ある方から先祖附に記されてあるという、「在宅」の意味についてお尋ねを受けた。熊本大学の吉村教授の著書から引用してご返事を差し上げた。つまり「勝手不如意の家に対し、城下を離れて知行地に居住させ、軍役・奉公の大幅免除を受けて家内整理をして自力更正を促す」というものである。一定期間を経て旧に復帰する事になるが、延長を願い出るケースもざらである。「勝手不如意」は何処にでもあった。100石取りの家では、手元に入るのは18石ほどである。家族と下男下女六七人では2石程の赤字が出て、前借をすると借金は雪だるまである。高禄の家とて、多数の人間を抱えると生活は困窮する。史料を見ると著名な家臣が沢山見受けられる。更に活き詰まると「上知」となる。「知行を差し出し、知行物成の一部を扶持方として受給し最低的生活を送りながら債務を完済する」更正方式である。
(参考:近世大名家の権力と領主経済・・吉村豊雄教授著)
色々の人が「上書」を上げる時期は、すでに御家中すべてが貧乏の中にあった。
(参考:近世大名家の権力と領主経済・・吉村豊雄教授著)
色々の人が「上書」を上げる時期は、すでに御家中すべてが貧乏の中にあった。