転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



(備忘録的、練習記録。2月7日現在)

およそ4月の後半までになんとかせねばならないことになり
こうなったら独善的でもなんでもいいから弾きたい通りに弾く、
と決めたことも相まって
、このところテレーゼ第一楽章を
ある程度真面目に練習するようになった。
曲以前に、まず嬰ヘ長調のスケールとアルペジオを稽古しなくては、
ベートーヴェンなんか弾けたものではないので、
ハノンの39番と41番を開き、……と言っても嬰ヘ長調は無いから
変ト長調で代用することにして、先週から毎日弾いている。

そういえば中学生の頃だったと思うが、
私は、黒鍵だけのアルペジオというものが苦痛でならず、
先生の前ではやむをえず「そっと弾く」ことでミスタッチを避け、
どうにかごまかして、この調を合格させて貰ったものだった。
これは姑息な手段として、大いに理にかなっている。
黒鍵は幅が狭いので、速くしっかり弾こうとして勢い余ると、
途端に指がズレて違うキーに触れてしまうからだ。
その点、そっと弾けば勢いで落ちることが最大限、避けられるし、
変な打鍵をしていても、音が出ていないのでバレにくい(殴)。
今回、弾いていてそのことを頭でなく手で思い出した。
勿論、こんなのはベートーヴェンの弾き方として、
いや、何の弾き方としても、駄目駄目に決まっている(爆)。

一方、本体のテレーゼ第一楽章で描かれるものは、私の中では、
娘が昔好きだった『ちびっこ吸血鬼』の、アンナの話に似ている。
もう少し育ってミステリアスになったアンナではあるが、
私にとってのテレーゼは、朽ちかけた洋館に棲む女の子で、
愛らしくて可憐だが、その肌はロウの色をしており、
かびくさい時代遅れのドレスを着ている。
なぜなら、彼女の体は、数百年前に死んだものだからだ。
夜中、時計が鳴ると彼女はゆっくりと姿を現し、
主人公の少年と秘密のデートをする。
彼女はくるくると踊り、少年の手を取り、ときにしんみり語ったりもする。
少年は、この娘が普通の人間でないことはわかっているのだが、
なにしろ可愛くて放っておけないし、結構愉快なことも多いので、
彼女との友情を大切にしたいと思っている。
一緒に吸血鬼になろう・一緒に行こう、と、
時々ねだられるのだけが困るけれど……。

……という、私の前提を細かく語ったわけではなかったのだが、
「可愛いテレーゼ、というのでない、『あの世』版テレーゼやります」
と言って弾いたところ、ひととおり聴いてくれた友人某氏いわく、
「谷崎潤一郎の、西洋館でマゾに目覚めるヤバい少年の話を思い出しました」。

畏れ入りました。

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