転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



国立劇場のあとは、歌舞伎座夜の部。

松緑が数日前に高熱を出したとご本人のブログで読んだが、
夜の部の『猩々』の酒売りに関する限り、舞台姿は危なげなく、
確かに声は多少割れてはいたけれども、
踊りそのものは華やかで覇気があり、良かったと思った。
昼の部の『茨木』がどうだったかは、観ていないだけに、
心配は残ったが、今回の日程では私はどうしようもなかった。

『二条城の清正』は、幸四郎が孫の金太郎と共演しており、
二十年でも三十年でも、いつまでも長生きしてくれと、
清正を慕う秀頼(もはや子役ではない。台詞明晰でお見事!)と、
万感の思いでそれに応える清正とのやりとりは、実に感動的だったが、
それと同時に、高麗屋が、こんな、おじーさんになってしまった、
……ということを私はまざまざと感じてしまい、かなり、こたえた。
あのドン・キホーテの染五郎様が、今や名実ともに本物の「じぃ」に(爆)。

がんじろはんの『廓文章』は、襲名披露に続いて短期間に二度目。
要するに伊左衛門は、普通の人でないところが魅力なのだな、
と観る側としての私に納得感が出来上がってきたのを感じた。
世間並みのところでマトモと見なされる人間とは別世界の、
ぼんぼん育ちならではの感性や振る舞いが、
伊左衛門の一番良いところであり、究極の二枚目ということなのだ、と。
一方、私にとって、玉三郎が演じたものの中で夕霧は屈指の傑作なのだが、
今回も強く、その思いを新たにした。
あの艶やかさと貫禄、圧倒的な存在感、
まさに、伝説の遊女・夕霧太夫ではないか……!
溜息もの。いや~~、美しかった!これに尽きる。

『直侍』、絵になる直次郎で、顔を隠す素振りひとつまで粋だったし、
崩れた男という魅力があり、染五郎は格好良かった。
芝雀の三千歳も、匂い立つような女ぶりで、味わいがあった。
…が、『廓文章』の続きで観ると、なんだか同じような設定??と
私は少々、変な気分になった。
わけあって訪れの途絶えた男と、
それを案じるあまり患ってしまった廓の女、
ようやっと逢瀬が叶い、積もる話は、恨み言から事情説明へと……、
って、うぅむ、その展開って今さっきどっかで……(^_^;。
ちなみに直次郎のお仲間・河内山の話は11月に海老蔵で観たが、
次は『天衣紛上野初花』として通しで楽しみたいものだな、と思った。

ともあれ、そういうわけで、
舞踊あり、新歌舞伎あり、上方の和事に江戸の世話物と、
色とりどりの初春大歌舞伎夜の部、素晴らしい、眼福の一日だった。

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大変楽しゅうございました♪
愉快、痛快、爽快!
新春に相応しい、実に気持ちの良い舞台だった。

こんな心躍るような菊五郎劇団が観劇初めだなんて、
今年もいいことがありそうだわぁ(^^)(^^)。


初春歌舞伎公演「通し狂言 小春穏沖津白浪―小狐礼三―」(国立劇場)

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