若い頃、じーちゃんは身ひとつで家を飛び出し、
所帯を持つときには本籍まで新しくして、
以来、自分で手に入れたものだけで暮らしてきた。
もともと親との縁も薄く、自分を過去につなぎ止めるものは、
じーちゃんには何ひとつ、なかった。
ので、墓も、なかった(爆)。
舅本人は、『墓なんか要らんわい。金かけるなや』と言い残した。
じーちゃんのイメージでは、お寺の遺骨堂(用語がわからないが)
みたいな、ロッカー形式のところに置いて貰えればいい、
ということだったのだと思う。
浄土真宗の考えには「先祖供養」という概念もないし、
それはそれでも良かったかもしれない。
だが主人は、「結局、皆、入るところが要るのだから」と言い、
自分が、家の墓をたてると決めた。
舅の四十九日からあと、一周忌、三回忌と、
ずっとお世話になったお寺さんに頼んで、
境内墓地の一画を購入させて貰うことができたので、
そこに、ごく平凡だが真宗の作法どおりの墓石を、
長男である主人がたてる、ということに、なった。
そこには、まず舅が入るわけだが、
いずれは、姑や主人や私も入ることになるだろう。
それで今日、お寺さんから紹介して頂いた石屋さんに会い、
境内墓所まで出かけ、隣近所の墓石なども見ながら、
どういうお墓にするかをあらかた、決めた。
小さい区画だし、特に凝った要望もないので、
ごく普通の、手入れのしやすいものを頼むことにした。
石屋さんは良いかたで、とても親切にして下さり、
思った以上にスムーズに打ち合わせも進み、
こういうのも「縁」だなと思い、とても温かい気持ちになったが、
最後にたったひとつ、問題が発覚した。
それは。
家紋が、わからなかった。
生家と決別したに等しかったじーちゃんは、家紋を持たなかった。
主人も、見たことがないと言った。
誰に聞いたらわかるんだろう(^_^;。
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