加賀前田藩上屋敷 -- 地震之間

　　　　　　　　　　　加賀藩江戸上屋敷に「地震の間」　　　http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20111017102.htm

徳川家斉の第21女・溶姫が、加賀前田藩第12代藩主前田斉泰に輿入れ（文政10年11月）する際に建造された御守殿の門が、現在の東京大学（本郷）の赤門である。
藩邸の正門・大御門は残っていないのか、赤門（御住居表御門）が東京大学シンボリックで東京大学の顔となっている。正門は別にあり正面は有名な安田講堂である。
御守殿の北側に「心字池」がありこの近所に地震之間が在ったらしい。この建物は寛永10年あたりに建造されたものらしい。
寛永10年1月21日の小田原地震（Ｍ7,1）の際、細川忠利は土井大炊頭に宛てた書状（2月8日書状- 2014）の尚々書に於いて

　　　　　　　　　　　　　　尚々 昨日承かけに早打上申候へ共、海上不存候而 又如此ニ
 　　　　　　　　　　　　　使を各様へ進上申候 御本丸ニ此前のことく御庭無御座候哉 爰
　　　　　　　　　　　　　　元も 細々御本丸御庭なく 常々無御心元奉存候 以上

と書き、江戸城本丸に避難が可能な大きな庭がないことを心配している。自らも熊本城内の本丸周辺の建物を整理して「地震之間」を整備することを申し付けている。江戸城西の丸に「地震之間」がもうけられるのこの時期ではないかと考えられるし、加賀藩邸の建築年次が近いことも大変興味深い。

彦根城楽々園-- 地震之間

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１１代藩主井伊直中の隠居によって最大規模に膨らんだ時期の楽々園
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（○は、のち１３代藩主となる井伊直弼が幼少期をすごした建物） 

　　　　彦根市のＨＰ　http://www.city.hikone.shiga.jp/hikonejo/facilities/index.html　から引用させていただきました。　○印が現存する地震之間です。

神童子村・八瀬村、百七拾三石余 返上の申し出

　これは豊臣秀吉が松井康之に与えた知行であるが、徳川の時代になっても踏襲され、其の故をもって松井家は徳川将軍の代替わりに当っては、参勤をして御禮御目見することが慣例となった。（八代史談会発行の松井章之の江戸旅行日記などに詳しい）

　家康の時代には、引き続きの知行拝領を安堵されているが、秀忠の時代に到っては朱印状の拝領がないままであった。
秀忠が亡くなり家光の代に入り、松井家当主・興長は知行の返上を申し出ている。
寛永十一年四月十九日忠利が老中酒井讃岐守（忠勝）に宛てた書状（2425）がある。

　　　　　　　　　　　　　　　拙者内松井佐渡（康之）ニ従　太閤様御代 山城之内神童子村・八瀬村ニ而
　　　　　　　　　　　　　　　合百七拾三石餘御知行被下　権現様（家康）より不相替 古松井佐渡より當
　　　　　　　　　　　　　　　佐渡（松井興長）迄拝領仕候へ共　台徳院様（秀忠）御代ニ御朱印之儀何角
　　　　　　　　　　　　　　　と仕 申上儀延引仕候 右之知行儀差上申度之由 拙者内佐渡（興長）申候間
　　　　　　　　　　　　　　　尤と存上申候 昨今迄如此之段奉忝存候 此由御次之刻奉頼存候 恐惶謹言
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　卯月十九日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒井讃岐守様
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人々御中

　　　　　　　　　　　　　　　　　　尚々 右之知行拝領之書物共 只今迄之ためニ懸御目候 以上　　　 

当然といえば当然の申し出であろうが、将軍家は松井家の勲功にたいして引き続き知行を安堵したのである。
「但宝永七寅家宣公御代寿之在勤の内、八瀬村御用地ニ被召上、其代りとして泉州泉郡尾井村之内を被下候也」と知行地の変更がなされた。
松井家は徳川家直参、細川家三卿筆頭家老、そして八代城主という特別な家格を明治に到るまで継続することになる。 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松井家公儀知行地