転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



大人だけどピアノを習いたい!ピアノ教室を選ぶポイントは?(mamasta)
『大人がピアノを習うのは恥ずかしいですか?今年27歳なんですが、諦めた方がいいですよね?』

何がどう恥ずかしいのか私にはわからない(^_^;。
どんどん習ってみるのが良いじゃないか、と思う。
記事中の、「楽器は子どもの頃から始めた方が良い」というのは
例えば音大ピアノ科に進んで専門家になりたい、等の場合であって、
趣味で弾くのなら後期高齢者になってから開始したって良い。
それだって、場合によっては相当なレベルまで行ける可能性がある。
かつて三枝成彰氏が言われたのだったと思うが(違ったらすみません)、
「70歳で始めたとして、90歳まで弾くなら20年できる。
どんなことも本気で20年訓練したら、玄人になれる」と。

私の友人の知人は、公立学校の先生だったのだが、
数年前、60歳で退職したとき、退職金でグランドピアノを購入された。
ピアノなど一度も習ったことがなかったが、
小学生の頃からずっと憧れていらしたのだそうだ。
御主人も最初は大変驚かれたそうだが、
御本人の、長い長い長い間の念願であったと知って、
家が狭くなるのを受け入れてくださったとのことだった。

それから彼女は、近所のピアノ教室の先生に電話をかけ、
自分の希望を述べて、生徒になった。
『エリーゼのために』が弾きたかったので、
何年かかってもいいから全部弾くと決めて、レッスンを開始し、
更に、子供の頃、従姉が『バイエル』を習っていて羨ましかったので、
自分も『バイエル』をやってみたいと先生に頼み、それも叶えて貰った。
退職後がこんなに楽しいなんてと、大変満足していらっしゃるとのことだ。

『エリーゼのために』をきちんと弾けるようになるためには、
先にイ短調のスケールやアルペジオをやらなくては、とか
『赤バイエル』なんて今どき使いませんよ、とかいう話は、
大人の初心者の希望と相反するならば、よけいなことだ。
一家言ある人たちの理想や好みなどどうでも良いのであって、
習う本人にとって、やりたかったことが実現したかどうかが大事なのだ。
入試もコンクールも関係ないから、本人が「弾けた」と思うかたちがゴールだ。
もしも、習ううちにもっと綺麗に弾きたいと欲が出て来れば、
基礎練習を取り入れたり、教本を変えたり増やしたりと、
方針を転換することも自由自在なのだし。

私の高校時代の友人のひとりは、短大でピアノを専攻したあと、
結婚で一旦家庭に入り、今は教える側として仕事をしているのだが、
大人の初心者の生徒さんには感動することがよくある、と言っていた。
上記の「エリーゼのために」と同様に、大人の初心者の多くは、
憧れの一曲を持っていて、それを弾けるようになりたい、と望むそうだ。
クラシックの好きな人では特にそうで、しかも、
初心者用に移調したり和音を減らしたりしたような簡易版ではイヤで、
弾けないところは激遅になっても、完全に原曲のとおりに弾きたい、
と希望されることがほとんどだ、と。
曲によっては、当然のことながら入門者にとってかなり難しく、
途中の難所など何の曲かわからないような出来映えになることもあるが、
「それでもね、なんかね、凄くエエんよ。
演奏を聴きよるとね、伝わって来るものがあるんよ。凄いよ。
涙が出そうになるときがあるんよ」
と友人は言っていた。
実に、イイ話じゃないですか。

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