shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

News Of The World / Queen

2011-02-25 | Queen
 plinco さんの何気ない一言からすっかりクイーン熱に火が付いた私は今週に入って手持ちのアルバムをガンガン聴きまくっているのだが、ビートルズやゼッペリンと同様、十代の頃から聴き続けているクイーンの音楽はもう自分の身体の一部になっているような感じで、何百回何千回聴いても飽きがこない。
 私がリアルタイムの新譜としてクイーンを聴き始めたのは76年の5thアルバム「華麗なるレース」からだった。前作「オペラ座の夜」で唯一無比の “オペラロック路線” を極めた感のある彼らが一体どんなサウンドを作り上げるのか興味津々だったし、リード・シングルとして出た「サムバディ・トゥ・ラヴ」も「ボヘミアン・ラプソディ」の流れを継承する名曲名演で、私の期待はいやが上にも膨らんでいった。
 アルバムの発売日に速攻で買ってきた「華麗なるレース」は、ブライアンのギターが唸りを上げる血湧き肉躍るようなロックンロール「タイ・ユア・マザー・ダウン」で大コーフンし、日本のファンへの感謝の気持ちのこもった日本語詞と神々しささえ感じさせる名旋律がたまらない「手をとりあって」に涙ちょちょぎれたものの、シングル「サムバディ・トゥ・ラヴ」を含めたこれら3曲以外のトラックはまるで「オペラ座の夜」の残りテイクというか、焼き直しのように聞こえ、ブライアンのギターが爆裂する “ブリティッシュ・ハードロック” 路線が好きだった私にはいまいち物足りない内容だったし、何よりもタイトル、ジャケット、サウンドと、その全てが前作の続編的なこのアルバムを聴いて “バンドとして煮詰まってるんかなぁ...(>_<)” などと余計な心配をしたものだった。
 しかし翌77年、そんな私の杞憂を吹き飛ばすようなニュー・アルバムが彼らから届いた。それがこの「世界に捧ぐ」で、「オペラ座の夜」で行き着くところまで行ってしまった彼らが次に進むべき道を模索しながらも新たな一歩を踏み出したことがヒシヒシと伝わってくる意欲的な内容だ。「オペラ座の夜」の呪縛か、はたまた過渡期特有の違和感からか、ファンやクリティックの反応からは少なからず戸惑いのようなものが感じられたが、それまでの “ゴージャスな音の大洪水” から “よりシンプルでタイトなバンド・サウンド” へと舵を切り、アメリカン・マーケットを意識し始めたようなこのアルバムを私は来る日も来る日も聴きまくった。多分クイーンの全アルバム中2番目によく聴いた盤だと思う。
 ①「ウィー・ウィル・ロック・ユー」はペプシのCMやアンディ・フグの入場曲としても使われ、何とジャズ・ヴォーカリストのケイコ・リーまでもがカヴァーした超有名曲で、あの重厚なハンド・クラッピングとフット・ストンピングが生み出すグルーヴが圧巻だ。初めて聴いた時そのあまりの迫力にブッ飛んだのを覚えている。前にも書いたが、後半部分でブライアンのギター切り込んでくる瞬間は何度聴いてもゾクゾクさせられる。まさにクイーンの、いや、ロックの代表曲の一つに挙げてもいいぐらいのキラー・チューンだ。
 このアルバムは①ともう何の説明も不要なくらい有名な②「伝説のチャンピオン」の2曲が突出して目立っている感があるが、私がこのアルバムで①と並んで気に入っているのが⑩「イッツ・レイト」だ。この曲は寄せては返す大波のようなグルーヴ感に圧倒されるドラマチックな大作で、ブライアンはギンギンに弾きまくるわ、ロジャーのドラムは縦横無尽に暴れ回るわで、目も眩まんばかりのロック桃源郷が展開され、トドメとばかりに十八番の重厚なコーラスでクイーン印の刻印を押す... もうお見事!と平伏すしかない見事な構成で、6分25秒という長さを全く感じさせない名曲名演だ。こんなにカッコ良いロック・ナンバーなのにファンの間であまり話題に上らないのが昔から解せなかったが、やはりクイーン・ファンはオペラ・ロックの方が好きなんかなぁ...(>_<) とにかく私のようにヘヴィー・ロックなクイーンが好きな人はこの1曲のためだけにでもこのアルバムを買う価値があると思う。
 アルバムのラストを飾るジャジーなナンバー⑪「マイ・メランコリー・ブルース」も素晴らしい。雰囲気としてはポールの「バック・トゥ・ジ・エッグ」のラスト・ナンバー「ベイビーズ・リクエスト」に相通ずるモノがあり、ナイト・キャップにピッタリのオシャレな1曲だ。哀愁舞い散るメロディーを淡々と歌い上げるフレディーといい、スティックをブラッシュに持ち替えて渋くキメるロジャーといい、彼らの意外な一面が楽しめる1曲だ。尚、空耳アワーで取り上げられたこの曲のアタマの部分 “Another party's over, and I'm left cold sober...♪” は今ではもう “花のパリそばぁ~ なめこソバァ~♪” としか聞こえない(笑) タモリ倶楽部恐るべしである。
 他の楽曲群もヴァラエティに富んでおり、ゼッペリンの「ロックンロール」を彷彿とさせる疾走系ロックナンバー③「シアー・ハート・アタック」、 “シンプル・イズ・ベスト” を地で行く荘厳なバラッド④「オール・デッド、オール・デッド」、クイーンらしさ横溢の隠れ名曲⑤「スプレッド・ユア・ウイングス」、ブライアンの脱力ヴォーカルがエエ味出してる粋なブルース⑧「スリーピング・オン・ザ・サイドウォーク」、そして軽快なマラカスが南欧リゾートっぽい雰囲気を醸し出す⑨「フー・ニーズ・ユー」と、その “何でもアリ感” はクイーン版「ホワイト・アルバム」と言いたくなるような面白さだ。
 ただ、唯一疑問に思うのが曲順で、②の「伝チャン」なんかどう考えてもアルバムのラストに置くべき曲だと思うし、B面の⑧→⑨→⑩→⑪という並べ方も何かしっくりこない。この時期のライヴは①の疾走系ヴァージョンで幕を開け、エンディングを①のノーマル・ヴァージョン→②でビシッとキメるというサージェント・ペパーズな構成だったが、私的にもアレが一番しっくりくるように思う。以前「ダブル・ファンタジー」を解体して並べ替えたことがあったが、このアルバムも A面:①の疾走ヴァージョン(Live Killers のを代用)→⑤→⑥→⑧→⑩→⑪、B面:③→⑦→⑨→④→①→②に並べ替えてみると印象がガラリと変わった。このプロデューサーごっこ、いざやってみると結構楽しい。好きなバンドをプロデュースするというのは音楽ファン冥利に尽きますな...(^o^)丿

"It's Late" by Queen #Unofficial Video#


Freddie Mercury & Queen Tribute - My Melancholy Blues


Queen - sleeping on the sidewalk - Brian May tribute


Queen - Spread Your Wings


【おまけ】空耳好きな貴方に...
コメント (4)