この物語の、ほとんど冒頭の部分で、
小説家のキャサリンは、自分の小説が映画化される企画について、
演出の方向性が気に入らず、制作披露パーティに乗り込み、
こんなものは許可できない・弁護士を呼ぶと言って監督に抗議する。
そこに、偶然居合わせた写真家のジョルジュが、
その彼女の必死の形相を面白がってカメラで撮影し、
「きみ(女優で愛人のエレン)の映画より面白いスチールが撮れた」
と笑う。
興奮しているキャサリンはもっと怒って、ジョルジュに、
フィルムを返せと迫るが、ジョルジュは、
「無理だね。弁護士を呼びたまえ」
とキャサリンをからかい、とりあわない。
「わかったわ!」
と踵を返した彼女に、ジョルジュは追い打ちをかけるように言う。
「さようなら」。
すると、キャサリンは、キっとジョルジュを見て、
「フィルムを貰うまで、さよならは言わないわ!」
これが、ふたりの、初めての出会いだった。
・・・のだが。
私はここを聞いて、『まるで翻訳モノみたい・・・』と思った。
この舞台は小池修一郎のオリジナルであって、
決して、英文による原作小説などは存在しない。
しかしこの部分は、もし英語で脚本を書いたなら、
完全に、タイトルそのままになる箇所ではないだろうか。
George: Goodbye...
Catherine: Till I get the film back from you, I will never say goodbye!
出会いの場面で、結末を暗示する、タイトル通りの台詞が出る、
というのは、ありがちではあるが、なかなかキマっていて、
よろしいのではなかろうか、と私は思った(^_^;。
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