転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



神戸空港、独立採算維持できず(産経新聞)
『16日に開港から丸5年を迎える神戸空港の管理収支について、神戸市が平成23年度予算案で企業会計「新都市整備事業会計(新都市会計)」から資金を繰り入れる方針を固めたことが2日、分かった。今年度の管理収支が2年連続の実質赤字となり、開港後の黒字を積み立てた基金が底をつくため独立採算を維持できなくなった。』

そんなもん、97年頃には既に神戸のフツーの主婦達が予言していたことだ。
神戸空港は、計画段階から、ごく一般の市民から見れば全く必要でなかった。
あんな空港が成功すると本気で思っていた人なんて、果たしていたのだろうか。
震災直後、公園のテントで寝起きしていた人たちがまだまだいたときに、
神戸市は彼らを尻目に、失敗がわかっている空港建設計画を強引に進めたのだから、
議員や建設関係でない一般の神戸市民の多くは、怒った。

そもそも関西空港ですら、そのものの必要性は誰も感じていなかったのだが、
伊丹空港のほうに、周辺の騒音など公害関連の諸事情が長年あったから、
国際空港を別途設ける以外になかったのだろう、
と、いわば「関西の成田」的イメージで、皆、仕方なく受け入れていたのだ。
少なくとも私の知る限り、神戸の住人たちは本音のところでは、
空港に関して、伊丹以外のものが本当に必要だと思ったことなどなかった。

それなのに市議会は強引に、更なる新空港・神戸空港建設を掲げた。
アホちゃうか、ほんならなんで最初に関空を神戸に呼んどかへんの、
と私達は悪口雑言の限りを尽くした挙げ句、
これはきっと、一般客に利用されないことは造る前から自明なのだけれど、
地元の建設業者等の当面の救済のため、建設に踏み切るしかないのだろう、
という理解を、仕方なく、していた。

市民が反対運動をしようが憤慨していようが、空港は無理矢理に建設された。
出来てみれば新しくて綺麗だし、飛行機はやっぱり速いし、
と皆が利用するのかというと、現実には案の定、赤字経営だ。
せっかく開港したものを、なぜ使わないかといえば、
それはもう、理由の大半は「便利じゃないから」だろう。
ポートアイランドの沖にポツンと空港なんかあったって、
神戸市内の大半から見て、ビジネスにも観光にも全く関係がない。

県内あるいは近県までを見渡しても、そこしか空港が無ければ不便でも使うほかないが、
複数あるなら、JRや新幹線拠点駅から「一本で行ける」空港が便利に決まっている。
そして、同じように「一本で行ける」空港が二つ以上あるとすれば、
都心に近い空港ほど良いことは言うまでもない。
その意味で、日本でベストの空港のひとつは明らかに福岡空港だ。
あれが福岡の発展を支えて来た屋台骨だと私は思っている。
遠い空港は、見捨てられ、廃れる。成田ですら、結局、羽田に勝てなかった。

私は90年代後半に関空を初めて利用したとき、
電車を乗り換え、船にまで乗るという、そのアクセスの悪さに呆れ
(帰りは船に乗らない方法を試したが、やはり乗り継ぎが面倒で、遠かった)、
「この空港は先行きが暗いやろな~」
と内心で思ったが、その通りになった。
関空は、国際線を伊丹から移して貰ってさえ、あの程度だ。
ターミナルビルが新しかろうが広かろうが、そんなことは利用者にとって決め手ではない。

ましてや神戸空港など、誰が喜んで利用するというのか。
ポートライナーで三宮から18分、と言われたって、
三宮駅構内のポートライナーの乗り場自体が、そもそも結構不便な場所にあるのだ。
JRや私鉄がもともとあったところへ、あとからくっつけた路線だから仕方がない。
仮に、JR神戸線―三宮―神戸空港を直通で結ぶ鉄道があったなら、
あの立地でも、事態は多少、違ったものになっていたのではないかと思うが、
現状ではそれは望めないのだから、利用者にはメリットが少な過ぎる。
神戸からなら、わざわざ乗り換えして人工島のあっちまで行って飛行機に乗らなくても、
離島以外の、ビジネスの拠点都市やメジャーな観光地は、ほぼ新幹線・JR経由で行ける。
市や業者さん申し訳ないので、不便でも空港をいっぱい使ってあげましょう、
と考えるほど利用者は暇ではないし、誰しも交通費は有効に使いたいのだ。

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