2008年6月2日(月)
6月1日は「景観の日」。それにちなみ、タイトルの催しが
6月2日13時~17時に、東京・港区のニッショーホールで
開催された。私は、新聞広告を見て申し込んだところ、入場
券を入手できたので参加した。
来賓は、国道交通省、農林水産省、環境省からの3人。

最初の開演の行事の中では、次の3つの表彰式があった。

都市景観大賞「美しいまちなみ賞」は、村上市旧町人町・
旧武家町地区(新潟県村上市)と、南小国町・黒川温泉地
区(熊本県小国町)が選定された。
来賓の冬柴国土交通大臣から賞状が授与された。

第3回「美の里づくりコンクール」では、福井県越前市安養
寺町に農林水産大臣賞が、新潟県長岡市菅畑地区と京都
府南丹市(美山町)のかやぶきの里保存会に、農水省農村
振興局長賞が授与された。

第56回「自然公園写真コンクール」の特選「槍穂と残月」
の作者、坂神宗之助さんに環境大臣(政務官)からの賞状
が授与された。

つぎは基調講演、プログラムでは「環境としての歴史と
景観」であったが、講演した「リンボウさん」こと作家・書誌
学者の林 望さんは、「イギリスをあるきながら-歴史・
風景・トラストの思想-」というテーマで、写真を映写しな
がら話された。その要旨を幾つか紹介する。

日本にも美しい景観があるが、気づいていない人がいる。
例えば、水の入った田んぼに映る周辺の景色など。
英国では、「環境としての歴史」を大切に守る活動を、幾
つかの団体で行っている。
「ランドマークトラスト」では、歴史も環境であるという意識
で、例えば、貴族の館を信託財団で買い取って守っている。
日本は壊す思想で、美しい町だった江戸城周辺の大名屋
敷(それぞれがすばらしい日本庭園だった)を、明治になっ
て壊して軍用地にしてしまった。
イギリスのレイコックという村は、ナショナルトラストが全村
買い上げていて、村民はそれを借りて生活している。
ナショナルトラストでは、買ったものは売ることはできず、
永久に歴史を保存することになり、観光客が来ようが来まい
が関係なく維持を続けている。
ランドマークトラストは、ナショナルトラストでは対象にしない
ような小物、例えば城のない城門とか、小さな家屋、小屋
なども買い取って修理し、ホリディハウスとして貸し出すなど
して、一般の人がそこに宿泊して歴史を感じられるようにして
いる。
東京の郊外に出ても明治の景観は見られぬが、ロンドンか
ら少し郊外に出れば、広大な麦畑も残っていて、100年前
と変わらぬ景観を実感できる。
イギリスでは、歴史的遺物の中に住むことが大事という意
識で、土地や建物の歴史を誰もが体験できる。
シビックトラストという半官半民の財団もあり、醜いものを無
くして美しい景観を保とうという活動をしていて、美しい都市
の建設とか、田園の景観保全などに努め、美しい町に誇り
を持つことに努めている。
前後の道路は両方向1車線で、そこだけすれ違いのでき
ない古い石橋があっても、掛け替えるようなことはせず、交
互通行の不便は我慢してもそのまま残して歴史環境を維持
する、というのが英国人の考えである。
ほかにも興味深い例を幾つか紹介された。
最後は、「歴史文化と景観」というテーマのパネルディスカ
ッション。

コーディネーター陣内秀信 法政大教授、パネリストは、平谷
祐宏 尾道市長、三村浩史 京都大名誉教授、藤井美登利
川越むかし工房代表、小川陽一 国交省大臣官房審議官の
4名。
平谷尾道市長は、高齢化が進み維持や生活が困難になっ
てきている坂の町の現状や、町の中心街に建設が計画され、
景観保全に支障を来す高層マンションを、住民の反対運動
と行政との協力で、その土地を買い取り、公園にする計画
を進めていることなどについて話された。
川越市の藤井さんは、東京を始め周辺各都市がどんどん
変わる景観に、ついて行けないと感じていたとき、蔵造りの
川越を知り、東京から移住して「小江戸ものがたり」という
冊子やHPで、昔の人と今の人とをつなぐ役割を果たそうと
したり、また、地元の人と外の人との交流、着物で歩ける町
づくりなどの活動に取り組んでいることを紹介。

三村教授は、自ら関わった尾道の町づくりのこと、沖縄・竹
富島での防風用石垣職人の育成のこと、減りつつある京都
の町屋の保存と活用のことなどについて話された。
小川審議官は、5月16日に成立したばかりの「歴史町づく
り法」の、制定の背景や概要について話し、従来からあった
景観法が規制的な法律であったのに対し、歴史町づくり法は、
事業支援法的な性格で、古都のような限られたところだけで
なく、どの町でも歴史あるところを中心にした町づくりが可能
になったことを述べられた。

その後、各パネリストからは、
・20歳代の感性を町づくりに生かして情報発信をする、
・市町村の窓口の一本化の期待、
・NPOとのつき合いができる行政の人材育成、
・他の市町村の文化やエネルギーを吸収するのも大事、
といった意見が出された。
参加者には、景観に関するいろいろな資料が配付された
が、その幾つかの表紙だけを紹介する。






6月1日は「景観の日」。それにちなみ、タイトルの催しが
6月2日13時~17時に、東京・港区のニッショーホールで
開催された。私は、新聞広告を見て申し込んだところ、入場
券を入手できたので参加した。
来賓は、国道交通省、農林水産省、環境省からの3人。

最初の開演の行事の中では、次の3つの表彰式があった。

都市景観大賞「美しいまちなみ賞」は、村上市旧町人町・
旧武家町地区(新潟県村上市)と、南小国町・黒川温泉地
区(熊本県小国町)が選定された。
来賓の冬柴国土交通大臣から賞状が授与された。

第3回「美の里づくりコンクール」では、福井県越前市安養
寺町に農林水産大臣賞が、新潟県長岡市菅畑地区と京都
府南丹市(美山町)のかやぶきの里保存会に、農水省農村
振興局長賞が授与された。

第56回「自然公園写真コンクール」の特選「槍穂と残月」
の作者、坂神宗之助さんに環境大臣(政務官)からの賞状
が授与された。

つぎは基調講演、プログラムでは「環境としての歴史と
景観」であったが、講演した「リンボウさん」こと作家・書誌
学者の林 望さんは、「イギリスをあるきながら-歴史・
風景・トラストの思想-」というテーマで、写真を映写しな
がら話された。その要旨を幾つか紹介する。

日本にも美しい景観があるが、気づいていない人がいる。
例えば、水の入った田んぼに映る周辺の景色など。
英国では、「環境としての歴史」を大切に守る活動を、幾
つかの団体で行っている。
「ランドマークトラスト」では、歴史も環境であるという意識
で、例えば、貴族の館を信託財団で買い取って守っている。
日本は壊す思想で、美しい町だった江戸城周辺の大名屋
敷(それぞれがすばらしい日本庭園だった)を、明治になっ
て壊して軍用地にしてしまった。
イギリスのレイコックという村は、ナショナルトラストが全村
買い上げていて、村民はそれを借りて生活している。
ナショナルトラストでは、買ったものは売ることはできず、
永久に歴史を保存することになり、観光客が来ようが来まい
が関係なく維持を続けている。
ランドマークトラストは、ナショナルトラストでは対象にしない
ような小物、例えば城のない城門とか、小さな家屋、小屋
なども買い取って修理し、ホリディハウスとして貸し出すなど
して、一般の人がそこに宿泊して歴史を感じられるようにして
いる。
東京の郊外に出ても明治の景観は見られぬが、ロンドンか
ら少し郊外に出れば、広大な麦畑も残っていて、100年前
と変わらぬ景観を実感できる。
イギリスでは、歴史的遺物の中に住むことが大事という意
識で、土地や建物の歴史を誰もが体験できる。
シビックトラストという半官半民の財団もあり、醜いものを無
くして美しい景観を保とうという活動をしていて、美しい都市
の建設とか、田園の景観保全などに努め、美しい町に誇り
を持つことに努めている。
前後の道路は両方向1車線で、そこだけすれ違いのでき
ない古い石橋があっても、掛け替えるようなことはせず、交
互通行の不便は我慢してもそのまま残して歴史環境を維持
する、というのが英国人の考えである。
ほかにも興味深い例を幾つか紹介された。
最後は、「歴史文化と景観」というテーマのパネルディスカ
ッション。

コーディネーター陣内秀信 法政大教授、パネリストは、平谷
祐宏 尾道市長、三村浩史 京都大名誉教授、藤井美登利
川越むかし工房代表、小川陽一 国交省大臣官房審議官の
4名。
平谷尾道市長は、高齢化が進み維持や生活が困難になっ
てきている坂の町の現状や、町の中心街に建設が計画され、
景観保全に支障を来す高層マンションを、住民の反対運動
と行政との協力で、その土地を買い取り、公園にする計画
を進めていることなどについて話された。
川越市の藤井さんは、東京を始め周辺各都市がどんどん
変わる景観に、ついて行けないと感じていたとき、蔵造りの
川越を知り、東京から移住して「小江戸ものがたり」という
冊子やHPで、昔の人と今の人とをつなぐ役割を果たそうと
したり、また、地元の人と外の人との交流、着物で歩ける町
づくりなどの活動に取り組んでいることを紹介。

三村教授は、自ら関わった尾道の町づくりのこと、沖縄・竹
富島での防風用石垣職人の育成のこと、減りつつある京都
の町屋の保存と活用のことなどについて話された。
小川審議官は、5月16日に成立したばかりの「歴史町づく
り法」の、制定の背景や概要について話し、従来からあった
景観法が規制的な法律であったのに対し、歴史町づくり法は、
事業支援法的な性格で、古都のような限られたところだけで
なく、どの町でも歴史あるところを中心にした町づくりが可能
になったことを述べられた。

その後、各パネリストからは、
・20歳代の感性を町づくりに生かして情報発信をする、
・市町村の窓口の一本化の期待、
・NPOとのつき合いができる行政の人材育成、
・他の市町村の文化やエネルギーを吸収するのも大事、
といった意見が出された。
参加者には、景観に関するいろいろな資料が配付された
が、その幾つかの表紙だけを紹介する。





