魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

名古屋流

2014年12月17日 | 京都&ケンミン文化

もう車を持たないから、個人的には関係ないが、ようやく燃料電池車が本格化してきた。
ハイブリッド車はSONYのフラットテレビ同様の、繋ぎのインチキだと思っていたから、電気自動車を飛び越えて、燃料電池車「ミライ」を出してきたTOYOTAに拍手を送りたい。
今や世界を席巻するハイブリッドだが、TOYOTAの本命が燃料電池車にあったのだとすれば、いずれの販売戦略も先見の明によるものだ。そして、名古屋流の商売にも感心する。

昔、大阪の日本橋でPC周辺機器を探していた。当時は「I-O」が先行していて信頼できたが、「メルコ」が少し安い物を出していた。悩んでいると、店の親父さんが、
「これは名古屋や、連中は客の足下を見て場所によって値段を変えよる」と、吐き捨てた。
こうした地域性に対する見方は、逆に、東京の靴屋で
「これは良いよ、関西モノなんかとは違うから」と言う言葉も聞いたことがある。

商都の大阪が、名古屋流の商売と反りが合わないことを知って、面白かった。
東京と大阪は、全く合わないようで、間合いの良さで、意外と通じるところがある。東京の気取りは京都と通じるが、東京にも大阪にも、気っぷの良さがある。
御徒町で、小物を大量に買おうとすると、
「業者? じゃあ計算をし直さなきゃ」と、こちらが言い出す前に卸値にしてくれた。

名古屋は、東京と大阪の影に隠れて、印象が薄いが、豊田を始めとして、大商工業地帯だ。そこにはそれなりのスタイルがあるのだろうが、やはり、よく知らない。
しかし、件の大阪のおっちゃんの話や、歴史的にも瀬戸物や信州、近江とのつながり、豊田の商法を見ていると、何となく浮かび上がってくるのは、名文より実質主義だ。

信長、秀吉、家康の天下取りも、立地条件もさることながら、実質主義によるのだろう。
信長は都の外から「権力の実質」を観て、天皇を無用と感じたのだろうし、秀吉は都で天下を取ることで、公家になることが権力の掌握と考え、家康は関東で実質的な武家の権力を確立した。
名古屋地域は、日本列島の肝臓のようなものだ。目立たないが、最も重要な立場にある。

TOYOTAの実質戦略がハイブリッド車を生み、さらに燃料電池車の実用化に歩みを進めた。SONYのフラットテレビとの違いは次のステップを見据えていたか、過去にこだわったかの違いだ。液晶などの新方式を拒否したSONYは、テレビ事業を完全に失ったと言えるが、TOYOTAは始めから次のステップを踏み出していた。それが今回の新チャレンジを可能にした。

飛行機には手を出さず、ハイブリッドから、電気、プラグインハイブリッドを飛び越えて、燃料電池にチャレンジするのも、名古屋らしい堅実性であり、豊田佐吉のチャレンジ魂が生きている。
なんだか名古屋がとても好きになりそうだ。

ところで、昔の「メルコ」は、今では「BUFFALO」として、「I-O」の倍以上の売り上げを出している。