転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



ダ・ヴィンチが惹かれ、マキャベリが認めた「最も美しい英雄・チェーザレ」の真実(現代ビジネス)
『あのレオナルド・ダ・ヴィンチが惹かれ、マキァヴェッリが理想とした伝説の英雄、チェーザレ・ボルジア。そんなルネサンス史上最も美しい英雄、チェーザレ・ボルジアを描いた作品『チェーザレ 破壊の創造者』は累計100万部を超える大ヒットになっている。歴史の闇に埋もれた英雄の真実を調べるため、資料の収集、翻訳、分析をしながら作画し、16年連載を続けてきたこの作品がついに最終回を迎えるにあって、作者であり漫画家の惣領冬実さんにインタビュー。その長年にわたった創作の秘話などを語ってくれた。』

『チェーザレ 破壊の創造者』は私も全巻持っていて、
大変楽しみにして読んでいた漫画だった。
衣装の模様どころか燭台のディテールや馬の蹄鉄までも、
時代考証等の根拠なくば描かれないほどの劇画だったので、
「このペースだと、作者存命中にチェーザレが死なない(汗)」
と不安に思っていたのだが、このほど、話はその遙か手前、
チェーザレの父親が教皇になるところで終わることになった。
つまり物語は、チェーザレの少年時代後期から青年時代の入り口まで。

読者としては正直なところ、彼が随所で匂わせていた野望や、
妹ルクレツィアとの魂の結びつきとも言える関係等々、
伏線の回収が十分なされたとは言えない箇所が多々残ったと感じるが、
それらが、できるなら番外編的な短編でこれから描かれると嬉しい。
サンチャ・ダラゴーナも、最終巻の終盤に印象的に登場しただけで、
その後のことは何も触れられなかったのが残念だ。

『ロドリーゴが教皇になってから枢機卿としてローマに入るまでの約1年間、チェーザレはスポレートという場所で過ごしていて、伝記には「彼はスポレートで青春を謳歌したであろう」とだけ記されています。これは資料が残っていないということなのですが、激動の時代にのまれていくチェーザレが最後に自由を謳歌した時間だったはず。そんな彼の人間らしい姿を、いつか私なりの視点で描きたいですね。』

という作者・惣領冬実氏の言葉がインタビュー中にあるので、
また機会を得て、この物語のその後が発表されることを願っている。
ちなみに、父親が教皇に選出された場面から開始されるチェーザレ伝が、
塩野七生『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』である。
チェーザレ・ボルジアの人生が本当の意味で花開いて行くのは、ここからだ。

Trackback ( 0 )