魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

夜明け前(2)

2012年08月25日 | 日記・エッセイ・コラム

もし、「地球国家」が成立すれば、警察は要るが、軍隊は要らないことになる。
SFのように、宇宙人が攻めてくる可能性は否定しないが、それには備えようが無い。相手の正体が分からない上、存在さえ定かではないものに、備えるのは、杞憂に等しい。

地球国家の警察は、警察とは言っても、やはり巨大な軍隊だ。
世界国家ができれば、世界を均等・平等化するために、いわゆる「大国」を分割する、「廃藩置県」も必要だ。
今の国家である「地方」が反逆すれば、地球警察(軍)が鎮圧しなければならない。いわば、維新後の西南戦争も始まる。

既にある国家の再編という点では、世界国家の始まりは、日本の維新が参考になるかも知れない。
既存の体制を大きく変えず、トップの組み替えだけをした点は、他の国とはかなり様相が違う。それだけ、江戸の幕藩体制が完成していたのかも知れない。

しかし、幕府に替わって薩長が収まったという点は、後の弊害にもつながった。
現在の日本が、明治日本の呪縛から、いまだに解かれていないのは、薩長の価値観であり、皇国という一神教的意識は、西国の、特に九州の熱心な信仰心に背景がある。今でも、西国からは、次々と雲が湧くように新興宗教が起こってくる。

もし、世界政府が、明治維新のような一部国家の権力奪取によって置き換わるだけなら、今日まで尾を引く、日本のような、「権力と価値観の偏り」の弊害が、世界を覆うことになってしまう。
こういうことを言えば、日本は民主国家で、偏ってはいないと反論されるかも知れないが、その時点で、すでに客観性は怪しい。

世界国家の成立をいきなり求めると、そのような一部国家の権力が席巻する。世界国家への試行錯誤である、国際連盟も国際連合も、そのことを暗示している。安保理の常任理事国など、明らかに限界を示している。

活力とバランスのある世界国家を創るには、やはり時間は必要だ。
時間をかけながらも、現在の国家枠の形を残しながら、世界を統合して行くには、おそらく、アメリカと日本の成立過程が、最も参考になるのでは無かろうか。

かねてより、古代日本と、アメリカ合衆国は、成立過程が似ているのではないかと、考えている。(古代アメリカ
アメリカについては色々と言われているが、古い秩序から見れば当然危なっかしい若造なわけで、問題だらけであることは否めない。

しかし、それだけに、人類の因習から進歩するこれからの世界国家は、とりあえずは、地球合衆国を目指すのが、良さそうな気がする。

アメリカがリードするという意味では全くない。アメリカが生まれた過程を参考にして歩み、日本の至った姿を念頭に、そのネガティブ部分を避けながら、和の世界に向かって、一から進むということだ。
冷戦構造や、貿易協定なども、そこへ向かう自然のプロセスとも言える。
まだまだ、今からの250年が、始まったばかりだ。