shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「White Album」ウルグアイ盤 1stプレス vs 2ndプレス

2022-01-09 | The Beatles
 先日 B-SELSに行ったら店主のSさんから “momoten4010 さんという広島から来られたお客さんからこれをshiotchさんにと預かってましてん。” と白い袋を渡された。一瞬何のことか分からなかったが、何でも私のブログを楽しんでいただいているビートルズファンの方とのことで、中身は何ともみじ饅頭だった。テキトーに好き放題ブログを書き散らかしている私なんぞにお土産を頂くなんて、いやはやまったく恐縮至極というか気恥ずかしいというか、ホンマにありがたいことである。momoten4010さん、いつかB-SELSで一緒にレコード聴きたいですね。もみじ饅頭、めっちゃ美味しかったです。どうもありがとうございましたm(__)m
 momoten4010さんは、2年ほど前にシングル「Please Please Me」のJRスタンパー盤を聴かせていただいた話をここで紹介させていただいたカズキ・トリイさんと同じく Muuseo(←ネット上に自分の大切なコレクションを展示して一種のミュージアムを作り同好の仲間と交流できるサービス)でご自身のビートルズ・コレクションを紹介されているのだが、この方のMuseumというのがもうめちゃくちゃ凄くて、UKオリジナル盤から日本盤までアルバム・タイトル毎にきっちりと見やすく整理されているし、「モノ日記」というコラムはビートルズのレコード・コレクターなら超共感すること間違いなしの面白さなので、興味のある方はぜひググってみて下さい。
 で、ここからが本題なのだが、今日は久しぶりにウルグアイ盤の話だ。ご存じのように私はウルグアイ盤の音作りが好きで、ビートルズ本体からメンバーのソロに至るまでアホみたいに買いまくっていた時期があったが、そんな中で唯一例外的にイマイチだったのが「White Album」だ。私が買ったのは70年代初めに出たSmall Apple Logo レーベルの2ndプレス盤だったが、「赤盤」「青盤」「Band On The Run」「Rock And Roll」「Love Songs」と次から次へと大当たり盤に恵まれて “ウルグアイの70年代プレスにハズレ無し” と信じ切っていた私は大いなる期待を持って「White Album」の2ndプレス盤に針を落とし、モノの見事にズッコケたのだった。
 とにかくどのトラックを聴いても気持ちが高揚しない。大好きなはずのA①「Back In The USSR」を聴いても “何かちょっと違う”感が拭えないし、A⑦「While My Guitar Gently Weeps」のクラプトンのソロもエモーショナルじゃない。“こんなはずでは...” と二度三度と聴き返してみても当然ながら結果は同じで、期待が大きかった分だけ失望も大きい。もしやと思ってマトを確認すると、何とUKマザーの “YEX” ではなくUSマザーの “SWBO” ではないか!
 ビートルズのアナログ・レコードに関して言うと、私は筋金入りの UK派で、USの音はどうしても好きになれない。私がそのことを実感したのは以前 B-SELSで「White Album」のUS盤を聴かせていただいた時で、盤質が良いにもかかわらず音そのものが凡庸に聞こえ、心に響いてこなかった。これは音の良し悪しの問題ではなく私とキャピトルのエンジニアの感性が合わないからだろうと思うが、USマザーのウルグアイ盤「White Album」でも相性の悪さは変わらなかったというワケだ。それもこれもすべて、ウルグアイ盤なら大丈夫とタカをくくってマトを確認せずに買ってしまった私が悪い。
 気を取り直して調べてみると、ウルグアイ盤「White Album」の1stプレス(赤オデオン・レーベル)はUKマザーを使っており、なぜかは分からないが70年代に入ってリイシューする際にUSマザーに変えたようだ。このまま引き下がるのは癪に障るので何とか1stプレス盤を手に入れようと探してみたが、あいにくその時は盤質の悪いものしか市場に出ておらず、ウルグアイの「White Album」はしばらく棚上げ案件になっていた。
 それから半年ほど経って、ようやく盤質良好な「White Album」赤オデオン・レーベル盤がeBayに出品された。それもラッキーなことに以前「Band On The Run」のボリビア盤を買ったウルグアイの仲良しセラーからである。喜び勇んで試聴依頼のメールを送ったところ、“It plays great, still glossy, no background noise.” とのことだったので早速オファーして$90でゲット。待てば海路の日和ありとはまさにこのことだ。
 届いたレコードに針を落とすと、のっけから“これぞUKマザー!” と快哉を叫びたくなるような躍動感に溢れるキレッキレのサウンドがスピーカーから飛び出してきた。“これこれ、やっぱりビートルズのレコードはこうでなくっちゃ!” と嬉しくなってしまうダイナミックなサウンドだ。A③「Glass Onion」ではリンゴ入魂の一打一打がビシバシ決まって思わずのけぞってしまうし、C①「Birthday」やC④「Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey」といった痛快なロックンロールの生み出すグルーヴも実に気持ち良い。一転、B③「Blackbird」やB⑧「I Will」のようなバラッドではヴォーカルの生々しさが際立ち、どの曲も心を揺さぶられるリアリティーが感じられる。
 念のため、隣室へ島流し(笑)にしていたUSマザーの2ndプレス盤を久々にターンテーブルに乗せて聴き比べてみたが、UKマザー盤に続けて聴いたせいかその落差は激しく、A①「Back In The USSR」からして大袈裟ではなく月とスッポンほどの違いがある。一言で言うと “気の抜けたビール” みたいな音なのだ。ひょっとするとこっちの方が好きという奇特な人もいるのかもしれないが、少なくとも私は絶対無理。ハッキリ言って、こんなのを聴く暇があったらまだリマスターCDでも聴いてる方がまだマシだ。私は3曲だけ聞いて早々に針を上げた。
 ということで「White Album」ウルグアイ盤のリベンジを1年がかりで果たせて大喜びなのだが、こーなってくるとビートルズのウルグアイ60年代プレスで未入手の盤の存在が俄然気になってくる。まぁ今回の「White Album」の一件で “焦って買うとロクなことはない” という教訓を得たので気長に探すとしよう。