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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Wings Over America」マト・オール -1U のUK盤ゲット

2019-02-17 | Paul McCartney
 「Wings Over America」の US盤を買った話はこの前書いたが、家に帰って手持ちの UK盤を引っ張り出してきて両者の音を聴き比べたりジャケットの細かいデザインを比較したりしていた時に、ふと “俺の UK盤「オーバー・アメリカ」ってマトはどーなってたっけ?” と思ってチェックしてみると、“1U/2U/3U/2U/1U/1U” だった。
 私はビートルズ及び各メンバーのソロのレコードは可能な限りマト番の若い盤を買うことにしており、このレコードに関しては購入当時に参考にしていた「Beatles' Vinyl Made in UK」というガイド本(←監修は和久井光司氏)に “初版のマトリクス・ナンバー末尾は全面とも「-1」だが、それはサンプル盤のみという説もある。” と書いてあったのでサンプル盤を探してみたが全然見つからず、仕方なく盤質の良いアーリー・プレス盤を買ってお茶を濁したまま、気が付けば10年以上の年月が過ぎ去っていたのだ。
 現在持っている盤はコンディションが良いのでそれなりの良い音で鳴ってくれてはいるが、こーなってくると “ひょっとするとマト・オール1盤やったらもっと生々しい音が聴けるんちゃうやろか?” とついつい考えてしまうのがコレクターの哀しい性というもの。というワケで今回のUS盤祭りが引き金になり、再びUK 1stプレスのマト・オール1盤を探してやろうと思い立った。
 そういえば B-SELS で US盤を買った時、店頭在庫に “2U/1U/1U/1U/1U/1U” (←惜しい!!!)というマトでスタンパーもめっちゃ若い UK盤があったので、“まずコイツを買ってディスク2を差し替え、更にディスク1が “1U/1U” の盤をどこぞから探してきて再度差し替える...” という2段階作戦も考えたのだが、生来面倒くさがり屋の私は “どーせならオール 1U盤を探して1発で解決したろ...” と考え、早速 Discogs と eBay で検索してみたところ、1Uの含有率(?)は20~30%ほどでマトは 2Uや 3Uのものが多く、中には 4Uなんて盤も珍しくない。特にディスク1(YEX963/964)の 1U/1U盤はめちゃくちゃレアらしく1枚も出ていない。
 “やっぱり滅多に出てけぇへんサンプル盤を気長に待つしかないか...” と半ば諦めながらもダメ元で eBayのローカル・サイトをチェックしたところ、何と eBay UKでマト末尾がオール 1Uの盤を発見! ジャケットは VGでスパインが少し傷んではいるものの、盤質は EX- なので問題ない。念のために “ホンマにマトが全部 1Uやったら買うからもう一回確認してくれへんか?” というメッセージをセラーに送ったところ、“I can confirm the matrix numbers are correct.(マト番確認したよ。)” という返事が返ってきたので即落札。結局送料込みで£25、日本円にすると約3,500円(←イギリスの EU離脱騒動のおかげでこの時は£1=138円だった...)ぽっきりで買うことができた。
 届いた盤を確認するとサンプル盤のステッカーは貼ってなかったので、バラで買って組み合わせたという可能性はあるものの、和久井氏の言う “マト末尾全面「-1」はサンプル盤のみ” という説は怪しくなってくるが、果たして真相は如何に...? で、気になる音質を確認するために、まず一番差が大きいであろうC面(1U vs 3U)で手持ちの盤と聴き比べてみることにした。
 早速両方の盤を取り出してみたところ、一目でデッドワックス部分の幅が違うことに気が付いた。“え~ 何で???” と思って計ってみると、1U盤が 1.5cmなのに対し 3U盤は 2.3cmもあるのだ。理論的にはデッドワックスの幅が狭い方が情報量が多いので音が良いことになるが、そういった要素も含めて興味津々である。
 実際に盤に針を落として聴いてみたところ、手持ちの UK盤はもちろんのこと、この前取り上げた LAプレスの US盤やリマスターCD、それにハイレゾ音源も含めてこれまで聴いてきたありとあらゆる「オーバー・アメリカ」とは明らかに違うごっつい音がスピーカーから飛び出してきてビックリ(゜o゜)  私が「オーバー・アメリカ」に対して抱いている音のイメージは “音が遠い” というネガティヴなものだったが、このリアル 1stプレス盤はとにかく音圧が高くてめっちゃ音が近い。例えば A②「レット・ミー・ロール・イット」のリッケン・ベースの音なんてもう凄味を感じるぐらいの重低音で、ズシリ、ズシリとまるで軍隊の行進のようなのだ。これではまるで “ラウドカット” ではないか! しかし私の知る限り、「オーバー・アメリカ」にラウドカット盤が存在するなんて話は聞いたことがない。不安に思った私は B-SELS にこの盤を持ち込んで確かな耳を持つ店主のSさん(←やっぱり楽器を弾く人は耳が違います...)と一緒に検証することにした。 (つづく)

ポールの2018ドーム・ボックス

2019-02-15 | Paul McCartney
 去年の12月中頃だったか、予約しておいたポールの両国ボックスがもうすぐ届くということで “しめしめ、これでクリスマスの3連休を心ゆくまでポール三昧で満喫できるわい...(^.^)” とほくそ笑んでいた私の元へ、今度はドーム・ボックス予約受付のメールが届いた。東京ドーム2日間+ナゴヤドームの計3公演分のサウンドチェック+本番を IEMマトリクスと単一指向性マイクによるオーディエンス録音で 3×3 + 3×3 = 18枚、更に東京ドーム初日の前日に非公開で行われたリハーサルも IEMマトリクス録音で収録した2枚を加えたCD 20枚組セットで、お値段は何とビックリの48,000円だ。
 最初のうちは、オフィシャルの「ワイルド・ライフ」と「レッド・ローズ・スピードウェイ」スーパー・デラックス・エディションが同時に買えてしまうという、まるで人をバカにしたようなボッタクリ価格を見て思わず “誰が5万円も出すねん、アホか!” と鼻で笑っていたのだが、その数日後に届いた両国ボックスの凄まじいまでの高音質に完全 KOされてすっかり頭に血が上ってしまった私は “自分が参戦したナゴヤドームはやっぱり最高の音で手元に残しておきたいし、東京ドーム2日間分の音源も(←自分が行ってないコンサートなので思い入れがなく、EVの先行盤 CDとピカデリーの DVDしか買ってない...)高音質で手に入るならまぁエエか...” と考え、衝動的に予約ボタンをクリック。両国ボックスに続く前言撤回だが、君子は豹変するのである。ボックスの発送は大晦日だったが、何と1月1日のお昼に我が家に届いた。クロネコさん、元旦から仕事してくれてありがとう!
 聴いた感想としては両国ボックスの時と全く同じで、“ドーム3公演 + 前日リハ” を捉えたマトリクス音源のスーパーウルトラ高音質がとにかく凄いの一言! これだけでも大枚を叩いた価値があるというものだ。因みに前回取り上げた両国ボックスのマトリクス盤は LH盤とそれほど変わらないレベルだったが、このドーム・ボックスに関しては前日リハといいナゴド本番といい一聴して分かるレベルで LH盤を軽く凌駕しており、ハッキリ言ってこれ以上望めないんじゃないかと思えるぐらい素晴らしい。お金に換算すると「本番 IEM 12,000円×3 + 前日リハと各日サウンドチェック IEM 3,000円×4 = 48,000円」という感じ。オーディエンス録音盤は論ずるに値しないのでパス(笑)
 で、まず10/30の非公開リハーサルだが、本番ではついに演らなかった「アイ・ドント・ノウ」を何度も何度も試していたりとか、“イチバン!” という掛け声を「カム・オン・トゥ・ミー」のイントロに持ってくるアレンジを煮詰めていく過程(←Good idea! とか言ってる...)が聞けたりとかで、ファンとしてはあの完全無欠なエンターテインメント・ショーに向けての試行錯誤の様子が垣間見れて非常に興味深いものがある。尚、“イチバン!”は余程気に入ったとみえて、このリハの最中に何度も連呼しているのが微笑ましい。又、「ヒア・トゥデイ」を一部崩して歌ったり(←いくらリハとはいえ、これはちょっと興醒め...)、「オブラディ...」のサビの部分の掛け声を “brahhh!” と誇張するか否かの打合せなんかもバッチリ聴けて面白い。リハの最後をポールが “それでは明日もまたここ東京ドームでお会いしましょう~♪” とDJ風のノリでシメるところも最高にカッコ良かった。
 本番ステージでも、例えば 11/8のナゴヤドームで「マイ・ヴァレンタイン」の時にステージ後方スクリーンがフリーズしてしまうというトラブルがあったが、曲の間奏に入った時にポールが “フィルムをどーたらこーたら...” と指示を出している声も微かに聞こえるし(2:32あたり)、10/31の東京ドーム初日の同曲前の MCで Nancy をわざと“ナンシィ”とカタカナ風に発音しておきながら歌う前に自分でウケて吹き出してしまうところとかもバッチリ捉えられており、オーディエンス録音盤では全く気付かないような細かい音まで聞けて実に面白い。
 結局今回のボックス2セットで約6万円の出費となったワケだが、ビートルズ関連では金に糸目は付けない主義の私としては最高音質のマトリクス音源を手に入れることができただけで満足(^o^)丿 ただし、両国と名古屋だけでいいというなら、イヤモニ・マトリクス録音は両国を LH盤で名古屋を TJ盤、オーディエンス録音は両国を Moonchild盤で名古屋を Supersonoic盤で揃えれば、8,000円でお釣りがくるコスパ最強の組み合わせになると思う。

ポールの両国 “でらサイコー” ブート決定戦

2019-02-11 | Paul McCartney
 ポールの両国ライヴの IEMマトリクス盤のベストは EVで決まりだが、オーディエンス録音盤となるとまさに群雄割拠というか、各ブート・メーカーがしのぎを削っているという感じで、私の知る限りでは “圧勝盤” というのは存在しない。ライヴから3ヶ月が経ってもうこれ以上新しいブツがリリースされる可能性はほとんどなくなったので(←まさか TJとか出ぇへんよな...)、今回は私が買い漁った両国オーディエンス録音盤の中から極私的 “でらサイコー” ブートを選んでみようと思う。
 それではまず最初にそれぞれの盤の簡単なインプレッションを購入順に書いてみたい。(このブログは個人の感想であり、各ブートの優劣を保証するものではありません... 笑)
①Ryogoku 2018(Uxbridge)
 私が最初に手に入れた両国ブートは LHの傍系 CD-Rレーベルである Uxbridgeから出たこの盤。CD-Rということであまり期待せずに聴いたのだが、2階席からの録音とは思えないようなサウンドにビックリ。もちろんサウンドボードも裸足で逃げ出す... というタイプの録音ではないが、リアリティー溢れる臨場感が絶品で、実際に会場で聴いた音を思い起こさせてくれる、とでも言えばいいのか、とにかく見事なバランスで録音されている私的お気に入り盤だ。インフォに“聞き心地が抜群!” とあったが、まさに言い得て妙だと思う。

②Freshen Up Ryogoku Kokugikan 2018(Piccadilly Circus)
 ピカデリーのブートは当たり外れが激しい。最近は2015年、2017年と安定して良かったので大いに楽しみにしていたのだが、残念ながら今回は私の好みとは違う平板な音作りになっており、他の両国ブートのレベルの高さやコスパを考えると正直ちょっとキツい。DVD裏ジャケの “One On One Japan Tour” という信じがたい誤表記も含め、今回のピカさんは一体どうしたのだろう???と心配になってくる。ただ、直近3回の来日で全公演の DVDを出してくれているのはココだけだし(←今回のマルチカメラは切り換えが多すぎて見にくかったけど...)、ポールに関してはガチなレーベルなので、次回に期待したいと思う。

③Freshen Up At Ryogoku Kokugikan Omnidirectional Source(Empress Valley)
 ハイエンド無指向性マイクを使って録音されたエンプレス・バレイの先行発売盤。前にも書いたように両国ボックスに入っている単一指向性 MK4マイクと同じ場所で録音されており、音もほとんど変わらない。何故か EVのオーディエンス録音は周りに喋ったり騒いだりするアホな客が居合わせる不幸なケースが多いが、今回のこの両国オーディエンス盤に関しては標準語でボソボソ喋る男の低い声(←キモい...)以外はほとんど気にならない。それよりも、私にはエコーが強すぎてポールのヴォーカルに距離感を感じてしまうのが最大のネックで、悪くはないが私好みの音ではなかった。

④Ryogoku Kokugikan 2018(Lighthouse)
 ライトハウスのこの盤は生々しい音が実に気持ちいい。後で分かったことだが、以下の⑤~⑧までみんなコレと同音源(←「1985」アタマの部分に“デカいデカい...”とそれこそデカい声のお喋りが入っている部分を聞けば明らか)だったのにはビックリだ。インフォには “さる高名なテーパーがネット上に上げた音源を直接提供されたもの” とあるので、他レーベルのものはすべてネットからダウンロードした同音源をそれぞれリマスターしたものということになるわけだ。録音位置は「桝席 正 13側」とのことなので私のすぐ後ろで録音されたことになるが(←ということは「1985」が終わった直後の “バ~ン ドォンザ ラァ~ン♪” っていうアホ声はまさか...)、リアリティーと臨場感を非常に高い次元でバランスさせた名録音だと思う。

⑤ポール・マッカートニー at 両国国技館(Nanker Records)
 LHの④と同じ音源で、リマスタリングによる違いもほとんどない。まぁいじる必要がないほど元の録音が優れているということなのだろう。CD-R盤なので他レーベル同音源プレス盤があればコレを買う必要は全くない。

⑥Ryogoku Kokugikan Mein Show(Phoenix Record)
 ヤフオクやメルカリで短期間に売りまくった謎のレーベル。興味本位に買ってみたら発送元は北海道だった。CD-R盤だがメディアは太陽誘電製という拘りブート。これもやはり LHの④と同じ音源だが、LH盤よりもやや臨場感が強い音作りだと感じた。

⑦Live At Ryogoku Kokugikan(Supersonic Masters)
 この Supersonic Masters も今回初めて登場した未知のレーベルだが、家内制手工業で作ったような⑥とは違い、れっきとしたプレス盤。これも LHの④と同じ音源だがリマスタリングによって更にリアリティーが増しており、今回の聴き比べでは一番私好みの音に仕上がっていた。Supersonic盤は名古屋もこれと同様に音圧と臨場感を高いレベルで両立させた高音質な仕上がりで、今回の来日ブートではちょうど2015年の SNEみたいな超お買い得のレーベルだと思う。大推薦!!!

⑧One Night In A Sumo Arena(Moonchild Records)
 Moonchild Records というのは EVと同じく西新宿のブラインド・フェイスというブート屋が作っており、独自音源で差別化を図る EVとは違って、ネットでダウンロードした音源を1,000円で売ることに特化した価格破壊型廉価盤レーベルだ。これもやはり LHの④と同じ音源だが、入念なリマスタリングでかなりオンな音に仕上がっている。何よりも面白いのは同じ BF系列でありながら、皮肉にもハイエンドマイクを使った EVのオーディエンス録音盤を軽く凌駕してしまったこと。他レーベルも含めて、コスパを考えればコレが断トツの№1だろう。

⑨Ryogoku Kokugikan 2018 Definitive Master(Uxbridge)
 ほとんどの両国ブートが出揃った12月後半に LHが Uxbridgeレーベルからリリースした CD-R盤。LH自身のプレス盤④や IEM盤、それに EVのボックスの後でコレを出す意味がよく分からなかったが、どうやら “2階正面ロイヤルボックスの真後ろという特異な録音ポジション” というのがウリらしい。インフォには “ステレオ感が強い” とか “マイルドなサウンド” とか書いてあったので(←まさに “物も言いよう”ですな...)おおよその見当はついていたが、実際に聴いてみると音が遠くてやっぱりなぁ... という感じ。それより何よりこの盤の最大の問題点は近くに大声で遠吠えしまくる観客がいることで、とてもじゃないがスピーカーの大音量では聴いていられない。ハッキリ言ってハズレとしか言いようがないナンジャラホイ盤だった。

ということで、上記9枚の中では私は①④⑦⑧がお気に入り。④⑦⑧は①と比べると音の近さという点で一日の長があるので、元々同じ音源でリマスタリング違いの④⑦⑧がトップ3入賞ということになるが、どれか1枚となると非常に難しい。敢えて書けば「あまり音をいじってなくて聴きやすい④」「音圧アップで迫力満点の⑦」「リマスタリングでオンな音像を作り上げた⑧」という感じで、ここまでくると後はもう個人の音の好みの範疇になるだろう。私としては僅差で⑦の Supersonic Masters を両国オーディエンス録音の “でらサイコー” ブートと認定したい。
      

ポールの両国ボックス

2019-02-09 | Paul McCartney
 日本のブートレッグ業界にエンプレス・バレイ(←以下EVと略す)というメーカーがある。ポールの来日公演ブートでは、EVはまず無指向性マイクを使ったオーディエンス録音盤を出して様子を窺い、他のメーカーの盤がほぼ出揃ってポール祭りが一段落した頃に “満を持して” と言う感じで、サウンドボードに迫る生々しさを誇る IEM(In-Ear Monitor、略してイヤモニ)マトリクス音源盤と単一指向性マイクを使ったオーディエンス録音盤をセットにして詰め込んだ高額なボックス・セットをリリースする、というのがここ数年のリリース・パターンになっている。
 私は2013年と2015年武道館の EVボックスは買ったが、2017年のは買わなかった。EVの(というか、タッグを組む Xavelの、と言った方がいいかも...) IEM録音技術は群を抜いて凄いのでマトリクス盤単独で出してくれれば迷わず “買い” なのだが、先行発売オーディエンス録音盤とほとんど変わらない音質の単一指向性マイクによるオーディエンス録音盤とセットにした抱き合わせ販売、更に熨斗紙やら何やらといったどーでもいいボックスの装丁に凝って値段を吊り上げるという姑息な売り方を見て、いくら何でもコスパが悪すぎると考えたからだ。だから今回も EVに関しては先行発売のオーディエンス録音盤だけ買って、ボックスは見送るつもりだった。
 しかし、その時の気分次第で本能の趣くままに生きるのが私という人間であり、言うことやることが二転三転するのは日常茶飯事...(笑) いつもブートを通販で買っている Kent から両国ボックス発売のお知らせメールが届いたのは確か12月の半ば頃だったが、ちょうど色んなメーカーから出ている両国ブートを聴いたりリトグラフを額に入れて飾ったりして気持ちが盛り上がっていたのと、ボーナス直後で気持ちが大きくなっていた(笑)こともあって、“他でもない両国の記念やし、1万円ちょっとやったらまぁエエか...” という軽いノリでこの両国ボックスを注文してしまった。
 ボックスが届いて真っ先に聴いたのはもちろんマトリクス盤である。しかも今回は“ステージ上に設置されたモニタリング用スピーカーのステレオ・ライン音源、複数のステレオIEMソースなどを正真正銘プロ・ユースの機材を用いてステレオ・ミックス” とインフォに書いてあったので(←ライン音源て... ホンマかいな)一体どんな音に仕上がっているのか興味津々だった。
 はやる気持ちを抑えながらプレイヤーにセットしてボタンを押すと、スピーカーから飛び出してきたのは私の予想を遥かに上回る生々しいサウンドで、生半可なオフィシャル・ライヴ盤なんか軽く超えてしまうんじゃないかと思えるぐらいのスーパーウルトラ高音質。一番の魅力は何と言っても生のライヴ会場や普通のオーディエンス録音盤では聞き取れないような細かい音まで驚くほどクリアーに聴けるところで、大袈裟ではなくこのマトリクス音源はブートレッグの概念を完全に覆してしまうほどの凄い音だと思った。
 因みにこれより先に出たライトハウス(←以下LHと略す)のイヤモニ録音盤と聴き比べてみたところ、どちらも高音質で実にハイ・レベルなライヴ・サウンドなのだが、後出しのEVの方がマスタリングにじっくりと時間をかけただけあって、より腰の据わった押しの強いサウンドに仕上がっている。ドームとは違って非公開で行われた当日のサウンドチェック(←10/30の非公開リハーサルの時と同じく「アイ・ドント・ノウ」に時間を割いてた...)の録音に関しても同様だ。ただ、両者の差はそれほど大きなものではないので、コスパを考えればLH盤に軍配が上がるだろう。
Paul McCartney - I Don't Know [Rehearsal at Kokugikan, Tokyo - 05-11-2018]


 オーディエンス録音盤の方はやはり先行発売盤と同じ位置で録音されたと思しき音源で、「カム・オン・トゥ・ミー」が終わった後に “東京ドームがどーたらこーたら...” という男の低いボソボソ声(←コイツほんまにウザい... お喋りがしたかったらどこか他所でやれ!)が入ってるところとか、全く同じ。マイクは違えども高音を強調してエコーを深めにかけた音作りも同じで、私にはあまり違いが分からなかった。まぁこれは十分想定の範囲内だったのでやっぱりなぁ...という感じ。
 というワケで、まともな経済感覚の持ち主であればLH盤一択だと思うが、私のように “半分ビョーキ” レベルのビートルマニアにとってはこの両国ボックス・セットの IEMマトリクス音源は一聴の価値があると思う。抱き合わせのオーディエンス録音盤をオマケと考えても、「本番のマトリクス盤10,000円 + サウンドチェックのマトリクス盤2,800円 = 12,800円」と考えれば納得の逸品なのだ。

US盤「マッカートニー」3種聴き比べ

2019-01-27 | Paul McCartney
 ポールのファースト・ソロ・アルバム「マッカートニー」のマト違い US盤を1週間で3枚も買ってしまった話は以前このブログに書いたが、海外から買った2枚がようやく届いたので、今日は改めて3枚の US盤の聴き比べをやってみようと思う。

①SMAS、B面 RL刻印盤、裏ジャケ abkco有り、Winchesterプレス、盤質NM
  A: SMAS S̶T̶A̶O̶-1-3363 Z17-1-S —◁ STERLING LH
  B: SMAS S̶T̶A̶O̶-2-3363 Z14 —◁ STERLING LH/RL
 私が最初に聴いた US盤「マッカートニー」がコレで、盤質が良かったこともあるが、2ndプレスにもかかわらず私の予想を上回るカッチリした音が聴けて、“70年代 US盤侮るなかれ” との思いを強くさせられた。RL刻印無しの A面も捨てたものではないが、RL刻印有りの B面のガツン!とくる音を聴いてしまうとどうしても A面の影が薄くなってしまう。いずれにせよ、普通に音楽を楽しむだけならこの 2ndプレス盤で十分な気がする。

②STAO、B面 RL刻印盤、裏ジャケ abkco無し、LAプレス、盤質VG+
  A: STAO-1-3363 Z22 #2 ✲ STERLING LH
  B: STAO-2-3363 Z20 ✲ STERLING RL/LH
 こちらは裏ジャケに abkco表記がない真正 1stプレス盤だが、2ndプレスの①と比較してみてもほとんど違いが分からないレベルで、盤質の違いのせいか、それとも17/14 vs 22/20 というマト番の違いのせいか分からないが、むしろ①の方がわずかに上回っているのではないかと思えるほど。これだからアナログは面白い。尚、B面には①と同じ RL刻印があるが、①が LH/RL なのに対してこちらはなぜか RL/LH になっている。

③STAO、両面 RL刻印盤、裏ジャケ abkco無し、Winchesterプレス、盤質NM
  A: STAO-1-3363 Z14 —◁ STERLING LH/RL
  B: STAO-2-3363 Z14 —◁ STERLING LH/RL 
 今回の3枚比較で一番楽しみにしていたのがこれ。しかも盤が届いてみて初めて裏ジャケに abkco表記がないことを知ったので(←買ったときは RL刻印のことで頭が一杯でそれ以外のことは全く眼中になかった...)、偶然とはいえ 1stプレスで両面 RL刻印盤、しかもマト番も若いという、これ以上望むべくもない盤を手に入れたことになる。
 初めて聴く A面の RLカットの音はさすがボブ・ラドウィッグという感じのダイナミックなサウンドで、特にベースの音なんか、まるで弦が太くなったかのような錯覚を覚えるほどのごっつい音で入っており、聴いててめちゃくちゃ気持ちいい。これは B面も同様で、大好きなB②「ママ・ミス・アメリカ」なんかもう凄いの一言! アンプのヴォリュームを上げていってリスニングルームが地鳴り鳴動する快感は筆舌に尽くし難い。B⑤「メイビー・アイム・アメイズド」も強烈な説得力で迫ってきて思わず聴き惚れてしまうほど。もちろんこのレコードはゼップのように爆音を楽しむ盤ではないが、アコギのストロークの力強さやリズムの躍動感など、他では聴けない豪放磊落な「マッカートニー」が楽しめて言うことなしだ。私が持っているビートルズ関連の US盤の中では両面グリーン・アップルの「ラム」と双璧をなす溺愛盤だ。

 ということで、ウチのシステムにおける音質比較結果は ③>>①≧② だったが、これは①②が良くないのではなく③がめっちゃ良すぎたということ。ゼップのセカンドを聴いても明らかだが、やっぱりボブ・ラドウィッグって凄いわ。

70年代ポールのUS盤LP特集④

2019-01-19 | Paul McCartney
 B-SELS というお店はまだまだ店頭に出していない在庫があるらしく、Sさんは1枚1枚ご自分の耳で丹念にチェックしてからお店に出す、という話を以前うかがったことがある。その話を覚えていた私は「マッカートニー」を買った時に “また1週間後に来ますんで、裏在庫(?)の中から「オーヴァー・アメリカ」と「ロンドン・タウン」の US盤出しといて下さいね。” という何とも図々しいお願いをしておいたのだが、次にお店に伺うと本当にその2枚がさりげなくエサ箱に入れられていた。
 しかも「オーヴァー・アメリカ」の US盤は2セット並んでおり、ポスター付きの方が2,400円でポスター無しの方が1,800円と、どちらもアメリカからの送料以下という良心的な値付けである。私はポスター類には全く興味が無いので盤質の良い方を買おうと考え、両方の盤を聴き比べさせていただくことにした。
 まずは2,400円の方からスタート。このレコード、盤質は文句ナシなのだがサウンド自体がイマイチおとなしいというか、ライヴの熱気に欠けるような気がする。この頃はちょうどオンな音作りが圧巻の「Wings Over Europe」を聴きまくっていた時期なので余計に音が遠く感じられたのかもしれないが、それにしても私の持っている UK盤の音はもっと躍動感があったように記憶している。要するにこのセットは “悪くはないけどそれほど良くもない” というのが正直な感想だ。
 次に1,800円の方を聴かせていただいたのだが、「ヴィーナス・アンド・マース」のイントロが流れてきた時点で “あれ??? 音圧がさっきと違うぞ...” と感じた。更に「ロック・ショウ」に突入した瞬間にライヴのエネルギーが爆発! “こっちの方が全然エエですね!” とコーフン気味にSさんに言うと “確かに違いますね。試聴してる時はノイズとかに集中しながら小さな音で聴いてたんで違いに気が付きませんでした。” と仰る。確かにお店としてやるべきなのは盤質チェックであり、マニアの道楽(笑)といえる音質聴き比べではない。
 2枚のデッドワックス部分を調べてみると、おとなしい音の方がジャクソンビル・プレスで、元気な音の方が LAプレスだと判明。更に、音だけではなくジャケットも少し違うことに気が付いた。同じ US盤でありながらジャケットの色合いが明らかに違うのだ。ジャクソンビル・プレスの方は UK盤と同じ濃い色合いなのに対し、LAプレスの方は私が中学時代から慣れ親しんできた日本盤と同じ淡い色合いなんである。
 更に驚いたのは色の濃淡だけでなく、万国共通と信じ切っていた細部のデザインまでもが微妙に違うことで、例えば、表ジャケでは右下のライトが前者は [緑2赤2] なのに対し、後者は [赤3緑2] と数も並び方も違っているし、真ん中やや下にある機体のてかり(?)が前者にはあるが後者には描かれていない。裏ジャケはもっと違いが明白で、前者の真ん中下の方にある赤と緑の5つのライトや機体の左半分に走っている白い筋(?)が後者には全く描かれていない。ポールの「オーヴァー・アメリカ」のジャケットにこんな違いがあったとは知らなんだ。ただし、こういった音質やジャケットの違いがプレス工場によるものなのか、はたまたプレス時期によるものかは定かではない。
  

 ということで、私は音の元気な LAプレスの方を3枚組6面すべて聴かせていただき、Sさんの気が変わらないうちに購入。それにしてもこれが1,800円やなんてホンマにエエんかいな? Sさん、ごっつぁんデス!
 調子に乗った私は更に「ロンドン・タウン」も両面試聴させていただきそちらも購入。こちらもやはり US盤の人気の無さを反映してか、お買い得価格の2,000円だった。更に「マッカートニーⅡ」にも目を付けたのだが盤が少しカビっていたので一旦カビとりをお願いし、後日改めて購入させていただいた。こちらも「カミング・アップ」(ライヴ・ヴァージョン)の7インチ片面シングル盤(←なぜか33回転!)付きで2,400円というお値打ち価格で買うことができて大満足。これで70年代ポールの US盤は完全制覇と相成った。
 そういうワケで年末からお正月にかけてはそれまで UK盤オンリーだったビートルズ・メンバーのソロ・アルバム棚に新たに US盤コーナーを増設し、レコード整理をしながら楽しく過ごすことができた。Sさん、色々とホンマにありがとうございました。B-SELS、でらサイコー!!!

①Wings Over America(LAプレス)
 A: SWCO-1-11593 F-3 MASTERED BY CAPITOL ✲
 B: SWCO-2-11593 F-3 MASTERED BY CAPITOL ✲
 C: SWCO-3-11593 F-3 Wly MASTERED BY CAPITOL
 D: SWCO-4-11593 F-3 Wly ✲ MASTERED BY CAPITOL
 E: SWCO-5-11593-F-16 ✲ MASTERED BY CAPITOL
 F: SWCO-6-11593 F-3 Wly ✲ MASTERED BY CAPITOL
②London Town(LAプレス)
 A: SW-1-11777-Z18• KENDUN-B JG ✲
 B: SW-2-11777-Z22• KENDUN-B JG ✲
③McCartney II(Pitmanプレス)
 A: P AL-36511-1H S1
 B: P BL-36511-1J S1

70年代ポールのUS盤LP特集③

2019-01-13 | Paul McCartney
 B-SELSで US盤を2枚衝動買いした1週間後、再びお店にお邪魔して、“ネットで「ラム」「バンド・オン・ザ・ラン」「ヴィーナス・アンド・マース」の3枚買いましてん!” と言うと“え~、もう3枚も? 速攻ですねぇ...” とSさんもビックリ。“今日は 1stの「マッカートニー」とか、ないですかね?” と尋ねると “まだ店に出してない盤があるにはあるんですが、ちょっと問題がありまして...” と歯切れが悪い。お話を伺うと、プレスミスでセンター・レーベルがズレているため、ラストの曲が終わってすぐに針を上げないと悲惨なことになる(笑)とのこと。“盤質は良いので惜しいなぁ... と思ってるんです。” と仰るのでとりあえず聞かせていただくことにした。
 US盤「マッカートニー」に関しては一つだけどうしても確認したいことがあったので、盤をターンテーブルに乗せる前にデッドワックス部分を見せていただいた。するとそこには何と泣く子も黙る RL の刻印が... そう、これこそまさにあの「Led Zeppelin II」のホット・ミックスで名を馳せた巨匠、ボブ・ラドウィッグによってカッティングされたという何よりの証しである。RL はなにもゼップの専売特許というワケではないのだ。
 実を言うと私は2年ほど前にライトハウスのギフト盤 CD-Rでこの盤の存在を知ったのだが、その頃は “ビートルズのソロは UK盤一択!” という考えに固執していたこともあってあまり真剣に聴いていなかった。今回のポールのソロの US盤蒐集を始めた時に真っ先にこの CD-Rのことを思い出して再度聞いてみたところ、これが結構生意気な音で鳴る。しかも今日は CD-Rではなく状態の良いアナログ・レコードの音をダイレクトに聴くのだ。何だかワクワクしてきた。
 RL 刻印は何故か B面だけに彫られているのだが(←ゼップでもあったけど、こーゆーの、ホンマにワケがわからん..)、A面1曲目の「ラヴリー・リンダ」から軽快ながらもしっかりと芯のある音になっているし、「ホット・アズ・サン」なんかも中々温かみのある音に仕上がっており、RL 抜きの A面も悪くない。そしていよいよ問題の B面にいくのだが、1曲目の「ウー・ユー」からいきなりガツン!とくる力強いサウンドがスピーカーから迸り出てきて “おぉ、これはちょっと違うな...” と思わせてくれる。2曲目の超愛聴曲「ママ・ミス・アメリカ」なんか実にダイナミックな音作りで、US盤も捨てたもんやないなぁ... との思いを強くした。やっぱりカッティング・エンジニアの力って大きいですな。
 レコードを最後まで聴き終え、ほとんどチリパチ音のない NM盤だったこともあって無性にそのレコードが欲しくなり、 “これ売ってもらえませんか?” とお願いすると、“センター・レーベルは SMASになってるから1stプレスじゃないですよ。デッドワックスでは STAOを消して上から SMAS って彫ってあるから音そのものは1stプレスとそんなに変わらないと思いますけど... それに、レーベルがズレてるけど、いいんですか? ジャケットのレコード取り出し口もちょっと傷んでるし...” と仰るので、“私は音さえ良ければ1stプレスじゃなくても全然 OKです。レーベルのズレなんて、そんなんすぐに針上げたらしまいですやん。それに、この程度のジャケットの傷みは別に気になりませんし... 何とかお願いしますわ。” と頼み込み、2,800円で売っていただいた。
 尚、その日は冬のボーナスが自分の予想額よりもかなり多かったこともあって、お店にあった他のポール US盤も全部試聴させていただき(←何時間居座ってるねん...)、「マッカートニー」と併せて計4枚をまとめ買い... 「スピード・オブ・サウンド」が2,500円、「バック・トゥ・ジ・エッグ」と「タッグ・オブ・ウォー」はどちらも1,800円で、すべて盤質/ジャケット・コンディションが NMのピカピカ盤だった(^.^) 前にも書いたが US盤はアメリカからの送料(←大体 $25ぐらい取られてしまう...)のことを考えるとお店で買うのが大正解。しかも B-SELSは望めば全曲試聴させてもらえるし、コレクターにとってはまさにパラダイスである。
 その後、色々調べているうちに RL刻印が両面に入った「マッカートニー」を Discogsで発見! LHのインフォでさえも “RL刻印は B面のみ” と断言してあったので、これはえらいこっちゃと大コーフンし、即購入。セラーに RL刻印のことを再確認すると “何でそんなこと聞くねん?” みたいに不思議がられたのだが(←RLが何のことか知らんのやろなぁ...) $13.99という安値で買うことができて大ラッキーだ。
 因みに「マッカートニー」の真の US 1stプレス盤は、①センター・レーベル、デッドワックス、スパイン、そして裏ジャケ左下のカタログ№の4ヶ所が全て STAO表記で、②センター・レーベルのアーティスト名とタイトル名が上下2行になっていて、③裏ジャケ右下の NYアドレスの下に abkcoの表記がない、というのが特徴らしい。で、元旦の昼間から eBay事始めをしていた時に見つけたジョージのインド盤を出していたスウェーデンのセラーがたまたまこの「マッカートニー」US 1stプレスも同時出品しており、聴き比べをしてみたいという誘惑に負けた私は送料が安かったこともあってそいつもゲット。ということで、わずか2週間のうちに US盤の「マッカートニー」を3枚も買ってしまった(笑) まだ手元には1枚しかないが、残りの2枚ももうすぐ届くはずなので今からめっちゃ楽しみだ。 (つづく)

《Matrix / Runout》
①McCartney(Winchesterプレス)
  A: SMAS S̶T̶A̶O̶-1-3363 Z17-1-S —◁ STERLING LH
  B: SMAS S̶T̶A̶O̶-2-3363 Z14 —◁ STERLING LH/RL
②Wings At The Speed Of Sound(LAプレス)
  A: ST-1-11525 F-5 (E) • ✲ MASTERED BY CAPITOL Wly
  B: ST-2-11525 F-6 (E) • ✲ MASTERED BY CAPITOL Wly
③Back To The Egg(Terre Hauteプレス)
  A: AL 36057-1G T1
  B: BL 36057-1E 1T
④Tug Of War(Carrolltonプレス)
  A: G1 AL 37462-1BA COLUMBIA NY PUSHING+PULLING S2 ♡
  B: G1 BL 37462-1AF COLUMBIA NY PUSHING+PULLING S2 ♡

70年代ポールのUS盤LP特集②

2019-01-05 | Paul McCartney
 B-SELSで「ワイルド・ライフ」と「レッド・ローズ・スピードウェイ」を買ったその日から早速私の US盤研究が始まった。とは言え、ビートルズ本家のレコード・プライス・ガイドやサイトはいくつもあるが、各メンバーのソロまでカヴァーしているものは中々見つからないし、あったとしても UK盤に関するものばかりで人気薄の US盤を扱ったものなど皆無に等しい。やっとのことで「APPLELOG 5th EDITION: U.S. and Canadian APPLE RECORDS Price and Reference Guide」という本をネットで見つけたのだが、$250という空恐ろしい値段が付いていてとてもじゃないが手が出ない。このままでは埒が明かないのでとりあえず Discogsの US盤のページを何枚もプリントアウトして見比べながら音の良さそうなアーリー・プレスの盤を探すことにした。
 イの一番に調べたのは最愛の「ラム」である。何を隠そう、「ラム」はメンバーのソロ・アルバムで唯一で本家のビートルズ同様に各国盤を集めているレコードなのだが、そんな「ラム」でも US盤だけは手つかずだったのだ。ラム・マニアとして反省せねば...(-_-)  というワケで Discogsで色々調べてみると、センター・レーベルのアルバム・タイトル「RAM」の文字位置が違うヴァリエーションだけでも5種類以上あるし、深緑から黄緑までリンゴの色も様々... 中には A面が LAプレスで B面がウインチェスター・プレスなどというハイブリッド盤(?)まであってもう何が何だかさっぱりワケが分からない(>_<) 
 そんな中で私が目を付けたのが “Full Apple Both Sides” と呼ばれている盤だ。アップル・レーベルは通常 A面がグリーン・アップルで B面はリンゴの断面であるホワイト・アップルになっているはずなのだが、こいつは何故か両面ともグリーン・アップルになっており、珍盤好きの私としては買わないわけにはいかない。結果としてコレが大正解で、届いた盤は NM表示通りのキレイな盤で音質も UK盤に迫るほどの高音質。こんなピカピカ盤をジャケット右上にパンチ・ホールがあるせいとはいえたったの $20、送料込みでも5,000円弱で買えて、ラム・マニアとしては大満足だ。
 次のターゲットは「ラム」同様お店になかった「バンド・オン・ザ・ラン」だ。このアルバムの US盤はセンター・レーベルのデザインこそ同じものの、デッドワックスに刻まれたマトリクスが何種類もあってよく分からない。しゃーないから安くて盤質の良さそうなのを買うたれと思って色々探していた時に eBayで25%オフ・セール中の盤質 EXというブツを発見。アイテム説明にデカデカと“1st Press” って書いてあるし、“Wly in Dead Wax” というのも何となく良さそうだ(笑) 調べてみるとこの Wly というのは Wally Traugott というキャピトルのカッティング・エンジニアのことで、ビートルズ関連では「アット・ザ・ハリウッド・ボウル」US盤を担当した人といえば分かっていただけるだろう。そんな腕利きエンジニアがカッティングした 1stプレス盤が $15で買えるのだ。これはラッキーラララである。
 しかも嬉しいことに同じセラーが「ヴィーナス・アンド・マース」も出品しており、それが何とミント・コンディションだというのだからコーフンするなというのが無理な話。アイテム説明文も “An amazing copy, gorgeous in its mintiness!” と自信満々だ。ていうか、mintiness なんていう名詞形、生まれて初めて見たわ(笑) しかもそんな極上コンディションにもかかわらず値段の方はUS盤の人気の無さを反映してか $17.72とこちらも2,000円を切っている。2枚一緒に買えば1枚当たりの送料も実質半額となるわけで良いこと尽くしなのだ。結局送料込みで6,000円弱でウイングス絶頂期の傑作2枚を手に入れることができて大喜び(^o^)丿 70年代ポールの US盤蒐集は順風満帆だ。  (つづく)

《Matrix / Runout》
①Ram(LAプレス)
  A: SMAS-1-3375-Z6 •• EW/N ✲
  B: SMAS-2-3386-F-32 • ✲
②Band On The Run(LAプレス)
  A: 1-3415-F-14 • ✲ MASTERED BY CAPITOL Wly
  B: 2-3415-F-15 •• ✲ MASTERED BY CAPITOL Wly
③Venus And Mars(LAプレス)
  A: 1-11419-F-5 •• ✲ MASTERED BY CAPITOL 2 Wly
  B: 2-11419-F-5 •• ✲ MASTERED BY CAPITOL Wly 2

70年代ポールのUS盤LP特集①

2019-01-02 | Paul McCartney
 新年あけましておめでとうございます。このブログもとうとう11回目のお正月を迎えることになり、最近はほとんどビートルズ専門ブログと化しているにもかかわらずよくもまぁこれだけ次から次へとネタが尽きひんなぁと我ながら驚いております。まぁ今年も趣味性丸出しの音楽日記としてマイペースでやっていこうと思っておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

 2018年の私的大ニューストップ3はもちろん1位がポールの両国&名古屋ダブル参戦、2位が同じくポール5年ぶりの新作アルバム「エジステ」リリース、そして3位がビートルズ専門のレコード店 B-SELSが奈良にできたことで、お店に行くたびに店主のSさんと一緒にレコードを聴いてあれこれ喋りながら楽しい時を過ごさせてもらっている。
 私は三度の飯よりもビートルズが好きなガチガチのファンだが、悲しいことに私がこれまで出会ってきた “ビートルズ好き” の方々はみんなライトなファンばかりで、マトリクスがスベッたとかラウドカットがコロンだとかいったディープな会話ができず(←そんな奴いっぱいおったらそれはそれでコワイけど...笑)、ビートルズに関してはこのブログを通じてネット上で知り合ったマニアの方々とヴァーチャルなお付き合いをしながら渇きを癒していた。
 B-SELS店主のSさんは当然ながらビートルズに関する知識はハンパないし、特に商品であるアナログ・レコードにはめちゃくちゃ詳しい。「ラム」が大好きと言うことで私と好みも似ている。しかし私がこの方を信頼する一番の理由はその謙虚な人柄で、レコ屋の主人にありがちな偉ぶったところが微塵もないのだ。とにかくビートルズが好きで、ビートルズを聴く喜びをお客さんと分かち合いたい... という純粋な気持ちが伝わってくる人なんである。
 そういうワケで最近は週一ぐらいの頻度でお店にお邪魔してレコードを聴かせていただいているのだが、12月のある日、ちょうど例の「Wings 1971-73 Super Deluxe Edition」が売り切れててショックです... みたいな話をしていた時に、“私もあのボックスセット欲しかったので残念です。このレコード好きなんですよ。” と仰ってウイングスの「ワイルド・ライフ」(←世評の低い「ワイルド・ライフ」がお好きとは、私とホンマに趣味合いますな...)をターンテーブルに乗せられた。商品ラベルを見ると US盤だ。
 これまで何度も書いてきたように、ビートルズに関する限り私はガチガチの UKオリジナル盤至上主義者で、US盤は音が悪いものと信じて無視してきた。相撲の番付に例えれば(←両国行った影響??? ドスコイドスコイ...笑)私の中では UK盤が横綱で US盤は幕下とは言わないまでも前頭の下の方という位置付けである。2年前にジョンのソロアルバムの US盤を聴いて考えを少し改めはしたものの、まだまだ心のどこかで US盤に偏見を持っている自分がいた。
 ところがお店のスピーカーから勢いよく飛び出してきたのは1曲目「マンボ」の元気溌剌としたサウンドで、ビートルズのキャピトル盤で耳にしたあのキモいエコーは微塵もかかっていない(←当たり前やろ)。これなら前頭どころか軽く関脇ぐらいは行きそうだ(笑) “えっ、US盤ってこんなに音良かったんですか?” と尋ねると、“US盤はプレス時期や工場で音が違うみたいで難しいんですわ。これは良さそうですね。” と仰る。確かに UK盤のような深みには欠けるかもしれないが、いかにもアメリカらしいドライで開放的な音であり、これはこれで魅力的だ。
 調子に乗った私は「ワイルド・ライフ」を聴き終えるとすかさず “これも聴かせて下さい!” とエサ箱にあった「レッド・ローズ・スピードウェイ」を差し出した。1stプレスの証しであるジャケ裏のスティーヴィー・ワンダーへの点字メッセージの位置も大きさも UK盤と全然違うのにまずビックリ(゜o゜)  実際に音を聴かせてもらうと「ワイルド・ライフ」と同傾向の乾いた音で「ビッグ・バーン・ベッド」が鳴り出した。続く「マイ・ラヴ」もめっちゃエエ感じである。ちょうどビートルズの各国盤蒐集が一段落して新たなターゲットを探していたこともあって、 “これ2枚とも下さい!” と衝動買いしてしまった。因みに「ワイルド・ライフ」が2,600円、「レッド・ローズ...」が2,400円という良心的なお値段で、eBayなら送料だけでこれくらい取られてしまうことを考えるとめっちゃ良い買い物をしたと思う。
 家に帰って自分のシステムで大音量で聴いてみたが、グイグイ音が前に出てきてすごくエエ感じだ。車に例えると(←相撲の次は車かよ...)圧倒的なパワーでグイグイ加速していくアメ車のイメージそのものだ。車作り同様にレコードの音作りにもお国柄が出る(←ドイツ盤なんかモロに出てますな...)というのが何とも面白い。そんなこんなで私は大好きな70年代ポールのUS盤を集めてやろう... と心に決めたのだった。 (つづく)

《Matrix / Runout》
 ①Wild Life(LAプレス)
  A: SW-1-3386 Z113-1 ✲ STERLING 2 LH
  B: SW-2-3386 Z101-1 ✲ STERLING 2 LH
 ②Red Rose Speedway(Winchesterプレス)
  A: SMAL-1-3409 Z2 #2 —◁ STERLING LH 2
  B: SMAL-2-3409 Z1 #5 —◁ STERLING LH 2

Wings Over Europe / Paul McCartney & Wings

2018-12-25 | Paul McCartney
 先週ハイレゾ音源で手に入れた「Wings 1971-73」はCD7枚分のヴォリュームがあり、それぞれ聴き応え十分の内容だったが、中でも断トツに気に入ったのは未発表ライヴ音源集の「Wings Over Europe」だ。この数日間は両国と名古屋のライヴをも凌ぐヘビロテぶりで、家でも車でもこのウイングス・ライヴばかり聴いている。
 トラックリストには1972年に行われたUKツアーとヨーロッパ・ツアーのうち、 ニューカッスル(イギリス)、フローニンゲン(オランダ... 綴りは“グロ人間”...笑)、ハーグ(オランダ)、アントワープ(ベルギー)、ベルリン(ドイツ)の5公演から計20曲が選ばれている。内訳は1stソロの「マッカートニー」から1曲、「ラム」から2曲、「ワイルド・ライフ」から4曲、「レッソ・ローズ・スピードウェイ」から2曲、アルバム未収録のシングル盤から4曲、カヴァーが2曲、そして未発表曲が5曲という構成だ。
 このアルバムの第1印象は、ウイングスの演奏がかなりアグレッシヴにガンガンくるなぁというもので、スタジオ録音のアルバムやシングルではキレイキレイに纏まりすぎな部分も随所に見られたが、ここでは “ライヴ・バンド” としてのノリを重視したグルーヴィーな演奏が展開されている。
 大急ぎで作ったと言われる「ワイルド・ライフ」収録の「マンボ」なんか演奏の重心を下げてハードボイルドに迫ってくるし、“歌詞にちょっと問題アリってことでイギリスでは放送禁止を喰らったけど、ここ(オランダ)じゃ大丈夫だよね。”というポールのMCで始まる「アイルランドに平和を」なんかもスタジオ録音のシングル盤よりもロック魂溢れるこっちの演奏の方が断然カッコいい。「マイ・ラヴ」のような激甘バラッドですらそうなのだからコレはもうたまらんですわ(^o^)丿
Paul McCartney & Wings - Mumbo (Live In Antwerp 1972) (2018 Remaster)

Paul McCartney & Wings - Give Ireland Back To The Irish (Live In Groningen 1972) (2018 Remaster)

Paul McCartney & Wings - My Love (Live In Hague 1972) (2018 Remaster)


 そしてそんな “アグレッシヴさ” に拍車をかけているのが、こちらの予想を遥かに超えた“音の良さ” だ。この時期のポールのライヴ音源はブートの劣悪な音が先入観として私の脳内に刷り込まれているせいもあるが、それにしてもこの音は凄い。私にとってのポールのライヴはどうしてもリアルタイムで聴いた「Wings Over America」の “あのホワーッと広がるユル~い音” が基準になってしまうので、その対極に位置するような “オンで生々しい音” がスピーカーから飛び出してきた時は腰を抜かしそうになった。特にドラムの音が3次元的に屹立しており、それが演奏に更なる推進力を与えているように聞こえるのだ。
 これまで色んなライヴ盤で耳にしてきた名曲「メイビー・アイム・アメイズド」だが、このヴァージョンで聴けるポールの伸びやかな歌声の瑞々しさにはマジで心が震えるほど感動するし、「メアリーの子羊」のようなメルヘンチックな童謡ですらデニー・シーウェルのへヴィーでダイナミックなドラミングによって十分傾聴に値するナンバーとなっている。とにかく良い音で聴けば演奏がもっともっと良く聞こえるというお手本のようなサウンドだ。
Paul McCartney & Wings - Maybe I'm Amazed (Live In Groningen 1972) (2018 Remaster)

Paul McCartney & Wings - Mary Had A Little Lamb (Live In Hague 1972) (2018 Remaster)


 同じことは「ラム」収録の2曲にも言える。特に「イート・アット・ホーム」なんかアルバムに入っているスタジオ録音ヴァージョンはポール流 “ポップンロール” の典型であり、そのせいで頭の固いロック評論家連中からボロクソに叩かれたのだが、1分近いギター・ソロで始まるこのライヴ・ヴァージョンを聴けばその圧倒的なグルーヴに参りましたと平伏すだろう。「スマイル・アウェイ」もライヴでバリバリのロックンロールに仕上がっているが、スタジオ録音盤で目立ちまくっていたリンダのバック・コーラスが控えめになってしまうのだけが残念(>_<) リンダの大ファン(←大名盤「ラム」への彼女の貢献は計り知れない...)を自負する私としては痛し痒しというか、贅沢な悩みではある(笑)
Paul McCartney & Wings - Eat At Home (Live In Hague 1972) (2018 Remaster)


 もう一つ面白かったのはこの時期ならではのテンポ設定によるアレンジの違いが楽しめることで、後に「Wings Over America」でイケイケの超高速アッパー・チューンとしてアンコールを盛り上げることになる「ソイリー」や「ハイ・ハイ・ハイ」が、ここではテンポを落として演奏されているのに注目。特に後者は T.Rex を彷彿とさせるブギウギ調で演奏されていて実に面白い。「コールド・カッツ」にも入っていたブギーな「ベスト・フレンド」も同様だ。
Paul McCartney & Wings - Soily (Live In Berlin 1972) (2018 Remaster)

Paul McCartney & Wings - Hi Hi Hi (Live In Hague 1972) (2018 Remaster)

Paul McCartney & Wings - Best Friend (Live In Antwerp 1972) (2018 Remaster)


 それと、アレンジ違いというほどではないが、同じライヴ・ヴァージョンでも公式盤(←シングル「マイ・ラヴ」のB面)とは違うテイクが楽しめる「ザ・メス」も超オススメ。そしてビートルズ時代を彷彿とさせる「ロング・トール・サリー」の超絶シャウトには言葉を失うこと間違いなし。とにかく熱いのだ。ロックなウイングスのロックなライヴ... 何でこんな素晴らしいライヴ盤を単体でリリースしないのか不思議でならない。すべてのポール・ファン必聴と言えるこのライヴ・アルバムをごく少数のマニアしか楽しめないというのは実に勿体ないことだと思う。幸いなことにYouTubeにほぼ全曲アップされているので、ファンは消される前に速攻でチェックしましょう(^.^)
Paul McCartney & Wings - The Mess (Live In Berlin 1972) (2018 Remaster)

Paul McCartney & Wings - Long Tall Sally (Live In Groningen 1972) (2018 Remaster)

ハイレゾ・ダウンロードで楽しむ「Wings 1971-73」

2018-12-21 | Paul McCartney
 先月のポール来日時にライヴチケット代や新幹線代に加え、思い出作りのグッズ代やらポール・ロスを癒すためのブート代やらで青天井の予算を組んで湯水のようにお金を使ってしまったこともあって財布がほとんど空っぽになってしまったのだが、それに追い打ちをかけるように「ホワイト・アルバム」の50周年盤や「イマジン」のアルティメイト・コレクション、そしてポールのアーカイヴ・コレクション(それも2枚同時!)がドドーッとリリースされ、ファンとしては嬉しい反面、発売時期をズラすとかもーちょっとファンのお財布事情も考えてくれたらエエのに、と恨めしく思ったものだった。
 結局本家本元であるビートルズの「ホワイト・アルバム」を最優先し、ソロ作品に関してはまたお金が出来てから... と悠長に考え、70年代ポールの隠れ名盤である「ワイルド・ライフ」と「レッド・ローズ・スピードウェイ」の2枚に当時のウイングスの未発表ライヴ音源20曲(!)をコンパイルしたファン垂涎の1枚「ウイングス・オーヴァー・ヨーロッパ」を加えた豪華ボックス・セット「ウイングス 1971-73 スーパー・デラックス・エディション」は12月に入ってからでもまだ十分間に合うとタカをくくっていた。
 それからしばらくは両国&名古屋ブートやらリトグラフ額装やらでバタバタしていてポールのスパデラのことはすっかり忘れていたのだが、12月の初めに paulmccartney.com から届いたニュースレターに “WILD LIFE, RED ROSE SPEEDWAY + WINGS 1971-73 OUT NOW!” とあったので、“おぉ、出たか。ほな未発表ライヴ付きの一番高いヤツ買うたろ...” と思って「BUY 'WINGS 1971-73' SUPER DELUXE」のリンクをクリックすると、日本の UNIVERSAL MUSIC STORE に繋がり、しかも肝心のブツは「在庫なし」とのこと。“えぇ~、6万円もするセットが予約完売ってマジか???” とショックを受け、慌てて国内外の色んなサイトを調べて何とか手に入れようとしたのだが時すでに遅しでどこにも売っていない。聞くところによると予約開始と同時に瞬殺だったようで、自分の読みの甘さを悔やんだが既に後の祭り...(*_*) どうやら追加生産はなさそうな雰囲気やしヤフオクで出たとしてもとんでもない値段になりそうだったので、とりあえずこまめに eBayをチェックして網を張ることにした。
 すると発売翌日に早速1セット出品されたのだがその落札価格が£1,450という狂気の世界(゜o゜)  日本円で20万円オーバーって、いくら何でもエグすぎる。更にその翌日には$1,000(11万円!)スタートのブツが出品され早速ビッドが集中するなど、とてもじゃないがついていけない。興味本位でヤフオクを見てみたら、残り21時間の時点で52ビッド / 16万円まで上がっている。私は “あ~、もうコレは絶対に無理やな...(>_<)” と戦意喪失しながらも未練がましく毎日のチェックだけは一応続けていた。
 そして迎えた昨日、ちょうど午前中の仕事が一段落してコーヒーを飲みながら休憩がてらにネットを見ていた時のこと、このボックスセットのことが気になってeBayの国別ローカル・サイトを片っ端からチェックしていたら、eBayカナダ(!)に“Wings 1971-73 All 3 Audio Cards” というのがあったのでもしやと思って見てみると、何とボックス・セットに付いているハイレゾのダウンロード・コードが商品として堂々と出品されているではないか! しかもその価格が75カナダドルで、日本円に換算すると約6,300円という安さ。それって正規の値段の1/10やん... しかも今ではアホみたいなプレミアが付いてて現物の入手はほぼ不可能と言っていい。それをネットのダウンロードとは言え、オフィシャル、それもハイレゾの超高音質で手に入れる千載一遇のチャンスが目の前に転がっているのだ。これを逃したら一生後悔する(←大袈裟な...)だろう。私は迷わず BUY IT NOW をクリックし、支払いを済ませた。
 その日の午後は仕事もほとんど手につかず、ソワソワしながら家に帰るとセラーから3枚のDLカード裏側の写真がメールで届いていた。私はすぐにそこに載っていたダウンロード・コードをネットで入力、ファイル・サイズが大きいせいか「ワイルド・ライフ」は3つ、「レッド・ローズ・スピードウェイ」は5つ、そして「ウイングス 1971-73」は2つと計10のファイルをダウンロードするのにパソコン2台を駆使して5時間ほどかかったが、夜中の2時にようやくすべてのDLを終了し、それから解凍してVUプレイヤーにインポートしてスピーカーから音出しに成功したのは何と真夜中の3時過ぎ(笑)だった。一応次の日も仕事があるので30分ほど聴いてからふとんに入った。
 そして今日も睡眠不足などどこ吹く風でハイ・テンションのままいそいそと帰宅。晩飯も喰わずにさっきからずーっと聴いているのだがまだまだCD7枚分全部は聴けていない。しかし現時点でハッキリ言えるのは “買って良かったぁ...(^o^)丿” ということ。特にヨーロッパ・ライヴの音源が素晴らしく、ポールの声がビックリするほど若々しくて、もうそれだけで涙ちょちょぎれるのだが、そんなポールのしっとりと潤いを含んだ歌声が 96kHz/24bit というスーパーウルトラ高音質で巨大スピーカーから迸り出てくるのだ。音質的には「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」よりも遥かに上で、まるでポールが目の前で歌っているかのような錯覚すらおぼえるこのライヴ、まさに “でらサイコー!!!” と快哉を叫びたくなる家宝級の逸品である。このセットを買いそびれて悶々としている同志のみなさんも、とりあえず私のように音源だけでも手に入れて楽しんでみてはいかがだろうか?

【追記】ヤフー知恵袋で見つけた Helium Audio Converter というフリーソフトを使ってハイレゾFLACファイルの MP3化に成功、早速CDに焼いて明日から通勤の車中でガンガン聴くぞ~

【サプライズ】ポールのロンドン公演にリンゴ登場!!!

2018-12-18 | Paul McCartney
 ポールのフレッシュンアップ・ツアーは日本での4公演を終えた後、半月ほどのインターバルを置いて11月の末からヨーロッパ・レグに突入。フランス、デンマーク、ポーランド、オーストリアときていよいよ母国イギリスに凱旋、12日のリヴァプール、14日のグラスゴーに続いて16日のロンドン O2アリーナがポールにとって2018年最後のライヴというワケだ。
 私はイギリスまでポールを追っかけて行きたい気持ちをグッと抑えながら毎日 YouTubeでポールのライヴ映像をチェックしていたのだが、12日のリヴァプール公演では地元の子供たち(LIPA Youth Choir)をステージに上げて「ワンダフル・クリスマスタイム」を歌うというサプライズ演出があってめっちゃ羨ましい想いをしたところだった。
Paul McCartney - Wonderful Christmas Time (Liverpool 2018) with LIPA youth choir


 しかし千秋楽のロンドンO2アリーナではそれとは比べものにならないくらい超ド級のビッグ・サプライズが用意されていた。アンコールで「バースデー」に続いて「ワンダフル・クリスマスタイム」を子供達(←ここではCapital Children's Choir)と一緒にポールが歌い終えると、ステージにもう1台のドラム・キットが運び込まれたのだ。
 まず “We've got a little surprise for you. It's a surprise for us, actually, it only happened today. First of all, I'd like to introduce the fantastic member of the Rolling Stones, Ronnie Wood!” とポールがロニー・ウッドを呼び込む(←確か2011年のオン・ザ・ラン・ツアーの時もO2アリーナでロニーが飛び入りして「ゲット・バック」演ったよな...)。そしてもう一人... “Ladies and gentlemen, the ever-fantastic Mr. Ringo Starr!” というポールの紹介とともに、な、な、なんとリンゴが駆け足でステージに登場。ロニーやポールとハグを交わすと割れんばかりの大歓声で迎えるオーディエンスにピース・サインで応えた後、ドラムセットの前に座って刻み始めたのは “タッタカ タッタカ~♪” というあのリズム... 「ゲット・バック」だ! うわ~、コレはたまらん! ヤバい、ヤバすぎる... (≧▽≦) 70歳を過ぎた3人が生み出すこのグルーヴ... 最高ではないか! ヘフナー・ベースを抱えて歌うポールの後ろでタイトなリズムを刻むリンゴ... ビートルズ・ファンはこの絵だけで飯3杯は食えるんやで。
 演奏を終えたリンゴがポールやロニーと抱擁を交わした後、オーディエンスに向かって “I don't know about you, but that was a thrill for me!” と叫んでいたのも印象的で、観客もリンゴ・コールで応えていた。それにしても1年の最後の最後にホンマにエエもん観れましたわ。ポールとリンゴに感謝!!!
 余談だが、YouTubeでこの動画を満喫してルンルン気分で下へ降りると、何と台所でオカンが黄色いリンゴをむいていた(←これホンマの話です!)。“このリンゴ、めっちゃ甘いで。食べるか?” “もらうわ。リンゴ最高や(^.^)”
Paul McCartney & Ringo Starr & Ronnie Wood - Get Back [Live at O2 Arena, London - 16-12-2018]


↓別アングル2連発! “Amazing!” とか “Oh my God!” とか観客のコーフンがハンパない
Ringo Starr and Ronnie Wood join Paul McCartney on stage to perform Get Back at London O2

Paul McCartney, Ringo Starr, Ronnie Wood - Get Back - London O2 16th December 2018

リトグラフを飾ってテンション上がった(^.^)

2018-12-14 | Paul McCartney
 日が短くなったせいか12月に入ってから時が経つのが特に速く感じられ、気がつけば今年も残すところあと僅か。仕事の方もようやく一段落して時間の余裕が出来てきたので、先月買ったポールのリトグラフを部屋に飾ることにした。両国リトグラフ(限定400)の方は当日売り切れで買えなかったのだが、あの浮世絵ヴァージョンのポールがどうしても欲しくて後日メルカリで首尾良くゲット。現地で買えた名古屋リトグラフ(限定700)と2枚並べてリビングにドドーン!と飾ってやろうと考えたのだ。
 このリトグラフは額に入れて飾るのが良さそうに思えるのだが、具体的に何をどーすればいいのかがよく分からない。というワケで、職場で絵に詳しい同僚に “リトグラフ買ったんで部屋に飾りたいんやけど、額縁ってどこで買えばいいの?” と尋ねたところ、“画材屋さんに行って頼めばちゃーんと額装してくれはりますよ。” とのこと。へぇ~、「額装」っていうんか... 「画材屋」っていう言葉も初めて聞いたわ... やっぱり詳しい人に聞くのが手っ取り早いなぁ... と感心していると “で、誰の作品を買われたんですか?” と聞かれたので待ってましたとばかりに “ポール・マッカートニー!” とドヤ顔で答えると “ビートルズの?” と怪訝な顔をされてしまった。あのなぁ、このワシがピカソやゴッホを飾るわけないやろが...(笑)
 早速 “画材屋 / 奈良” で検索。3つほどお店が出てきたのでそれぞれのHPをチェックすると “額装は作品創りの最終過程であり、額縁は作品の衣装です。額縁によって作品の雰囲気が大きく変わり、作品の価値を更に高めてくれます。” と書いてある。う~ん、確かに。何ちゅーても気品溢れる英国紳士、サー・ポール・マッカートニー様やからね(^.^)  それと、額と絵の間にマットという化粧厚紙を入れるということも恥ずかしながら初めて知った。リトグラフ1枚飾るのも中々大変そうだ。私は取りあえず一番コスパが良さそうな「ガクブチの大和」というお店に行ってみることにした。
 しかし一旦行くと決めたらもう頭の中は額縁のことで一杯で仕事どころではない。結局私はおとなしく週末まで待つことが出来ず、その次の日に昼から有休を取り(←もう有休ほとんど残ってない...)、2枚のリトグラフ持参でお店に直行した。中に入るとかなり年配のおばちゃんが一人でテキパキとお客の応対をしておられる。画材屋初体験の私が恐る恐る “あの~、このリトグラフを額装してもらえますか?” と言いながら絵を見せると “あれまぁ、ビートルズやね。で、額の色はどうします? デザインの希望とかありますか? ガラスとアクリルありますけどどっちにします? ご予算はどのくらい?” と矢継ぎ早に質問されてタジタジ(*_*)
 開き直った私が “絵に関しては全くのド素人なので色もデザインも全てお任せします。とにかくカッコ良く仕上げて下さい。” と言うと “そうやねぇ...” と言いながらササッとサイズを測り、奥の方から2枚の額縁を持ってこられた。おぉ、色もデザインもぴったりだ。めっちゃカッコエエやん... と喜んでいると “サイズが中途半端なので上と下それぞれ2ミリずつ切ることになるけどいいですか?” と仰る。“えっ、コレを切ってまうんか?” と思わず絶句する私。すると近くにいたこの店の常連らしきおばちゃんが “切ったらアカンて! せっかくの絵やのに、ねぇ。切るのはもったいないわ。” と加勢(笑)してくれたので、思い切って “額縁を一回り大きなサイズにして、絵のまわりに白いマット紙をあてがっていただけませんか?” と言うと、“ちょっと高くなるけど、いい?” と言いながら奥から別の額縁を持ってこられた。おぉ、こげ茶色の額縁が両国ポールのデザインにめっちゃ合うとるやん...(^.^)  これは完璧やね! もう一方の名古屋ポールはデザイン的に上下2ミリずつ切っても問題なさそうだったので、元の大きさの方をオーダー。黒が効いた配色のデザインが黒ブチと絶妙にマッチしている。
 アクリルとガラスは軽いアクリルの方が1,000円高くなるとのことだがここは迷わずアクリルをチョイス。結局名古屋ポールの方が4,500円、両国ポールの方が5,500円で、2枚併せて1万円ポッキリで極上の額装が完成ヽ(^o^)丿 仕上がりまでに数日かかるとのことだったので、会計を済ませてルンルン気分でお店を後にした。
 後日、出来上がった額を受け取りに行ったのだが、お店で完成品を見せられた時に思わず “うわぁ~、めっちゃカッコエエわ(≧▽≦)” と声を上げてしまうくらい素晴らしい仕上がりで、おばちゃんに丁重にお礼を言って速攻で帰宅し、あらかじめ決めておいたリビングの特等席に2枚を飾ると部屋の雰囲気にジャストフィット。もうテンション上がりまくりで気分はすっかりビートルズ・ミュージアムだ。綺麗に額装されたリトグラフを眺めながらポール来日公演の思い出に浸る喜びはまさに priceless!!

Na Na Na Na Nagoya!!!

2018-11-11 | Paul McCartney
 あの衝撃的な両国ライヴのコーフンも冷めやらぬまま、ポールを追いかけて今度は名古屋に遠征だ。どーしても抜けられない朝のミーティングを済ませてすぐに早引けし(←毎回このパターンやな... ホンマにこんな仕事早よ辞めたいわ)超強行日程で名古屋に向かう。近鉄特急の遅れのせいで京都駅では猛ダッシュを余儀なくされ、何とかギリギリ新幹線には間に合ったが(←改札出てあの長~い階段を駆け上がってのぞみに飛び乗るまでたったの1分...・_・;)、両国遠征の疲労が残る両脚は早くもパンパンだ。
 名古屋駅で降りて地下鉄に乗り換え、そのままナゴドに直行する。駅を降りてドームへ向かう道はまだお昼前なせいか人影もまばらで “しめしめ、今度こそ余裕でグッズが買えるぞ(^.^)” とほくそ笑む。しかし売り場に着いてみてビックリ。全く最後尾が見えないくらい延々と人の列が続いているのだ。まだ販売開始まで1時間もあるというのに、ポールのファンはホンマに筋金入りの猛者ばかりだ。
         

 結局販売開始から40分たってようやく売り場に辿り着き、両国では売り切れで買えなかったリトグラフ(←今回は名古屋Ver.)とパーカーのL(←どうやら売り切れ寸前だった模様... アブナイアブナイ)を首尾よくゲット。赤い法被はまたしても即完売とのことで買えなかったが、それ以外はナゴTやマグカップなど、狙っていた物は全て買うことができて一応満足だ。
         

 グッズを購入してから夜の開演時間までかなり時間があったので、その筋では有名なアビーロードという喫茶店に行こうと思っていたのだが、念のために電話してみるとマスターもナゴド参戦のため14時に店を閉めるとのこと。う~ん、残念(>_<) 聞くところによるとビートルズ・ファンにとっては聖地のようなお店らしいので又次の機会を楽しみにしよう。
 リトグラフを持ったままウロウロするわけにもいかないので、とりあえず名古屋に戻って一旦ホテルにチェックインする。両国の時と同じくこの日もモーレツな暑さで汗だくになっていたので、シャワーを浴びて “リフレッシュする”(笑) せっかくなので買ったばかりのナゴドTに着替えてホテルを出る。途中ミソカツカレーを食べて腹ごしらえを済ませ、再びナゴドへ向かう。
 もう18時を回っているせいか駅からナゴドまでの通路は物凄い人の数で、もみくちゃになりながら入場。私の席は3塁側内野席の中段だったが、ちょっと横すぎてステージ後方のスクリーンが見えにくい。やっぱり正面から見れるアリーナにすればよかったかなとも思ったが、大型スクリーンもあることだしポールがちゃんと見れたらエエか。次は絶対にVIP取ったるぞ!!!
         

 座席にはアンコールに登場した時のポールへのサプライズ用お面(?)が貼り付けてあり、説明を読んでも最初は何のことかよく分からなかったのだが、実際にその時がきてみてアリーナ席が日の丸になっているのを見てなるほどと納得。しかも翌日家に帰ってネットを見て知ったのだが、バックネット裏あたりの座席には赤白黒の3色で大きく JAPAN LOVES PAUL の文字が浮かび上がるという仕組みだったのにはビックリ(゜o゜)  確かに今現在世界で一番ポールを愛してるのは間違いなく日本のファンではないかと思う。
#FreshenUpTour in Nagoya, Japan


 18時50分を過ぎていつもとは違うプレ・ショウ・ミュージック&フィルムが終わると場内のヴォルテージは一気にヒートアップ。いよいよポールがナゴドに降臨だ。いつものように「ア・ハード・デイズ・ナイト」での幕開けだったが、嬉しかったのは2曲目で両国とは違う「ジュニアズ・ファーム」が聴けたこと。ポールはライヴのセトリを微妙に変えてくることが多いので複数回の参戦はマストだと改めて実感した。両国からのセトリ変更曲としては他にも「オール・マイ・ラヴィング」⇒「キャント・バイ・ミー・ラヴ」と「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」⇒「バースデー」があったが、特に今回4公演の中で名古屋でしか演奏されなかった「バースデー」は、アンコール1曲目を「イエスタデイ」か「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」だと決めつけて油断(?)していた私にはビッグ・サプライズ! しかもこの曲を生で聴くのは初めてだったこともあってめちゃくちゃコーフンしてしまった(^o^)丿
Paul McCartney live at Nagoya dome 2018 ~ birthday


 嬉しかったと言えば、両国の短縮版セトリでカットされていた「フー・ケアズ」、「ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」、「レット・エム・イン」、「メイビー・アイム・アメイズド」、「ヒア・トゥデイ」、「エリナー・リグビー」の6曲が聴けたのも大きい。特に今回のライヴの目玉のひとつだった生ホーン・セクション入りの「ガット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」、「レット・エム・イン」の2曲はまさに圧巻の一言で、「レディ・マドンナ」(←曲に合わせてノリノリでダンスするホーンズが最高!)、「オブラディ・オブラダ」、「アビーロード・メドレー」といったライヴ定番曲でも “生ホーン” の圧倒的な存在感を存分に堪能させてもらった。
Paul McCartney live at Nagoya dome 2018 ~ lady Madonna


 ポールのライヴにおいて音楽以外の楽しみと言えば現地の言語がポンポン飛び出すその軽妙洒脱なMC だと思うのだが、日本公演では何と言ってもお約束の “方言MC” に期待が膨らむ。過去にも「カエッテ キタバイ」(2013福岡)や「ホナ イコカ」(2013大阪)、「ホナ イクデ」(2015大阪)などが記憶に新しいが、プロフェッショナル・エンターテイナーのポールは今回もちゃーんとやってくれました(^.^)  私の事前の予想では「〇〇だがや(or だがね)」と「でらぁ」の2つが出ると睨んでいたのだが、どちらもズバリ的中(笑) ライヴ前半は方言MC(?)が全く出なかったので “楽しみにしてたのに名古屋弁ないんかな...” と少し不安だったのだが、中盤を過ぎて新曲の「ファー・ユー」を紹介する時に「シンキョク ダガヤ!」とコテコテの名古屋弁が炸裂し会場は大喜び。ポールのライヴはこのアットホームな雰囲気がエエんよね。
Paul McCartney LIVE at Nagoya Dome 2018-11-8 - Fuh You


 今回のライヴに備えてデジカメを最新式のに買い替えた話は前に書いたが実はコレが大失敗で、最初は調子よくパシャパシャ撮っていたのだが「キャント・バイ・ミー・ラヴ」の時にどこか変なボタンを押してしまったらしく、画面がワケの分からん“ヒストグラム”っていうものに変わってしまって元に戻らない。この日のために買ったのにこれでは全く意味がないではないか! ゴテゴテとしょーもないボタン付けやがって、このクソが!とデジカメを叩き壊したい衝動に駆られたが、怒っていてはせっかくのポールのライヴが台無しになってしまう。私は気持ちをスパッと切り換え、写真撮影をやめてライヴを楽しむことに専念することにした。
 そこで初めて気付いたのだが、スタンド席から見ていてアリーナのノリが過去に体験した京セラや両国よりもおとなしめに感じられ、曲と曲の間でやや静まり返る時があるということ。よーし、それなら両国のノリで思いっ切り叫んでやるぞと心に決めて虎視眈々と機を窺っていたところ、例の「オブラディ・オブラダ」のシンガロングが終わった後で少し静かになったので、ポールに届けとばかりに渾身の力を込めて「サイコー!」と叫ぶと、何とポールが「デラ サイコー」と返してくれたのだ。多分タイミングがたまたま重なっただけだとは思うが、それでも自分的にはもうビックリするやら嬉しいやらで、話のネタとしても最高の思い出になった。ブートが出たら又じっくり確認してみよう(^.^)
 そして今回のナゴド・ライヴで忘れてならないのが「ヘイ・ジュード」だ。前半部分はいつものように進行していたのだが、後半の“ナナナッナ~♪”コーラスのパートで “Na na na na Nagoya !!!” とポールが叫んだのには本当にビックリ。セトリやMCは大体想定の範囲内だったが、さすがにこんなアドリブは予想できなんだ。これからはこの曲を聴くたびに名古屋を思い出しそうだ。
NA NA NA NAGOYA〜ポールマッカートニー


 それと、ライヴが終わった後、スクリーンに大写しになったポールの手には何とドアラが... う~ん、面白すぎる...(^.^)  来年は中日ドラゴンズを応援したくなってきたぞ。名古屋ってでらー最高だがや。
              

 そんなこんなで最後の最後まで見どころ満載のナゴドのコンサートが終わったのは21:30。帰りは大混雑が予想される地下鉄は避け、20分ほど歩いて(←夜風がめっちゃ心地よかった...)大曾根駅からJRで名古屋のホテル(←agodaで見つけたニュー松竹梅ホテル、コスパ最強でした...)に戻った。あ~楽しかった(^.^)
 翌朝早くホテルをチェックアウトし、駅構内のお店で鶏南蛮きしめんを食べて名古屋を満喫してから大雨の中を近鉄のアーバンライナー(←見た目はカッコエエけどコンセントすら無いポンコツでガッカリ... 普通の近鉄特急にすればよかった...)で奈良に戻るとラッキーなことに雨はすっかり上がっていた。“両国といい、名古屋といい、ホンマに最高のライヴ遠征やったわ (^o^)丿” とルンルン気分で家に帰るとアマゾンからデカい箱が届いていた。“こんな重たいモン注文した覚えないけど、一体何やろ?” と訝しく思いながら箱を開けると中から出てきたのはホワイト・アルバムのスーパーデラックス・エディションだった(笑) 何から何までビートルズ一色に染まった我が人生に一片の悔いなしだ。
 ポールも76才ということでライヴを見るまでは体調面が少し心配だったが、実際にそのステージを観ると前回の来日の時よりもむしろ声は出ていたように思うし、その軽やかな動きも相変わらず健在で、特に両国でもナゴドでも見せてくれた2段モーションのバンドオンザランキック(?)はとても70代とは思えないシャープさだった。“ユウゲン ジッコウ” を貫くポールのことだから、“マタ アイマショウ” の約束通りに2年後の2020年ぐらいにまた日本へ来てくれそうな気がするが、その時はひょっとすると新国立競技場あたりでやってくれるかもしれない。
2018.11.8ポール・マッカートニー名古屋公演

ドスコイ、ドスコイ... ゴッツァンデス (^o^)丿

2018-11-07 | Paul McCartney
 待ちに待った11月5日がやってきた。仕事を午前中で早引けして昼飯も食わずに京都からのぞみに飛び乗り、両国に着いたのは午後4時過ぎ。両国駅を出て国技館に向かうと「ポール・マッカートニー」や「新譜エジプト・ステーション」と書いたカラフルなのぼりがいっぱい立っていて、いやがうえにもテンションが上がってくる。
     

 人混みをかき分けてグッズ売り場に向かうとめちゃくちゃすいていてちょっと肩透かしを食った感じ。まるで “ツワモノどもの夢のあと” 状態で、当然ながら法被もリトグラフも売り切れだ。まぁこれは想定の範囲内だったので、ちゃっちゃとプログラムやTシャツを購入して(←結局例の “リフレッシュする” やつを買ってしまった...笑)一息ついていると道路の方がやけに騒がしい。もしやと思って行ってみるとちょうど “入り待ち” の時間帯だったらしく(16時40分頃)、運よくポールの車が目の前を通り過ぎるのを見ることが出来て大コーフン!!!  ポールとの距離がわずか数メートルだなんてもう心臓が破裂しそうだ。
     

 開場の17:30までに簡単な食事と両国土産の購入を済ませ(←国技堂の揚げあんこあられがめっちゃ美味くっておかん大喜び...)、再び国技館に向かう。もうあたりは既に暗くなっており、ライトアップに浮かび上がる国技館を見ると改めて “もうすぐ始まるねんな...” という実感がわいてくる。しかし、実はここからが試練の始まりで、国技館の入り口までクネクネと果てしなく続く長蛇の列... まさに気が遠くなるようなロング・アンド・ワインディング・ロードという感じで、開場時間を過ぎても一向に進む気配がない。しかも悪いことに小雨も降り出してきて、一体いつになったら入れるねん... とテンションも下がり気味。18時を過ぎてようやく行列が動きだし、やっとのことで入り口にたどり着いたのは予定より1時間遅れの18時30分だった。
     

 当然ながら身分証の提示などあるわけもなく、係員のおねーさんにチケットを渡すと機械でバーコードを読み取り、座席券がプリントアウトされるというシステムだ。“どーかアリーナか2階イス席でありますよーに!”と念じながら券を見るとそこには無慈悲な“桝席”の文字...(*_*)  あちゃ~、最速先行の良席のはずが、なんで桝席やねん、と少し気落ちしながら座席に向かう。
 しかし実際に自分の座席を見て私は思わず我が目を疑った。桝席は桝席でも何と正面側の、しかも一番前だ(^o^)丿 つまり目の前に遮るものは何もないということだ。まさにイチバ~ンである。ネットの下調べでは“天井の圧迫感が云々”というのがあったが、最前列に天井もクソもない。あるのは良好な視界のみで、しかもステージまでの距離は予想していたよりも遥かに近い。うわぁ、これめっちゃエエ席やん!!! さすがは最速先行である(笑) チケ流を使って大正解だった。
     

 更に嬉しかったのは絶対に無いものと諦めていた座布団がちゃーんと用意されていたことで(←座布団の上にはお約束のサイリウムも置いてあった...)、座布団無しの硬い床に裸足でスタンディングという苦行を覚悟していた私としてはめっちゃ嬉しい。座ってみると実に快適そのもので、眼下に広がるアリーナ席よりもこっちの方が断然良い。ルンルン気分でステージを見るとホンマに近い。私はドームのコンサートしか体験していないので、こんな小さな箱でポールのライヴを観れるなんてまるで夢のようだ。
     

 そしてようやくコンサートが始まったのは19時半過ぎ。ドーム公演から中二日で休養十分のポールは絶好調で声もしっかり出ているし、オーディエンスとの距離が近いせいか上機嫌で、 “ドスコイ、ドスコイ!” や “ゴッツァンデス!” と両国ならではのMCを連発(笑) セトリは全31曲でサプライズ選曲や演出はなかったが、私的にはポールがこんな間近で見れただけでもう大満足(^o^)丿 実は今回の両国に備えて Roycelというメーカーのライヴ仕様10倍双眼鏡を買って持っていったのだが、そいつがめっちゃ高性能で、ただでさえ近いところにそのエグイ解像度も相まって、ポールの表情までクッキリハッキリ見えたのには大感激! ライティングもめっちゃ綺麗だったし(←特に白色のレーザー光線の一斉照射は圧巻!)、音響も文句ナシ。とにかく私がこれまで体験したライヴの中では間違いなく “ザ・ベスト・オブ・ザ・ベスト” と断言できる素晴らしさで、最高に楽しめたライヴになった。
     

 コンサート終了は21時50分で、約2時間半の間ほとんど立ちっぱなしで大騒ぎしていたが、途中「マイ・ヴァレンタイン」や「ブラックバード」のようなスローな曲の時だけおとなしく座ってポールを観ていた。その時ふと思ったのは “こーやってあぐらをかきながら至近距離でポールのライヴを観れるなんて、何と贅沢なことなんだろう...” ということ。次回も両国でやるという保証はどこにもないワケで、ひょっとするとこれが最初で最後になるかもしれないと考えると、桝席でホンマに良かったなぁ... と改めて実感した。この贅沢... priceless!!!
     

 F1の世界には “モナコでの1勝は他のレース3勝分の価値がある” という言葉があるが、今回の両国ライヴはまさにドーム公演3回分、いや、それ以上の価値があったと断言したい、そんな素晴らしいコンサートだった。両国、サイコー!!!
2018.11.05【4K】ポール・マッカートニー PAUL McCARTNEY FRESHEN UP JAPAN TOUR 2018 @両国国技館 Ryogoku Kokugikan,Tokyo


【おまけ】今回の両国ライヴで唯一失敗したと感じたのはデジカメで、10年前の機種ではせっかくの近距離でも強烈なライティングのせいで撮っても撮ってもポールがノッペラボウになってしまい、まともに撮れた写真が1枚もないという情けなさ(>_<)  途中からは写真をあきらめて双眼鏡に専念したが、その時に思ったのが “この双眼鏡の見え方で写真が撮れたら最高やのに...” というもので、ナゴドでのリベンジに燃える私は、両国から帰ったその日の夜にケーズデンキに直行して、「超ド素人でも暗いライヴ会場の逆光照明の中で綺麗に撮れる高倍率デジカメくださーい!」と泣きつき、5万円もするソニーの最新型デジカメを買ってしまった。昨日一晩かけて使い方を練習したので明日のナゴドでは絶対にポールのアップを撮るぞ!!!