転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



写真は、今回の北海道旅行で宿泊した札幌の某ホテルの、
ロビーに飾られていた赤いピアノだ。
日本でこれ一台だそうで、「触れるな」という注意書きがあった
(楽器としては私はこういうものには心惹かれないが、
ユニークなインテリアとしては確かに大変貴重なモデルだろう)。

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きょうは、某楽器店でグランドピアノを30分ほど弾かせて貰ったが、
これが実に良い感触で、やはり家にもグランドが欲しい、
と改めて思った。

私程度の腕前で楽器に凝ってどうするんだよ、
と笑いたいような気もするのだが、一方で、
腕前がオソマツだからこそ、「弘法筆を選ばず」の正反対で、
楽器がある程度良くないと、自分の力だけでは八方ふさがり、
という面もあるのだ。

どうかするとこれで半年近くやっている、
モーツァルトの「ピアノ・ソナタKV545」が、第3楽章まで行き、
一応の、自分なりの完成が見えてきたかなという段階なのだが、
特にあの、どうしようもない第2楽章が、
今日グランドで弾いたら、微妙にだがどうにかなりそうな気配があった。

奇しくも先日、YouTubeで内田光子の弾く、この楽章を聴いて、
そうなのか、これは、こういう音楽だったのか、
とちょっと開眼するところがあった。
あの有名な、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』みたいな雰囲気で、
お釈迦様の眼前に蓮池があって、水面がきらきら静かに光っている、
という感じが、見えるような気がしたのだ。
水の底の向こう側には、実は、世にも恐ろしい地獄の淵があって、
カンダタがジタバタやっているのだが、
それは全く、極楽の静けさには響いてきていない、という・・・。

やっぱりどうしても、私にとってこのソナタは、「彼岸の音楽」だ。
そういや、来月の今頃は「お彼岸」だな(違)。

ときに、きょうの私の第3楽章の出来映えについては、先生いわく、
「1楽章と2楽章は、いいんだけど、3楽章だけ、ベートーヴェン」

次にやるベートーヴェンのソナタ5番で、
この悪癖が生かされるなら良いのだが、
私にできるのは、出来の悪いベートーヴェンもどきなので、
やっぱり前途多難なのだった。

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