津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■解説ー有吉家文書「年中行事抜粋」(三)ー御着座後初而召出之式

2021-06-29 13:01:12 | 有吉家文書

■御着座後初而召出之式
 御帰国後初めての召し出しの式(御到着の翌々日に行われる)

  一、於竹間同席中壱人完被召出、畢而同御間ニおいて御役人中一列ニて左之通
    竹の御間に於いて家老一人宛召し出され、終わってお役人の人々一列にて召し出さる
      但竹御間と申ハ陽春御間次之御間之事ニ而候得共、矢張於陽春御間被召出候已前より右之唱ニ相成来候事
      此竹之御間之事ハ但書之通ニ候得とも陽春御間御障子之腰ニ竹之絵有之候付、元来ハ陽春御間を竹之御間
      と唱居候と相見候處、陽春之御額懸候後竹之御間は御次之間之様ニ相成たると考候事
       竹の御間というのは陽春御間の次の御間のことである、以前よりこのように唱え来ている。この竹の御間は陽春の御間の障子の
          腰に竹の絵があることによる、元来は陽春の御間を岳の御間と唱えていたが、「陽春」という額が架けられたのち、竹の御間は
       御次の間のようになったと考えられる
          御奉行      一限
          助教       一限 
          学校御目附    一限
          御郡御目附    一限 
          御穿鑿頭     一限
          御勘定頭     一限
          御算用頭     一限
          (上記略)
          御目附一人完御供之御目附ハ一列之末ニ被召出候
          御目付一人あて御供、御目付は一列の末に召し出されること
         右之通何時揃ニて被召出旨被仰出之段前日御用人より御用番江書付相達候、右ニ付而御請等之手数
         無之候事   但右之召出ハ多御着坐之翌々日ニて候事
         右の通りにいつ時に揃って召し出さる旨の仰せでは、前の日用人より御用番(担当家老)へ書付で達せられ、御受けなどの
         手数はないこと、右の召し出しは多くご着座の翌々日に行われること
       付札
       御奉行以下被召出候儀ハ御用人より達ニ相成此方よりは欠席之人江知せ候事
        お奉行以下召し出されることについては用人より達しがあり、この方からは欠席の人へ知らせること
       文化九年初而御帰国之上被召出六月三日御着座被遊同五日初被召出此節御一門衆同席中薄上下上ニ 茂御
                          薄上下御備頭以下御役人中ニ召出候是ハ皆麻上下着達者従御小姓頭
        文化九年初めてご帰国(齊樹)されての召し出しは、六月三日ご着座、五日に初の召し出しあり、この時には御一門衆・同席
        中薄裃、上(殿様)もお薄裃、御備頭以下お役人の召し出しには皆麻裃着であることを小姓頭より達しのこと 

       文化五年六月十三日同断之節吟味之處同奉行之方ニハ控有之候付機密間江も此節控致し被下候様置候様
       夷則より申聞有之候事
        文化五年六月十三日の同様のことについて吟味したところ、お奉行の方には控えがあるが、機密の間へもこの度から控えを下
          さる様にと郡夷則より聞かされたこと
          
    右御当日之式左之通
     召し出し当日の御式について
  一、平服ニ而 初召出ニ而候得共平服 刻限半時前仕出之事
     平服にて初の召し出しであっても、刻限の半時(一時間)前には仕出しのこと
  一、例之通奉窺御機嫌之事
     例の通りにご機嫌伺い奉る事
  一、召出之節ハ哥仙之御間まてハ例之通候事
     召し出しの節は歌仙の間までは例の通りに行うこと
  一、右哥仙之御間江控居候得者御用人より案内有之、一人完罷出 此時は不老門よりハ不罷出 尤鹿之御間と哥仙
               之御間之境御襖南之端一枚明キ居候、此所より左手之様ニ参鹿之御間北御入側と陽春御間之次之御間との突合
    之八畳敷ニ御取次以下相詰居、此處ニて御取次以下江致会釈右之壁付ニ脱剣御居間江罷出候事
                   歌仙の間に控えていると用人から案内があり、一人づつ罷出、この時は不老門からではなく、鹿の間と歌仙の間の境の襖の南端が一枚明
     いて居りここから左手に参り、鹿の間北側お入側と陽春の間の次の間との突合の八畳敷に御取次以下が詰めて居り、ここで取次以下へ会
      釈をして、右側の壁付にて刀をとり御居間へ罷り出ること

      但脇差ハ三家ハ八畳之敷居内其外ハ敷居外ニ脱置候、且又御前江罷出候得ハ御用人并御取次以下ハ鹿之御
      間北之方段落之御間へ下り居候、右之通二付退去之節不及会尺候事
       脇差は三家老家は八畳の敷居内、その他は敷居の外に置くこと、御前へ罷り出れば用人や御取次以下の人は鹿の間北の段落ちの間
       へ下がっているので、退去の節には会釈には及ばない事
  一、陽春御間御敷居外ニて御辞儀是〇被遊御意候上御敷居内ニ摺入尚御辞儀左候而御用相済御敷居外江出猶御辞儀
    退去初之所二て帯剣且々詰間江参候事
     陽春の間の敷居の外にてお辞儀し、ここでお言葉があり敷居内に摺り入りなおお辞儀する、御用がすんだら敷居の外へ出てお辞儀をし
      て退去、刀を帯びて詰めの間へ参ること

      但陽春御間御座所ハ御建具無之御襖一枚北之方江建附ニ相成居此御襖之脇より 召出候之節ハ此御襖際丁
      口ニて御縁側之方末坐ニ成此トキハ一人ニ付此丁口之席ニ出て候 御目通りニ罷出候事
       陽春の間御座所は建具がなく襖一枚北の方へ建てつけられており、この襖の脇より召し出されたときは、この襖際の丁口にて御
       縁側の方の末座になり、この時は一人に付きこの丁口に出て御目通りにまかり出ること
  一、夫より御奉行以下被召出候御奉行御目附は九曜中柱御間之縁側ニ北向に繰付例之御役人者佐野之御間御縁側ニ
    繰付相成居候得共無構通候事
     それよりお奉行以下召し出されたお奉行御目付は、九曜・中柱の御間の縁側に北向きに順に座し、例の(?)お役人は佐野の間の縁側
     に順に座しているが、(自分たちは)構いなくその前を通る事
  一、三家之嫡子者不案内ニ有之候得者同席之内より召連御前江罷出候儀も有之候、且又見習ニ出方無人ハ此時は不
    被 召出候御一門衆は勿論之事
                   三家老家の嫡子は不案内であるため家老家の内から召し連れて御前へ罷り出ることもある、見習いに出ていないものはこの時は召し出
      されぬこと、御一門衆も同様である

    〔御用人より御杉戸明ル 此所二て御時宜〕
      用人が杉戸を明ける、ここでお辞儀をする
    已前ハ初被召出不老門よりト相見朱書之通之書付持伝候墨書之図ハ本文ニ依而認置
     以前は初召し出し(の時?)不老門よりであったようで、朱書きの通りの書付を持ち伝え墨書の図は本文により認め置く
           
                  (この項・了)

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■細川家譜

2021-06-29 09:17:33 | オークション

            時代物 源氏細川之世譜 細川家譜 印刷資料 希少 入手困難 資料 旧家蔵出

 印刷ものだそうですが、こんなものがどこから出てくるのでしょうか。詳しく見てみたい気がしますが、ずいぶん高額になることは間違いなさそうです。

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