転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



(写真は、我が家でただのインテリアになり果てているトウシューズ。
一応Chacottのコッペリアのどれかだったと思うが、
誰も踊れないので、まさにネコにコンバンワ。)

数日前、つい出来心で
DVD『発表会で踊りたい ヴァリエーション・レッスン
の第二巻を買ってしまった。
この巻にしたのは、キトリとフロリナが見たかったからだが、
このシリーズはほかに第一巻と第三巻もある。
全部のパの名前がひとつひとつ説明されるので、
どういう動きの順序になっているのかがよくわかり、
足のポジションも視覚的に理解できるので、
私のように、自分は踊らないが舞台を観るのが楽しみという者にも、
鑑賞眼を養う上で大変有益なDVDだと、見ていて思った。

我々が通常目にするのは本番の舞台だけで、
こういう、レッスンの段階の踊りを見る機会は少ないと思う。
公演で、ダンサーが個性を発揮し妙技を披瀝するためには、
それぞれ独自の工夫を凝らしていることが多く、
例えば同じ動きが3セット出てくるところなど、
音楽でいう変奏曲みたいに、繰り返しのたびに、
装飾音のように動きを入れたり、
ターンの種類を変えてニュアンスを加える等、
踊り手によって細部はかなり異なっているものだが、
このDVDは稽古用なので、そういう応用よりも、
むしろ、基本となる動きのほうを徹底して指導している。
御陰で私はほぼ初めて、
「ベースとなる振り付けは、こうだった」
というのを知ることが出来た部分が結構あった。

それとともに、クラシック・バレエにおいては、
どんなに複雑に見える動きでも、すべて、
基礎のパの組み合わせから成り立っている、
ということが、よくわかった。
バーやセンターでレッスンすることを、どこまで正確に身につけるかが、
バレエの表現の上限を決めることになるのだ。
つまりテクニックに穴があったり弱点が残っていたりすると、
それらが足かせになって、舞台上の表現が制限されてしまうということだ。
あとは、組み合わせられている要素のひとつひとつを、
同時進行で処理することの難しさが課題となるのだと思った。
今さら何を言うてんねん、とバレエ経験者の方には呆れられそうだが、
私などは、こうやって実際に見せられないとわからないものなのだ(^_^;。

それはともかく、こういうレッスン番組の常として、
このDVDでは、生徒さんが、むちゃくちゃうまかった(爆)。
NHKのスーパーピアノ・レッスンだって、多くの場合、
プロで弾ける若手ピアニストが、世界的なピアニストに習う、
という形式で、その演奏たるや、私など一般人素人にとっては、
趣味のタシにしようとしても真似られるシロモノではなかったが、
このDVDで繰り広げられるバレエ・レッスンもそのテのものだった。

男女とも、これはもう、「生徒」などというレベルではない、
というダンサーが出演して指導を受けている。
その凄さというのは、高く飛ぶとか速く回るとか以前に、
普通に五番ポジションで立っただけでも、
ただごとでない正確さが、一発で伝わってくる感じなのだ。
調べてみたら、男性のほうの今井智也さんは、
谷桃子バレエ団所属で、若手公演なら主役を踊られる方だし、
女性の西玉絵里奈さんも、ローザンヌのセミファイナリストだった。

眼高手低は初心者や素人には当然であり、
うまくない見本など、いくら見たって上達するわけはないのだが、
それにしても、このDVDを眺めていると、
展開されている世界があまりにも高度かつ上質過ぎるので、
「私も、もしかしたら、もうちょっとは巧くなれるかも?」
などという自分本位な甘い夢はコッパミジンコに吹き飛ばされ、
「あなたは一生そこで、画面だけ眺めていればよろしいのよ」
と優しく説得されている気分になった(爆)。

それで、次にお小遣いがたまったら、今度は、
40歳から始める やさしいクラシックバレエ入門
を買うことにしよう、と思ったワタクシであった。
まあ、これだって既に私には結構な別世界ではあるのだが、
少なくとも、こっちのDVDの内容は謳い文句よりずっと高度だとしても、
小学生からポワントで平気で踊っていた人たちが対象ではなかろう。
二十代でカルチャーセンターから始めた(後、5年目に挫折した)私だって、
ちょっとは、自分に関係のある世界だと思っても良いのではないか?
尤も、実際に始めるには、私の場合、今や左足の弱点も深刻なので、
最低限、10キロは減量してからにしないといけない。
したがって、始める日は、金輪際、来ないかもしれない(逃)。

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