古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

BSEの謎 1

2005-03-03 | 読書
「もう牛を食べても安全か」(福岡伸一著、文春新書)
を読みました。新書ですから、目方は軽書ですが、内容はずいぶん重い本でした。
 是非内容を紹介したいと思いましたが、そのままの内容紹介ではメール数十通になって
しまいますので、ポイントのみの要約、題して「BSEの謎」。勿論、誤りがあれば
著者でなく、私の責任です。

 以下、狂牛病に関する謎です。
1.狂牛病の病原体は、プリオンと称するたんぱく質だと言われます。細菌やウィル
スが身体に入って発病と言うなら分かりますが、たんぱく質が何故病気を引き起こす
か?
2.共食いは、狂牛病とどう関係するのか?
 ニュウギニヤ高地民であるフォア族の間にクールーという謎の病気があったが、狂
牛病は、このクールーという病気と同じ病気であった。この民族の間にはカンニバリ
ズム(食人儀式)があった。一方、牛はもともと草食動物で、牛を食べることはあり
えなかったが,肉骨粉を餌に与えるようになって、狂牛病が発生した。肉骨粉は牛の
死体から作る。つまり牛に共食いを強いた。人も牛も共食いが、この病気に関係した
らしい。
3.最初に狂牛病が発生したのは英国であった。何故,英国で狂牛病は発生したか?
4.日米間で牛肉輸入問題の協議が続いているが、「全頭検査」を主張する日本に対
して、米国が「若い牛には狂牛病は発生していない。検査で発見できない。だから生
後何ヶ月の牛は全数検査の必要がない!」と主張しているらしい。
 若い牛は本当にBSEにならないのか?

 これらの謎に迫るには、以下に述べる生物学の基礎事項を復習しておく必要があり
ます。
1.たんぱく質は、アミノ酸が連結して出来ています。そして、地球上の全生物のた
んぱく質は、20種類のアミノ酸から出来ていることが分かっています。このたんぱ
く質の中のアミノ酸の並び方を指示しているのが、遺伝子DNAです。
2.食べ物の中のたんぱく質は、胃や腸でアミノ酸に分解されてから体内に吸収
され,遺伝子の指示に従い、その生きもの固有のたんぱく質につくり上げられます。
 牛肉を食べた場合、牛肉のたんぱく質が、そのまま人間のたんぱく質になること
は、通常ありえません。そのまま人間の体内に入ると,免疫細胞は異物と判断してこ
れを攻撃してしまいます。

 ついでながら、食べ物のたんぱく質が、人間のそれと同様、同じ20種類のアミノ
酸から構成されるから,食べ物を食べると、それが我々の血となり肉となることが可
能になります。(続く)