shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Queen Greatest Hits」各国盤特集① ~UK系~

2022-01-28 | Queen
 ちょうど2年前の今日1月28日、私は京セラドームへクイーンを見に行った。日本がコロナ禍に巻き込まれる直前ギリギリセーフの開催だったこともあって、今から思えば大ラッキー。楽しかったライヴの記憶は今も鮮明に脳裏に焼き付いている。せっかくなのでその2周年を記念してクイーンの各国盤を特集することにした。
 クイーンの各国盤で一番持ってる枚数が多いのが「Greatest Hits」だ。世にベスト・アルバム数あれど、このレコードほど1枚の中にそのアーティストの魅力をギュッと詰め込んだ盤を私は他に知らない。まさに安心ラクチン格安パックツアーみたいなノリでクイーンを手軽に楽しめる1枚なんである。因みにこのレコードはイギリスで最も売れたアルバムで、調べてみたら現時点で600万枚を超えているらしい。広大なアメリカならまだしも、人口の少ないイギリス国内だけで600万枚というのはとんでもない数字と言わざるを得ない。イギリス人にとっては“1家に1枚”的なレコードなのだ。
 このアルバムは “発売国によって収録曲や曲順が違う” というのが売りだったが、当時の私は “へぇ~そうなんや...” ぐらいの認識しかなく、日本盤のみに収録された「手をとりあって」を聴いて喜んでいた。それから40年が経って各国盤にハマり、その音作りの違いはもちろんのこと、当時は無関心だった独自選曲の面白さもわかってきたので、このレコードは各国盤特集にピッタリだと思ったのだ。まずは基本中の基本であるUK盤、およびUKと選曲が同じ国の盤からスタートしよう。

①UK盤(EMTV 30 A-1 / B-1), (EMTV 30 A-9 / B-6 )
 私はこのレコードのUK盤を2枚持っている。マトリクス/マザー/スタンパーについてまだ何も知らなかった超初心者の頃に買ったマト9/6盤と、その後 “マトの数字が小さい方が初版に近い” という知恵がついてから手に入れたマト1/1盤の2枚である。苦労して入手したそのマト1盤に初めて針を落とした時は、当然マト1とマト9では音の鮮度にエライ違いがあるだろうと大いなる期待を持って聴き始めたのだが、出てきた音は私の予想に反してマト9盤とあまり変わらないごく普通の音だった。A①「Bohemian Rhapsody」のイントロのベースの響きではむしろマト9盤の方がリアルに感じられたほどだ。その時は“そんなアホな... 何でやねん???” と納得がいかなかったが、それからだいぶ経ってからB-SELSでスタンパーの重要性を教えていただいてやっとその謎が解けた。マト1/1盤の方はマザー/スタンパーが 2-27 / 1-58(スタンパー・コードが数字というのはめっちゃわかりやすくてありがたい...)なのに対し、マト9/6盤のマザー/スタンパーは2-5 / 4-3と、両面とも一桁だったのだ。やっぱりスタンパーの若い盤の音は生々しいなぁ... と改めて感じ入った次第。まぁクイーンのレコードでスタンパー云々騒いでる人はあまりいないとは思うが、このレコードのUK盤を買うならマトに拘るよりも “1に盤質(←キレイな盤は思いの外少ないです...)、2にスタンパー” だと思う。

②アイルランド盤(EMTV 30 A-1 / B-1 IRL C), (EMTV 30 A-8: / B-8 )
 私はこのレコードのアイルランド盤を3枚持っている(笑) 1枚目と2枚目は共に盤質詐欺にあってジャリ盤をつかまされ、3度目の正直でやっと状態の良い盤を手に入れたのだ。まぁどちらも PayPal claim のおかげでお金が返ってきたので実質被害はなかったが、それでもやはりアホなセラーにいちいちクレームを入れるのがホンマに面倒くさかったし、トラブルが解決してお金が返ってくるまではめちゃくちゃ気分が悪かった。レコード蒐集も大変なのだ。
 しかし私はこのゴタゴタのおかげ(?)でアイルランド盤にはDiscogsに載っているマト8:/8盤以外にも マト1/1で デッドワックスの4時の位置に“IRL C” という刻印のある盤が存在することを知った。しかも興味深いことにマト1/1の盤よりもマト8:/8の方がダイナミックな音がするのだからアナログ・レコードの世界は奥が深い。UK盤も同傾向だったので、ひょっとするとこのレコードに関する限りマトの数字が小さければいいというものではなく、逆に「With The Beatles」のUKモノラル盤のように何度もカッティングを繰り返して音を整えていったのかもしれない。

③インド盤(EMTV 30 A-1A / B-1)
 インド盤のレコード番号はUK盤と同じEMTV 30だがマトの字体はUK盤と全く違うフォントの独自カットで、デッドワックスの面積もUK盤より狭い。肝心の音質に関しては独自カットの良さというのは感じられず、特にマト枝番1AのA面の方は高音域がイマイチ伸びていないし低音もモッサリしており、UK盤と比較するとスピード感に欠けて鈍重な印象だ。B面はA面よりも元気があってまだマシだが、それでもUK盤と比べるとあと一歩と言う感じは否めない。AB面に共通するこのインド盤最大の弱点は音が奥に引っ込んで歌も演奏も一列に並んでいるように聞こえることで、スピーカーから迸り出るような音を好む私には合わない音作りだ。B③「Now I'm Here」を聴いてロック魂を刺激されないというのはイカンでしょ...

④ジンバブエ盤(EMTV 30 A-8 / B-1)
 ジンバブエって一体どこやねん?と思われた方も多いと思うが、元をただせばビートルズの各国盤蒐集の時に出会ったアフリカの南ローデシアだ。で、アパルトヘイトを貫く白人政権だったローデシアが1980年に黒人政権になって改名したのがジンバブエということらしい。私がジンバブエという名前を初めて耳にしたのはスティーヴィー・ワンダーが1980年に出した「Master Blaster」という曲の歌詞 “Peace has come to Zimbabwe...♪” を聴いた時なのだが、なるほどそういう経緯があったんやね...
 まぁそれはさておき、まさかそれから40年経って自分がクイーンのジンバブエ盤を手にすることになろうとは夢にも思わなんだ。これを買ったのはただ単にビートルズの南ローデシア盤の音が良かったから国名が変わってもエエ音がするんちゃうかという好奇心からだ。マトはA面が8でB面が1というハイブリッド型(?)でUKマザーそのものの音がするが、プレス枚数の少なさのおかげなのか、かなり鮮度の高い音が楽しめる。特にB①「Crazy Little Thing Called Love」のジョンのベースやB②「Somebody To Love」のブライアンのギター・ソロなど、各楽器の音がグイグイ前に出てくるところが実に気持ちいいのだ。
Queen - Somebody to love (Live Hammersmith Odeon 1979) INCREDIBLE PERFOMANCE! (Sub Español)