スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大山名人杯倉敷藤花戦&デジタルとオカルト

2021-11-30 19:03:01 | 将棋
 21日に倉敷市芸文館で指された第29期倉敷藤花戦三番勝負第三局。
 倉敷市長による振駒で加藤桃子清麗の先手となり,里見香奈倉敷藤花のごきげん中飛車。①-Aに進みました。
                                        
 第1図で先手は☗3四馬と引きましたが,この手はあまりよくなく,☗7五桂と打って攻め合っていくのが優ったようです。
 ☖6六香☗同金に後手は☖6五銀打と上から打っていきました。これはよい判断だったようです。☗6七金引☖7六銀☗同金☖同角成☗7七香までは一本道の進行かと思います。☖6五馬と逃げました。
                                        
 第2図で☗8八玉としていますが,第1図で☗7五桂が有力であるのならも第2図でも有力だったかもしれません。実戦の☗8八玉に☖6九金と打たれてからは先手にはチャンスがなかったように思います。
 2勝1敗で里見倉敷藤花が防衛第16期,17期,18期,19期,20期,23期,24期,25期,26期,27期,28期に続く七連覇で通算12期目の倉敷藤花です。

 デジタルとオカルトというのは,確かに存在する区分であり,かつそういう区分があるというように認識されています。ただ,これは私見ですが,この区分はいわれているほど大きなものではありません。デジタルに即して打ってもオカルトに即して打っても,打ち方自体は変わらないという場合も生じるからです。ここではそういった例を紹介します。この仕方で紹介した方が,第二部定理四〇備考二でいわれていることに即して理解することができるからです。
 麻雀を打っているときに,自身が次つぎと得点を獲得していき,2位のプレイヤーと大きな差があるトップに立っていると仮定します。このときに,このゲームでは自分の調子がよいとか,このゲームの流れが自分に来ているというような理由で,次の局は失点することは考慮に入れず,いい換えれば失点の回避という麻雀というゲームの性質は無視して,自分がさらに得点を重ねるという,麻雀のもうひとつの性質だけを目指して打つと仮定します。このときこの打ち方はオカルトに分類されます。一方,ここは2位のプレイヤーと得点の差がかなり大きいため,たとえ失点することになっても順位を落とす可能性がほとんどないので,失点のことは考えずに得点の獲得だけを目指して打つと仮定します。この場合はこの打ち方はデジタルであるとされます。
 この説明から,おおよそデジタルとオカルトがどう区分されているのかの予測はつくと思います。すなわち,何らかの論理的な理由,上述の例でいえば得点差とか順位を落とす可能性といった,論理的に説明することができるような理由によって打ち方を決定するなら,それはデジタルといわれます。これに対して,調子とか流れというような,おおよそ論理的には説明することができないような事柄を理由として打ち方を決定する場合,それはオカルトといわれるのです。しかしここで示した例では,デジタルな打ち方をしようとオカルトな打ち方をしようと,失点を恐れずに得点の獲得だけを目指して打つことになるのですから,具体的にどのように打っていくのかという打ち方の内容は変わるところはありません。むしろ同じような打ち方になるでしょう。
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施設整備等協賛競輪飛龍賞&経験則

2021-11-29 19:51:35 | 競輪
 武雄競輪場で争われた昨日の飛龍賞の決勝。並びは坂本‐内藤の北日本,原田‐高原の徳島,荒井に五十嵐,上田‐松岡辰泰‐松岡貴久の熊本。
 坂本がスタートを取って前受け。3番手に荒井,5番手に上田,8番手に原田で周回。残り3周のバックから原田が上昇。このラインに上田が続きました。原田は坂本に並ぶところまでいったのですが,坂本が突っ張りました。原田は引いて五十嵐の後ろに。上田はバックから発進。打鐘で坂本を叩いて先行。坂本はどこにも飛びつけずに4番手。少し離れた6番手に荒井,かなり離れた8番手に原田という縦長の一列棒状に。バックから荒井が発進。最終コーナーで松岡辰泰が番手から発進しましたが,それを乗り越えて荒井が優勝。松岡辰泰が半車身差で2着。荒井マークの五十嵐が半車輪差で3着。
 優勝した佐賀の荒井崇博選手は前回出走の佐世保のFⅠを完全優勝したのに続いての連続優勝。GⅢは一昨年4月の武雄記念以来の16勝目。2008年,2010年,2014年にも武雄では記念競輪を優勝しています。このレースは現状の脚力からは原田が最有力とみていたのですが,位置取りがあまりに悪くなってしまい,まったく勝負になりませんでした。荒井は原田に次ぐ脚力ですから,前とそれほど差がない6番手であれば十分に圏内。地元でしたが熊本勢とは分かれて自力の勝負を選択したのが,結果的に幸いしたといえそうです。

 理論と思考についてはスピノザの哲学と齟齬を来すものではありません。しかし経験は違います。第二部定理四〇備考二でスピノザは経験による認識cognitioについては第一種の認識cognitio primi generisに分類しています。したがって第五部定理二八でいわれているように,それは第三種の認識cognitio tertii generisで人間の精神mens humanaが事物を認識するcognoscereことの基礎とはならないのです。
                                        
 ただし,事前にいっておいたように,近藤が直感の基礎として経験をあげているとき,この経験を,第二部定理四〇備考二でいわれている意味での経験と等置する必要はありません。近藤がこの部分で経験と理論と思考が直感の礎になるといっているとき,これは麻雀の世界,とりわけ麻雀のプロの世界での文脈を考慮しているのであり,そのままスピノザの哲学に照合させて解釈できるわけではないのです。むしろ近藤はこの文脈の中で,たまたまの経験を法則化したものと直感とは異なるといっています。つまり,直感というのは経験則のことを意味するのではないといっているのです。これは単純な経験の蓄積が直感の条件となるのではないという意味であり,それはつまり,第一種の認識は第三種の認識を生み出すことはないというスピノザの主張に合致しているといえるでしょう。基本的に近藤はこの路線の主張をしていると解するべきであるというのが僕の考え方であり,したがってこの点でも近藤の主張はスピノザの哲学の正しさを実証するものであるのです。
 一方では理論と思考と経験が直感の基礎部分であるといい,また他方では経験則の蓄積は直感とは異なると近藤はいっていて,これだけでみると近藤が何か矛盾したことをいっているというように思えるかもしれません。おそらく麻雀の世界のことが分からない場合には,そのように思えてしまう度合が強くなってしまうかもしれません。これは,この文脈で近藤が最も主張したいことがどういうことであるのかということと関係します。実はここで近藤が最もいいたいことは,何が直感の基礎になるのかということではないのです。実際に近藤がいいたいのは,麻雀に関する事柄なので,それについて僕の方から説明します。
 麻雀にはオカルトとデジタルという区分があります。
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ロンジン賞ジャパンカップ&プレイの可能性

2021-11-28 19:20:00 | 中央競馬
 アイルランドから2頭,フランスから1頭が招待された第41回ジャパンカップ
 ブルームはタイミングが合わずに1馬身の不利。アリストテレスが先手を奪い,向正面にかけて3馬身くらいのリードを取りました。2番手にはシャドウディーヴァとワグネリアン。4番手にオーソリティ。5番手にシャフリヤール。6番手にサンレイポケット。7番手にコントレイルとユーバーレーベン。2馬身差でグランドグローリー。10番手にブルーム。11番手にジャパンとウインドジャマーとユーキャンスマイルとロードマイウェイ。15番手にマカヒキとモズベッロで2馬身差でムイトオブリガード。発走後の正面では最後尾にいたキセキは向正面でかなり外の方を上昇。先頭に立って3コーナーから4コーナーにかけて7馬身くらいのリードになりました。最初の1000mは62秒2の超スローペース。
 直線に入るところでもキセキは5馬身くらいのリードがありましたがさすがに失速。すぐに2番手に上がったオーソリティが先頭に。その外から並んで追い上げてきたのがシャフリヤールとコントレイル。シャフリヤールの伸び脚は坂を上ったあたりで止まりましたが,コントレイルは最後まで伸び,オーソリティを差し切って優勝。オーソリティが2馬身差で2着。シャフリヤールが1馬身半差で3着。
 優勝したコントレイルは昨年の菊花賞以来の勝利で大レース5勝目。菊花賞まで7連勝した後,3連敗していましたが,2着,3着,2着でしたから,力量は上。そういう意味では順当な優勝といっていいでしょう。事前からここが引退レースと宣言していましたから,有終の美を飾れてよかったという思いが強いです。父は第26回を勝っているディープインパクトで父仔制覇。Contrailは飛行機雲。
                                        
 騎乗した福永祐一騎手はスプリンターズステークス以来の大レース41勝目。ジャパンカップは初勝利。管理している矢作芳人調教師ブリーダーズカップディスタフ以来の大レース21勝目。日本国内では昨年の菊花賞以来。ジャパンカップは初勝利。

 近藤が1索を捨てないで失点を回避したのは,直観scientia intuitivaが働いたからだというのは確かです。そのことは近藤自身が認めています。しかし,直観が働くagere場合にのみこの1索による失点を回避することが可能で,直観が働かない場合は失点の回避は不可能であるかといえば,そうではありません。そしてこのことも近藤は認めています。このプレイは,そのプレイに要した時間の短さのゆえに,近藤が独自の直観によって失点を回避したと解釈されるかもしれないけれど,だれにでも構築することができる理論の結果effectusとしての失点の回避であった可能性もあるという意味のことを近藤は書いているからです。そしてこのことは,僕が示した1索を手の内にとどめた理由というのは,確かにだれにでも構築することができる論理の集積であるということから確かだといえます。また,そもそも直観すなわち第三種の認識cognitio tertii generisがある人間の知性intellectusのうちに働くためには,第五部定理二八にあるように,それに関連する第二種の認識cognitio secundi generisの蓄積がその人間の知性のうちでなされていることが不可欠な要素であるということからも確かだといえるでしょう。第三種の認識は第二種の認識の蓄積によって働くのであるとすれば,蓄積されている第二種の認識だけでも,同じ認識がその知性のうちには生じるからです。ただ,第三種の認識でそれを認識するcognoscereことと,第二種の認識でそれを認識することの間には,要する時間に決定的な差があるというだけのことです。そしてこれもまた,直感の麻雀は答えが一瞬で出るのが特徴であるといっている近藤の主張に合致しているといえます。
 ここから分かるように,直観には理論的な蓄積が必須とされます。しかし近藤は,直感の条件として,理論だけをあげているわけではありませんでした。近藤が直感に至るためのみっつの条件に,理論は含まれていますが,ほかに思考と経験もあげられていたからです。そこでいよいよ,ここの部分の検討に入ります。このうち,理論と思考というのは,いずれも第二種の認識を意味すると解することができるので,近藤がいっていることとスピノザの哲学との間には何の齟齬もありません。これは第五部定理二八そのものだからです。
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タイセイレジェンド&10秒

2021-11-27 19:20:23 | 名馬
 エーデルワイス賞を差し切って優勝したスピーディキックの父はタイセイレジェンドです。父はキングカメハメハ。母の父はメジロマックイーン。4代母がクレアーブリッジ
                                        
 デビューは2歳の8月。2戦目の未勝利戦で初勝利。この2戦が芝1800mだったこともあり,この後は芝の中長距離戦ばかりに出走。初めてのダート戦となった3歳6月に2勝目をあげました。ここからは主戦場をダートの中距離戦に。4歳の4月に3勝目をあげると次のレースも連勝してオープン馬に。当時は降級制度がありましたのですぐに降級。11月に1400m戦を勝ってオープンに復帰しました。ここからダートの短距離戦にシフト。
 5歳の2月にオープンで初勝利。6月に北海道スプリントカップで2着に入ると次のクラスターカップで重賞初制覇を達成しました。東京盃で2着になって向ったJBCスプリントをレコードタイムで制して大レース制覇を達成。
 6歳初戦は根岸ステークスで11着。フェブラリーステークスが14着。遠征したドバイゴールデンシャヒーンは12着とこの春は大敗続き。帰国して初戦となったクラスターカップで2着になるとオーバルスプリントも2着。東京盃を制して重賞3勝目。JBCスプリントエスポワールシチーの11着でした。
 翌年の初戦がクラスターカップで6着。東京盃は8着。JBCスプリントこそ3着でしたが兵庫ゴールドトロフィーは8着でした。
 8歳になっても現役続行。しかし黒船賞が6着,さきたま杯が8着,北海道スプリントカップが10着と,勝ち馬から1秒以上の敗戦続き。この後,大井に移籍してソウルへの遠征も含めて2戦しましたが勝ち星はあげられず,現役を退きました。
 通算成績から分かるように,大レースこそ勝ったものの,超一流には程遠い馬です。このクラスの馬が種牡馬になれたというだけで個人的には驚きを感じますので,重賞の勝ち馬が出たことには本当にびっくりしました。

 この場面でフェニックスが1索を手の中に残し,9萬を捨てて失点を回避した理由は,概ねここまで述べてきたことが積み重なっていたからと解して間違いないと僕は考えます。しかしこのときに,9萬を引いてきたフェニックスが1索を捨てるまでに要した時間は,およそ10秒ほどです。それは,ここまで僕が説明してきたことのすべてを十全に認識するcognoscere,第二種の認識cognitio secundi generisによって十全に認識するために十分な時間であるとは到底いえません。ということは,このとき,フェニックスのプレイヤーである近藤には,何らかの直観scientia intuitiva,すなわち第三種の認識cognitio tertii generisが働いたために,このプレイに至ったのだと解釈するのが適切でしょう。実際に近藤は著書の中のこの場面について,直感的にも1索は捨ててはいけないと思ったという意味のことを記述しています。近藤がいう直感というのは,第三種の認識のことにほかならないのですから,確かにこの場面では近藤の知性intellectusのうちに第三種の認識が生じたのです。
 ここから分かるように,このような場合でも直観は働くagereのです。近藤は,麻雀のふたつの性質のうち,自身が得点を獲得することに向う場合には直感は有効で,自身の失点を回避するためには直感はあまり有効ではないといっていますが,実際にはどういう場合に直観いい換えれば第三種の認識が有効であるかということは,麻雀のふたつの性質に還元することができるわけではありません。そうではなく,第三種の認識が働くための,あるいは第三種の認識で事物を認識する契機となるための,第二種の認識,近藤のいい方に倣えば理論による認識が,十分に蓄積されているか否かということに還元されるのです。要するにこの局が進捗していく最中に,近藤の知性のうちにはこの局に関する様ざまな論霊的な認識が蓄積されていき,その結果effectusとして第三種の認識が働くことによって,失点の回避というプレイが生まれたということです。
 そしてこれと同時に理解できるのは,このプレイは,近藤の知性のうちに働いたような直観が働かないのであれば,することができないプレイであるとは,必ずしもいえないということです。直観だけがこのプレイを産出するのではありません。
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将棋日本シリーズJTプロ公式戦&状況的理由

2021-11-26 19:13:12 | 将棋
 21日に幕張メッセで対局があった第42回日本シリーズの決勝。対戦成績は豊島将之JT杯覇者が9勝,藤井聡太竜王が13勝。
 振駒で豊島JT杯の先手となり角換わり。先手は攻めの銀を動かさずに桂馬で速攻。後手の藤井竜王は早繰り銀から銀を交換と,早い段階から攻め合う将棋になりました。
                                        
 ここからも☖8八歩☗4四歩☖8九歩成☗4三銀と攻め合いが続きましたが,この順は先手の攻めの方が早く,大勢が決しました。後手としては第1図で☖7三桂とか☗4四歩には☖5四桂など,受けの手が必要だったようです。
 豊島JT杯が優勝。第41回に続く連覇。JT杯は第37回も優勝していて3度目の優勝。棋戦の優勝は4回目です。

 近藤は著書の中で,9萬を捨てた後,どのように打つかを考えていたといい,その考えの内容を示しています。
 この場合,7萬を引いてくるとテンパイになり,その場合は1索を捨てる必要が生じます。実際には7萬はパイレーツの手の中に残りの3枚がありましたから,7萬を引いてくることはないのですが,近藤にはそれは確知するcerto scimusことができるわけではありませんから,その場合のことも考えておく必要はあります。そしてその場合は,1索はパイレーツに対して危険ではあるけれども,それを捨てるつもりであったといっています。これは,テンパイして1位になれる可能性が出るのであれば,3位に落ちてしまうリスクは背負う価値があるからです。
 これでみれば分かるように,もしも1索を引いてきた時点でも,フェニックスがテンパイをしていたのであれば,おそらく1索は捨てられていたのです。なのでフェニックスの手がイーシャンテンであったということは,このときに1索が手の中に残され,失点を回避した理由のひとつになっているのです。つまり,テンパイしているのならどのような危険な牌でも捨てる価値はあるけれども,テンパイしていない段階では危険な牌を捨てるにはリスクが高すぎるという考え方はそれなりに合理性があるものであって,その合理性に則して打つと,この場面での1索は手の中に残るということになるからです。
 これは状況によるものでありますが,1索がパイレーツに対して危険であるという判断があったから手の中に残されたのは間違いありません。いい換えればその判断ができていなければ,1索はそのまま捨てられたでしょう。9萬を捨てる場合より,9萬を残しておいた方が,テンパイすることができる確率は明らかに高いからです。ですから,フェニックスの手がイーシャンテンであったという状況が,失点を回避した理由のひとつになっているとはいえ,そのことで近藤のプレイ自体の価値が低下するわけではありません。1索を残して9萬を捨てたのが高度なプレイだったのは間違いありません。それは1索が手の中に残された後に,解説者が吹き出してしまっていることが明白に物語っているといえます。
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農林水産大臣賞典兵庫ジュニアグランプリ&イーシャンテン

2021-11-25 18:56:02 | 地方競馬
 第23回兵庫ジュニアグランプリ
 エンリルが鞭を入れて逃げようとしましたが,外からバウチェイサーが追い抜いていきました。さらにプライルードも2番手に上がり,エンリルは3番手に。4番手にはセキフウ。5番手にヒストリックノヴァとコンバスチョン。7番手にイチローイチローとトモノボーイ。9番手のネフィリムとワイドオープンまでは一団。3馬身差でイネッサ。4馬身差でドームサウナという隊列。ミドルペースでした。
 バウチェイサーとプライルードは並んで直線に。コーナーで外を回ったコンバスチョンは2頭の外から,内を回ったセキフウはバウチェイサーとプライルードの間に進路を求め,4頭の争い。抜け出たのはセキフウとコンバスチョンの2頭。狭くなりかけたところがあったものの,間を割ってからは鋭く伸びたセキフウが争いを制して優勝。コンバスチョンがクビ差で2着。フィニッシュ前でバウチェイサーを差したプライルードが3馬身差の3着でバウチェイサーはクビ差で4着。
 優勝したセキフウは重賞初挑戦での優勝。ここはJRAの2勝馬が2頭いて,例年通りの傾向であればその2頭の争いになるとみていましたが,やはりその通りの決着になりました。この着差ですから,通ったコースの差が結果に大きく影響したといえそうです。とはいえ苦しいところを割って伸びてきた馬の勝負根性は立派だったといえるでしょう。8つ上の半兄に,2016年に高松宮記念とセントウルステークスを勝ったビッグアーサー。中国語でシフォンケーキを戚風と漢字表記し,それを日本語で読んだのが馬名です。
                                        
 騎乗したミルコ・デムーロ騎手は第21回以来2年ぶりの兵庫ジュニアグランプリ2勝目。管理している武幸四郎調教師は兵庫ジュニアグランプリ初勝利。

 赤5筒の方が獲得できる得点を高くするために有用なのに,先に手の中から赤5筒を捨て,その後に3索を手の中から捨てたということは,3索に関連する牌をパイレーツは持っているのではないかという予測が成り立ちます。そして3索に関連する牌とは,1索,2索,3索,4索,5索の5枚です。ですがこの時点では2索と3索は4枚すべてが捨てられているのですから,パイレーツの手の中にあることはありません。そもそも2索も3索もパイレーツは捨てているのですから,それがパイレーツの手の中にあるということは,近藤が予測しているパイレーツの役との関係からもないのです。これと同じように,この時点ではパイレーツは5索も4索も捨てているのですから,それがパイレーツの手の中にはないということも想定することができます。よって残るのは1索です。つまり,パイレーツが3索を手の中から捨てたときに,本当に3索に関連する牌があったのなら,それは1索だったとしか考えられません。よってこの観点からも,1索はパイレーツに対して危険な牌であるという認識cognitioが発生し得ることになります。
 それからもうひとつ,このときにフェニックスが1索を手の中にとどめ,失点を回避することができた理由を,著書から推測することができます。
 近藤はこの時点で,アベマズとパイレーツはテンパイしていると認識していました。これに対してフェニックスはまだテンパイしていません。フェニックスが1索を引いてきたときの手でいえば,1索でなく,1萬,2萬,3萬,4萬,7萬,8案,9萬のいずれかを引いてきた場合にテンパイをするという形でした。このように,次にある牌を引いてきたらテンパイすることができるという形のことは,イーシャンテンといわれます。つまりフェニックスの手は,パイレーツがテンパイした時点ではイーシャンテンであったわけです。
 そのイーシャンテンで1索を引いてきたわけですが,ここで9萬を捨てても,イーシャンテンはイーシャンテンなのです。受け入れることができる牌は,1索,1萬,4萬,7萬に減るので,テンパイする効率は悪化しますが,イーシャンテンはイーシャンテンです。
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朝日新聞社杯競輪祭&所在の推論

2021-11-24 19:31:54 | 競輪
 小倉競輪場で行われた昨晩の第63回競輪祭の決勝。並びは新山‐渡辺の北日本,古性‐山田の近畿,北津留‐園田の福岡で吉田と郡司と松浦は単騎。
 北津留がスタートを取って前受け。3番手に新山,5番手に松浦,6番手に郡司,7番手に古性,最後尾に吉田で周回。残り3周のバックの出口で古性が動くと,先んじて郡司が上昇。ホームの出口で郡司が北津留を叩きました。郡司に続く形になった古性はバックで郡司の前に。3番手に郡司,4番手に吉田,5番手に北津留という隊列になったところで新山が発進。古性を叩いてホームから先行。郡司は古性マークの山田をどかして4番手に入りましたがそれで一杯。郡司の後ろに入った松浦がバックから発進しましたが,渡辺の牽制を受けて失速。松浦に乗るようなレースになった吉田が直線でイエローラインのあたりを通って突き抜けて優勝。逃げ粘った新山が4分の3車身差で2着。吉田にスイッチした園田が4分の3車輪差で3着。新山マークの渡辺が半車輪差で4着。
 優勝した茨城の吉田拓矢選手は10月の松戸のFⅠ以来の優勝。グレードレースは6月の久留米記念以来の優勝でビッグはこれが初制覇。このレースはラインの先頭を走る選手よりも単騎の選手の方が総合的な脚力では上なので,どのような結果になるのかを予想するのがきわめて難しくなりました。郡司は道中で脚を使いすぎてしまったために捲りを打つことができなくなり,松浦はいいスピードではありましたが,タイミングが悪く厳しい牽制を受けてしまいました。結果的にさらに後ろで脚を溜めていた吉田に勝機が到来したという結果。展開の利での優勝ですが,これは吉田にとって大きなきっかけになるかもしれません。

 1索はまだ引かれていない山の中にあるかもしれないので,パイレーツなりサクラナイツなりの手の中に必ずあると断定できるものではありません。ただ,あるのならサクラナイツの手の中にはなく,パイレーツの手の中にある可能性が高いということは,おそらく認識するcognoscereことができます。その理由を示していきましょう。
                                       
 この局面では,2索と3索はそのすべてが捨てられているのでした。その8枚のうち,最初の1枚を捨てているのはサクラナイツで,それは2索です。もしもサクラナイツの手の中に1索があるのなら,これほど早い段階で2索を捨てるのは少しばかり変です。このことから,サクラナイツの手の中に1索があるという可能性は低下します。
 次に,パイレーツは5巡目,自身の手番でいえば4打目で赤5筒を捨てていました。これほど早い段階で赤牌を捨てるのは異常ですが,このときは,フェニックスが發をポンした直後で,フェニックスが確実に2000点を獲得することができるように協力したともとれる状況だったので,他のプレイヤーはそれをおかしいとは感じなかったのでした。しかしこの段階では,パイレーツは順位の上昇を目指しているということが分かっているのですから,そこまで遡って考える必要があります。すなわち,その時点でパイレーツは順位の上昇を目論んではいた筈なのであり,しかしそのために赤5筒は不要であったのだというように,認識cognitioを改めなければなりません。
 次の6巡目に,パイレーツは引いてきた牌を手の中に残し,3索を捨てています。つまり手の中から3索を捨てたことになります。仮に,赤5筒と3索が手の中にあったとして,どちらもそれに関連する牌が手の中にないのなら,順位の上昇を目指すのであれば3索を捨てて赤5筒を手の中に残すのが普通です。赤5筒はそれを使えば獲得することができる得点が増加する牌なのですから,パイレーツのように,2位とは得点差が大きな3位でありながら順位の上昇を目指すのであれば,そのために有用なのは赤5筒の方であり,3索の方ではないからです。いい換えれば,パイレーツが使いたいのは3索よりも赤5筒の方である筈だからです。
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農林水産大臣賞典浦和記念&1索の所在

2021-11-23 19:02:04 | 地方競馬
 第42回浦和記念
 ナラが好ダッシュ。内からメイショウカズサとメイショウダジンが並んで上がっていき,3番手にアメリカンフェイスで4番手にヴェルテックス。2馬身差でタービランス。その後ろにチェスナットコートと控えたナラ。この後ろは5馬身差でヒロブレイブ。1馬身半差でウェスタールンド。5馬身差の最後尾にメイショウタイホウという隊列で発馬後の向正面を通過。1周目の正面に入るところではメイショウカズサが単独の逃げとなり,メイショウダジンが2番手。3番手にヴェルテックスとアメリカンフェイス。タービランスもすぐ後ろの5番手となり,6番手以降が離れました。前半の1000mは63秒9のスローペース。
 2周目の向正面に入るところからアメリカンフェイスが外から上昇し,一時的にメイショウカズサ,メイショウダジン,アメリカンフェイスの3頭が雁行に。しかし3コーナーに入るところからまたメイショウカズサが抜け出し,メイショウダジンとアメリカンフェイスは脱落。内を回ったヴェルテックスが2番手に上がり,ヴェルテックスを追って内を回ったタービランスが3番手。外から捲り上げてきたのがウェスタールンドで4頭の争いに。しかし逃げたメイショウカズサには余裕があり,直線ではむしろ差を広げ,鮮やかに逃げ切って優勝。ヴェルテックスと直線でヴェルテックスの外に出したタービランスの競り合いは激戦でしたが,外のタービランスが競り落として2馬身差の2着。ヴェルテックスが半馬身差の3着で外を回ったウェスタールンドは2馬身差で4着。
 優勝したメイショウカズサ白山大賞典からの連勝で重賞3勝目。今日のメンバーでは明らかに実績で上位でしたので,順当な優勝といえそうです。この内容だとまだトップクラスが相手では厳しいという感じはしますが,上積みは見込むことができる馬だと思います。父は2008年にピーターパンステークスを勝ったカジノドライヴ
                                        
 騎乗した川田将雅騎手は第41回からの連覇で浦和記念2勝目。管理している安達昭夫調教師は浦和記念初勝利。

 1索の所在に関してはもうひとつ,確実に認識できることがあります。それは,アベマズの手の中に1索は1枚も含まれていないということです。これは役の関係から,アベマズは1索を使うときわめて得点を獲得しにくくなるということ,したがって,1索がアベマズの手の中にあれば,先んじて捨てられる牌であるということから認識できますし,また,アベマズが手の中から2索と3索をセットで捨てているということからも認識できます。テンパイが必須のアベマズが,1索,2索,3索と持っていて,2索と3索を捨てることはあり得ないからです。つまり,残り2枚の1索は,まだ引かれていない山の中にあるかほかのプレイヤーの手の中にあるかのどちらかだと近藤は理解するわけですが,アベマズの手の中にはないので,ほかのプレイヤーに手の中にあるというのは,パイレーツの手の中にあるか,サクラナイツの手の中にあるかのどちらかであるという認識cognitioと同一です。
 次に,この場面では,4枚の2索と4枚の3索は,そのすべてが捨てられています。したがって,手の中に2索と3索をセットで持っているプレイヤーがいないということは,近藤に限らず,すべてのプレイヤーが確実に認識できることです。ところで,2索と3索をセットで持っていないなら1索というのは使いにくい牌であるということになります。近藤が予測しているパイレーツの役のうちには,1索が1枚のテンパイ,つまりその1索だけを待っているテンパイになっているという可能性も含まれていますが,その形のテンパイというのは,待っている牌が1枚だけですから,得点を獲得することが困難になります。よって,最初からそのテンパイを目指すということは普通はありません。なので,1索が1枚だけ孤立しているという場合は,捨てられるケースが多くなります。よって,残り2枚の1索が他のプレイヤーの手の中にある場合は,2枚がセットで含まれている可能性が高いです。他面からいえば,アベマズの手の中に1索はないので,パイレーツかサクラナイツの手の中にあるのですが,その2チームがそれぞれ1枚ずつを持っているという可能性はきわめて低いといえるのです。
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大山名人杯倉敷藤花戦&失点の回避

2021-11-22 19:17:38 | 将棋
 20日に倉敷市芸文館で指された第29期倉敷藤花戦三番勝負第二局。
 里見香奈倉敷藤花の先手で5筋位取り中飛車。後手の加藤桃子清麗は左美濃に組みました。この将棋は先手に大錯覚がありました。
                                        
 ここで☗5七角と逃げましたが,これが大錯覚の悪手。☖8六歩☗6五桂☖同桂☗同銀☖同銀☗同飛と指しましたが☖5六銀で飛車角両取りが掛かり,実質的に将棋が終ってしまいました。
                                        
 第1図で☗3九角と逃げるのでは自身が持てないという先手の感想が残っていて,だから☗5七角と逃げたのですが,あっさりと清算する順が読み抜けてしまったようです。
 加藤清麗が勝って1勝1敗。第三局は21日に指されました。

 雀力について書いたのは,この場面の解釈に影響するかもしれないからです。この場面はこういった得点状況になっていますが,だからといって日向や近藤は強く,瑞原や内川が弱いわけではないのです。このゲームはたまたまこの得点状況になっているだけで,この場面の得点状況が各々のプレイヤーの実力を正確に反映しているというわけではありません。その点は間違えないようにしてください。
 パイレーツがテンパイを果たした直後にフェニックスが引いてきたのが1索でした。これがこの局の全体のハイライトシーンといえます。すでに説明しておいたようにこの1索はパイレーツが得点を獲得することができる牌で,もしフェニックスがそれを捨てるとパイレーツに対して12000点の失点になりますから,パイレーツが2位,フェニックスが3位で試合が終了するところでした。しかしフェニックスはこの1索を手の内にとどめ,9萬を捨てて失点を回避しました。
 近藤はこのときに1索を手の内にとどめた理由について,1索がパイレーツに対して危険と判断したからだといっています。1索を捨てると必ずパイレーツに対して失点するとまでは認識するcognoscereことができなかったそうですが,パイレーツに対して12000点あるいはそれ以上の失点になるという場合は,1索はとくに危険であるという認識cognitioであったそうです。つまり近藤は著書の中では,1索が危険である理由については,パイレーツの役との関係で説明しています。そこで僕は,近藤が著書の中で触れていない観点から,1索がパイレーツに対して危険である理由を示すことにします。近藤はそれを著書で触れてはいませんが,おそらくそういった認識もあったと思われるからです。
 フェニックスが1索を引いてきた局面で,1索はフェニックス自身がすでに捨てている1枚と,引いてきたばかりの1枚があることをフェニックスのプレイヤーである近藤は理解します。何度もいうように麻雀の牌は同じ牌が4枚なので,残りの2枚は,まだ引かれていない山の中にあるか,他のプレイヤーの手の中にあるかのどちらかです。もちろん2枚ですから手の中と山に1枚ずつというケースもあります。
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マイルチャンピオンシップ&雀力

2021-11-21 19:22:05 | 中央競馬
 第38回マイルチャンピオンシップ
 カテドラルは発馬後すぐに控えました。逃げたのはホウオウアマゾンで2番手にクリノガウディー。3番手にはサリオスとサウンドキアラとグレナディアガーズ。6番手にシュネルマイスターとインディチャンプとロータスランド。9番手にケイデンスコールとダーリントンホールとダノンザキッド。12番手にグランアレグリアとリプレーザ。14番手にカテドラルとサウンドカナロア。2馬身差の最後尾にレインボーフラッグという隊列。前半の800mは47秒6の超スローペース。
 ホウオウアマゾンが先頭のまま直線に。すぐ外からサリオスが並び掛けにいき,その外からインディチャンプ。しかしこれらの争いを尻目に大外から悠々とグランアレグリアが持ち前の末脚を発揮。内で競り合う各馬をあっさりと差し切って優勝。インディチャンプの外に進路を取ったシュネルマイスターが4分の3馬身差で2着。シュネルマイスターの外から伸びたダノンザキッドが半馬身差の3着でインディチャンプがハナ差で4着。
 優勝したグランアレグリアヴィクトリアマイル以来の勝利で大レース6勝目。マイルチャンピオンシップは第37回からの連覇。ここでは能力最上位でしたが,この馬は間隔を開けて走っていた馬。ヴィクトリアマイルを勝った後の安田記念は2着に負けていて,ここもそのときと同じく,この馬としては短い間隔での出走でしたので,その点を不安視していました。ただその点さえ克服してしまえば,能力は他を圧倒していますので,優勝も自然といえるでしょう。一般にレースはペースが遅くなるほど着差がつきにくくなりますので,この着差でも楽勝だったといえると思います。これで引退して繁殖牝馬になるとのことです。父はディープインパクト。祖母の従妹に2007年にフローラステークスを勝ったベッラレイア。Gran Alegriaはスペイン語で大喜び。
                                        
 騎乗したクリストフ・ルメール騎手は宝塚記念以来の大レース制覇。第37回からの連覇でマイルチャンピオンシップ2勝目。管理している藤沢和雄調教師はヴィクトリアマイル以来の大レース制覇。第10回,14回,15回,18回,37回に続く連覇でマイルチャンピオンシップ6勝目。

 もし麻雀の強さ,将棋でいう棋力に対比させて雀力を,結果だけで決定しようとするなら,相当数の対戦を重ねる必要があります。しかし同一の人間でそれだけの対戦をするということは,事実上は不可能であるといっていいでしょう。よって雀力を判断するためには,結果より内容をしっかり把握することが求められるのです。これは情報非共有型のゲームについては一様に妥当すると思います。麻雀の場合でいえば,どれだけ基礎的な能力があるのか,つまり,基本的な手筋や定跡というものに則して打っているかという面の方をみなければ,雀力の高さというものを正確に把握することはできないのです。
 もちろんその先には,手筋や定跡の応用というものがあります。それは当然ながら手筋や定跡をきちんと把握していなければできないこと,いい換えればそれができているということが前提となりますが,その応用に関しては,個別に判断されていくことになります。つまり,基本的な手筋や定跡のすべてを知っていれば,だれでも同じように打つというわけではありません。ここまでで説明してきたことでいえば,パイレーツがテンパイを果たしたとき,リーチを宣言するのも合理的であるし,リーチを宣言しないのも合理的であったわけです。そしてそれは,合理性の規準が異なっているからでした。そのときに,どちらの規準を重視するのかということは,定跡の応用に含まれるのであり,個々のプレイヤーによって差異があります。パイレーツの瑞原はリーチを宣言しない方の合理性を重視したわけですが,もしかしたらリーチを宣言する合理性に重きを置くプロも存在するかもしれません。そしてそれは,たとえば将棋において,個々の棋士の棋風といわれるような差異から指し方に相違が生じるように,個々の麻雀プロのいわば雀風の差異によって相違が生じると解するべきでしょう。そしてその雀風の差異というのは,あってしかるべきものであると僕は思いますし,麻雀というゲームが多くのファンを獲得するためには必要なものであるとも思います。だれでも同じように打つよりは,それぞれが異なった打ち方をする方が,各々にファンがつきやすいからです。
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モーリス&手筋と定跡

2021-11-20 19:08:19 | 名馬
 スプリンターズステークスを勝ったピクシーナイトの父はモーリスです。父はスクリーンヒーローデヴォーニアメジロボサツの分枝で祖母は1989年にクイーンステークス,1990年に金杯とアルゼンチン共和国杯,1991年にアメリカジョッキークラブカップを勝ったメジロモントレー
 デビューは2歳10月で新馬を勝利。京王杯2歳ステークスは6着。3戦目の特別戦で2勝目をあげて2歳戦を終了。
 年明けのシンザン記念はミッキーアイルの5着。スプリングステークスが4着で京都新聞杯は7着。次のオープン戦は3着でした。ここから休養に入って関西から関東に転厩しました。
 4歳初戦の1000万を勝つと1600万も連勝。ダービー卿チャレンジトロフィーで重賞初制覇を達成すると安田記念も勝って大レースを制覇。秋初戦のマイルチャンピオンシップも勝つと遠征した香港マイルも勝利。6戦全勝,重賞4勝大レース3勝で4歳の1年を終え,この年のJRA賞の年度代表馬に選出されました。
 翌年の初戦はチャンピオンズマイルで大レース4勝目。安田記念と札幌記念は展開やコースの影響もあって連続で2着。しかし天皇賞(秋)で大レース5勝目をあげると,引退レースとなった香港カップも勝ち,有終の美を飾り,JRA賞の特別賞に選出されました。
 本格化したのは4歳になってからですが,それ以降は完璧といっていい戦績を残しました。そういう意味では晩成型だと思われます。初年度産駒が今の3歳馬ですから,種牡馬としての本領を発揮するのはもう少し時間が経過してからかもしれません。

 打っているのはプロですから,基本的な麻雀の手筋とか定跡といったものは心得ています。したがって,もしパイレーツが手筋を無視して打てばこの局の行方は異なっていたなどということは無意味です。ですが,僕がここであえてこのことをいったのは,別の意味があるからです。それはこの考察の最初の方でいったこと,すなわち,麻雀は卓の上で牌を使ってプレイするゲームであるけれども,盤の上で駒を使ってプレイする将棋のようなゲームよりも,ポーカーのようなカードゲームに類似しているという点との関係です。この性質のゆえに,麻雀というゲームは,プロのような強者であっても,1回のゲームでは初心者に負けてしまうことも起こり得るのです。
                                        
 僕はそのときに,将棋というゲームが情報共有型のゲームであるのに対し,麻雀は情報非共有型のゲームであるからだという説明をしました。そのことともこれは関係します。なぜなら,たとえば4人で麻雀をプレイするとして,定跡や手筋を心得ている4人で打つのと,4人のうちのひとりは初心者で,定跡や手筋を十分にはまだ知っていないとすれば,異なった結果が生じ得ます。それを十分に知っていないのなら,基本的な定跡や手筋から外れた打ち方をする可能性が高くなるからです。もしも将棋のようなゲームであれば,相手が定跡や手筋から外れた指し方をすれば,そういう指し方をしたということを理解することができますし,それを咎めるということもできます。だからプロが同じ条件で戦えば初心者に負けるということは絶対にないのです。ところが麻雀のような情報非共有型のゲームだと,あるプレイヤーが基本的な手筋や定跡から外れた打ち方をしたとしても,そういう打ち方をしているということに必ず気付くことができるというものではありません。また,仮にそれに気付くことができたとしても,自分が何を引いてくるのかということが分かってない以上,絶対にそれを咎めるということも不可能なのです。
 これらのことから理解することができるのは,麻雀が強いということは,単にどのような結果を残すのかということからだけで一律に測ることが必ずしもできないということです。
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大成建設杯清麗戦&異なった行方

2021-11-19 19:32:16 | 将棋
 17日に指された第3期清麗戦五番勝負第五局。
 振駒で里見香奈清麗の先手となり5筋位取り中飛車。後手の加藤桃子女流三段は左美濃に構えました。この将棋は仕掛けた先手が飛車を見切ることができなかったために後手有利に。しかしその後に後手に手順前後が出て,一瞬は先手が盛り返しました。
                                      
 ここが後手にとって問題となった局面。☖6五桂と桂馬を逃げて☗5三歩を許してから☖5四飛と回ったため,先手にチャンスが訪れました。第1図での☖6五桂は桂馬を逃げつつ攻めに働かせる手なので味がよく感じるのですが,この桂馬は取られても先手の成銀が遠ざかるだけで,むしろ歩を垂らされる方が厳しいのです。よってすぐに☖5四飛と回っておかなければなりませんでした。
                                      
 第2図で☗6六歩と突いたので先手はチャンスを逸しました。ここは☗5二歩成☖同金☗同成銀☖同飛と交換し,その瞬間は後手の飛車が浮くので,☗6六金と打って勝負するのがよかったようです。
 3勝2敗で加藤三段が清麗を奪取。清麗は初の獲得になります。

 テンパイを果たしたパイレーツは9萬を捨てました。この牌は役との関係で,アベマズに対しては安全です。この牌は4索を捨てたときにも捨てることができた牌でした。もしそのときに9萬の方を捨てていれば,それはアベマズに対して安全にみえるので,パイレーツが順位の上昇を目論んでいるということは,他のプレイヤーに気付かれることはなかったでしょう。それはパイレーツのメリットにはなるのですが,4索を手の中に残しておくと,捨てた時点でアベマズがテンパイしていない場合,その後でアベマズがテンパイすると4索で失点してしまう可能性があります。要するに4索を残しておけば,巡目が進んでいくほどにアベマズに対する危険性は高まっていきます。よって安全度に優る9萬よりも,たとえその時点ですでに危険でも,4索の方を先に捨てるというのは,このような場合では一種のセオリーあるいは定跡といえる手筋のひとつです。
 瑞原はプロですから,このセオリーに忠実に打って,この局は進んでいきました。ですがこのセオリーを無視すると,この局の進行は異なることになります。パイレーツが4索を捨てたところで9萬の方を捨てると,その巡目にサクラナイツが4索を捨てる根拠がまったくなくなります。したがってサクラナイツは別の牌を捨てるでしょう。するとアベマズは4索をチーすることができませんから,テンパイを果たすことができません。しかしチーすることができないなら山から牌を引いてくることになりますから,パイレーツが引いた8筒を引いてくるのはアベマズであることになります。アベマズは8筒を引いてくれば5筒の方を捨てます。これは8筒がこの局におけるドラという,赤牌と同じように,役ではないけれどもそれを使って得点を獲得すると,獲得することができる得点が増加する牌であることからも確実ですし,すでにパイレーツが赤5筒を捨てている分,それをチーしなかったフェニックスに対しての安全度で優るという点からも確実です。よってアベマズもテンパイすることはできず,パイレーツもテンパイすることができません。つまりこの局の行方は,実際の進行とまるで異なったものとなるのです。
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ハイセイコー記念&ふたつの合理性

2021-11-18 19:05:14 | 地方競馬
 昨晩の全日本2歳優駿トライアルの第54回ハイセイコー記念
 イルヴェントは発馬で1馬身くらいの不利がありました。ノブレスノアがゆっくりとハナへ。2番手にミゲル。3番手にフォラステロとサブノリョウマ。この後ろは1馬身半くらい離れ,ナックファルコン。6番手にカイル。7番手にジュンブルームーン。8番手にハッピースパイラルとマロース。10番手にママママカロニとイルヴェント。12番手にミスターブラストとミネソタ。4馬身差の最後尾にキャッスルブレイヴという隊列。前半の800mは52秒1の超スローペース。
 ノブレスノアとミゲルは並んで直線に。3番手のフォラステロは内に進路を取りましたが,そこまで。ここからフィニッシュまでノブレスノアとミゲルが後ろを離しての競り合い。最後まで抜かせなかったノブレスノアが一杯に逃げ切って優勝。ミゲルがクビ差で2着。ミゲルの外から脚を伸ばしたカイルが2馬身半差で3着。大外から追い込んだママママカロニが1馬身差で4着。
 優勝したノブレスノアは南関東重賞初制覇。このレースはママママカロニの素質が上位でしたが,それはゴールドジュニアで見せた圧倒的な速力によるもの。距離が延びることが不利に働けば,ほかの馬の出番もあり得るという見立て。その場合はデビューから4連勝で鎌倉記念のトライアルを勝ち,鎌倉記念で3着だったノブレスノアが最有力候補。ただこのレースは楽なペースで先行した2頭が最後まで競り合うという内容で,展開が結果に大きく左右したといえますから,どこまで評価してよいかは分からない面も残ります。父は2004年にサラブレッドチャレンジカップ,2009年に黒船賞兵庫ゴールドトロフィー,2010年に兵庫ゴールドトロフィーを勝ったトーセンブライト。母の父はネオユニヴァース。3代母は1988年にフラワーカップとクイーンステークスを勝ったフリートーク
 騎乗した船橋の森泰斗騎手習志野きらっとスプリント以来の南関東重賞47勝目。第52回以来2年ぶりのハイセイコー記念2勝目。管理している浦和の小久保智調教師は南関東重賞52勝目。ハイセイコー記念は初勝利。

 哲学的な観点からは,以下の点に気を付けてください。
                                        
 Aという人間が現実的に存在していて,そのAの精神mensのうちにXの真の観念idea veraがあるとき,スピノザの哲学では,Aの精神の本性naturaを構成する限りで神DeusのうちにXの真の観念があると説明されます。つまり,Aの精神のうちにあるXの真の観念と,神の無限知性intellectus infinitusのうちにあるXの真の観念の形相formaは同一です。そしてAというのは任意の人間ですから,このことは万人に該当します。つまり,どんな知性のうちにあろうと,真の観念の形相というのは同一なのです。なのでXの真の観念というのは,数え上げるのならひとつしかないのであって,Xについて異なった複数の真の観念があるということはありません。そしてXというのも任意なので,これは万物に妥当します。すなわちどのような事物あるいは事柄であろうと,真の観念は同一でありまた唯一です。そしてスピノザの哲学では,真の観念の総体が真理veritasといわれるのですから,どのような事物であれ事柄であれ,真理は同一で唯一だということになります。
 これは僕が主体の排除といっている,スピノザの哲学の構造的理論を下支えするものです。そしてこのことに従えば,麻雀のある場面についても,真理は同一でかつ唯一なのですから,その場面でリーチを宣言するのも合理的な選択であり,リーチを宣言しないのも合理的な選択であるというのは不条理であるということになるでしょう。そしてこのことは確かにそうなのです。しかし,僕の説明がスピノザの哲学に照らし合わせたときに不条理であるというわけではありません。これは合理性の目安あるいは規準の相違によってどちらも合理的な選択であるといわれているのであって,同一の対象についてふたつの合理性があるといわれているのではありません。
 この場面に合わせて説明します。ここでパイレーツがリーチを宣言するという選択をしたなら,それは得点を獲得する可能性がいくらか減少するとしても,獲得すれば必ずトップになるという観点から合理的な選択です。これに対してリーチの宣言をしないというのは,得点の獲得と順位を上げる可能性を高めるという観点から合理的な選択なのです。
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リコー杯女流王座戦&リーチの判断

2021-11-17 19:38:59 | 将棋
 15日にみなとみらいで指された第11期女流王座戦五番勝負第二局。
 西山朋佳女流王座の先手で三間飛車。里見香奈女流名人が向飛車の相振飛車。後に相向飛車になりました。この将棋は僕には後手がうまくやっているようにみえたのですが,実際には接戦だったようです。
                                        
 第1図で先手は☗9五飛と回りました。ここは☗6五香と打つのも有力で,しかしそれは☖同銀☗同飛☖9三歩で攻めを継続するのが難しいという判断だったとのこと。確かにその局面でどう指すかは難しく,☗3二銀から☗4三銀成を目指すことになりそうですが,決着がつくのは先になりそうです。ただこの局面は先手が一気に勝てる局面ではなかったので,そう指す方がよかったでしょう。
 後手の☖3五桂に☗9九香と打ったのは継続手段なので仕方がないかと思いますが,直接的な敗着はこちらで,☗3九桂と受けておけば,先手玉は簡単には寄りません。☖9一香で大変という感想が残っていますが,元々が大変な局面だと判断しなければなりませんでした。
 ☖2七桂成☗同銀☖同飛成☗3九王☖7一玉☗5四桂に☖8一銀が先手が軽視していた受け。
                                        
 第2図は後手の攻めの方が早く,勝ちになっています。後手の方が読み勝っていた一局ということになるでしょう。
 里見名人が連勝。第三局は来月7日に指される予定です。

 12000点をサクラナイツから獲得しても,パイレーツは得点を上積みできるだけで,順位は上昇しません。しかしそれ以外の仕方で得点を獲得すれば,順位は上昇します。すなわちフェニックスが9筒か1索を捨てれば,パイレーツが2位でフェニックスが3位となって試合終了です。同様にアベマズがどちらかを捨てれば,パイレーツは2位,アベマズが3位で試合終了です。また,どちらかを自身で引いてくれば,パイレーツは1位まで上がり,親のデメリットの関係でフェニックスが2位,アベマズが3位で試合終了です。ですからこのテンパイは,パイレーツがリスクを冒してでも目指したテンパイに適合します。
 この手は,リーチをすると,ほかのプレイヤーの責任によって獲得することができる得点が,24000点にアップします。したがって,得点を獲得すれば必ずトップになります。なのでリーチをするという考え方もあるでしょうし,実際にパイレーツのプレイヤーである瑞原がそうしたように,リーチを宣言しないという方法もあると思います。これは各々のプレイヤーの考え方で,どちらが正しいというものではないでしょう。リーチを宣言した場合は必ずトップになるというメリットはありますが,他のプレイヤーの警戒度が上がる,すなわち得点を獲得することができる可能性は低減するというデメリットもあります。また,リーチを宣言する場合は1000点を支払わなければなりません。宣言して得点を獲得すればそれは回収できますが,そうでない場合,ほかのプレイヤーが得点を獲得したら,そのプレイヤーが回収し,だれも得点を獲得できないと,供託という形で没収されます。以降の局がある場合,最初に得点を獲得したプレイヤーがそれを回収します。1000点のこととはいえ,この局面ではそれを出すことにもリスクはあるでしょう。なのでプレイヤーはこれら以外にも様ざまなことを考えた上で,リーチをするかしないかを決定するのです。自分で引いてくればリーチをしてもしなくてもトップになるわけですから,他のプレイヤーにテンパイしていると気付かれているとしても,リーチをしないという判断にも合理性があるのです。
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竜王戦&能力の限界

2021-11-16 18:51:51 | 将棋
 12日と13日に宇部で指された第34期竜王戦七番勝負第四局。
 豊島将之竜王の先手で角換り相腰掛銀。この将棋は封じ手の前のところの先手の選択が誤りだったようで,2日目の午前中には不利に陥っていたようです。ただ後手の藤井聡太三冠が時間の切迫も相俟って最善を逃し,先手にもチャンスがある局面になりました。
                                        
 後手の飛車が成り込んだ局面。ここから☗4三桂成☖同玉☗5五桂☖同角と進みました。これは順当な進行でしょう。
                                        
 ここで☗3五桂☖5二玉☗5五銀と進めましたが,これが敗着となってしまいました。その局面は☖5六桂以下,先手の2二の歩が先手玉の逃げ道を塞いでしまっているため,詰みがあったからです。第2図で単に☗5五同銀と取っておけば,先手玉に詰みはありませんでした。この変化は感想戦で延々と並べられていて,はっきりとした結論は出なかったのですが,最善を尽くせば先手に勝ちがあったように思えます。
 4連勝で藤井三冠が竜王を奪取。竜王は初の獲得となります。

 僕にはアベマズのテンパイの形は4つにしか絞れません。ですが近藤は2つに絞っていたことになります。これは近藤がおかしな認識cognitioをしていたからではありません。そのことは,実際に近藤の推測が当たっていて,アベマズは3萬と4萬を持っていて,2萬か5萬で得点を獲得することができるテンパイになっていたという事実が何よりも物語っているといえます。つまり,僕には謎であるとしかいいようがない認識が近藤の知性intellectusのうちには発生しているのです。単純にいっても,僕はサクラナイツが捨てた牌とアベマズが捨てた牌および副露した牌によってアベマズがどのような形でテンパイをしているのかということを推論していますが,近藤はそれだけではなく,パイレーツの手の中とサクラナイツの手の中がどのようになっているのかということも予測した上で推論しているのは間違いなく,それだけでも僕の考察との差異は出てくる筈です。このあたりは僕の能力potentiaと麻雀のプロでありかつその場で打っている近藤の能力の差異というほかないのであって,近藤の認識がおかしいのではなく,僕の能力が足りていないということなのだと理解してください。
 これと同じようなことが,サクラナイツが4筒を手の中に残して4索を捨てたときにも生じていた可能性があります。すなわち,僕はその時点でアベマズがテンパイしていないのなら,4索をアベマズがチーする可能性は3分の1だといいましたが,やはり麻雀のプロでありその場で打っていた内川は,その条件の下で,4索をチーされる可能性についてもっと高いと認識していたかもしれません。要するに僕の考察というのは,麻雀のプロの知性のうちに発生する認識に対しては明らかに限界があるのです。なのでその点に関する僕の言及に関しては,そのことを前提とした上で理解してください。
 それではアベマズが4索をチーして以降の考察に入ります。
 この後すぐにパイレーツは8筒を引いてきました。これでパイレーツもテンパイを果たします。これは1索か9筒で得点を獲得することができる形のテンパイです。自分で引いてきた場合は32000点で,ほかのプレイヤーの責任だと12000点です。
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