ったのですが,そこの受付で眼科で確認を取るように言われました。なので今度は眼科に向かうと,妹がひとりでは採尿ができないのであれば,介助すると看護師が申し出てくれましたので,そのように依頼をしました。しかしこのときは妹は尿意を感じていなかったらしく,尿がほとんど出なかった,というのは検査に必要な量が出なかったという意味ですが,それで採尿はできませんでした。医師の方に採尿の検査は取消にしてもらい,そのまま会計を済ませました。この時点ですでに午後4時半になっていました。グループホームの夕食は早く,午後5時半です。バスでグループホームに向かってはその時間には間に合いません。なのでこの日はタクシーを利用し,妹をグループホームに送りました。
これは前にもいったことがあるかもしれませんが,僕はタクシーを利用するということはほとんどありません。2021年11月に新しいパソコンを家電量販店で買った後,ゲリラ豪雨といっていいような大雨が降ったので,仕方なく帰りはタクシーを利用しました。僕がタクシーを使ったのはそれ以来です。したがっておよそ2年半ぶりにタクシーに乗車したことになります。なお,これは妹がグループホームの夕食に間に合うようにするためのことでしたから,妹を送った後は僕はタクシーは使っていません。僕が帰宅したのは午後6時半でした。
3月12日,月曜日。1日に三者面談を行ったとき,妹の通所施設の担当者から契約の日時を伝えられたのですが,それがこの日でした。これは午前10時からでした。僕は妹の送迎にはバスを利用しています。通所施設に送る場合は朝になりますが,この場合は利用できるバスの関係で,午前10時を少し過ぎたくらいで通所施設に到着するのが常でした。バス停を降りてから通所施設までは距離があり,妹と一緒に歩くのと僕がひとりで歩くのとでは要する時間が異なります。当然ながら僕ひとりの方が早いです。それでも午前10時の到着は難しいので,この日は電車を利用しました。
8日に鶴巻温泉で指された第18期マイナビ女子オープン五番勝負第一局。対戦成績は西山朋佳女王が38勝,福間香奈女流五冠が45勝。今季から女流の公式戦の結果のみを表示することにします。
マイナビの社長による振駒で福間女流五冠の先手。後手の西山女王が四間飛車から三間飛車に振り直したところで先手が9筋から仕掛け,9筋に飛車を回るという類例のない相振飛車になりました。中盤で後手に誤算が続いたため,先手が圧倒的に優勢のまま終盤戦に。

ここで☗3四桂と飛車を取ったのですがこれが失着。☖7一香と受けられていっぺんに難しくなりました。ここは☗8六銀と角の方を取る一手でした。
先手は☗9二飛という攻めに期待したのかもしれませんが☖5二王☗7一成香☖4三王と逃げ出されて後手玉は容易には寄りません。仕方がないので☗8六龍と角を取りましたが後手は待望の☖5七角成。

どうも先手はもう諦めていたようで,☗6八金と上がったので☖7八銀と打たれてすぐに後手の勝ちになりました。ただこの局面は☗5八金左とこちらに上がる手があった筈で,これは先手玉が簡単には寄らなかったのではないかと思います。
西山女王が先勝。第二局は昨日すでに指されています。
午後は内分泌科の通院でした。病院に到着したのは午後2時10分。1月の通院のときにいったように,この日は診察が午後2時30分の予約でしたから,一応はいつもよりやや早めに病院に到着するようにしました。
中央検査室に向かったところ,8人の患者が採血を待っていました。なので先に採尿を済ませましたこの日は使用済みの注射針は持参していませんでしたから,その処理はしていません。
診察が開始となったのは午後3時20分でした。中央検査室で待機していた患者数の関係で,僕は診察の予約時間には内分泌科の受付を済ませることはできませんでしたし,それができたとしても検査の結果が出るまでには一定の時間を要しますから,これくらいの時間になってしまったのは不自然なことではありません。遅れても構わないと言われていましたので,早く到着したものの,気分はいつも通りの午後3時の予約でしたから,この時間の開始なら僕にも問題はありませんでした。
HbA1cは7.8%と,まだ高い水準にはあるものの1月よりは低下していました。HbA1cがどんなに高くても,僕は低血糖の症状が出ないということは少ないのですが,その低血糖の発症回数は減っていました。低血糖が減ってHbA1cが下がるのは,通常の血糖値の平均値が下がっている証拠ですから,これ以上ないよい傾向です。ですから注射するインスリンの量の変更はしませんでした。
ほかに異常が出ていたのはふたつ。ひとつはアルブミンで下限値の4.1g/㎗を下回る4.0g/㎗でした。これは僕には常ともいえるような異常となっていて,1月に比べれば数値は改善されています。もうひとつは尿酸で,これが下限値の3.7㎎/㎗を下回る3.5㎎/㎗でした。これは僕には初めて出た異常でした。尿酸というのは痛風の指標となる数値として有名かと思いますが,それは上限値をオーバーしている場合が問題視されます。上限値というのは7.0㎎/㎗となっています。僕の尿酸は最も高いときで5.9㎎/㎗で,4.0㎎/㎗を下回っていることも何度かありました。なので平均的にみれば元々が低い傾向だったといえるのかもしれません。
4日に指された第51期女流名人戦五番勝負第四局。
福間香奈女流名人の先手で後手の西山朋佳女流三冠の三間飛車。先手の向飛車の相振飛車。金無双の後手が美濃囲いの先手に対して先攻する将棋になりました。

直線に角と銀の交換となり,先手の駒得となった局面。ここで☗2二角と打って攻め合いを目指しましたが,これが大局を誤った一手だったようです。
後手は手厚く☖3五銀と打ちました。手順からは☗1一角成としたいところですが☖3六歩~☖2五桂が厳しいとみて断念。☗4七金と受けました。
後手は☖2五桂と攻めを継続。先手は☗2六銀☖同銀☗同歩で銀を交換して受けましたが☖1六歩。☗2五歩で一時的に先手の駒得は拡大したものの☖1七歩成。

これで先手が狙いをつけた1一の香車が端攻めに加わることになり,玉が不安定な先手が著しく形勢を損ねました。上図は攻め合うのではなく,駒得を生かして先に☗4七金と受けておき,長い将棋に持ち込むべきだったことになります。
西山女流三冠が勝って2勝2敗。第五局は11日に指されました。
これらすべてが終わったのは午後12時20分でした。この時間になっていましたので,妹と院内の食堂で昼食を摂った後,グループホームに妹を送りました。15日に三者面談をする予定であったところ,1階の方で新型コロナウイルスのクラスターが発生していたため中止になってしまったのですが,2階もその影響で通所施設には出勤せず,グループホームに待機していました。この日もその待機が継続していたので,通所施設ではなくグループホームに送ったものです。僕の家からだとみなと赤十字病院と通所施設およびグループホームは見当違いの方向で,位置的には僕の家が中間にあるという形です。妹を送った僕が帰宅したのは午後3時55分でした。
2月22日,木曜日。三者面談が中止になってしまったので,改めて行われることになりました。その希望日を打診する書類が送付されてきました。
2月23日,金曜日。前日に郵送されていた書類に希望日を記入して送付しました。
2月25日,日曜日。総講でお寺に行きました。
2月26日,月曜日。午前9時25分に薬局から電話がありました。この日が内分泌科の通院でした。僕は薬局で処方箋を渡す際には,次の通院がいつであるのかということを伝えるようにしています。インスリンも注射針もそれほど多くの患者が利用する薬剤ではありませんから,薬局に在庫があるということはほぼありません。事前に伝えておくことで入庫しておいてもらい,当日に受取ることができるようにするためです。これは薬局が変わる以前から,つまり以前の薬局で処方してもらっていたときからしていたことです。それでも足りなくなることがあるのは,処方が通常より多くなることがあるからで,たとえばインスリンが1本もないというような事態は生じません。この時の電話の内容は,僕が処方されている超即効型のインスリンであるヒューマログミリオペンの出荷が調整されているために,入荷することができないという主旨のものでした。インスリンは入手できなければ困りますので,ほかの薬局で探さなければならなくなったということです。ただ10時25分にまた電話があり,明日なら入荷が可能になったとのことでした。
名古屋で指された昨日の第10期叡王戦五番勝負第一局。対戦成績は伊藤匠叡王が1勝,斎藤慎太郎八段が0勝。
不二家の社長による振駒で伊藤叡王の先手。相掛りで後手の斎藤八段が高飛車に構えて1筋から仕掛ける将棋。双方が1分将棋になるまで均衡が保たれました。

ここで先手が☗1五香と打ったことで均衡が崩れ始めました。
飛車交換は先手に分があるので後手は☖同角と取り☗同歩に☖同飛。飛車を成り込まれては不利になる先手は☗1七香と飛車取りにしながら受けました。これには☖1六歩。飛車の成り込みは遠ざかったのでここで先手は☗2六飛と逃げました。しかし☖4七桂成☗同金に☖7七香。

これが厳しく後手が有利になりました。局後の話から類推すると,上図の直前で先手は失敗したと思っていたので勝負に出たようです。しかし勝負したことによって悪くなってしまうという結果になったようです。
斎藤八段が先勝。第二局は19日に指される予定です。
僕が想定していたよりも長く下水管が配置されていたわけで,その下水管のすべてを交換しなければならなくなったのですから,それだけ時間を要することになりました。
さらにトイレそのものにも問題がありました。この時点でトイレから通じていた配水管が,業者では用意できないものでした。このためにトイレそのものを新しいものと交換する必要が生じたのです。そしてその新しいトイレに配水管を取り付けて第一のマスに流し込まなければなりませんでしたから,このトイレの交換のためには,トイレ部分の床を外して工事をする必要がありました。これでまた時間が必要になりました。
そして最後に,これはトイレ部分の工事をするときに判明したことですが,僕の家の基礎部分はやや特殊になっていました。基礎部分はコンクリートだったのですが,それが一般的な場合と比べてやや厚くなっていたのです。一方で,この基礎部分は完成してから50年近くの年月が経過していましたので,脆くなっていました。要するにコンクリートの中に気泡ができていたということです。そのコンクリート部分が分厚いということは,気泡もそれだけ多くなっていたということであり,基礎部分をいくらか補強する必要が生じました。これも工事に時間が必要になる要因でした。
これらの要因が重複したのですが,工事の中で何が大変だったかというと,下水管は地上を流れているわけではなく,地中を流れているのですから,交換するためには掘り返さなければなりません。僕の家をコの字型に囲むように下水管が流れているのですから,それをすべて掘り返せば大量の土砂が出ます。それだけでなく,トイレ部分の工事をするためには場所の確保も必須で,その部分の土も取り除く必要がありました。したがってかなりの量の土砂が出ることになるのですが,この土砂が,僕の家の敷地内には置いておくことができないくらいの量だったのです。したがってまず掘り返したら土砂を外に持ち出さなければなりません。よってまずその作業をしなければなりませんでしたので,下水管を交換して傾きを調整する実際の工事の前に,土砂の搬出という作業をしなければならなかったのです。
3月30日に野田市市民会館で指された第51期女流名人戦五番勝負第三局。
西山朋佳女流三冠の先手で三間飛車。福間香奈女流名人が向飛車の相振飛車。この将棋は先手が序盤で形を決めすぎたのですが,2筋の折衝では先手が得をした感があり,いい勝負で終盤まで進みました。

勝敗を分けたのはこの局面。ここは☖7一角か☖3三角と逃げておくのがよかったようで,これは後手有利でした。
後手は攻め合いで勝てるとみて☖5六歩と飛車を取りました。これには☗4四歩と角を取る一手。☖同飛が王手で先手は☗4六歩。この局面が後手にとって最後のチャンスで,☖7三桂と跳ねれば優位を保てていたらしいのですが,☖5四飛と寄りました。先手は☗3六角。

後手はこの手を見落としていたというわけではなく,これでも☖4九飛から勝てるとみていたようなのですが,その後の展開で王手龍取りをかけられる変化に誤算が含まれていました。下図は先手の勝勢になっています。
西山女流三冠が勝って1勝2敗。第四局は4日に指される予定です。
実際に薬局での処方が困難になるのかどうかはこの時点では分かりませんでした。むしろ急に違った注射針を処方されてしまう方が混乱を来しかねないと思われましたので,この日は従来のマイクロファインプラスの方を処方してもらいました。このときに説明を受けたのは,移行しているマイクロファインプロという注射針は,マイクロファインプラスよりも針が細くなるということでした。
自己管理ノートが12月で終わりでしたので,新しいものをもらいました。
帰途に薬局に寄ったのですが,注射針はおろかインスリンも在庫がありませんでした。なのでこの日は支払いだけを済ませて帰りました。帰宅したのは午後4時55分でした。
12月19日,火曜日。前日に受け取ることができなかったインスリンと注射針を薬局に受取りにいきました。薬局には自宅の住所は伝えてあるので,郵送してもらおうと思えばできます。ただ僕は注射針に関しては郵送してもらうことにしていますが,インスリンについては郵送してもらうことはせず,自ら薬局に取りにいくことにしています。これはインスリンは劇薬だという認識が僕にはあるからです。以前の薬局は薬剤師が自宅にそのまま配達してくれていましたから,インスリンも僕が薬剤師から受け取ることができましたので,自分で取りにいくということはしていませんでしたが,薬局が変わりましたので,それはできなくなりました。
12月22日,金曜日。信用金庫に出向いて本人確認をしました。これはそれが必要であるという旨のはがきが届いていたからです。この信用金庫の僕の口座は,その支店の場所からすると,おそらく僕が中学生か高校生のときに母が僕のために作ったもので,僕は手続きもしていませんし,口座を使うこともありませんでした。通帳だけはあったのですが,カードもなかったのです。ちょうどよい機会でしたので,ついでにカードも作って帰りました。普通預金口座と定期預金の口座,それから貯蓄預金の3つの口座がありました。このうち貯蓄預金の口座は使い勝手が悪かったので,現在は解約しています。それについてはまた時系列で説明することにします。
倉敷市芸文館で指された昨日の第32期倉敷藤花戦三番勝負第二局。
伊藤沙恵女流四段の先手で福間香奈倉敷藤花のノーマル向飛車に先手の銀冠。この将棋は後手の序盤の構想が悪かったために不利になり,そこから盛り返していくという進展になりました。

局後の話だとここでは先手はもう諦めていたようです。ただここから☗9三歩成☖同王☗8七玉と指したのは意外でした。これは☖9四歩と打たれてノーチャンスになるように思えるからです。
ここで☗7五金と角を取れば後手は☖8六銀と飛車を取ってくるでしょう。これは王手なので☗同玉の一手。そこで☖7五歩と金を取られて駒損ですがそれでも☖同王とは取られない形で☗9三歩成とできるので,実戦の進行よりはチャンスが残ったように思えます。それで勝てるというわけではないかもしれませんが,少しでも勝負になりそうな順を選ぶということも大事かと思います。
連勝で福間倉敷藤花が防衛。第16期,17期,18期,19期,20期,23期,24期,25期,26期,27期,28期,29期,30期,31期に続く十連覇で15期目の倉敷藤花です。
原理の見方を人間から馬に変更すれば,馬は馬の利益utilitasだけを考慮し,馬以外のものの利益については何ら考慮する必要がないということになりますから,これを馬中心主義ということができることになります。つまり人間原理で考えるから人間中心主義という,人間にとって都合のよい結論が出るのと同じように,馬原理で考えれば,馬中心主義という馬にとって都合のよい結論が出てくることになるのです。こうしたことが自然Naturaのうちに存在するすべての個物res singularisに妥当することになります。したがって,こうした思想を何中心主義というべきであるかは,自然のうちに存在する何を原理として考えるのかということに依拠します。そもそもスピノザは第四部定理四でいっているように,人間そのものが自然の一部Naturae parsであるとしているわけで,人間中心主義というのが自然中心主義を超越することができるという立場を必ずしも採用しません。むしろ人間中心主義というもの自体が,自然中心主義の一部をなすというようにみることもできるわけです。つまり総体としての自然中心主義の一部として人間中心主義があるのであり,同じような自然中心主義の一部として,馬中心主義もあり得るしネコ中心主義もあり得るし,地蔵中心主義もあり得るというような枠組みでスピノザの思想は形而上学的に基礎づけられていると把握するのが,おそらく正しい見方なのだろうと僕は思います。とくに感情論についてみるときには,これが有効ではないでしょうか。
スピノザは書簡五十六において,三角形が話す能力potentiaをもつとしたら,神Deusは優越的にeminenter三角だというだろうし,円は円で神の本性naturaは優越的意味において円形であるというだろうと指摘しています。これはフーゴー・ボクセルHugo Boxelが,人間的な意志voluntasや認識cognitioなどが,優越的に神に含まれていると主張していることの反論としてなされています。したがってこの大意は,ボクセルは人間として,つまり人間原理で考えているからそのように主張しているだけであって,三角形原理や円形原理で考慮するならばそのような結論は帰結されないということになります。これはまさに人間中心主義が,人間原理から,人間原理のみから帰結するということです。
18日に指された第10期叡王戦挑戦者決定戦。対戦成績は糸谷哲郎八段が7勝,斎藤慎太郎八段が7勝。
振駒で斎藤八段が先手となり,糸谷八段の雁木。後手が居玉のまま5筋から仕掛けるという意欲的な作戦。その後にまた駒組に戻りました。

この将棋はここで☖3三桂と跳ねたために先手の1筋からの攻めが決まり,あとは一方的な展開なりました。ここ手はさすがにミスだったといえるでしょう。
後手はここで☖2四歩と突く手も考えたけれど厳しそうだと判断して断念したとあります。ただ感想戦で示されている手順からみると,実戦の展開よりはよかったのではないかと思えます。全体的にいえば後手はずっと受けに回るのではなく,どこかで端から反撃していかなければいけなかったのではないでしょうか。
斎藤八段が勝って挑戦者に。叡王戦五番勝負には初出場。第一局は来月3日に指される予定です。
人間が人間以外のものも愛するとしたら,人間はその愛amorのゆえに愛するもののことを正当以上に評価するということが生じ得るといわなければなりません。しかし人間がそのような感情affectusを有したときには,第三部諸感情の定義二一によれば買いかぶりexistimatioとはいわれず,愛する対象objectumが人間である場合だけ買いかぶりといわれることになっています。しかし僕にはこの選別はまるで意味が分かりません。なのでかつてこの感情について説明したときにもいったように,僕は愛するものに対して愛のゆえに正当以上に評価するならば,その対象が人間であるか否かに関わらず,その感情を買いかぶりといいます。つまり僕はスピノザの定義Definitioには従わないのです。
親が我が子に対する愛のゆえに子どものことを正当以上に評価するということはあるでしょうし,これは現にあると僕は思います。この感情は自分の子どもに対するものですから,スピノザの定義でも買いかぶりといわれます。同様に,ある人間が飼っている犬に対する愛のゆえに,その犬のことを正当以上に評価するということもあり得るでしょうし,これも現にあると僕は思います。このような感情のことをスピノザは買いかぶりとはいわないのですが,僕は買いかぶりというのです。親が子どもに対する愛のゆえに子どものことを過大に評価することと,飼い主が愛のゆえにペットのことを過大に評価することの間に,感情としての差異をつけることの意味が僕には分かりません。むしろこの説明からして,多くの方が僕の見解opinioの方に同意してくれるのではないかと思っています。
第三部諸感情の定義のうち,この買いかぶりの周辺で定義されている感情は,その多くが人間に対する感情に限定されて規定されています。第三部諸感情の定義一九の好意favor,第三部諸感情の定義二〇の憤慨indignatio,第三部諸感情の定義二二のみくびりdespectus,第三部諸感情の定義二三のねたみinvidia,第三部諸感情の定義二四の同情misericordiaはいずれもそうです。定義の中身を別にすれば,僕たちは人間以外のものにも好意を抱くし,憤慨もするでしょう。また人間以外のものをねたむこともあるでしょうし人間以外のものに同情することもあるといえるのではないでしょうか。
16日に放映された第74回NHK杯テレビ将棋トーナメントの決勝。対戦成績は藤井聡太竜王・名人が2勝,郷田真隆九段が0勝。
振駒で郷田九段の先手。角換わり腰掛銀に後手の藤井竜王・名人が早繰り銀。終盤まで競り合いの将棋になりました。

ここで☗5八玉と逃げましたがこれが失着で☖8八桂成☗6三角☖5七桂成で後手の勝勢となりました。
ここは☗6九玉と逃げ,☖8八桂成に☗同金と取れるようにしておかなければならなかったようです。後手は☖5七桂成と指してくるかもしれませんが,その形で☗6三角ならまだ難しい戦いが続いたようです。
藤井竜王・名人が勝って優勝。第72回以来となる2年ぶり2度目のNHK杯制覇となりました。
第三部定理二七からして,人間は人間のことを最も同類と意識するでしょうから,人間は人間の感情affectusを最も多く模倣するのは間違いありません。これは吉田がいっている通りです。しかし一方でやはり吉田が指摘している通り,人間はネコや地蔵の感情を模倣するということもあるのであって,このことはスピノザの哲学から論理的に裏付けることができます。しかし僕がいっておいた通り,たぶんスピノザはそのようなことは念頭に置いていないのであり,感情の模倣affectum imitatioを人間の人間に対する感情の模倣だけを念頭に置いていると思います。これは推測であって,スピノザの残したものからそれを裏付けることはできないのですが,この推測には十分な理由があります。
スピノザは馬は馬らしい情欲libidoに駆られるといういい方で,馬にも感情があるということを認めていますが,これは感情論の文脈で示されているわけではありません。確かにここでは動物の感情と人間の感情の相違が説明されているわけですが,その相違は人間の本性natura humanaと動物の本性の相違に還元されているわけですから,むしろ本性についての文脈で説明されているのです。純粋に感情だけの文脈でみれば,人間の本性に基づくような感情についてスピノザは語るのであって,このために人間の感情の対象もまた必要以上に人間に限定されているように僕にはみえます。なので感情の模倣についても,きっとスピノザは人間の人間に対する感情の模倣だけを念頭に置いていると僕は思うのです。
動物が触発される感情について細々と論述しても,そこに何か大きな意味があるというわけではないでしょう。なので感情について説明するときに,人間の感情だけに限定するのは僕にはよく理解できます。しかし人間は感情の模倣に限らず,人間に対してだけ何らかの感情を抱くわけではありません。そのこと自体はスピノザ自身も理解しているのは間違いありません。これは経験的にそういえるのであって,そもそもスピノザがなぜ哲学の道に進もうとしたのかといえば,人間以外のもの,たたとえば富とか名誉gloriaといったものに対する欲望cupiditasに虚しさを感じたからという意味のことが,『知性改善論Tractatus de Intellectus Emendatione』でいわれているのです。
16日に出雲文化伝承館で指された第51期女流名人戦五番勝負第二局。
先手の福間香奈女流名人も後手の西山朋佳女流三冠もなかなか正体を現しませんでしたが,後手の向飛車に先手の居飛車という戦型に。先手が5筋と6筋の位を取って後手が穴熊という力将棋。ただこの将棋は先手が後手の駒を完全に押さえ込んだ上に成駒を作ることに成功し,一方的な一局になりました。なので後手は早い段階で戦っておかなければならなかったことになります。
かなり遡りますが,後手が戦いに持ち込むチャンスがあったのはたぶんこの局面です。

ここで後手は☖4三銀と一歩を交換したことに満足しました。これはごく常識的な判断で,悪くなったわけではありません。ただこの局面は☖4五歩と突く手がありました。
さすがに先手は☗5四歩と銀を取るでしょう。そこで☖4六歩と取り込みます。次に☖4七歩成となっては先手が不利でしょう。しかしそれを金や飛車で受けるのは☖5五歩と打つ手があるので,後手は必ず駒を取り返すことができます。これもそれでよくなるというわけではないでしょうが,将棋の展開としてはこうしなければいけなかったことになると思われます。
福間女流名人が連勝。第三局は30日に指される予定です。
Xが感情affectusには触発されないということと,現実的に存在するある人間AがXの感情を模倣しないということは,別のことであると僕は考えます。X自身は感情に触発されることがないとしても,AはXが感情に触発されていると表象するimaginariことはあり得るからです。そこでそのとき,AがXの感情を模倣するなら,これは第三部定理二七により,AがXを同類とみなしていさえすれば生じる現象ですから,あり得るとしかいいようがないと僕には思えます。
そもそも人間は他人がどのような感情に触発されているのかということを正しく知ることができません。したがって感情の模倣affectum imitatioは現実的に存在する人間が,他者が何らかの感情に触発されているということを表象することによって生じるのです。よってこの表象像imagoは,感情には触発されないものが感情に触発されていると表象しているのと変わるところはありません。何か相違があるとすれば,人間が感情に触発されるのは真理veritasであるのに対し,たとえば地蔵が感情に触発されるというのは虚偽falsitasであるという点ですが,仮に地蔵が感情に触発されることはないという真理をある人間が知っていたとしても,その真理は第四部定理一の意味により,地蔵が感情に触発されるという表象像を除去することはできませんしそれが発生することを防ぐことができません。ですからたとえある人間がXは感情に触発されないということを知っていたとしても,その人間がXが感情に触発されていると表象することはあり得るわけです。ですからたとえ感情には触発されないようなものに対しても,僕たちはその感情,というのは僕たちが表象した感情ですが,その感情を模倣するということはあるのであって,これもまたスピノザの哲学からの論理的な帰結であると僕は考えます。
僕たちは踏まれる雑草とか道端の石とかに対して何らかの感情を抱くことがあります。もちろんその感情のすべてが感情の模倣によって発生した感情であるということはできません。しかし僕たちは雑草とか石といったものを擬人化するということがあり,擬人化されたあるものが何らかの感情を抱いていると表象し,それを模倣しているという場合もあるのです。
昨日の第36期女流王位戦挑戦者決定戦。対戦成績は西山朋佳女流三冠が16勝,伊藤沙恵女流四段が6勝。NHK杯の予選を含んでいます。
振駒で西山女流三冠が先手となってノーマル三間飛車。後手の伊藤女流四段が銀冠に組んでの持久戦になったのですが,先手はやや変わった構えで対応しました。
感想戦によるとこの将棋は以下の局面が重要だったようです。

後手はここで☖4六歩から攻め合いにいきました。一旦は☗5六銀と逃げて☖5五歩。先手はこれを無視して攻め合いに転じ☗2四歩☖同銀直に☗4三金☖同銀☗6三馬。この手が厳しく先手の勝勢となりました。

後手は上図ではすぐに攻め合いにいくのではなく一旦は☖同銀と取り☗同馬に☖2六歩とそこで攻め合いにいくのがよかったようです。
西山女流三冠が勝って挑戦者に。女流王位戦五番勝負には第33期以来の出場。第一局は来月24日に指される予定です。
スピノザも人間の精神mens humanaの機能に注目していないことはないと僕は考えていますが,すべてのものが精神を有するとしていることに変わりはありません。これを魂というとしても,その中で人間の精神だけを抽出して精神と別の名称を与えることは,構造的に精神を規定する際には何の意味もないからです。なので第二部定理一三備考の当該部分を,すべてのものが魂を有すると訳さず,すべてのものが精神を有すると訳した畠中の判断は,僕には正しいものと思えます。したがってスピノザの哲学では,人間以外の動物はデカルトRené Descartesがいうような意味では自動機械automa spiritualeではありません。むしろネコは精神を有するし,通常は僕たちが精神を有するとは認めないであろう地蔵にも精神はあることになります。
ただしこれは,地蔵が何らかの感情affectusに触発されるということをスピノザが認めていることにはなりません。この構造的観点からは,ある事物が感情に触発されるか否かはその身体corpusが外部の物体corpusによってどのように刺激されるafficiかということと関係するからです。このことは第三部要請一から明らかなのであって,ここでは第二部自然学②要請一を基として,そのゆえに人間は多くの喜びlaetitiaおよび悲しみtristitiaに刺激されることになるといわれているのです。したがって,地蔵が第二部自然学②要請一の条件にまったく適合しないのであれば,地蔵が感情に触発されるということはないでしょう。そしてそれはスピノザの哲学からの帰結となるだろうと僕は考えます。
地蔵についてはそうであるとしても,ネコが感情に触発されるということはスピノザは肯定します。スピノザは第三部定理五七備考で,馬は馬らしい情欲libidoに駆られるといっていますが,この情欲というのは欲望cupiditasの一種にほかなりません。つまり馬が感情に触発されるということはスピノザは間違いなく認めています。そしてそれは馬をネコに変えたところで同じでしょう。馬は情欲に刺激されるけれどネコは刺激されないというのは無理があるからです。なので,人間以外の動物に関しては,感情に触発されるということをスピノザは明らかに肯定していると僕は解します。
この点についてもデカルトとの比較で注意が必要です。
8日と9日に旧渋沢邸で指された第74期王将戦七番勝負第五局。
永瀬拓矢九段の先手で後手の藤井聡太王将が2手目☖3四歩から雁木を目指す将棋に。

角は先手から交換したのを打ち合ったもの。ここで先手は☗5八金右と上がりました。後手は直前に桂馬を跳ねているので☖5三角と引きました。
ここから駒組に進んだのですが,結果的に先手は左も右も押さえ込まれてしまい,主張がない一局に。これは後手が強すぎたという面が大きいのですが,もうすでにこの局面は大きな勝負所で,手は損するものの☗6四角☖同歩と交換してから☗5八金右としなければいけなかったようです。

4勝1敗で藤井王将が防衛。第71期,72期,73期に続く四連覇で4期目の王将になります。
専制者が戦争を勃発させ,その戦争によって飢餓に苦しむ人びとの映像を視聴して,その人びとの悲しみtristitiaを模倣し,その結果effectusとして専制者を憎むようになる場合も,地震の例と同じように解する人がいるのではないでしょうか。ところがここには決定的な差異があります。専制者といえども人間であるので,この憎しみodiumは第四部定理四五により,いかなる意味でも善bonumとはいわれないからです。いい換えればこの憎しみは利益utilitasを齎さず,害悪を齎すことになるからです。なぜそのような相違が生じるのかということを不思議に感じる人がいると思いますので,この事情を説明しておきましょう。
感情の模倣imitatio affectuumは吉田が示していた通り,第三部定理二七の様式を原理として僕たちのうちに発生します。飢餓に苦しむ人の悲しみを僕たちが模倣するのは,その人びとを僕たちが僕たちの同類とみなすからです。しかし同類には様ざまなレベル差があります。ここでは同じ人間という意味で同類といわれているわけですが,同じ人間という同類意識よりももっと強い同類意識というものがあります。さらにいうと第三部定理二一により,もしも僕たちがその人に対して愛amorという感情を有していれば,単に同じ人間であるという場合よりも感情の模倣は強く働きます。逆に第三部定理二三により,もし僕たちがその人に対して憎しみという感情を有している場合には,感情の模倣は働きにくくなります。このように,感情の模倣は原理的には第三部定理二七の様式で発生するのだとしても,僕たちは常にまたすでに何らかの感情を有している上に,何を同類と強くみなしまた何を同類とは強くみなさないのかということも人それぞれなので,同じ事象を表象しても感情の模倣の生じ方は,現実的には人それぞれで異なるといわなければなりません。そうした事情まで考慮すれば,むしろ第四部定理四五でいわれているように,人間の人間に対する憎しみというのが,何の利益も齎さず,かえって害悪だけを生じさせることになるのを理解するのは,それほど困難なことではないでしょう。
そもそも第三部定理二七だけからして,たとえばユダヤ人はアラブ人よりもユダヤ人の感情を模倣するでしょう。