shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「In The Court Of The Crimson King」イスラエル盤

2022-01-23 | Rock & Pops (70's)
 「クリムゾン・キングの宮殿」のイスラエル盤を手に入れた。私はいつも送料を節約するために、セラーが出している他のレコードも細かくチェックしてなるべく複数枚を一度に買うようにしているのだが、そんな other items の中にクリムゾンの「宮殿」があったのだ。
 「宮殿」のイスラエル盤やとぉ...??? 何か面白そうやんけ...(^.^) と思って商品説明文を読むと、残念なことにその盤は1976年に出たリイシュー盤で、レーベルもアトランティックではなくポリドールのものだったので迷うことなくパス。初心者の頃に喜び勇んで買った「いとしのレイラ」のUK盤が実はポリドールのリイシューで、めっちゃショボイ音しかしなかったという嫌な思い出があるからだ。音の薄っぺらい再発盤なんぞに用はない。
 好奇心に火が付いた私が早速「宮殿」のイスラエル盤をeBayで検索してみたところ、同じ再発ポリドール盤がゴロゴロしている中に1枚だけアトランティック・レーベルの「宮殿」を発見。説明を読むと “FIRST EDITION IN ISRAEL” とハッキリ書いてある。おぉ、これはめっちゃラッキーだ。盤もジャケットもEXコンディションで$45、しかも同セラーが出しているゼップの「Ⅲ」と同時購入で送料たったの$15(←南米やったら確実に$45は取られるよな...)だった(^o^)丿
 3週間ほどして届いたレコードはEXに+++を付けたいくらいのピッカピカ盤。例のスキッツオイド・ジャケットは赤味が強いUK盤と橙色のトルコ盤のちょうど中間ぐらいの色合いで、ちょうど顔の右目の上あたりに小さな字で “IN THE COURT OF THE CRIMSON KING”、左目の上には “AN OBSERVATION BY KING CRIMSON” とアルバム・タイトルが記されているところが他国の盤とは違う特徴だ。
 マトは “ST-A-691699D AT/GP PR / ST-A-691700D PR” となっているのでUSアトランティック系の音だと思われるが、特筆すべきはビートルズのイスラエル盤に多く見られた “I2” と“LN”という2つの刻印がAB両面に押されていることで、イスラエル独自のカッチリした音作りが期待できる。
 実際に聴いてみた感想としてはまさにこちらが期待した通りのサウンドで、“I2” “LN”刻印のなせるワザなのか、とにかくベースラインがよく出ており、A①「21st Century Schizoid Man」のすばしっこいベースの動きが見事に再現されていて思わず唸ってしまう。UKオリジナル盤と聴き比べてみると、楽曲に漲るプログレ特有の緊張感ではさすがにUK盤に一日の長があるが、“歌モノ”音楽としてのバランスの良さではイスラエル盤(つまりUSの音ですね)の方が勝っているように感じられた。
King Crimson - 21st Century Schizoid Man (Including "Mirrors")


 しかしこのレコードで一番嬉しかったのはこちらの予想を遥かに超える盤質の良さだ。ほぼノイズレスの美音でクリムゾンの「宮殿」を楽しめたことが何よりも嬉しい。私のUKオリジナル盤はA②「I Talk To The Wind」とB①「Moonchild」でちょっとチリパチが目立つのが玉にキズなのだが、このイスラエル盤ではそういったチリパチ音に苛まれることなくこの稀代の傑作アルバムを堪能できるのが嬉しい。
 それにしてもA③「Epitaph」に出てくる “Confusion will be my epitaph.”(混乱こそ我が墓碑銘)って何度聴いてもカッコ良いフレーズやなぁ... (≧▽≦) 歌そのものもグレッグ・レイク一世一代の名唱と言っても過言ではないし、あの強烈なジャケットを眺めながらこの「Epitaph」をじっくりと味わう時間を大事にしたいと思う。まるで哲学者にでもなったような至福のひと時だ。
King Crimson - Epitaph (Including "March For No Reason" and "Tomorrow And Tomorrow")