古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

はやぶさ 2

2011-02-25 | 読書
 「はやぶさ」は06年8月28日、イトカワから4800kmの地点でイオンエンジンを停止。ここまでのイオンエンジン総運転時間25800時間、平均2.5基常時運転だった。以後は化学エンジン(燃料ヒドラジン、酸化剤4酸化2窒素)を用いて減速。イトカワから20kmで停止、往路を完走した。



 3億kmの距離ということは、光の速さで17分かかる距離で、地上から指令を送っても往復34分かかる。つまり、「はやぶさ」が「現在高度20m」と知らせてきても、それは17分前の情報で、「降下が早すぎるから上昇せよ」と送り返してもそれが届くのは更に17分後。その間「はやぶさ」は34分降下を続けている。

 このため着陸の最終段階では、距離、速度、位置をすべて「はやぶさ」自身が判断して行動する。

 3回の着陸リハーサルを行なった後、11月20日はじめて着陸に成功した。詳細は長くなるので割愛するが、2回バウンドし3回目に30分間着陸。さらに上昇後、100kmから最後の着陸を行なう。11月26日7時7分着地。

 

 帰途、「はやぶさ」は数々の故障に見舞われる。12月9日、「はやぶさ」との通信が途絶した。これからの通信復旧への努力が凄まじい。あたかもアポロ13号の地球帰還への努力を思わせる。06年1月23日、通信が回復に成功した。



 「はやぶさ」の帰還は10年6月13日。19時51分、カプセル切り離し。22時51分、秒速12kmで大気圏突入。「はやぶさ」は燃え尽きた。

 カプセルは、オーストラリヤ中部のウーメラ砂漠に着地、7年余の旅を終えた。

 このプロジェクトチームの苦闘の物語を読み終えて、最後に「はやぶさ」地球帰還の美しい写真を見直すと、感動的です(この本、カラー写真が実に綺麗です)。

もうひとつ、ページの見開き左ページの左下に、03年6月から10年6月まで毎月の、はやぶさ、地球、小惑星の位置関係の模式図が示されているのも楽しい。



最後に、「はやぶさ」の持ち帰ったイトカワの物質(微粒子)は、専用の分析装置「キュレーシヨン」で分析されていますが、このサンプルが地球外物質であることをどのように判断したか?

この資料のカンラン石や輝石は鉄の含量は地球上の火成岩と全く異なる。マグネシウムの含量は、イトカワ近傍で行なった近赤外線分析の結果に一致する。また硫化鉄は地表では容易に酸化され存在し得ない。等々調査が進んでいるようです。



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