魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

世間の風

2015年11月21日 | 日記・エッセイ・コラム

大阪鶴見区で二人組の小学生が、「トイレを貸して」と、高齢者宅に上がり込み、窃盗していく事件が相次いで、警察が注意を喚起している。
このニュースで、思い出したことがある。

幼稚園の頃、通園は1kmほどを歩いて通った。園児には大変な距離で、途中でトイレに行きたくなると、どこの家でもかまわず入って「おシッコさせて下さい」と言えば、大歓迎で、トイレに案内された。
小学校は、始業のベルを聞いてから飛び出しても間に合うぐらい近く、学校で「大」がしたくなったら、家まで帰っていたから、よその家のトイレを借りる必要が無かった。

何年生の頃か、よく憶えていないが、多分、3年生ぐらいだったと思う。
遊びに行っての帰り、急に下痢気味になり、慌てて通りがかりの家に飛び込んだ。
「すみません、トイレ貸して下さい!」(当時は便所と言っていたと思う)
すると、出てきた40代のおばさんは、怒ったように、
「そんなものは、知らない人に貸せません」
もう一度、頼むと、
「どこの子だ!何をしに来た!警察を呼ぶ!」
と、えらい剣幕になったので、慌てて帰った。
一番近い友達の家まで我慢してたどり着き、何とかセーフだった。

礼儀作法など、一切、教えない親だったので、この時、初めて、トイレは簡単に借りられるものではないと言うことを、世間の風にあたり、実践で知った。
そして何より、自分が、もう子供ではないんだと告げられたようで、ショックだった。

今回の大阪の事件は、小学生と言っても高学年で、もしかしたら中学生かも知れないのだが、年寄りは子供が好きだから、思わず、入れてしまうのだろう。
気さくな土地柄もあるのかも知れない。子供の頃、厳しく叱られた町は、古い城下町だった。