転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



歌舞伎座タワーから降りて、新橋演舞場へ。
愛之助が座長を務める『コメディ・トゥナイト!』。

愛之助主演で設定も江戸版だが、飽くまでこれはミュージカルだ。
愛之助は元来が芸達者だし、今を盛りの活躍ぶりなので、
主演者としての彼に不安は(笑)無かったのだが、
私は作品的にこれがどういうものか知らず、
本当に楽しいかどうか?と多少あやぶんでいた。
だいたいがアメリカン・ジョークはよくわからないのが多いから、
ブロードウェイ・ミュージカルのコメディを私が楽しめるかどうかは、
甚だ心許なかった。
期待し過ぎては後の落胆が怖いじゃないかと、警戒していたのだ。
「笑う回数」で私にとって最高なのは、やはり吉本新喜劇ですよ(爆)。

歌舞伎で愛之助を知った者としては、彼の歌が巧いことに感心させられたが、
内容はある意味で思った通り(汗)、まず、一幕は極めて普通だった。
楽しい舞台なのは認めるが、腹を抱えて笑うというような内容ではなく、
一歩誤るとただのアチャラカになりそうな脚本だな、
愛之助のためにはそのようなものになって欲しくないよな、
なんとかしてよ宮本亜門、…と観ながら心の中で汗をぬぐう思いだったが、
二幕の、それも後半になって俄然テンポがよくなり、
笑いながらも「なるほど!」と膝を打つ展開で、納得の幕切れになった。
終わり良ければ全て良し、一幕があってこその二幕、
と最終的には思ったが、やや忍耐が要ったね(^_^;。

この日の夜の部は、高橋ジョージ、ダイアモンド☆ユカイ、ルー大柴、
によるアフタートークもあり、なんとそこで出演者自ら、
「一幕はタルい」(爆)という意味のことを発言していたので、ウケた。
やはりそうなのか、演っている本人たちも!!
オリジナルの脚本を変えられないので、これは如何ともし難いのだそうだ。
ただすべては二幕の大団円のために必要な説明なり布石なのであり、
トータルで楽しむためには結局、一幕の内容も必然、
と出演者たちも言い、私の感触は間違っていなかったことを知った(^_^;。
このアフタートークはダイアモンド☆ユカイと高橋ジョージがギターを弾き、
ルー大柴が歌って踊るという、本編とは別の趣のセッションもあり、
これまた大変楽しめた。

ロビーでは藤原紀香さんをお見かけした。
このうえなくお美しかった。
和服姿でお客様に笑顔で丁寧にご挨拶されていて、
すっかり梨園の奥様として振る舞われていた。
ロビーのその一角だけ、光り輝いているかのようだった。
あまりのお綺麗さに感銘を受け、その場でしばらく見とれていた。
初めて藤純子さんを間近で見たとき以来のショーゲキだったね(逃!)。

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明日、娘の大学の卒業式があるので、
私は本日より「前乗り」(^_^;。

といっても私自身は、きょうは何も用事があるわけではなく、
娘の新居がどうなったのか、見てみたいと思ったりしたのだが、
娘本人が不動産屋さんで旧居アパートの鍵の返却などがあり、忙しいらしいので、
結局、私は東京駅から東銀座に直行し、再度、三月大歌舞伎の昼の部を観劇した。
13日に来たときも観ているのだが、観られるものならもう一度と思い、
開演にはやや遅れたが、短期間で再びの歌舞伎座と相成った。
この事態を見越して、事前に、三階ヘリの出入口の真横の席を取ってあった。

仁左衛門の碇知盛、改めて味わい、絶品だと思った。
仁左衛門は声良し姿良しのうえに、この芝居、
全方位に「言うことなし」の役者で、畏れ入った。
主演者としての大きさも、心のひだに染みいるような芝居も、
いかにも歌舞伎らしい華やかな幕切れも、
ひとつひとつに揺るぎない必然性があって、圧巻の完成度だった。
仁左衛門は特に、心理の移り変わりの表現が破格に巧くて、
貴族的な知盛が、闘いに臨んで怨念の権化のようになり、
それが安徳天皇の言葉で浄化されて、最後は祈りとともにこの世を去る、
というふうな首尾一貫した流れの中での変遷が、あまりにも美しく見事だった。
一期一会、この瞬間で消えて行くがゆえの、舞台芸術の凄まじさも実感させられた。

巳之助の踊る『どんつく』は、これまた目覚ましかった。
坂東流の巳之助と藤間流の松緑との共演で、
踊りとしての表現力を堪能させて貰った。
巳之助は上品さと愛らしさと滑稽さの同居する「どんつく」で、
それがおかめの面をかぶると、すっかり娘の体つきになるので
身に備わった踊りの力とは見事なものだなと感じ入った。
松緑の踊りはいつもながらキレッキレ(笑)。
しかし今回はちょっとした曲芸もあるので、なかなか大変そうだった。
隣で涼しい顔で踊っている亀寿がまた、すっきりとした姿でなかなか良かった。

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月の下旬に来たお蔭で、3月の舞台写真も買うことができた。
歌舞伎座の当月公演の写真は、だいたい20日過ぎくらいにならないと
売店に並ばないものなのだ。
前月の写真は歌舞伎座タワー5階の売店のほうで買うことができる。
私は2月のモモタロさんのときは初旬に来たので写真が入手できなかったが、
きょうは公演後に5階のお土産処『楽座』に上がって、購入した。
どうしても欲しかったのだ、雉・猿・犬の三彦の連れ舞い写真が(笑)。
観劇→休憩時に1階お土産処『木挽町』→終演後にタワー5階『楽座』、
という順序で時間を無駄にせず回ることができて、巧く行った。

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