shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Rarities」ペルー盤

2022-01-19 | The Beatles
 ビートルズのペルー盤というのはあまり市場に出てこないマイナーな存在だが、そんな中でもとりわけ稀少な1枚が去年の蒐集中に見つけた「Rarities」だ。この「Rarities」というアルバムは、和久井光司氏がその著書「Beatles’ Vinyl Made in UK」で “「Past Masters」のリリースで存在価値がなくなった...” と書かれているようにその位置付けは非常に微妙なものがあるが、リリースされた1978年は自分がちょうどビートルズを聴き始めて2年ほど経った頃で、初心者を卒業して興味津々だったところへ例の「Across The Universe」の通称 “バード・ヴァージョン” が初めて公式のキレイな音源で聴けるとあって、リアルタイムで大コーフンした思い入れのあるアルバムだ。私にとってはむしろ後発の「Past Masters」の方がただの拾遺集にしか感じられなくて全く愛着が湧かない。
 ペルー盤の「Rarities」は非常に変わっていて、ジャケットはUSヴァージョン(←見開き内側は例のブッチャー・カヴァー)なのに収録曲はUKヴァージョンと同じという実に紛らわしい作りになっている、いわゆるひとつの珍盤である。盤質表記はVG+ ということで一抹の不安はあったが、上記のような個人的思い入れに加えて$25という安さもあって購入を決めた。
 届いたレコードはジャケットがややくたびれているものの大きな問題はない。A面から聴いていくと、随所にチリパチはあるものの“まぁこれくらいやったらエエやろ...” という感じの典型的なVG+ サウンドだ。このアルバムは日本盤とドイツDMM盤しか持っていないのでデフォルトとなるUKオリジナル盤との音の比較は出来ないが、少なくとも日本盤やDMMのA面よりは活き活きとした音で鳴っている。
 それにしても久々に聴くA②「Yes It Is」A③「This Boy」という並びは実に新鮮だ。A⑤「I’ll Get You」A⑥「Thank You Girl」の並びも同様でエエ感じなのだが、A面後半のA⑦A⑨ドイツ語ヴァージョン2つの間にA⑧「You Know My Name」を挟むという摩訶不思議な曲の並びは私には理解不能だ。
 レコードを裏返してB面トップは超の付く愛聴曲「Rain」だ。何回聴いてもジョンのウネウネしたヴォーカルはエエなぁ... と悦に入っていると後半部でいきなりボン!ボン!と針飛びしまくりでビックリ。うわぁ、やっぱり南米のレコードは飛びよるわ... と一瞬たじろいだが、ウルグアイ盤の針飛び祭りで免疫ができているせいかあまり意に介さず聴き進む。B②「She’s A Woman」も溝の状態がイマイチでザーッというノイズが出るが、B①同様にウルグアイ盤でメンタルを鍛えられたおかげで “あぁ、またか...” という感じだ。
 B③以降は盤の状態も安定してきて気持ちよく聴ける。特にB⑤「Bad Boy」B⑥「Slow Down」と続くラリー・ウイリアムズ・ナンバーでのジョンの爆裂シャウト、B⑦「I’m Down」B⑧「Long Tall Sally」でリトル・リチャードを軽く凌駕するポールの絶叫と、B面後半の怒涛の展開に血湧き肉躍らなければビートルズ・ファンではない。
 後日このレコードを B-SELS に持って行ってSさんに針飛び部分を診ていただいたところ、1か所を直せば今度は別の箇所が飛んでしまうという性質の悪いキズとのことだったのだが、自分としては “直ればもうけ” ぐらいの気持ちですねんとお願いして B-SELS に入院させていただいた。各国盤蒐集、特に南米のレコードは他では聴けないような凄い音が聴ける可能性がある反面、このように針が飛びまくったりビニ焼けが酷かったり溝が死んでたりというような悲惨なケースも少なくない “ハイリスク・ハイリターン” な買い物だという教訓を再認識させてくれたのがこの「Rarities」なのだ。
 後日、“B-SELS病院” を退院してきたこのレコード、人間で言えば “満身創痍で集中治療室入り” だった「Rain」が “何とか通常の生活可能” なレベルにまで修復されていて大喜びヽ(^o^)丿  改めてSさんの匠の技に唸ってしまった。Sさん、ホンマにありがとうございましたm(__)m