スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

宝塚記念&薬局

2018-06-24 18:55:06 | 中央競馬
 香港から1頭が遠征してきた第59回宝塚記念
 サイモンラムセスがハナに立ち,押さえようとしたところでタツゴウゲキが並び掛けてきたのでまた仕掛けるという形での逃げに。その分もあって2馬身ほどの差がつき,タツゴウゲキが2番手。3番手はストロングタイタンとスマートレイアー。好位集団にミッキーロケット,ダンビュライト,ゼーヴィントの3頭。中団馬群にノーブルマーズ,サトノクラウン,ヴィブロス,サトノダイヤモンドの4頭。以下はステファノス,パフォーマプロミス,ワーザー,キセキの順で続き,少しだけ離れた最後尾にアルバート。最初の1000mは59秒4のミドルペース。
 サイモンラムセスは3コーナーを回っても3馬身ほどのリードがありましたが,向正面で外に出していたサトノダイヤモンドが外を捲り上げ,直線の手前で2番手に。この動きに呼応して各馬が動き,内を回っていたミッキーロケットが一杯になったサイモンラムセスに代わって先頭に。コーナーで脚を使っていたサトノダイヤモンドには余力がなく,先行・好位グループの各馬も脚を使えず,一旦はミッキーロケットが抜け出す形に。追ってきたのは大外を追い込んできたワーザーで,この2頭の優勝争い。フィニッシュまで凌いだミッキーロケットが優勝。ワーザーがクビ差で2着。勝ち馬と同様にロスなく内を回ってきたノーブルマーズが3着。最後でこれに迫ったヴィブロスがクビ差の4着。
 優勝したミッキーロケットは昨年1月の日経新春杯以来の勝利で大レース初制覇。大レースを勝つ能力があることは間違いなく,このレースはややメンバー構成が弱化していたこともあり,そのチャンスを掴んだという形。2着馬とはコース取りの差も大きく,枠順も味方しての勝利といえるでしょう。馬場が悪化すると明らかに成績が悪くなっていた馬で,稍重馬場まで回復していたのもプラスに作用していたのだろうと思います。父はキングカメハメハ
 騎乗した和田竜二騎手は2015年のかしわ記念以来の大レース10勝目。第41回以来18年ぶりの宝塚記念2勝目。管理している音無秀孝調教師は一昨年のマイルチャンピオンシップ以来の大レース10勝目。宝塚記念は初勝利。

 僕が妹の通院に付き添っている間に,母は磯子区役所内にある福祉事務所に出掛けていました。これは妹の今後について相談するためでした。母も具体的にどのような対処をすればよいのかは分かっていなかったようなのですが,休日に妹をカラオケやらボーリングやらに連れて行ってくれるガイドヘルパーの方に相談してみたところ,福祉事務所に行くべきであるという助言を受けたようです。母の死後に妹をどのように処遇するのかということについては,僕はノータッチでした。母がそのことについてあまり心配することなく死ぬことができるためには,それについて母がすべて決めるのがベストだと思ったからです。もちろん母がどのような決定をしようとも,僕はそれに従うことに決めていました。
 9月22日,金曜日。この日は妹の日帰り旅行がありました。観光バスを利用し,しながわ水族館を見学してホテルで食事をするというものです。観光バスは通所施設の前から出発することになっていましたので,その出発時間に間に合うように僕が妹を送りました。その帰りにI歯科に寄り,歯科検診の予約を入れてきました。また,前日の妹の通院の帰りに在庫が不足していた薬局にも寄ったのですが,この時間にはまだは届いていなかったので,入手することができませんでした。なお,薬局は共に根岸駅の近くにあるのですが,僕がインスリンなどを入手している薬局と,妹の薬を入手している薬局は別の薬局です。これはそれまでは妹の薬は母が取りに行っていたからで,僕が使っている薬局は個人営業のような形態の薬局であるのに対し,妹の薬を入手しているのは,チェーン店で,薬剤以外の品揃えが豊富なのです。このために母は僕が使っているのとは別の薬局に寄っていて,その流れで妹の薬はこちらの薬局で入手しています。ですから母が自分の薬を入手するというときにも,こちらのチェーン店の薬局を利用していました。一方,死んだ父はⅡ型糖尿病で,薬を服用していましたが,父は僕が行っているのと同じ薬局を使っていました。
 9月23日,土曜日。福祉事務所の方が来訪しました。午後4時半の予定でしたが,3時ごろに早まりました。
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農林水産省賞典安田記念&第四部定理七三

2018-06-03 19:04:27 | 中央競馬
 香港から1頭が遠征してきた第68回安田記念
 好発のレーヌミノルが一旦は抜けましたが,大外のウインガニオンが押していき,こちらの逃げに。譲ったレーヌミノルが2番手。3番手がアエロリットで4番手はキャンベルジュニア。この後ろにスワーヴリチャード,ペルシアンナイト,ウエスタンエクスプレス,サングレーザーの4頭。その後ろにダッシングブレイズ,モズアスコット,リアルスティールの3頭でしたが,モズアスコットは向正面で控えるシーンがあり,やや位置取りを下げました。ここまでは一団。2馬身ほど離れてヒーズインラブとリスグラシューが追走。また2馬身ほど離れて発馬で1馬身ほどの不利があったサトノアレス,レッドファルクスの順で続き,2馬身差の最後尾がブラックムーン。前半の800mは45秒5のミドルペース。
 4コーナーを回ってウインガニオンが一旦はリードを広げました。レーヌミノルはここで一杯になり,アエロリットとその外に持ち出したスワーヴリチャードが追ってくる形。この2頭が競り合いながらウインガニオンを捕えると,2頭の間からモズアスコット,スワーヴリチャードの外にサングレーザー,さらに大外からサトノアレスも追ってきて優勝争いは5頭。最後に脚を使うよう形になった内から2頭目のモズスコットがこの競り合いを制してレコードと同タイムで優勝。最内のアエロリットがクビ差で2着。真中のスワーヴリチャードが4分の3馬身差で3着。大外のサトノアレスが半馬身差の4着で外から2頭目のサングレーザーがクビ差で5着。
 優勝したモズアスコットは重賞初制覇を大レースで達成。デビューが3歳6月と遅く,3戦目となった7月に初勝利をあげるとそこから500万,1000万,1600万と立て続けに勝ってオープンに。オープン初戦の阪神カップで勝ち馬から約2馬身半差の4着に入り,キャリアからしてこの時点で将来の大レース優勝馬候補になったと思っていました。今年の3戦はいずれも2着と勝てていませんでしたが,安定して走っていましたから,ここも優勝候補の1頭。人気がやや下がっていたのは前走が先週のオープン特別だったためでしょう。ただ,競り合った馬たちの中では脚を最後に使うことができるようになった展開が味方したのは事実で,大レースを勝つ能力はあるけれども,抜けた能力があるというわけではないと思います。8代母がクヰックランチの半姉にあたります。
                                     
 騎乗したクリストフ・ルメール騎手は先々週のオークス以来の大レース制覇。安田記念は初勝利。管理している矢作芳人調教師は一昨年のジャパンダートダービー以来の大レース7勝目。安田記念は初勝利。

 第四部定理三五は,人間は理性ratioに従う限りでは本性naturaが一致するといっています。これはすべての人間が自由の人homo liberであるなら,すべての人間の本性が一致するという意味です。第四部定理四から,そうしたことが実際に生じることはあり得ないことになりますが,もし現実的に存在する人間のすべてが,自身の理性に従うのであれば,いい換えれば現実的に存在するすべての人間が自由の人として振る舞うのであれば,すべての人間の本性が一致するのですから,現実的に存在する場合の本性を意味する人間の現実的本性actualis essentiaもまた一致することになるでしょう。
 現実的本性が一致するということは,何が喜びlaetitiaであり何が悲しみtristitiaであるのか,他面からいえば何が善bonumであり何が悪malumであるのかということもすべての人の間で一致するということです。したがって何を希求し何を忌避するのかという意味で,何を欲望するのかということも一致することになります。このために人間は理性に従う限りでは,自分自身に対して欲望することのすべてを他人のためにも同じように欲望することになります。これを具体的に示しているのが第四部定理三七であるということになります。
 したがって,現実的には不可能な理想的な状態ではあるものの,このような状態においては一人ひとりの人間が万人に対して自身の自然権jus naturaleの一部を譲渡し合うようになるでしょう。なぜならそうした方がより自由libertasにまたより安全に生活することができるようになることは自明であるからです。他面からいえばより多くの喜びを享受でき,より多くの悲しみを忌避できることは明白であるからです。これはひとりのなし得ることよりふたりのなし得ることの方が多く,したがってすべての人によってなし得ることは,ひとりでなし得ることより遥かに強大になるということから明らかでしょう。
 よって理性に従う人は,より多くの人間が共同で決定する集団での生活を希求します。それを示したのが第四部定理七三です。
 「理性に導かれる人間は,自己自身にのみ服従する孤独においてよりも,共同の決定に従って生活する国家においていっそう自由である」。
 ここに自然権の譲渡の意義があります。
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東京優駿&食あたり

2018-05-27 19:06:21 | 中央競馬
 第85回日本ダービー
 エポカドーロの逃げになりました。ジェネラーレウーノが2番手でダノンプレミアムが3番手。コズミックフォースが4番手でしたがこの3頭は集団。その後ろもテーオーエナジー,ワグネリアン,ブラストワンピースの順ではありましたが3頭が集団。ゴーフォザサミットとサンリヴァルがその後ろ。タイムフライヤーとステイフーリッシュがその後ろ。この後ろは単独でオウケンムーン。以下,ジャンダルム,グレイル,エタリオウ,と続き,キタノコマンドールとステルヴィオの2頭が一団の最後尾。少し離れてアドマイヤアルバが最後尾を単独で追走という隊列。最初の1000mは60秒8の超スローペース。
 直線に入って逃げるエポカドーロに並んでいったのがコズミックフォース。そしてその外にワグネリアン。ダノンプレミアムは内にいたため進路の確保が難しく,最終的にはエポカドーロとコズミックフォースの間へ。コズミックフォースが並ぶとエポカドーロがまた伸びるという感じで,エポカドーロはコズミックフォースの追撃は凌いだものの,コズミックフォースの外のワグネリアンが坂を上り切ってからまた伸び,エポカドーロを差し切って優勝。よく粘ったエポカドーロが半馬身差で2着。コズミックフォースがクビ差の3着。先行馬が上位を独占する中,差し脚を発揮したエタリオウがハナ差で4着。ワグネリアンとエタリオウの間のブラストワンピースがハナ差の5着でダノンプレミアムがアタマ差で6着。
 優勝したワグネリアンは昨年11月の東京スポーツ杯2歳ステークス以来の勝利で大レース初制覇。そこまで3連勝してクラシックの有力候補に。そのまま休養して今年の2戦は弥生賞が脚を測るような内容で2着。皐月賞は何らかの理由でまったく力を出せずに敗戦していましたので,巻き返せれば有力候補の1頭。スローペースになることを見越したのか,それともそうしなければダノンプレミアムを負かすことは難しいと判断したのかは不明ですが,今日は今までよりずっと前の位置でのレースになりました。それがこの優勝の大きな要因になったといえるのではないでしょうか。ペースの関係でどうしても着差がつかないレースになってしまいましたが,2着馬は皐月賞馬ですから,少なくともこの2頭は現3歳世代でトップレベルにあるのは間違いなさそうです。父は第72回を制したディープインパクトで父仔制覇。母の父は第71回の覇者であるキングカメハメハ。祖母は2000年にシルクロードステークスと根岸ステークス,2001年にかきつばた記念とシリウスステークスとプロキオンステークス,2002年にガーネットステークスを勝ったブロードアピール。Wagnerianはワーグナーのファン。
 騎乗した福永祐一騎手は川崎記念以来の大レース29勝目。日本ダービーは初勝利。管理している友道康夫調教師は昨年のジャパンカップ以来の大レース10勝目。第83回以来2年ぶりの日本ダービー2勝目。

 人間の現実的本性actualis essentiaは喜びlaetitiaを希求し悲しみtristitiaを忌避するようになっています。いい換えれば第四部定理八により,人間は現実的本性に則す限りでは善bonumを追求し悪malumを忌避するようになっているのです。したがって,ある人間にとっての悪が,その当人の現実的本性だけを原因として生じることはありません。すなわち,ある人間の現実的本性が,その人間にとっての悪の十全な原因causa adaequataであることはないのです。ですから現実的に存在するある人間に悪が訪れることがあるとすれば,それはその人間が何らかの外部の物体corpusと接触する,関係を有する限りでのことです。
                                     
 ドゥルーズGille Deleuzeは『スピノザ 実践の哲学』の中で,スピノザの哲学において悪とは喩えるなら食あたりのようなものであるという意味のことをいっています。これは喩えとして非常に秀逸であると僕は考えます。これは悪が外部の物体との関係の中でしか生じ得ないということを示すとともに,悪が諸個人によって異なり得るということも示すからです。実際,あるものAを食べたとしても,食あたりを起こす人間もいれば起こさない人間もいます。よってAは,食あたりを起こす人間にとっては悪であるでしょうが,起こさない人間にとっては悪ではあり得ません。むしろその人がAを食べて美味であると感じるなら,その人にとってAは善であるでしょう。このように,同一の物事が異なった人間によって善とみなされたり悪とみなされたりすることがあるのです。したがって,何か普遍的な善とか普遍的な悪というものがあるわけではないのです。ですから彼女の行動をある人は不快と感じ,よってその行為ならびにその行為をなす彼女を悪と判断するでしょうが,彼女自身にとってはそれは善であるということは前提にならなければなりません。その行為を彼女自身に対して否定することが誤りである,少なくともナンセンスであるということは,このことからより明らかであると思います。
 もう少し食あたりの例を用いましょう。もしあるものXがあって,そのXを食べれば万人が食あたりを起こすとします。ある種の毒はこの例を成立させる筈です。この場合には万人にとってXが悪であるということは成立し得ます。
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優駿牝馬&思い込みの要因

2018-05-20 19:00:18 | 中央競馬
 第79回オークス。トーセンブレスが左の前脚の蹄の底の内出血で出走取消となり17頭。
 1コーナーの手前で先頭に立ったサヤカチャンの逃げ。向正面に入るあたりで4馬身,ここから3コーナーにかけて10馬身近くの差をつける大逃げに。単独の2番手にランドネ。2馬身差の3番手にリリーノーブル。また2馬身差の4番手にカンタービレ。以下は概ね1馬身差でラッキーライラック,アーモンドアイ,レッドサクヤの順で続きまた1馬身差でマウレアとサトノワルキューレ。1馬身差でオールフォーラヴ。1馬身差でパイオニアバイオとウスベニノキミの2頭。また1馬身差でシスターフラッグ,さらに1馬身差でロサグラウカ。ここから2馬身差でトーホウアルテミス。4馬身差でウインラナキラ。2馬身差の最後尾にオハナという隊列。最初の1000mは59秒6のミドルペース。
 直線に入るところでサヤカチャンと2番手の差は6馬身。ランドネ,リリーノーブル,カンタービレの3頭が並びながら差を詰め,リリーノーブルが抜け出しました。この外へ出したのがアーモンドアイで,ラッキーライラックは一旦はリーリ―ノーブルの内から追おうとしたものの再び外へ。スムーズに追い上げたアーモンドアイが抜け出したリリーノーブルをあっさりと捕えて優勝。リリーノーブルは2馬身差の2着。伸び脚を欠いたラッキーライラックは1馬身4分の3差で3着。
 優勝したアーモンドアイ桜花賞に続いて2冠を達成。距離延長がプラスにはならないと思いましたが,1頭だけが離してペースを作るレースになり,それ以外の馬たちにとってはスローペースで総合的なスタミナ争いにはならなかったので,桜花賞の内容からは当然の優勝といえるでしょう。ただ,これまでとは違ってわりと前の方に位置した上で,確たる力量がある2着馬と3着馬を圧倒したというのは,大きな収穫であったと思います。この馬は相当な器で,ブエナビスタとかジェンティルドンナに比するような活躍を期待していいかもしれません。おそらく7着のパイオニアバイオあたりまで,能力に相応した決着となっているレースと思われます。父はロードカナロア。母がフサイチパンドラで祖母がロッタレース
                                     
 騎乗したクリストフ・ルメール騎手はかしわ記念以来の大レース制覇。第78回に続く連覇でオークス2勝目。管理している国枝栄調教師は桜花賞以来の大レース13勝目。第71回以来となる8年ぶりのオークス2勝目。

 直線の一端が固定しもう一端が運動することを肯定する意志作用volitioが円の観念ideaの,また半円が直線部分を軸に一回転することを肯定する意志作用が球の観念の,それぞれ起成原因causa efficiensを構成していると僕たちが思い込んでしまうのには,ふたつの理由をあげられます。ひとつは僕たちが僕たち自身に意志voluntasの自由libertasがあると思い込んでしまうことであり,もうひとつは現実的に直線あるいは半円が存在しているとき,それが所定の運動motusをなすなら,確かに円や球が作図ざれるということを僕たちが表象してしまうことです。
 第一の点に関していえば,僕たちには意志の自由があるわけではないということ,なかんずく,一端が固定されもう一端が運動する直線を肯定する意志作用と円の十全な観念とは同じものであり,直線部分を軸に一回転することを半円に対して肯定する意志作用と半円の十全な観念は同一であるということを知れば,容易に避け得るでしょう。いい換えれば意志作用の方が観念の起成原因ではないということを理解し得るでしょう。
 第二の点については,第四部定理四からして,僕たちは受動passioすなわち働きを受けるpatiことを免れることは現実的に不可能なので,その表象imaginatio自体を避けるということは不可能です。ただ,僕たちはそれが表象であるということを知ることはできるわけですから,虚偽と誤謬の差異によって,それを真理veritasと思い込まないことは可能です。いい換えれが僕たちはそうした虚偽falsitasが僕たちの精神mensないしは知性intellectusのうちに発生するということを避けることは不可能ですが,それを虚偽であると知ることによって,誤謬errorは犯さずにすむでしょう。いい換えればこの仕方で形成される円や球の観念が,混乱した観念idea inadaequataであるということを知ることができるでしょう。さらにいえば,それを虚偽と知り得る限りにおいては,僕たちがこうした表象をなすことは,円や球を十全に認識するにあたっても役立ち得るかもしれません。第二部定理一七備考では表象は力potentiaであるという意味のことがいわれていますし,第四部定理一では誤った観念すなわち混乱した観念に積極的なものがあると暗示されていますが,こうした円や球の表象は,それに該当するのかもしれません。
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ヴィクトリアマイル&よい定義

2018-05-13 18:49:36 | 中央競馬
 第13回ヴィクトリアマイル
 クインズミラーグロは立ち上がるような発馬でほかの馬より3馬身ほど遅れました。先手を奪ったのはカワキタエンカ。2番手にレーヌミノルとリエノテソーロ。4番手にレッドアヴァンセとアエロリット。6番手はレッツゴードンキとラビットラン。8番手がミスパンテールとジュールポレール。10番手にアドマイヤリードとソウルスターリング。12番手にエテルナミノル,リスグラシュー,デンコウアンジュの3頭。15番手以降にメイズオブオナー,ワントゥワン,デアレガーロの順で続き,クインズミラーグロだけが17頭から3馬身ほど開いての最後尾という隊列。前半の800mは46秒8の超スローペース。
 直線に入るところでカワキタエンカにリエノテソーロが並び,その外にアエロリットで最内に進路を取ったのがレーヌミノル。カワキタエンカとリエノテソーロはすぐに脱落。レーヌミノルもその後で一杯になり,先頭に立ったアエロリットの外にレッドアヴァンセ。さらに外からジュールポレールで大外からリスグラシューも伸びてきて4頭の争い。アエロリットはレッドアヴァンセに前に出られてからまた巻き返しましたが,3頭には及ばず。3頭の真中のジュールポレールが激しい争いを制して優勝。大外のリスグラシューがハナ差で2着。内のレッドアヴァンセがクビ差で3着。さらに内のアエロリットは半馬身差で4着。
 優勝したジュールポレールは重賞初制覇を大レースで達成。一昨年の10月から昨年の3月にかけて条件戦を3連勝してオープン入り。昨年もヴィクトリアマイルに挑戦して3着。9月に降級した準オープンを即卒業してまたオープンに。エリザベス女王杯はおそらく距離の影響で大敗。その後は休養して前哨戦の阪神牝馬ステークスを使ってここに向かっていました。明らかにここを狙ったローテーションで,昨年の成績から考えれば優勝しておかしくない1頭。着差からいっても,また雨の影響で力を出し切れなかった馬もいた筈で,これでトップに立ったとまではいえないでしょう。距離が伸びるのはおそらくマイナスで,牡馬相手に通用するかもやや微妙な面があるかと思います。父はディープインパクト。5つ上の半兄は2010年に東京スポーツ杯2歳ステークス,2011年に弥生賞,2012年に京王杯スプリングカップとマイルチャンピオンシップ,2014年に中京記念を勝ったサダムパテック。Jour Polaireはフランス語で白夜。
 騎乗した幸英明騎手は昨年の高松宮記念以来の大レース制覇。ヴィクトリアマイルは初勝利。管理している西園正都調教師は2012年のマイルチャンピオンシップ以来の大レース5勝目。ヴィクトリアマイルは初勝利。

 それが共に定義Definitioの条件を構成するとみられる限りで,本性essentiaの条件と発生の条件は対立するわけではありません。それらは共に,定義される事物の存在existentiaを定立するという要件を満たす上に,定義された事物の特質proprietasのすべてを帰結させるという要件も満たすからです。そしてこれらの要件を満たすなら,定義における定義される事物の発生自体は,虚構で構わないとスピノザはいうのです。この考察との関連では,このときにスピノザが何をもって虚構といっているかを正確に把握しておく必要があります。
 平面上に1本の直線があり,この直線の一端が固定してもう一端が運動すると,平面上すなわち二次元上に円という図形が描かれることになります。これは円の発生を十全に示しているといえるでしょう。したがってここからは円という図形が有するすべての特質が帰結します。よってこれは円のよい定義であるとスピノザはいいます。
 同様に,半円という図形があるとしましょう。この半円が直線部分を軸として一回転すると,三次元上に球という図形が生じることになります。これは球の発生を十全に示しています。よってここからは球という図形が有しているすべての特質を帰結させることができます。ですからこれは球のよい定義であるということになります。
 ここでよい定義というのは,それ以上の定義はない,すなわち最善の定義であると意味であって,円の定義とか球の定義というのは上に示したような定義でなければならないという意味を有します。たとえば円についていえば,中心からの距離がすべて等しい二次元の図形という説明はあり得ますが,これは円の発生を示すことはできません。ですからそれは円の定義ではないのです。むしろ,中心からの距離が等しいということは,一端が固定しもう一端が運動して作成される図形ということから帰結することです。したがってそれは円の特質であるということになります。球もまた同様に,中心からの距離が等しい三次元上の図形という説明があり,それは球の説明としては正しいすなわち真verumであるのですが,球の発生を示してはいないので,直線部を軸とした半円の回転から帰結する特質なのです。
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NHKマイルカップ&現実的保証

2018-05-06 18:56:27 | 中央競馬
 第23回NHKマイルカップ
 カツジとプリモシーンはほかの16頭より1馬身から2馬身くらい遅れるような発馬。まずダノンスマッシュが先頭に立ちましたが,内から制したテトラドラクマの逃げに。2番手以下はダノンスマッシュ,フロンティア,ファストアプローチ,ミスターメロディの順で続き,その後ろにギベオンとカシアスの2頭。その後ろはカツジ,リョーノテソーロ,パクスアメリカーナ,ロックディスタウンの4頭。さらにタワーオブロンドンが続いてアンコールブリュとレッドヴェイロンの2頭もほぼ同じ位置。以下はプリモシーン,ルーカス,ケイアイノーテック,デルタバローズと続きました。前半の800mは46秒3のミドルペース。
 直線に入るところでもテトラドラクマが先頭でしたが,ダノンスマッシュとミスターメロディが外から並び掛けました。このときダノンスマッシュとミスターメロディの間に間隔があったのでギベオンがそこを突いて先頭に。内の2頭は追えませんでしたが外のミスターメロディとさらに外から伸びてきたレッドヴェイロンの2頭がギベオンを追い掛ける形。ミスターメロディは脱落し,ギベオンはレッドヴェイロンの追撃は一杯に凌ぎましたがさらに外から差してきたケイアイノーテックの伸び脚が優り,フィニッシュの直前で差し切って優勝。レースの展開面から仕方がなかったのですが結果的にやや早仕掛けとなってしまったギベオンがクビ差の2着。レッドヴェイロンがアタマ差で3着。
 優勝したケイアイノーテックは重賞初勝利で大レース制覇。とはいえ昨年6月に新馬を勝った後,デイリー杯2歳ステークスが3着で朝日杯フューチュリティステークスも4着。今年に入って初戦の500万は2着でしたが3月に勝ち上がり,トライアルのひとつであるニュージーランドトロフィーで2着と,きわめて安定した成績を収め,重賞は手が届くところまできていました。上位が大接戦となったように,能力的に抜けているというわけではなく,同じようなメンバーで戦えば,互いに勝ったり負けたりという結果が続いていくものと思われます。父はディープインパクト。母は2010年のプロキオンステークス,2011年のカペラステークスに勝ったケイアイガーベラ。Nautiqueはフランス語で航海。
                                     
 騎乗した藤岡佑介騎手は2012年の全日本2歳優駿以来の大レース3勝目。NHKマイルカップは初勝利。管理している平田修調教師は2日のかしわ記念に続いての大レース5勝目。第17回以来6年ぶりのNHKマイルカップ2勝目。

 ある人間の精神mens humanaないしは知性intellectusの全体が十全な原因causa adaequataになっている場合がその人間の精神ないしは知性の能動actioであるわけでなく,この精神ないしは知性の一部を構成している十全な観念idea adaequataが原因となって別の観念が発生する場合も,この人間の精神ないしは知性の能動であるということは,ここまでの説明からお分かりいただけたものと思います。そしてこれが分かれば,第二種の認識cognitio secundi generisにおける十全性ないしは真理性の保証も,十全な原因と十全な観念の間に不可分離的な関係があるということから説明することができます。
 一方,第二部定理一一系の具体的意味から,Aという人間の精神ないしは知性のうちにXの混乱した観念idea inadaequataがあるということは,Aの精神ないしは知性の本性naturaを構成する,いい換えればAの身体corpusの観念を有するとともに,ほかのものの観念を有する限りで神のうちにXの十全な観念があるということでした。このことを利用すれば,Aの精神あるいは知性のうちにあるXの混乱した観念が原因となって別の観念が発生する場合は,単にそのXの観念が部分的原因causa partialisとなっているわけではなく,Aの精神ないしは知性が部分的原因であると解してよいということも説明できます。なぜなら,Aの身体の観念を有するとともにほかの観念を有する限りで神のうちにある観念から生じる観念は,同様に,Aの身体の観念を有するとともにほかのものの観念を有する限りで神のうちで十全であるからです。しかしこのことは同じことの繰り返しになりますし,観念の真理性すなわち十全性の保証を求めるためには役立ちませんから,割愛します。
 次に,第二種の認識というのは共通概念notiones communesを基礎とした認識です。そして人間は現実的に存在するなら,必ずその精神の一部は共通概念によって組織されます。これは第二部定理三八系から明白です。したがって第二部定理四〇が観念の十全性を保証するというのは,論理的にそうであるということだけを意味しているわけではなく,現実的にそれを意味していることになります。いい換えればこの保証は現実的なものである,とくに僕たちの精神ないしは知性がそれ単独で把握される場合に現実的なものであるということになります。
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天皇賞(春)&神のうちの観念

2018-04-29 19:08:09 | 中央競馬
 第157回天皇賞(春)
 ヤマカツライデンが好発から先頭に立ちましたが,外からトミケンスラーヴァが追い掛けてきて1周目の3コーナーに掛けて競り合いに。ヤマカツライデンが譲らずにハナ,トミケンスラーヴァが2番手で落ち着き1周目の正面へ。3番手以下はガンコ,シュヴァルグラン,カレンミロティック,ソールインパクト,ミッキーロケット,クリンチャーの順で続きここまでは一団。少しだけ間があってチェスナットコート。また少しだけ間があってトーセンバジル。さらに2馬身ほどで後方集団の一番前にレインボーライン。その後ろにサトノクロニクル,アルバート,ピンポン,シホウの順で5頭が集団。やや離れてトウシンモンステラ。またやや離れてスマートレイアーが最後尾という隊列。最初の1000mは60秒1のミドルペース。
 ヤマカツライデンはさほどペースを上げたわけではないのですが,2番手以降が控えたために2コーナーから2周目の向正面にかけて2番手以降との差が12馬身ほどに。これが3コーナーに掛けて徐々に縮まっていき,ガンコ,シュヴァルグラン,トーセンバジルの3頭が雁行で追っていきました。直線に入ってヤマカツライデンは一杯。ガンコが先頭に立ったものの外のシュヴァルグランとの手応えの差は歴然としていて,あっさりとシュヴァルグランが先頭に。追ってきたのは最内からミッキーロケット,シュヴァルグランをマークするように外からクリンチャー,トーセンバジルの直後からクリンチャーの内に入り,ミッキーロケットとシュヴァルグランの間に進路を取ったレインボーライン,大外から追い込みをかけたチェスナットコートの4頭。レインボーラインがよく伸び,シュヴァルグランを内から捕えて優勝。粘り込みを図ったシュヴァルグランがクビ差で2着。最後はシュヴァルグランと同じ脚色になってしまったクリンチャーが半馬身差で3着。最内のミッキーロケットがクビ差の4着で大外のチェスナットコートは4分の3馬身差で5着。
 優勝したレインボーラインは前哨戦の阪神大賞典からの連勝で大レース初制覇。このレースはシュヴァルグランが格上で,長距離への適性も高いので,それ以外の馬が勝つシーンをあまりイメージできなかったのですが,こちらは大レースでの上位入着があり,距離も苦にしないので,シュヴァルグランが負けてしまう場合には最も勝つ可能性が高いだろうなと思っていました。このレースはシュヴァルグランが王道のレース運びをして抜け出し,力は出したものと思います。レインボーラインは直線の進路選択が巧みで,その分だけ差し切ることができたということではないでしょうか。意外に人気にはならないタイプなので,馬券的な妙味は高い馬です。父はステイゴールド。6つ上の半姉に2010年にローズステークスを勝ったアニメイトバイオ。7代母がレディチャッターの3代母にあたります。
 騎乗した岩田康誠騎手は2015年の桜花賞以来の大レース制覇。第137回以来10年ぶりの天皇賞(春)2勝目。天皇賞も2勝目。管理している浅見秀一調教師は2008年の桜花賞以来の大レース制覇。第117回以来20年ぶりの天皇賞(春)2勝目。天皇賞も2勝目。

 真理veritasであるか虚偽falsitasであるかの保証が具体的にどうなされるかということは,ふたつの観点から別々の説明をする必要があると僕は考えます。ひとつはある観念ideaが神Deusの無限知性intellectus infinitusの一部を構成しているとみられる場合であり,もうひとつは観念がたとえば僕たちの知性とだけ関連付けられる場合,いい換えればそれが人間の知性のうちにあるとみられる場合です。
                                
 すでに示したように,第二部定理三二により観念は神に関係づけられる限りではすべて真の観念idea veraです。そして真の観念である観念はすべからく十全な観念idea adaequataであるのですから,それらはすべて十全な観念です。いい換えれば無限知性のうちには混乱した観念idea inadaequataすなわち誤った観念は存在しないのです。ですから,神のうちにある観念がすべて十全adaequatumであるということが論証されれば,それが真理であるということは担保されるのであり,それ以上の説明は必要とされません。
 第二部定理七系は,神の無限な本性infinita Dei naturaから形相的にformaliter,すなわち知性の外に起こるすべてのことの観念が,神の思惟の属性Cogitationis attributumから客観的にobjectiveすなわち知性のうちに観念として生じるということを示しています。ですからこの系Corollariumの意味のうちには,神のうちにある観念はすべて十全であるということが含まれています。なぜなら第二部定理七により,観念と観念されたものideatumの原因と結果の連結connexioと秩序ordoは同一であるからです。スピノザはこの定理を証明するときには,第一部公理四だけを援用していますが,この公理Axiomaだけを援用してこの定理が証明されるということの意味として,第二部定理七でいわれている物というのが,物体corpusというようなことではなく,観念されたものであるということが含まれていなければならないからです。
 したがって,第二部定理七系は,すでに神のうちにある観念がすべて真理であるということを具体的に保証しているのです。この系は観念の本来的特徴denominatio intrinsecaによって神のうちにある無限に多くのinfinita観念がすべて十全であるといっているのに等しいからです。よって外来的特徴denominatio extrinsecaに言及している第二部定理三二がそれを保証するのではありません。むしろスピノザの証明Demonstratioにあるように,この定理は第二部定理七系によって担保されるのです。
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皐月賞&憎しみによる審判

2018-04-15 18:54:49 | 中央競馬
 第78回皐月賞
 押していったアイトーンがハナに。好発だったジェネラーレウーノに追い上げたジュンヴァルロが並び掛けて2番手は併走。この3頭で後ろを10馬身以上引き離すレースになりました。単独の4番手がエポカドーロ。5番手にケイティクレバーとサンリヴァル。7番手がマイネルファンロンで8番手にスリーヘリオス,タイムフライヤー,ダブルシャープの3頭。11番手はオウケンムーンとジャンダルム。13番手以下はワグネリアン,グレイル,ステルヴィオ,キタノコマンドールの順で追走。前半の1000mは59秒2の超ハイペース。
 3コーナーを回っても前の3頭と4番手との差は10馬身ほど。ここからようやく差が詰まっていきました。前の3頭の中から抜けたのはジェネラーレウーノ。離れた4番手で追走していたエポカドーロが,追いついていく勢いのままジェネラーレウーノを楽々と抜き去り,そのまま抜け出して優勝。エポカドーロの後ろからそれを追うように上がっていったサンリヴァルが2馬身差で2着。これらより後ろの馬は3着争いが精一杯。しかし1馬身4分の3差の3着も先行3頭から抜け出していたジェネラーレウーノが確保。そのすぐ外のステルヴィオがクビ差の4着で大外のキタノコマンドールがハナ差で5着。その2頭の間のグレイルがハナ差で6着。
 優勝したエポカドーロは重賞初勝利での大レース制覇。昨年10月の新馬を2着の後,一息入って今年の1月に復帰。未勝利を2馬身半差で勝つと500万条件も3馬身半差で連勝。前哨戦のひとつであるスプリングステークスに出走してハナ差の2着。それまでの経験値を考慮すればこの2着は非常に価値が高いもので,ここも優勝候補の1頭と考えていました。レースがやや特殊な展開になりましたので,楽勝といっていいほどの内容ほど能力が抜けていない可能性はあると思いますが,先行力があるということは将来にわたってもこの馬の大きな武器になるだろうと思います。父は第71回を制したオルフェーヴルで父仔制覇。母は2005年にフェアリーステークス,2006年にフィリーズレビューを勝ったダイワパッション。11代母がバレークイーンの7代母。Epoca d'Oroはイタリア語で黄金の時代。
 騎乗した戸崎圭太騎手は2016年のジャパンダートダービー以来の大レース制覇で大レース15勝目。皐月賞は初勝利。管理している藤原英昭調教師は2016年のヴィクトリアマイル以来の大レース制覇で大レース14勝目。皐月賞は初勝利。

 第四部付録第二四項は,憤慨indignatioという感情affectusをとくにとりあげて,それが公平という外面性を有しているとし,しかしそれは憎しみodium,他者に対する憎しみと同様に,憎んでいる他者に害悪を与えようとさせる感情であるから,社会正義に反するのであるといっています。このことの意味も軽く考えてはいけないと僕は思っています。スピノザはここで,憤慨のような感情でさえ,憎しみの一種である以上は社会正義に反すると強く主張していると解するからです。
                                
 憤慨は第三部定理二二の様式で発生する感情です。たとえば,ある人間がどこかの路上で無差別に多数の人間を銃殺したとしましょう。このときこの事件の被害者と無関係の人であっても,この殺人者に対しては憤慨するのではないかと思います。まして被害者の関係者,家族とか友人であったならなおさらそうでしょう。ところがスピノザがいっているのは,たとえこのような場合でも,個人が抱く憤慨という感情は一律的に社会正義に反するということなのです。たぶんスピノザが憤慨は公平の外観を帯びているというとき,想定されているのはこのような憤慨であると僕は考えています。そして実際に僕たちは,この種の憤慨を抱くことこそが社会正義なのであって,不正義injustitiaは殺人者の側にあると判断するのではないでしょうか。スピノザはそのことを否定しているのです。実際にその後に続いてる文章は,もし他人の行為について自己の権利jusを擁護することが各人に許されるという場合だけでなく,他人の権利を擁護することが各人に許される場合についても記述されていて,その場合には僕たちは無法律で暮らすことになるといっているのですから,少なくともスピノザがここで僕が例示したようなことをも想定していることは疑い得ないでしょう。
 諸個人の審判というのは社会においては正義justitiaではありません。ましてそれが憎しみによって審判されるなら,それがたとえ憤慨のような憎しみであってさえ,社会正義には反するのです。この種の審判を正当化することと,排他主義者が自身の排他的思想を正当化することは,実は同じことなのだということを僕たちはよく知っておく必要があるといえるでしょう。
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農林水産省賞典中山グランドジャンプ&第四部付録第二四項の意味

2018-04-14 18:57:35 | 中央競馬
 第20回中山グランドジャンプ
 発走直後はメイショウアラワシ,オジュウチョウサン,クランモンタナ,アップトゥデイトの4頭が集団で先行。1周目の正面に入るとこの中からアップトゥデイトが抜け出して単独の逃げ。オジュウチョウサンが2番手に。この後,マイネルクロップが徐々に上昇してきて1周目の2コーナーで3番手まで上がると最初の大障害コースではアップトゥデイト,オジュウチョウサン,マイネルクロップの3頭が集団に。大障害コースを出るとアップトゥデイトとマイネルクロップが抜けて控えたオジュウチョウサンが3番手。4コーナーから3コーナーにかけてのコーナーワークでアップトゥデイトがマイネルクロップの前に出ると向正面では単独の先頭を奪い返しました。3番手がオジュウチョウサン,4番手にクランモンタナ,5番手がシンキングダンサー,6番手がニホンピロバロンという隊列に。
 このまま2回目の大障害コースを通過。1コーナーではオジュウチョウサンが2番手に上がり,内を回ってきたニホンピロバロンが3番手。マイネルクロップとクランモンタナは離され始め,外からシンキングダンサーが上昇。ただ前の3頭との差は向正面に入っても詰まらず,この時点で前3頭の争いに。3コーナーを回るとオジュウチョウサンがアップトゥデイトを抜いて先頭に。ここからはワンサイドで後続との差を広げていき,従来のタイムを3秒6も更新する破格のレコードで優勝。絡んできたマイネルクロップが殿負けを喫している上に直線に入る前に抜かれてしまったアップトゥデイトには非常に厳しい展開でしたがよく粘って2秒4の大差ながら2着を確保。最後はまたアップトゥデイトに差を広げられる形でニホンピロバロンは9馬身差の3着。
 優勝したオジュウチョウサンはここが中山大障害以来の実戦。これで9連勝となる障害重賞9勝目。大レースは5勝目。中山グランドジャンプは第18回,19回に続いての三連覇。昨年暮れの中山大障害はアップトゥデイトに接戦での勝利でしたが,距離が少しでも伸びるのはこちらに有利。ただこちらは久々の実戦だったのに対し,アップトゥデイトは先月の阪神スプリングジャンプを8馬身差で圧勝したように,順調さでは上回っていましたから,逆転というケースもあり得るとは思っていました。大差の決着になったのは,道中のペースが速くなり,それが味方してくれたためでしょう。2着馬も相当に強い馬ですが,こちらもそれをマークする位置でレースを進めていたわけですから,さらに強い馬というのは間違いありません。日本の障害レース史の中でも屈指の名馬でしょう。父はステイゴールド。母の父はシンボリクリスエス。ひとつ上の全兄に2013年にラジオNIKKEI賞を勝ったケイアイチョウサン
 騎乗した石神深一騎手と管理している和田正一郎調教師は共に中山大障害以来の大レース制覇で大レース5勝目。

 第四部付録第二四項は憤慨indignatio一般,もっと広く捉えれば憎しみodium一般は社会正義に反するといっていますが,だからといって法律lexはそれを禁ずるべきであるということを主張するのではありません。そのようなことを主張すること自体がスピノザ主義に反するからです。したがってここでいわれていることは,憤慨そのもの,あるいは憎しみそのものというような感情affectusそれ自体のレベルと関係しているのではなく,そうした感情が齎す効果について,それは社会正義に反するすなわち不正injustitiaであるといっているのです。
                                
 ある人Aの憎しみがほかの人Bへと向かうとき,第三部定理二三によりAはBが悲しむこと,いい換えればBが害悪を被ることに喜びlaetitiaを感じます。第三部定理一二によりAはAの喜びを希求するので,Aは積極的にBを悲しませようとするでしょう。これが一般に憎しみが齎す効果で,このことは社会正義に反するとスピノザはいいたいのです。そしてなぜそれが不正であるかといえば,もしそのようなことが各人に許されるのなら,各人に自分が憎む者に害悪を与えることを許すことと同じであるから,それでは社会ないしは国家Civitasにおいて人間は無法の下に生活しているのと同じであるということになるからです。これが第四部付録第二四項が意味するところです。これは逆にいえば,法の下に人が罰せられることがあるとしたら,それは不正ではなくむしろ正義justitiaなのであるということを意味するでしょう。
 よって,憎しみが齎す憎む相手に害悪を与えようとすることについては,むしろ法律は否定しなければなりません。それが否定されないのであれば,無法の下に暮らしているのと同じことになってしまうからです。つまりここには社会正義を実現するために法はどのようにあるべきかという観点が明らかに含まれていると僕は考えます。たとえば憎しみによって特定の個人であれ人間集団であれ,それに対して示威的な行動をとるということは,法によって否定されなければならないということになるでしょう。ですからたとえばヘイトスピーチのようなものを法や条例で禁ずることは,スピノザ主義からみると一定の合理性を有していることになると思います。
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桜花賞&非礼

2018-04-08 19:04:54 | 中央競馬
 第78回桜花賞。アマルフィコーストが左の前脚を跛行したために出走取消となり17頭。
 プリモシーンは加速が鈍くほかより遅れました。好発だったラッキーライラックを外から抜く形でコーディエライトがハナへ。2番手がツヅミモン。3番手にアンヴァルとなり控えたラッキーライラックは4番手。5番手にレッドサクヤ。この後ろはリバティハイツ,ハーレムライン,リリーノーブルの3頭。その後ろにアンコールブリュ,スカーレットカラー,レッドレグナントの3頭。以下は概ね半馬身ずつの間隔でマウレア,トーセンブレス,フィニフティ,巻き返したプリモシーン,アーモンドアイ。やや離れて最後尾にデルニエオールという隊列。最初の800mは46秒6のミドルペース。
 直線に入るところでツヅミモンがコーディエライトを抜いて先頭。内からその外へ持ち出したラッキーライラックがその後から追い出されて先頭に。ただ後方から外を回って4コーナーでは前を射程圏に入れていたアーモンドアイの末脚が炸裂。あっさりとラッキーライラックを捕えると抜け出し,桜花賞レコードで優勝。1馬身4分の3差でラッキーライラックが2着。馬群を捌いて2頭の間から末脚を伸ばしたリリーノーブルが半馬身差で3着。
 優勝したアーモンドアイはシンザン記念からの重賞連勝で大レース初制覇。シンザン記念を好走した牝馬は桜花賞を勝つという傾向があり,この馬は圧勝といっていい内容だったのでその時点で桜花賞候補に。ただ,これまではそれ以降に1度はレースを使うというのがパターンで,この馬はここが久々のレースになっているということが課題でした。それでも直線に入ったあたりでは勝ちそうだと思えるくらいのレースぶりでしたので,過去の傾向の方を今後も重視した方がよさそうです。これまでのレース内容から,距離が伸びることはこの馬にとってはプラス材料とは思えませんが,決め脚比べになれば問題ないでしょう。そういうレースにならないならオークスでは2着馬の巻き返しがあると思います。父はJRA賞で2012年の最優秀短距離馬,2013年の年度代表馬に選出されたロードカナロアでその父はキングカメハメハ。母は2006年にエリザベス女王杯,2007年に札幌記念を勝ったフサイチパンドラ
                                     
 騎乗したクリストフ・ルメール騎手は秋華賞以来の大レース制覇で桜花賞は初勝利。管理している国枝栄調教師は2014年の朝日杯フューチュリティステークス以来の大レース制覇で第70回以来8年ぶりの桜花賞2勝目。

 第四部定理四五系二を解するにあたって注意しておくべきことは,ここで非礼といわれていることが何を意味しているかということです。この非礼は,単に礼儀を失うとか礼節を欠くことではありません。スピノザは人と人が友情を結ぶのを妨害するような事柄について,そのすべてを非礼といいます。確かに礼儀知らずであったり礼節を欠いたりすることは,人が友情を結ぶ上での妨げになることがあるでしょう。ですからその意味においてはそれも非礼です。ですがそれだけが非礼であるわけではなく,スピノザがいう非礼はもっと広範に渡っていると解さなければなりません。当然ながら礼を失しているということだけが,僕たちが友情を結ぶことを妨害するわけではないからです。
 したがって第四部定理四五系二がいっているのは,憎しみodiumという感情affectusから生じる欲望cupiditasのすべては,人と人が友情を結ぶことを妨害するということです。ただしこの憎しみが,人間に対する憎しみに限定されていることはここでも踏まえておいてください。僕たちは人を憎めばそこから必然的にnecessario憎む相手に対して何らかの欲望を抱きます。これは第三部定理一三からも明白であって,少なくとも僕たちはある人間を憎めば,その人間の表象像imagoを排除するように努めるconariのであり,これは受動的な現実的本性actualis essentiaであって,第三部諸感情の定義一により欲望そのものにほかならないからです。
 憤慨indignatioは憎しみの一種なので,憤慨することによって何らかのことを欲望するということであれば,これは一律的に非礼です。非礼は一般的にいわれるのですから,それは国家Civitasにおいてもあるいは社会においても非礼であるのです。ただそれが国家においては不正injustitiaであるといい換えられているのは,不正という概念notioは一般的なものではなくて,国家や社会という概念の中でのみ有効であるからです。他面からいうなら,もし自然状態status naturalisに人間が存在すると仮定した場合には,憎しみから生じる欲望は非礼であっても不正ではありません。不正あるいは正義justitiaという概念は,自然状態における人間のうちには発生しないものであるからです。あるいは自然状態では,正義とか不正といわれることは何も生じ得ないからです。
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大阪杯&憤慨と排他的思想

2018-04-02 18:58:57 | 中央競馬
 昨日の第62回大阪杯
 ヤマカツライデンがハナを奪い,1馬身半ほどの差をつけての逃げ。2番手にはダンビュライト。3番手にスマートレイアーとウインブライト。5番手にサトノダイヤモンド,アルアイン,ゴールドアクターの3頭。8番手にヤマカツエースとペルシアンナイトとシュヴァルグランの3頭。11番手にメートルダールとサトノノブレスとトリオンフ。後方3番手にミッキースワロー,後方2番手にスワーヴリチャード,最後尾にマサハヤドリームという隊列。先頭と2番手,後方2番手と最後尾以外にはほとんど差がない一団でのレース。前半の1000mは61秒1の超スローペース。
 向正面に入って外に出したスワーヴリチャードが徐々に位置取りをあげ,半ばからスパート。3コーナーではヤマカツライデンに並び掛けました。このまま雁行でコーナーを回って直線に入ると単独の先頭に。そのまま止まらずに優勝。スワーヴリチャードの動きに合わせてコーナーで外を回って進出してきた馬は直線では一杯。内を回り直線で外に出てきたペルシアンナイトが4分の3馬身差で2着。やはり内を回り直線でも内から抜けて一旦は2番手に上がったアルアインが半馬身差で3着。
 優勝したスワーヴリチャードは前哨戦の金鯱賞から連勝。重賞4勝目で大レース初制覇。大レースを勝つ力があるということは昨年から分かっていた馬。有馬記念は外枠に入って外を回って最後に一杯という負け方でした。ここも外枠を引いてしまったのですが,そのときの轍を生かすという意味ではかえってよかったかもしれません。前半は超スローペースで後半の1000mはいずれも11秒台というラップ。途中から動いていったわけですからいい脚をかなり長く使ったことになります。このラップからも非常に優秀な内容であるということは明白で,日本調教馬のトップに立つことが可能な逸材とみてよいでしょう。父はハーツクライ
                                     
 騎乗したミルコ・デムーロ騎手は全日本2歳優駿以来の大レース制覇。第48回以来14年ぶりの大阪杯2勝目。管理している庄野靖志調教師はJBCスプリント以来の大レース3勝目で大阪杯は初制覇。

 憤慨indignatioという感情affectusがいかに憤慨を感じている当人のうちで,正当化されやすい感情であるかということについてはお分かりいただけたものと思います。そして同時に,これが分かれば,僕がこの感情を排他的思想を産出しやすい感情であると考えている理由もお分かりいただけるのではないでしょうか。ある人間Aが感じている憤慨が正当であるとAによって認識されるなら,Aを憤慨させているB,いい換えれば第三部諸感情の定義二〇によりAが愛するCを悲しませたとAが表象しているBのことを,Aは不当な理由でCを悲しませまたAを憤慨させたと判断するでしょうから,自然の成り行きでつまりAの現実的本性actualis essentiaによってAはBのことを排除するようになるからです。これは第三部定理一三から明白であるといわなければなりません。
 僕はすでに,正当とか不当というのが,事物に備わった性質,上述の例でいえばBという人間に備わった性質であるわけでなく,Aの認識cognitioのうちにあるということ,なおかつAはただあるものについてそれを正当とか不当と判断するわけでなく,複数のものを比較することによって,初めて一方を正当,他方を不当と認識することが可能になるということを論証しました。よって,Aは自身の憤慨およびCの悲しみを正当と認識するならば,必然的にBのことを不当と認識するようになるのです。正当と不当は比較の上で成立するので,もし一方が正当であると認識されるなら,他方は不当と認識されることになるからです。よって憤慨が正当化されやすい感情であるなら,憤慨の原因となっている人間は不当と判断されやすい人間であるということも同じだけの事実なのです。したがって憤慨は憤慨の原因となっている人間のことを排除する,排他的思想を産出しやすいといえます。そしてこれは単に思想としてあるとは限らず,行動を伴うケースも往々にして生じるのです。
 スピノザは僕のように,憤慨を正当という概念から説明はしません。第四部定理四五で,憎しみodium全般のことをそれは善bonumではあり得ないといういい方で否定しているだけです。ですが,憤慨に関しても,僕がいっていることに近いニュアンスのことはいっています。
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高松宮記念&反対感情と相反する感情

2018-03-25 18:59:54 | 中央競馬
 香港から1頭が遠征してきた第48回高松宮記念
 先手を奪ったのはセイウンコウセイ。ダイアナヘイロー,リエノテソーロ,ブリザード,追い上げていったネロの5頭が先行集団を形成。好位にレッツゴードンキ,ナックビーナス,ファインニードルの3頭。中団にダンスディレクター,ジューヌエコール,レーヌミノルの3頭。以下は,シャイニングレイ,スノードラゴン,キングハート,ラインミーティア,ラインスピリット,レッドファルクス,ノボバカラと続きました。前半の600mは33秒3のハイペース。
 直線に入るところでもセイウンコウセイは先頭でしたが,セイウンコウセイの内から伸びたダンスディレクターとレッツゴードンキの2頭と,外からブリザードとナックビーナスとファインニードルの3頭がセイウンコウセイに並んできて競り合いに。一旦はレッツゴードンキが先頭に立ちましたが大外のファインニードルが追い詰めてフィニッシュ。写真判定となり差していたファインニードルの優勝。レッツゴードンキがハナ差の2着。ナックビーナスが半馬身差で3着。さらに半馬身差の4着がダンスディレクター。クビ差の5着にブリザードで逃げたセイウンコウセイがさらにクビ差で6着。
 優勝したファインニードルは前哨戦のシルクロードステークスから連勝で重賞3勝目。大レースは初勝利。前走が1200mのレースとしては大きな差をつけての快勝でしたからここは候補の1頭。その前走が4ヶ月弱の休み明けで馬体重を18キロも増やしていたのですが,これはここにきてパワーアップしてきたということだと思います。このレースは道中でほぼ同じ位置にいた3頭が上位3着になったように,展開や馬場状態から適切な位置取りをしたことが勝利に大きく影響したという面があったのも事実とは思います。ただ,時計の早い決着にも対応可能なことは過去の戦績から明らかになっていますので,短距離王者になり得る力を有した馬であることは間違いないと思われます。父はアドマイヤムーン。Fine Needleは細い針。
                                     
 騎乗した川田将雅騎手は朝日杯フューチュリティステークス以来の大レース15勝目。高松宮記念は初勝利。管理している高橋義忠調教師は開業から7年強で大レース初制覇。

 スピノザは『エチカ』で相反する感情について説明するとき,反対感情によってそれを説明します。しかし反対感情が必ずしも相反する感情になるとは限りませんし,相反する感情を構成するのが反対感情だけであるわけではありません。このために僕はふたつを概念notioとして使い分けるのです。
 希望spesと不安metusは明らかに反対感情です。ですが第三部定理五〇備考から分かるように,Xに対する希望とXに対する恐怖metusは,必ず同じ人間のうちで両立していなければなりません。ですからXに対する希望とXに対する不安は,反対感情ではありますが,相反する感情ではありません。不安と希望が表裏一体の感情であるというのは,それは反対感情ではあっても相反する感情ではあり得ないという意味なのです。
 一方,Xに対する愛amorとYに対する愛は,同じ愛ですから反対感情ではあり得ません。ですがそれは同じ人間のうちでは両立し得ないという場合があるのであって,この場合に限っては相反する感情であることになります。たとえば『白痴』のムイシュキン公爵のうちでは,アグラーヤに対する愛とナスターシャに対する愛は両立していたのであり,相反する感情ではありませんでした。ですがエヴゲーニイのムイシュキン観のうちにあった誤謬errorは,それはムイシュキンのうちで両立し得ない感情である,すなわち相反する感情でなければならないという認識cognitioのうちにあったといえます。端的にいえばエヴゲーニイにとって,ふたりの女に対する愛はひとりの男のうちでは相反する感情であったのです。同様に,僕たちはカレーも好きだしラーメンも好きということがあり得ます。これは通常は両立し得るのであり,相反する感情を構成しません。しかしもしある食事に,そのどちらかを食べなければならないとなった場合には,一方を選択し他方を捨てなければならないので,途端にカレーに対する愛とラーメンに対する愛は相反する感情になります。このように,反対感情ではあり得ないけれども,相反する感情ではあり得るという例は,いくらでも存在するのです。
 第三部諸感情の定義二五の自己満足acquiescentia in se ipsoと,第三部諸感情の定義二六の自己嫌悪humilitasは明らかに反対感情です。
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フェブラリーステークス&第三部定理四九証明

2018-02-18 19:07:19 | 中央競馬
 大井から1頭が遠征してきた第35回フェブラリーステークス
 先手を奪ったのはニシケンモノノフ。2番手にケイティブレイブ。3番手にノボバカラとテイエムジンソクで5番手がララベル。この5頭が先行集団。4馬身ほど開いてベストウォーリアが6番手でその後ろにロンドンタウンとインカンテーション。また2馬身ほど開いてサンライズノヴァ。その後ろにアウォーディーとメイショウスミトモ。さらにレッツゴードンキとゴールドドリームが続き,後方にサウンドトゥルー,キングズガード,ノンコノユメの3頭。前半の800mが45秒8という超ハイペースになったこともあり,隊列は縦長になりました。
 直線手前でニシケンモノノフにケイティブレイブが並び掛け,直線に入ると先頭が入れ替わりました。しかし外からゴールドドリームの伸び脚が目立ちまず先頭に。追ってきたのは馬群を捌いてすぐ内から迫ったインカンテーションと,後方から大外を回ったノンコノユメ。ラストはこの3頭の争いになり,大外のノンコノユメが差し切って優勝。一旦は抜け出していたゴールドドリームがクビ差で2着。インカンテーションは及ばずクビ差の3着まで。
                                
 優勝したノンコノユメは前哨戦の根岸ステークスから連勝。大レースは2015年のジャパンダートダービー以来となる2勝目。それ以降も2016年の夏ごろまではそこそこ走っていたのですが,その後は低迷。しかし前走は58キロを背負いながらレコードタイムで優勝と復活の兆しをみせていて,ここも優勝候補の1頭とみていました。武器が末脚なので,展開によっては不発というケースもあるのですが,一時期の低迷は完全に脱したとみてよさそうです。ジャパンダートダービーを勝ったとはいえ,距離もあまり長くない方がよいのでしょう。今日は良馬場でしたが,馬場は悪くなった方が相対的には有利になるという馬だと思います。母の父はアグネスタキオン。3代母がビューパーダンス。祖母の4つ上の半姉に1995年に新潟大賞典と新潟記念を勝ったアイリッシュダンス
 騎乗した内田博幸騎手は一昨年の東京大賞典以来の大レース制覇。第26回以来9年ぶりのフェブラリーステークス2勝目。管理している加藤征弘調教師は2015年のジャパンダートダービー以来の大レース3勝目でフェブラリーステークスは初勝利。

 本題からは逸れますが,次のこともいっておきたいです。
 僕たちは与えられる害悪の大きさが同じなら,いい換えれば感じる悲しみtristitiaの程度が同じなら,自然に被害を与えられて自然を憎む場合より,他人に被害を受けて他人を憎む場合の方が,より強い憎しみodiumを抱きやすくなっています。これは害悪を受けるのが自分の場合であれ,第三部定理二二の例のような他者の悲しみに感情の模倣affectum imitatio,imitatio affectuumをする場合であれ同様です。これも必然的なメカニズムすなわち自然法則によってそうなっているのです。
 スピノザは第三部定理四九で,必然的なものに対する憎しみより自由なものへの憎しみが強いといっています。ここにはスピノザの哲学に沿った真の意味と,そこから外れた裏の意味が含まれていると僕は考えます。
 スピノザが必然というとき,僕たちの語彙からすればそれは必ずしも統一的でなく,みっつのパターンに分類できます。第三部定理四九でいわれている必然は,第一部定義七で強制といわれている場合の必然を意味します。これはこの定理Propositioでいわれている必然が,自由libertasと対置されていることから明らかだといわなければなりません。
 すると,自由の定義Definitioにより,自由なものはそれ自身の本性naturaによってのみ働きます。したがってその働きによってある人が害悪を受けた場合,つまり悲しみを感じた場合,その人はそのものの観念ideaだけを伴った悲しみを感じることになります。一方,強制されるものは,ほかから決定されて作用します。よってその作用によってある人が害悪を被る場合,つまり悲しみを感じる場合には,その人はそのものの観念だけを伴った悲しみを感じるのではなく,それにそのように作用させたほかのものの観念も伴った悲しみを感じることになります。仮定によれば悲しみの程度は同一です。したがって,自由なものの働きから受ける悲しみは,その悲しみの原因としての対象がすべてその自由なものに集中します。一方,強制されたものの作用によって感じる悲しみは,その悲しみの原因としての対象がいくつかに分散します。よって自由であるものに対する憎しみの方が,強制されたものに対する憎しみより,相対的に強くなるのです。
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JRA賞&第三部定理二七系二証明

2018-01-11 19:25:14 | 中央競馬
 昨年のJRA賞の競走馬部門は9日に発表されました。
                                     
 年度代表馬はキタサンブラック大阪杯,天皇賞(春),天皇賞(秋),有馬記念を優勝。昨年は大レースばかりを6戦して4勝ですから,この馬でいいのではないかと思います。部門別では最優秀4歳以上牡馬でこちらは満票。一昨年も年度代表馬と最優秀4歳以上牡馬に選出されていて,両部門で2年連続の受賞となりました。
 最優秀2歳牡馬はダノンプレミアム。新馬を勝った後,サウジアラビアロイヤルカップと朝日杯フューチュリティステークスを連勝して3戦3勝。昨年から2歳の大レースが増えたので,これまでのように自動的に選出というわけにはいかなくなったと思いますが,この馬は勝ち方も鮮烈で,文句のない受賞でしょう。
 最優秀2歳牝馬はラッキーライラック。新馬を勝った後,アルテミスステークスと阪神ジュベナイルフィリーズを連勝して3戦3勝。牝馬では傑出した戦績で,満票でした。
 最優秀3歳牡馬はレイデオロダービーと神戸新聞杯を勝ちました。年度代表馬のキタサンブラックとは秋に1度だけ対戦して先着しました。3歳牡馬ではトップとみるべきで,当然の受賞と思います。
 最優秀3歳牝馬はソウルスターリング。チューリップ賞とオークスを優勝。秋は古馬の牡馬を相手にレースをして戦果がなかったのでモズカッチャンと票が割れました。ただオークスではライバルを2着に降していますので,こちらでよかったのだろうと思います。一昨年の最優秀2歳牝馬で2年連続の受賞。
 最優秀4歳以上牝馬はヴィブロスドバイターフを勝ちました。この部門の選出が最も難しかったと思いますが,海外で牡馬の強豪を相手に大レースを勝ったということが評価されたもの。確かにこのカテゴリーの馬の中で最も高いパフォーマンスを発揮したのはそのレースのこの馬であったと思います。
 最優秀短距離馬はレッドファルクス。京王杯スプリングカップとスプリンターズステークスを優勝。短距離路線の大レースはすべて異なる馬が勝ちましたが,この馬は4戦のうち1勝して3着が2回ですから,総合成績としては順当といえそうな選出です。
 最優秀ダートホースはゴールドドリームフェブラリーステークスチャンピオンズカップを優勝。JRAでのふたつの大レースを両方勝ったので,JRA賞はこの馬でなければいけないと僕は思います。
 最優秀障害馬はオジュウチョウサン。阪神スプリングジャンプ,中山グランドジャンプ,東京ハイジャンプ,中山大障害と骨折を挟んで4戦して4勝。これは満票でなければならない筈で,該当馬なしに1票が投じられている理由が分かりません。この馬はキタサンブラックのような傑出した馬がいなければ年度代表馬の資格もあったと思います。実際にそちらでも3票を得ていますが,それもひとつの見識として僕は支持します。一昨年も最優秀障害馬に選出されていて2年連続の受賞になりました。

 憐憫commiseratioと憎しみodiumは相反する感情であると僕はいいましたが,これはひとつだけ注意が必要です。そのふたつの感情が相反する感情であるのは,感情を抱く対象が同一である場合に限るのであって,対象が異なっているなら成立しません。少なくとも成立しない場合があります。すなわち,Aに対する憐憫とAに対する憎しみは,同じ人間のうちでは両立し得ない感情です。しかしAに対する憐憫とBに対する憎しみは,同じ人間のうちで両立し得ます。とくに憐憫は,この場合でいえばAに対する感情の模倣affectum imitatio,imitatio affectuumによってその人間のうちに生じる悲しみtristitiaですから,もしAを悲しませる原因がBにあるとその人間が同時に表象するimaginariなら,むしろその人間はBに対する憎しみに駆られるでしょう。よってこの場合はAに対する憐憫とBに対する憎しみは,その人間のうちで積極的に両立するといった方がいいくらいです。スピノザは第四部定理五〇で,憐憫は理性ratioに従う人間すなわち自由の人homo liberにとって悪malumであり無用だといっています。そこには,単に憐憫が悲しみの一種であるということだけでなく,こうした事情も勘案されていると考えることができるでしょう。すなわち憐憫という感情は容易に憐憫を感じる対象とは別の対象に対する憎しみと一体化してしまうのです。つまりその点において単に無用であるというより有害でもあるのです。
 しかし一方で,Aに対する憐憫だけを抽出するなら,この感情はAに対する憎しみすなわちAの排除を誘発するどころか,むしろAとの連帯を導くような受動感情です。そしてこのことに力点を置くなら,確かに憐憫という感情は受動的な人間にとって,他者の排除より他者との連帯を誘発する有益な感情だといえるでしょう。実際,もしある人間がAを憎んでいるなら,第三部定理二三により,その人間はAの悲しみを喜ぶことになります。しかしこのことは第三部定理二七によって憐憫が生じるという仮定に反しています。つまり僕たちは憐憫という悲しみに誘発されている相手のことを憎むことはできないのです。同時にこの説明によって,第三部定理二七系二は証明されています。
 憐憫には排除でなく連帯を強めるさらなる効果があります。
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ホープフルステークス&否定と憎しみ

2017-12-28 19:08:14 | 中央競馬
 第34回ホープフルステークス
 ナスノシンフォニーは外によれる発馬。先頭に立ったトラインが1コーナー手前で外にふらつくようなところがありました。そのトライン,サンリヴァル,ジュンヴァルロの3頭が雁行で向正面に。向正面の中間ではジュンヴァルロが単独の先頭に立ちました。この3頭の後ろは3馬身ほど開いてトーセンクリーガーとウォーターパルフェ。1馬身半ほどでシャルルマーニュ。1馬身差でリュヌルージュ,ロードアクシス,ルーカスの3頭。1馬身半差でマイハートビート,フラットレー,ジャンダルムの3頭。1馬身差でナスノシンフォニー,ステイフーリッシュ,シャフトオブライトの3頭。1馬身差でタイムフライヤーが後方2番手。ワークアンドラブはまったくついていくことができず,大きく引き離されました。前半の1000mは59秒6のハイペース。
 途中から逃げる形になったジュンヴァルロが先頭のまま3コーナーを回り,外にサンリヴァルとウォーターパルフェ。内にロードアクシス。さらに外からルーカスとジャンダルムが追い上げる形で直線に。サンリヴァル,ルーカス,ジャンダルムの競り合いからジャンダルムが抜け出しましたが,3コーナー手前あたりから動いたタイムフライヤーがその外を伸び,ジャンダルムを捕まえると抜け出して優勝。ジャンダルムが1馬身4分の1差で2着。大外を鋭く伸びたステイフーリッシュがクビ差まで迫って3着。
 優勝したタイムフライヤーは8月の新馬は2着。9月に未勝利を勝ち上がって10月のオープンを連勝。先月は重賞を使ってタイム差なしの2着。ここは連対を外していない馬が多く,そうした馬たちの争いになるだろうとみていました。当然ながらそうした馬たちはここで初対戦となるので,能力の比較は難しいところがありましたが,成績からは優勝候補の1頭。やや差をつけましたが,2着馬をマークするようなレースぶりになった分の有利さはあったかもしれず,はっきりと能力上位と評価することはできないかもしれません。とはいえ来年のクラシックの有力候補の1頭になったということは間違いないでしょう。父はハーツクライ。母の全兄にタイムパラドックス
 騎乗したフランスを中心に騎乗しているクリスチャン・デムーロ騎手は2013年の桜花賞以来となる日本馬に騎乗しての大レース2勝目で日本における大レース2勝目。管理している松田国英調教師は2013年のジャパンカップダート以来となる大レース15勝目。このレースは今年から大レースとなり,それまでも施行条件の変動が大きいのですが,記録上は第23回以来11年ぶりのホープフルステークス2勝目。

 憎しみodiumの連鎖を産出しないことが自由の人homo liberにとって重要であるのは,現状の考察との関連でいえば,多様性の否定negatioと憎しみという感情affectusに深い結びつきがあるからです。単純にいえば,たとえばAという人間が別のBという人間の存在を否定したいあるいは否定しているとき,Bが喜んでいると表象するimaginariなら,第三部定理二三によってAは悲しみtristitiaを感じることになります。この悲しみはBの喜びlaetitia,他面からいえば喜んでいるBの観念ideaを伴った悲しみであるのですから,第三部諸感情の定義七によってBに対する憎しみそのものです。このようにして人間の多様性を否定することは,そこで否定されている人間に対する憎しみと一体化します。というより,これはこのように示さずとも,後に説明するように,否定している人間に対する何らかの表象imaginatioを伴わずとも,否定するというその段階ですでに憎しみと一体化しているのです。したがって,憎しみの連鎖を産出するというのと多様性の否定の連鎖を産出するというのはほぼ同じ意味をもっていることになります。なので連鎖を含まずとも,憎しみを産出するということは否定を産出するということと同じなのですから,人間の多様性を肯定する自由の人は,多様性の否定を産出しないように心掛けなければなりません。ある具体的な事象について言及している第四部定理七〇が何か一般的な意味を有するとしたら,それは上述のようなことになるのだと僕は考えています。
                                
 そこで今度は,このような多様性の否定がいかにして産出されるのかということを検討してみましょう。すでに明らかになっているように,人間は理性ratioに従う限りでは,すなわち精神の能動actio Mentisに従う限りでは人間の多様性を絶対的に肯定し,部分的にすら否定することはありません。そしてこの限りでは現実的に存在する人間の本性naturaが一致するのですから,人間の能動によって多様性の否定は全面的にはもちろん部分的にも生じないことになります。すなわち人間全体を否定するということはありませんし,ある特定の人,ないしはある特定の人間集団,国民とか民族とか教徒とかいった集団を否定するということもありません。よってそれは人間の受動passioから生じます。
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