古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

私の時評

2011-02-26 | 経済と世相
 曽野綾子さんが雑誌VOICE3月号にこんな問題提起をしていた。

『九州から沖縄本島までの約600kmの海域にある島々、沖縄本島から日本国領土の最西端・与那国島までの約700kmの間に点在する宮古、石垣、西表などの島々には、そこに住む島民を守れる陸上自衛隊は全くいないのである。九州には鹿児島の国分に約1200名、沖縄の那覇駐屯地などに約2100名の陸自がいるだけで、奄美大島、沖永良部島、久米島、宮古島には航空自衛隊基地があるとは書いてあるが、これもレーダーサイトだけで、戦闘部隊は全くいないのだという。つまり日本はこれらの島に住む日本国民の保護を放棄しているということになるのだが、土地の人たちは、それでいいのだろうか。これらの地域にどこかの国の武装集団や難民が大挙して上陸して、何をしようと、実質的防衛の方法は全くないというのが現状だ。この責任は誰にあるのか。私が島の住民なら、万が一の事態を恐れて、既にそれとなく本土に「疎開」だか「移住」だかしていそうである。あり得ないことではない。「占領」されたらその後の国際関係の混迷に引き込まれて、公然たる拉致同様に、どこかの国に連れて行かれるかもしれない、と思う。私はそれくらい国際的状況を信じていない小心者である。』

 以下はこの文章を読んでの感想です。

 自衛隊(政府)の任務は、国民の生命・財産を守ることにある。従って、どんな離島に住む国民も守れる体制を整備することが必要です。だから、すべての離島に自衛隊を配備せよとは言わないが、万が一外国の軍隊の侵攻があったなら、どう対応するかの戦略は、平常から持つべきだ。持っているのだろうか?

 軍事に限らず、近年の政治家の言動に、失望している小生は、日本の政治家に僻みっぽくなっていて、とてもそうした戦略を持っているように思えない。『何も考えていない』としか思えないのです。「日米安保があるから、大丈夫」と、いわばアメリカに丸投げしている。ところが、米国にとって、石垣島や西表島は、どうでも良い話。米国にとっては、自衛隊を米軍の下請けとして、使えればよいと思っているのではないか?

 前首相の「海兵隊の抑止力といったのは方便だ」発言が、顰蹙をかっているが、まぁ、言っていることには間違いがない。この発言の問題点は二つある。

 一つは、今述べたように、自衛隊に日本国民を守る戦略がないのでは?と疑われること。もう一つは、政治家がかくも正直であって良いのか?

 前首相の発言の背景について私の見るところでは、・・・

 『鳩山さんは、普天間を県外に移したかった。そこで、外務省・防衛省の官僚に米国との交渉を指示した。しかし、官僚たちにやる気がなかった(従来路線で行ったほうが官僚は楽だ)のか、米国が全然受け付けなかったのか、交渉は進展しなかった。止む無く、県外移転を諦めて「海兵隊の沖縄駐在が抑止力になっている」を口実に、沖縄を説得しようとした。「抑止力」は沖縄を説得する方便だった。』

 これが事実であったとしても、総理として、沖縄を説得すると決めたのなら、それが「方便」だとは、絶対言ってはならない。墓場まで黙って持って行くべきだ。「方便でした」と平然と言う神経が分からない。さらに言えば、官僚の言うことを聞くのが政治家の仕事ではなく、官僚に言うことをきかせるのが仕事ではないのか。

 同じことが、菅総理にも言える。財務省の官僚の言うままに「消費税を上げよう」とか、経済産業省の役人の言うまま、「TPPに加入しよう」と言い出す。

 従来の政治を変えようとして、1年半前の衆院選挙、国民は政権交代を選択した。ところが、今の政権のやろうとすることは、自民党のやろうとしていたことに変わらない。

なぜ変わらないのかというと、自民党政権がやっていたことは、実は自民党がやっていたのではなく、官僚がやっていたのだ。だから、官僚の言うことを聞くようになれば、前の政権と変わらない!与謝野さんを閣僚に起用しても、全然問題ないわけです。

民主党は、政権交代を訴えて成功したが、政権交代した後に、どのような国政を行うのか、何も考えていなかったらしい。

以上、「私の時評」。曽野綾子さんの寄稿に触発されました。

最新の画像もっと見る