古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

原発と権力(3)

2011-10-21 | 読書
民主党は原発をどう考えてきたか。
【民主党は、98年の結党以来、原発は代替エネルギー確立までの「過渡的エネルギー」と位置づけてきた。旧社会党が村山政権発足時(94年)に過渡的エネルギーと容認した政策を踏まえ・・党内議論を凍結してきた。しかし、党内に積極推進派もいた。自動車総連・直島正行、東レ・川端辰夫、東電・小林雅夫、関電・藤原正司・・・・ら民間労組出身議員は原発推進派を形成する。
 06年7月26日、民主党は原発政策を大きく転換した。日立製作所原子力設計部出身大畠章宏(のち経産相・国交相)、が座長を務める党の「エネルギー戦略委員会」は、原発を「エネルギー安全保障上、欠かせない存在」で恒久的エネルギーとして積極的に進めると打ち出した。高速増殖炉の技術の確立を含めて「核燃料サイクル政策の完成に向けた取り組みを進める」と示す。】
 民間労組出身の政治家は、時に経営者よりも企業の利益増進に熱心だ。原発をビジネス機会の拡大と捉えていたのでは?
 【政権交代後、鳩山首相は、二酸化酸素を減らすに欠くことのできないエネルギーだ」と発言。 この原発推進の上げ潮を巧妙に利用したのが、仙石由人だった。
2010年のゴールデンウイーク中、国家戦略担当相の仙石は、ハノイで前原国交相と落ち合った。原発を「パッケージ型インフラ」として、ベトナム政府に売り込むためだった。
 民主党政権は、原発輸出を「カネのなる木」と信じ込んで前のめりで進めた。だが、はたして原発を「パッケージ型インフラ」として輸出することに国益が期待できるのか。古賀茂明は『日本中枢の崩壊』で「パッケージ型インフラ」の海外展開について、警鐘を鳴らす。
 インフラをビジネスにすれば、一時期、日立や東芝など複数の日本企業は潤うかもしれないが、日本の国益という視点でトータルに見た場合、儲けがでるかどうかは別だ。
 例えば原発を売り込む場合、30年保証などといった条件がいっぱいでてくる。出来あがって納入しても、事故が起これば一発で儲けは吹っ飛ぶ。】
 最後に、メデイアは原発の実態を伝えているか。
【メデイアの原発、電力批判を押さえ込んだのは莫大な広告費だった。『有力企業の広告宣伝費2010年版』によれば、九電力と沖縄電力、電源開発、計11の電力会社の広告宣伝費は884億5400万円、販売促進費は623億700万円。東京電力は、広告宣伝費243億5700万円に加え普及啓発費を200億円以上使っていたといわれる。さらに・・電気事業連合会は、啓発費に年間300億円。経産省や資源エネルギー庁、文部科学省も独自の広報予算を組んでおり、これらをすべてあわせると電力、原子力関連からメデイアにわたるカネは年間2000億円程度とみられる(出稿量一位のパナソニックは広告費771億円)。
 電力業界の原発宣伝攻勢は、科学技術庁の意向で電事連に原子力広報専門委員会発足した74年ころに始まったといわれる。】
参照:http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111015/223221/