shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ポールの両国 “でらサイコー” ブート決定戦

2019-02-11 | Paul McCartney
 ポールの両国ライヴの IEMマトリクス盤のベストは EVで決まりだが、オーディエンス録音盤となるとまさに群雄割拠というか、各ブート・メーカーがしのぎを削っているという感じで、私の知る限りでは “圧勝盤” というのは存在しない。ライヴから3ヶ月が経ってもうこれ以上新しいブツがリリースされる可能性はほとんどなくなったので(←まさか TJとか出ぇへんよな...)、今回は私が買い漁った両国オーディエンス録音盤の中から極私的 “でらサイコー” ブートを選んでみようと思う。
 それではまず最初にそれぞれの盤の簡単なインプレッションを購入順に書いてみたい。(このブログは個人の感想であり、各ブートの優劣を保証するものではありません... 笑)
①Ryogoku 2018(Uxbridge)
 私が最初に手に入れた両国ブートは LHの傍系 CD-Rレーベルである Uxbridgeから出たこの盤。CD-Rということであまり期待せずに聴いたのだが、2階席からの録音とは思えないようなサウンドにビックリ。もちろんサウンドボードも裸足で逃げ出す... というタイプの録音ではないが、リアリティー溢れる臨場感が絶品で、実際に会場で聴いた音を思い起こさせてくれる、とでも言えばいいのか、とにかく見事なバランスで録音されている私的お気に入り盤だ。インフォに“聞き心地が抜群!” とあったが、まさに言い得て妙だと思う。

②Freshen Up Ryogoku Kokugikan 2018(Piccadilly Circus)
 ピカデリーのブートは当たり外れが激しい。最近は2015年、2017年と安定して良かったので大いに楽しみにしていたのだが、残念ながら今回は私の好みとは違う平板な音作りになっており、他の両国ブートのレベルの高さやコスパを考えると正直ちょっとキツい。DVD裏ジャケの “One On One Japan Tour” という信じがたい誤表記も含め、今回のピカさんは一体どうしたのだろう???と心配になってくる。ただ、直近3回の来日で全公演の DVDを出してくれているのはココだけだし(←今回のマルチカメラは切り換えが多すぎて見にくかったけど...)、ポールに関してはガチなレーベルなので、次回に期待したいと思う。

③Freshen Up At Ryogoku Kokugikan Omnidirectional Source(Empress Valley)
 ハイエンド無指向性マイクを使って録音されたエンプレス・バレイの先行発売盤。前にも書いたように両国ボックスに入っている単一指向性 MK4マイクと同じ場所で録音されており、音もほとんど変わらない。何故か EVのオーディエンス録音は周りに喋ったり騒いだりするアホな客が居合わせる不幸なケースが多いが、今回のこの両国オーディエンス盤に関しては標準語でボソボソ喋る男の低い声(←キモい...)以外はほとんど気にならない。それよりも、私にはエコーが強すぎてポールのヴォーカルに距離感を感じてしまうのが最大のネックで、悪くはないが私好みの音ではなかった。

④Ryogoku Kokugikan 2018(Lighthouse)
 ライトハウスのこの盤は生々しい音が実に気持ちいい。後で分かったことだが、以下の⑤~⑧までみんなコレと同音源(←「1985」アタマの部分に“デカいデカい...”とそれこそデカい声のお喋りが入っている部分を聞けば明らか)だったのにはビックリだ。インフォには “さる高名なテーパーがネット上に上げた音源を直接提供されたもの” とあるので、他レーベルのものはすべてネットからダウンロードした同音源をそれぞれリマスターしたものということになるわけだ。録音位置は「桝席 正 13側」とのことなので私のすぐ後ろで録音されたことになるが(←ということは「1985」が終わった直後の “バ~ン ドォンザ ラァ~ン♪” っていうアホ声はまさか...)、リアリティーと臨場感を非常に高い次元でバランスさせた名録音だと思う。

⑤ポール・マッカートニー at 両国国技館(Nanker Records)
 LHの④と同じ音源で、リマスタリングによる違いもほとんどない。まぁいじる必要がないほど元の録音が優れているということなのだろう。CD-R盤なので他レーベル同音源プレス盤があればコレを買う必要は全くない。

⑥Ryogoku Kokugikan Mein Show(Phoenix Record)
 ヤフオクやメルカリで短期間に売りまくった謎のレーベル。興味本位に買ってみたら発送元は北海道だった。CD-R盤だがメディアは太陽誘電製という拘りブート。これもやはり LHの④と同じ音源だが、LH盤よりもやや臨場感が強い音作りだと感じた。

⑦Live At Ryogoku Kokugikan(Supersonic Masters)
 この Supersonic Masters も今回初めて登場した未知のレーベルだが、家内制手工業で作ったような⑥とは違い、れっきとしたプレス盤。これも LHの④と同じ音源だがリマスタリングによって更にリアリティーが増しており、今回の聴き比べでは一番私好みの音に仕上がっていた。Supersonic盤は名古屋もこれと同様に音圧と臨場感を高いレベルで両立させた高音質な仕上がりで、今回の来日ブートではちょうど2015年の SNEみたいな超お買い得のレーベルだと思う。大推薦!!!

⑧One Night In A Sumo Arena(Moonchild Records)
 Moonchild Records というのは EVと同じく西新宿のブラインド・フェイスというブート屋が作っており、独自音源で差別化を図る EVとは違って、ネットでダウンロードした音源を1,000円で売ることに特化した価格破壊型廉価盤レーベルだ。これもやはり LHの④と同じ音源だが、入念なリマスタリングでかなりオンな音に仕上がっている。何よりも面白いのは同じ BF系列でありながら、皮肉にもハイエンドマイクを使った EVのオーディエンス録音盤を軽く凌駕してしまったこと。他レーベルも含めて、コスパを考えればコレが断トツの№1だろう。

⑨Ryogoku Kokugikan 2018 Definitive Master(Uxbridge)
 ほとんどの両国ブートが出揃った12月後半に LHが Uxbridgeレーベルからリリースした CD-R盤。LH自身のプレス盤④や IEM盤、それに EVのボックスの後でコレを出す意味がよく分からなかったが、どうやら “2階正面ロイヤルボックスの真後ろという特異な録音ポジション” というのがウリらしい。インフォには “ステレオ感が強い” とか “マイルドなサウンド” とか書いてあったので(←まさに “物も言いよう”ですな...)おおよその見当はついていたが、実際に聴いてみると音が遠くてやっぱりなぁ... という感じ。それより何よりこの盤の最大の問題点は近くに大声で遠吠えしまくる観客がいることで、とてもじゃないがスピーカーの大音量では聴いていられない。ハッキリ言ってハズレとしか言いようがないナンジャラホイ盤だった。

ということで、上記9枚の中では私は①④⑦⑧がお気に入り。④⑦⑧は①と比べると音の近さという点で一日の長があるので、元々同じ音源でリマスタリング違いの④⑦⑧がトップ3入賞ということになるが、どれか1枚となると非常に難しい。敢えて書けば「あまり音をいじってなくて聴きやすい④」「音圧アップで迫力満点の⑦」「リマスタリングでオンな音像を作り上げた⑧」という感じで、ここまでくると後はもう個人の音の好みの範疇になるだろう。私としては僅差で⑦の Supersonic Masters を両国オーディエンス録音の “でらサイコー” ブートと認定したい。
      

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