goo blog サービス終了のお知らせ 
転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨日は、『Super Gift!』を観に、梅田芸術劇場まで行った。
17時公演で、ゲストはシメ(紫苑ゆう)さん・タカコ(和央ようか)さん。
『Super Gift!』from Takarazuka stars(梅田芸術劇場)

殴られそうな話なのだが、私は今回、ゲストの名前だけでこのチケットを買った。
シメさんとタカコさんを同時に観られる機会はそうあるものではなかったからだ。
このふたり以外に誰が出るのか、実は私はほとんどわかっていなかった。
ウタコ(剣幸)さんが出演する、というのはなんとなく理解していたが、
あとは漠然と、宝塚のOG公演だという認識しか持たずに行った。
しかも例によって席は3階の最後尾の端で、オペラグラスも持っていなかった。

…という状態で、いきなり観て客席からウタコさん以外で判別できたのは、
ヤン(安寿ミラ)さん(←声と踊りの動きでわかった)、
ズンコ(姿月あさと)さん(←歌い出した途端に確信できた)、
ワタル(湖月わたる)ちゃん(←出てきただけでスタイルでわかった)、
ミミ(こだま愛)さん(←容姿とムードで一発でわかった)、
かなみ(彩乃かなみ)ちゃん(←歌声ですぐ記憶が蘇った)。
ヤンちゃんとの絡み方で、みさる(森奈みはる)ちゃんもだいたい見当がついた。
プログラムで答え合わせ(笑)をするまでわからなかったのは、
カリンチョ(杜けあき)さんとユリ(星奈優里)ちゃん。
…これは一体どう考えたら良いのだろうか(^_^;。
私は90年代には雪組も星組もかなり観ていて、
この二人の舞台だって私なりによく知っていたつもりだったのだ。
卒業してからの年月の中で、この二人は、
良くも悪くも「宝塚っぽさ」が、三階最後尾にまでは届かない程度に、
抜けていたということなのだろうか??

ウタコさんの『ミー・アンド・マイガール』には感動した。
街灯のセットまで昔の通りで、懐かしさに胸が熱くなり、
ウタコさんはなんと魅力ある表現者なのだろうと改めて思った。
更に、ウタコさんが歌ってヤンちゃんが踊った『So in Love』は、
なーちゃん(大浦みずき)を想って泣けた。
なーちゃんもきっと一緒に舞台にいてくれたと思う。
『Too Darn Hot』をずんちゃんが歌ったことにも感激した。
いずれも、なーちゃんのお披露目『キス・ミー・ケイト』の曲で、
なーちゃんのサヨナラショーのときにも選ばれたナンバーだった。

幕間は、ウタコさんとゲスト二人がトークをする『うたこの部屋』。
ラフなシャツ姿のタカコさんとは対照的に、
ラッフルのたくさんついた貴公子然としたブラウス姿のシメさん。
「ふたりはどのくらい(期が)離れてるの?」
とウタコさんに訊かれ、シメさんはタカコさんと顔を見合わせ、
「100年(^^)!」
と即答していた(笑)。
期も組も違って接点などほとんどないのではないかと思われた二人だったが、
タカコさんは入団前にシメさんのお茶会に行ったことがあるとのことだった。
また、シメさんは『蒼い口づけ』の主演者でもある元祖ドラキュラ、
今も現役時と少しも変わらぬ美しさなので、
「毎晩、冷凍庫に入って寝ていらっしゃる……」
とタカコさんに言われていた。

二幕目に設定されたゲストのコーナーでは、
タカコさんが『One Heart』と『ドラキュラ』、
シメさんが『我が心のふるさと』。
タカコさんの洗練されたパフォーマンスも良かったが、
シメさんの宝塚愛にあふれたダンスと歌もまた圧倒的だった。
こんなかたちで、現ドラキュラと元祖ドラキュラの
舞台を続けて観ることができようとは(笑)。

舞台の上は競演でありつつ同窓会状態でもあり、
客席もまた、各自の観劇歴や思い出を重ねて、
懐かしい日々を辿る温かい思いに満たされた公演だった。
私自身、自分の中に蓄積された宝塚の記憶を再確認した思いだった。
ここの皆が現役だった頃の、あの舞台もこの公演も、
私は旧大劇場で、旧東宝で、たくさん観たのだ。
あの懐かしい顔ぶれが、あれからの年月を軽やかに飛び越えて、
こうして変わらぬ歌やダンスを披露してくれるなんて、
そしてそこに居合わせることができるなんて、
これは年齢を重ねたファンでなければ知ることのできない幸福だと思った。

舞台は、魔法だ。
私はあの3時間だけ、昔の日比谷の3階席に座っている自分に戻り、
自分にそのような「戻れる場所」のあったことを改めて知り、幸せに感じた。
忙しいさなかだったが、行って本当に良かった。

Trackback ( 0 )




私にとって連休初日の20日(日)、宝塚~大阪に行って来た。
今回の宝塚は大劇場観劇ではなく、
宝塚南口在住の友人某氏宅にお邪魔するのが、主な目的だった。
某氏は宝塚観劇の大先輩なのだが、
近年、ずっとビーズアクセサリー製作をされていて、
2時間もあれば何個か完成できるから一度つくりにいらっしゃい、
と幾度かお誘いを受けており、それがこのほどようやく実現したのだ。

私は、スワロフスキーのようにきらびやかなものには、
どういうわけか強く心惹かれたことは無かったのだが、
コットンパールのマットな質感は以前から好きだったので、
グラデーションのコットンパールのネックレスを作りたい、
ということを事前に伝えておいた。
そうしたら、某氏はいろいろと材料を揃えて待っていて下さった。
私の希望したデザインは、パールをワイヤーに通して行くだけで、
編む作業は要らなかったし、留め部分や端の加工は某氏がして下さったので、
失敗なく(笑)、三種類のネックレスがあっという間に完成した。
もともとが宝塚ファン同志なので話題は尽きなかったし、
某氏のお宅には可愛いワンコもいて、私にとっては天国であった(^^)。

午後2時に某氏宅を辞して、今度は池田の逸翁美術館に向かった。
ソルーナ(磯野千尋)さんが、『帰ってきたタカラジェンヌ』企画の
Vol.37『―未来へ―』というコンサートをなさることになっていたからだ。

逸翁コンサート 磯野千尋~帰ってきたタカラジェンヌ~Vol.37(阪急文化財団)

退団後のソルーナさんにこんなにたっぷりとお目にかかれるなんて、
私にとっては初めてのことだった。
会場は美術館一階のマグノリアホールで、150席くらいだっただろうか。
私にわかっただけでも、ソルーナさんの同期生のお仲間や、
萬ケイさん、立ともみさん、鈴奈沙也さん、ほか現役生の姿も少し見えた。
サヨナラ公演時やフェアウェルパーティで見かけたソルーナファンの面々も
各地から集結しており、同窓会状態だった(笑)。

歌劇団の作曲家で理事の吉田優子先生のピアノで、まずは『Dada BERLIN』。
往年の花組ファンの皆様ならばおわかりですね、
『秋~冬への前奏曲』の、あのヒトラーそっくりさんの歌ですよ(>_<)!
そして、ご挨拶と短いトークのあと、続けて
『赤いけしの花』『アマール・アマール』『新撰組隊士の歌』。
どれも、ソルーナさんが在団中に出演された舞台から選ばれた、
主題歌やソロ場面の曲ばかりで、懐かしいメロディの連続だった。
『エリザベート』からはグリュンネの『皇帝の義務』、ツェップスの『退屈しのぎ』。

専科生となってからのソルーナさんは各組に出演されていたので、
私にとってはたかこ(和央ようか)さん主演で記憶している舞台の歌も数々あった。
『ダンシングスピリット』から『第二章』、
そして『カステル・ミラージュ』の名場面『コーサ・ノストラ』!
(↑ツアー公演を観た人はご存じ、ボス・アントニオの卓球台のソロ!!!)。
雪組『シルバーローズ・クロニクル』からは『ブラッド・ブラザーズ』、
月組『エドワード8世』から『25周年を祝う歌』。
……クロニクルをクリニカルと発音されていたのは、ご愛敬だ(逃!)。

ソルーナさんにとって、『華麗なるギャツビー』のジョージ・ウィルソンは
やはり強く心に残った役であったようで、
『愛の楽園』と『神は見ている』は、ほとんど舞台の再現に近かった。
相手役として朝峰ひかりさんも舞台に登場され、
短いながらこの二曲は芝居としても十分に見せて貰った。
きんちゃん(朝峰)がまた歌も凄いが、マートル役としてやたら格好良かった。
特に退場する一瞬の仕草に私はシビれた(笑)!

それから、『ジタン・デ・ジタン』からジプシーキングの歌。
これまた、かつての花組を観た者としては胸に迫る思い出の一曲だった。
89年の花組本公演ではなーちゃん(大浦みずき)がソロを歌った場面で、
いつもダンサーだったなーちゃんが歌手としての大役を貰ったことで、
生前、ご本人も後々まで思い出深かったと語っていた一曲だったのだが、
ソルーナさんは、なーちゃん退団直後の92年花組地方公演で、
この歌をそのまま受け持って歌われたのだ
(あのツアーではショー演目が『ジャンクション24』だったのだが、
本公演の『ジャンクション24』にあった、なーちゃんサヨナラ用の場だけ、
『ジタン・デ・ジタン』から選ばれたこの場面に差し替えられていたのだ)。

ここでソルーナさんは一旦退場、吉田先生のピアノソロで『パリに帰りて』。
花組『メモワール・ド・パリ』でも使われた曲だが、
ここでは花組『ベルサイユのばら』のフィナーレ場面の編曲だったので
またまた、音を聴いているだけで名場面が目の前に蘇った。
黒燕尾で髪メッシュのソルーナさんが大階段センターを降りてくるところ、
そして主演のなーちゃんが舞台中央からせり上がって登場する瞬間!
装飾のない純然たる黒燕尾、胸元にただ一輪の紅薔薇~~!!!
………。

ピアノソロが終わって、拍手、
続いて明るい前奏に乗って、ホール後方の扉が開き、
登場したソルーナさんは男役風のジャケット姿。
曲は花組ベルばらの『シャンソンメドレー』。
プログラムには細かい曲名は出ていなかったが、私は勿論、知っている、
『パレ・モワ・ダムール』『パダン・パダン』『パリ野郎』。
更に『マスカレード』も歌われたので、このあたりは私の脳裏には、
ルコ(朝香じゅん)さんの姿が幾度も蘇った。

終盤はしっとりとしたソルさんの大人の魅力が全開となって、
ジャズナンバー『サマータイム』、
『As Time Goes by(カサブランカ)』『So in Love(キス・ミー・ケイト)』。
そして退団後に改めて男役を務めた『CHICAGO』から
エイモスのナンバー『Cellophane』。
ラストナンバーは再びシャンソンで『黒い鷲』。
当然のことながら拍手は鳴り止まず、アンコールは『Far Away』。


男役・磯野千尋にこんなに完全なかたちでまた会えた、
というのがファンにとっては何よりも嬉しかったことだった。
OG公演は各種あるが、なんと言ってもソルーナさんは、
つい二年前まで宝塚大劇場の舞台に立ってらした方なので、
退団後の今も、少しも変わることのないタカラジェンヌなのだった。
そして、一片の音楽からでも幸福な思い出を限りなく蘇らせてくれる宝塚歌劇は、
やはり良いものだなと、長年のファンとしてしみじみ思った。
ふとしたフレーズを聴いただけでも、美しかった場面や、懐かしい生徒さんの姿、
観ていた頃の自分、等々を一瞬で思い出すことが出来た。

こういうひとときを持って下さったソルーナさんに心からの御礼を申し上げたいと思う。
そしてどうかまた、このような機会を設けて頂けたらと願っている。
最高の午後でした。本当に、ありがとうございました(^^)!!

Trackback ( 0 )




昨日の15時公演(阪急交通社貸切公演)を観てきた。
「みちこ(北翔海莉)の晴れ姿を観る!」
と言う転夫ころもんと、B席で一緒に(笑)。

ブロードウェイ・ミュージカル『ガイズ&ドールズ』-GUYS & DOLLS-宝塚歌劇団公式

ほっくん(と私は昔から北翔海莉をこの名前で呼んでいるのだが)は、
私の想像をはるかに超える巧さだった。
歌の安定感は十分に予想できたことだったが、
それに加えて、緩急自在の芝居、正確で明晰な発音による台詞、
立ち姿のスキの無さと、磨かれた男役としての魅力、
小道具の扱いの巧みさ、ダンスのしなやかさ、等々、
どの角度から見ても素晴らしく完成度の高い主演男役ぶりだった。
何より、登場の最初から圧倒的な主役オーラを放っていたのが最高だった。
さすが、年季の入った男役(逃!)は余裕が違うと思った。
歌も台詞もダンスも、要所要所が次々とキまって、
観ていてたとえようもない爽快感があった。
「やっぱ北翔は巧いな」
と、ころもんも満足の体であった(笑)。

私がほっくんを最初に「イイ!」と思ったのは、
奇しくも13年前の月組公演『ガイズ&ドールズ』のときだった
(写真左が2002年月組のパンフ、左が昨日買った今回の星組のもの)。
確か当時は入団4年目だったが、ラスティ・チャーリーを演じていた彼女に
私は非常に強く惹かれて、以来、バウ主演を中心に、
彼女の舞台をかなり心掛けて観るようにしてきた
のだ。
そのほっくんの、ついに叶った大劇場トップお披露目公演が、
思い出の『ガイズ&ドールズ』であったとは、
観客としての私にとって、本当に素晴らしい巡り合わせだった。
バウでの、きめ細やかな主役姿は以前から幾度も見せて貰って来たが、
私は今回、大劇場で2500人以上を相手に、
トップ男役として彼女が見せる「大技」を、初めて存分に堪能させて貰った。

宝塚は、長く観ているとまた格別の感慨があるものだな(笑)。

Trackback ( 0 )




突然だが、転夫ころもんは宝塚が大好きである。
綺麗な女性たちが観たいから、ではない。
彼は、誰の舞台も愛でない(但しOGの紫苑ゆう(しおん・ゆう)は除く)。
というか彼はもともと、私のように舞台芸術を愛する人間ではない。

では、宝塚の何が良いのか。
彼が熱く追い続けているのは、実は、宝塚歌劇団の、『人事異動』である。

入団何年目の誰がどこに行って、何に抜擢されるか、どういうふうにホされるか、
復活しそうな人がいるか、将来はどうなりそうか、劇団は誰を売りたがっているか、
……等々を占うことに、ころもんは日々、励んでいる。
最初にこの面白さを教えたのは私だったが、彼は瞬く間に様々なことを習得し、
今や『歌劇』を毎月自分で買い、『宝塚おとめ』を折に触れて熟読するまでになった。

その、ころもんが本日仰天したのが、北翔海莉の星組トップ就任発表であった。
「びっくりしたー!今年いちばんの驚きかもしれん!!」
と彼は夕食のときにとても興奮して言った。
正月にこんな台詞を言ったらギャグになっていたところだが、
年の瀬の今言っているのだから、多分本当に驚いたのだろう(爆)。
歌劇団人事研究家・ころもんをもってさえも、このように言わせるほど、
ほっくん星トップ昇格は現状ではかなり意外な決定であったようだ。

ちなみに私は、最近は少し宝塚から離れていたので、
相手役の妃海風という芸名の読み方が最初はわからず、ころもんに教えて貰った。
彼は、「ふうちゃん」のページを即座に『おとめ』で開いて見せてくれ、
今年の初めに『眠らない男―ナポレオン・愛と栄光の涯に―』の新人公演で
彼女が主演娘役を演ったことを教えてくれた。
そして、「ふうちゃん」の写真は、今年の『おとめ』より去年のもののほうが
もっと美人に撮れていることまで、彼は指摘してみせた。

私が、宝塚のことをころもんから学ぶようになろうとはね。

こういうのを、まさに『出藍の誉れ』という。


宝塚、星組新トップは北翔海莉さん&妃海風さん(朝日新聞)
『宝塚歌劇団星組の次期トップスターに北翔海莉(ほくしょうかいり)さん、コンビを組むトップ娘役に妃海風(ひなみふう)さんが決まった。歌劇団が9日、発表した。現トップスター柚希礼音(ゆずきれおん)さん、トップ娘役の夢咲(ゆめさき)ねねさんコンビが来年5月に退団するのに伴うもの。6月12日に始まる全国ツアー公演「大海賊」「Amour それは…」がお披露目となる。』『北翔さんは千葉県出身で1998年初舞台。芝居、ダンス、歌と三拍子そろった実力派で一昨年から専科に属し、「エリザベート」の皇帝フランツ役などで活躍する。入団18年目にして遅咲きのトップ就任となる。妃海さんは大阪府出身で2009年初舞台。豊かな歌唱力が持ち味だ。』


追記:ころもんは、今になって『歌劇』10月号を復習し、
「そうか……。宝塚スターカレンダーをチェックしておくべきだった…」
と悔やんでいた。
毎年、秋の初めに翌年のカレンダーの内容が公表されるのだが、
2015年用に関しては、宝塚スターカレンダーとパーソナルカレンダーの掲載・発売予定欄に、
北翔海莉の名があり、初登場を意味する*が付けられていたのだった。
どのタカラジェンヌであれ、各種カレンダーのラインナップに参入して来ることには、
大きな意味がある。
この時点で、「近々トップ人事が動く」と、ころもんは悟るべきであった。
それが星組であることまでは、当てられなかったとしても。

Trackback ( 0 )




花組みりお(明日海りお)くんの大劇場トップお披露目は
『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』と発表された

公演期間:8月22日(金)~9月22日(月)、一般前売:7月19日(土)

最近はもう、何かというとエリザだね……、
と、一瞬がっかりしかけたワタクシだったが、
キャストを観て、俄然、これは行かねば!という気持ちになった。

トート:明日海りお、エリザベート:蘭乃はな、は当然として、
フランツ・ヨーゼフ:北翔海莉、ルキーニ:望海風斗、
ルドルフはダブルキャストで芹香斗亜と柚香 光。
ほっくんの皇帝陛下が観られる上に、
去年私が心惹かれたレイくんがルドルフだなんてっ!

ときに、今年の前半はバウホールがなぜかロシア演劇づいているのだが、
これって、何かシリーズになっている企画モノでしたっけ?
5月22日(木)~6月1日(日)の星組がチェーホフの『かもめ』(主演:礼 真琴)、
6月21日(土)~7月1日(火)の花組がツルゲーネフの『初恋』(主演:柚香 光)、
というのは、私としては通ってしまいたいくらい魅力的なラインナップだ。
どういう脚本になっているかには、百抹の不安があるけどもよ(逃)。

Trackback ( 0 )




宙組『翼ある人びと―ブラームスとクララ・シューマン』の
本日12時公演を観てきた(@シアター・ドラマシティ)。
本当は公演期間の終わり頃になってから観たかったのだが、
今週後半には仕事の関係で岡山に行かなくてはならず、
昼に行って来られるというと今日しかなかったので決行した(汗)。

今回は宙組だからとか誰が出るからとかいう理由ではなく、
題材がブラームスとシューマン夫妻だから、行った。
宝塚でこうした音楽家たちがどう描かれるか興味があったのだ。
行ってみてわかったが、リストやワーグナー、ヨーゼフ・ヨアヒム、
それにベートーヴェン?まで登場したのは嬉しかった(笑)。
バックに流れるのは『暁の歌』『メフィスト・ワルツ』『ラインの黄金』、
ブラームス作品118-2『間奏曲』(聴きながら「速い!テンポ速いよ!!」
と反射的に思ってしまったのは、私がビョーキだからであった・汗)、
それに作品118の『ロマンス』、『ハンガリー舞曲』『子守唄』、等々。
そうそう、クララがバッハの平均律第一巻第3番のプレリュードを
チラリと弾いたのも私は聞き逃さなかったぞ(笑)。
そして繰り返し歌われる主題歌はブラームスの交響曲第3番の第3楽章。

若きブラームスを演じるまぁくん(朝夏まなと)は、
生真面目でまっすぐだが大変に不器用な青年、
という役どころがとてもよく似合っていた。
私はまだよく知らないのだが、男役まぁくんというのは
普段からこういう雰囲気を持っているのだろうか?
確か『銀英伝』ではキルヒアイスを演っていた筈……。
人付き合いが得意でなく、何かと気難しい面を持ちながらも、
シューマン家の子供達と自然に接する場面などでは、
ナイーブなブラームスの本質的な素直さがよく伝わって来た。
子供の人数は大幅に省略されて、長男エミールと末子フェリックスと、
あとは女の子ひとりで、全部で3人という設定になっていたが(笑)。

クララの伶美うららちゃんは、すらりとしたドレス姿が素敵で、
声が良く、台詞の滑舌が見事なのには感心させられたし、
ピアニストとして大活躍したクララらしい華やかさがあり、
それでいてまぁくんとのバランスが良く、
「準主役」としての位取りが本当に的確だった。
シューマンのきたろう(緒月遠麻)くんは、二枚目なのだが
他の皆より年長であるシューマンの雰囲気が適切に出ていて、
しかも優しさに溢れており、これまたとても魅力的だった。
生活力がないこと以外は、まさに理想の夫という感じだった。
勿論、死因についてはあまり追求されていなかった(^_^;
(「ロベルト、どのタイミングで身投げするのかな~…」
と観ながらずっと私が構えて待っていたことは、ここだけの話(!))。

脚本・演出は上田久美子先生で、私は今回、
特定の贔屓の生徒さんのために観たのではないので、
青年ブラームスの旅立ちという幕切れに深く感動したわけでは、
実のところ、なかったのだけれども(^_^;、
繊細なテーマを扱っていながら、同時に、
不思議なリアリティのある「笑い」の要素が
あちこちに仕掛けられていたことが、とても面白いと感じた
(シューマンがクララを深く愛しているとのろける一方で、
『彼女は、…ケチなんだ。キミも結婚するときは気をつけなさい』
と真面目にブラームスに打ち明けるところとか、
終盤に家政婦のカタリーナ(花里まな)が
『(老ブラームスが亡くなるとき)気持ち悪かったけど(←!)
手を握ってあげた。そうしたらとても安心して逝きなさった』
などと言うところ、等々、良い間合いのユーモアがあったと思う)。

しかし私にとって今回何より大きな発見だったのは、
白シャツの襟元に赤いスカーフ、それにロングコート、という服装は、
それだけで観客の皆にすぐ「ベートーヴェン」だと伝わる、
という事実(!)だった。
音楽の教科書(のヨーゼフ・カール・シュティーラーによる肖像)は
どんだけ威力があるのかという(爆)。
演じていたキラ(凜城きら)くんは十分に格好いいのに(^_^;、
あのいでたちは、出てきただけで何もしなくてもベトベンだった。
ちなみにフランツ・リスト(愛月ひかる)は
メフィスト・ワルツ第1番を弾いて華麗に登場したのですぐわかった。
女性たちのアイドルであったリストの雰囲気が、ふんだんにあった。
一方リヒャルト・ワグナー(春瀬央季)は肖像画等より美形過ぎたので、
紹介があってからも、わたしゃヨソのワグナーかと思ったでした。
あれほど格好良ければ、女にだらしがなくても借金男でも、許す(爆)。

Trackback ( 0 )




・さきほど気づいたのだが(殴)、これ↓は結構面白そうではないか。
『翼ある人びと―ブラームスとクララ・シューマン―』(宝塚歌劇団公式HP)
宙組の梅田ドラマシティ公演で、ブラームスが朝夏まなと、
クララが伶美うらら、シューマンが緒月遠麻。
『ある秋の日、デュッセルドルフに住むシューマン夫妻のもとに、一人の貧しい青年が訪ねて来る。酒場のピアノ弾きをしていたというその青年が弾いてみせた自作のピアノ曲…青年ブラームスの才能は、シューマンとクララを魅了し、彼自身の運命をも変えてゆく。シューマンは青年を自宅に住まわせ教えを授けるが、ブラームスは美しいクララに惹かれてゆき…』
公演は、梅田が2月8日(土)~2月16日(日)(一般前売:12月15日(日))
日本青年館が2月26日(水)~3月3日(月)(一般前売:1月19日(日))。
「クララさん!」「ブラームスさん…」などとサン付け会話をされると
腹筋が震えそうだが……。まさかね……(^_^;。

・娘はお友達と、きょう私の母校の大学の学園祭に行ったそうだ。
嗚呼、我がAlma Materよ(笑)。
メールによると、学内にある大学創設者の墓にも参ってきたらしい。
あの墓へ行くと一生独身で過ごすことになる、とゆー伝説があってだな。
しかし、私はその伝説を知らなかった頃に二度も墓参りをして、
今こうやって結婚しているのだから、結局関係なかったか。
ちなみにAlma Materというのはラテン語で「母校」の意味なのだが、
私の卒業した大学には校歌がなく(校章も校旗も無かった)、
かわりに『Alma Mater』という英語の歌が、
式典や行事の際には、しばしば、愛唱歌として歌われていたものだった。
卒業生の皆様、今でも歌詞を覚えていらっしゃいますか?
私は、……♪O Alma Mater Mother dear……ぅにゃ…(逃)

・TOEIC新公式問題集Vol.4をやってみたが、駄目駄目だった。
きょうもまた、approvalをarrivalだと思い込んで読んでいて、
文意不明瞭のため解けず、そのぶんの時間を無駄にした。
どうしてこう、得手勝手な思い間違いをするかね(--#)。
もうひとつ、これはどうしたら良いのか自分でもよくわからないのだが、
例えばthe new data centers will be more secureと書かれている文で、
解答解説を読んでみると、ここで言う『セキュリティの向上』とは、
『(そのセンターで扱われる)情報の安全性が高まる』ことを意味するのだが、
私は一読しただけでは、『(そこで働く)従業員の安全がより確保される』
というイメージが頭の中に真っ先に浮かんでしまって、これに捕らわれ、
結果として間違った選択肢を答えにしてしまった。
私は多分、secureという単語が効力を発揮する方向性みたいなものを
どこかで誤解しているのだろう。
しかしこういう、単語の性質の捕らえ損ないを発見・修正するのは
頭の固くなった私にとって結構、困難なことだ。
リスニングは、受動態の文が読まれたとき述語動詞が進行形か完了形かを
うっかりと聞き逃すことが非常に多いと、改めて思った。
もっと感覚を研ぎ澄まして精度を上げなくてはいけないのだが、
ここ二年ほど英語を放置していたので、全般的にかなり厳しい。
言語能力も運動能力と一緒で、心得のあることは即座にゼロにはならないが、
磨かずにいると瞬く間に鈍化して、かなり情けないことになってしまう。
ストレッチとランニングから出直している気分(T_T)。

Trackback ( 0 )




6月の渋谷での『BASARA』は観なかったので(娘は観に行った・笑)、
12日の大劇場は、私にとっては久しぶりの花組だった。
一般的に、平日3時は最も入りの悪い公演時間帯だが、
B席から見ていて、二階は案外お客さんがいたし、
特に当日限定のB席最後列が全部埋まっていたことがわかったので、
この際、大劇場も歌舞伎座の幕見みたいな感覚で、
もっと当日席を出せば良いのではないか、と思ったりした。
舞台が遠くて条件的には良いとは言えない場所でも、
誰に対しても等しく当日にのみ売り出され、なおかつ他より安い、
という席には、それなりに支持があるものなのだ。

と、それはともかくとして、今回の公演、
まず前半のお芝居は、植田景子 脚本演出による
『愛と革命の詩―アンドレア・シェニエ―』だった。
「『植田景子』は植田紳爾が名作を書いたときだけ使う筆名」、
という痛烈な説が某宝塚本に出ていたことがあったが(笑)、
私としても、植田景子先生は宝塚を「分かって」いる方だ、
という信頼が以前からある。
…という言い方だとエラソーかもしれないが、少なくとも景子先生は、
私が「宝塚だ」と思っている部分を確かに共有して下さっていて、
そこを外さない作劇をして下さる、という好ましさが私にはあるのだ。
その意味で、今回の『アンドレア・シェニエ』も
最初から最後まで、心地よく安心して観ることができた。

詩人アンドレア役らんとむ(蘭寿とむ)くんは、さすがの安定感だった。
今時の宝塚だと、決して長身の男役とは言えないと思うのに、
丈のある上着の着こなしが巧いし、主役然とした佇まいがあって、
大仰な台詞も抵抗なく聞かせてくれるし、文句が無かった。
歌は音程の高い部分が上がりきらない箇所があったと幾度か感じたが、
芝居歌として聞かせどころを確実に聞かせる歌い方だったので、
これまたさほど気にならなかった。
らん(蘭乃はな)ちゃんとの声の相性が良いのも相変わらずで、
このふたりのデュエットは本当に耳に快いものだった。

その、らんちゃんはトップ娘役としての経験も既に十分で、
貴族の令嬢であった時代のマッダレーナの高慢さも似合っていたし、
革命ですべてを失ったことにより、
アンドレアの詩に共鳴するほど心の目が開かれ、
生きることの本質を理解するようになる、
…という変化・成長も、少しも唐突でなかった。
そこに絡んで来るのが、みりお(明日海りお)くんで、
「組替えで来た人」という先入観がこちらにあるせいか、
芝居のあちこちで、やや浮いて見えるような気がしたのだが、
それがまた、革命政府の闘士カルロ・ジェラール、という不安定な立場には
絶妙に似合っていたのだから、面白いものだと思った。

今回の舞台で私が強く心惹かれたのは、
Angel Blackを演っていた柚香光(ゆずか・れい)で、
まだ研5かそこらだと思うのだが、彼女の姿はなかなか印象的だった。
最初は名前も知らずに、観ていて「誰!?」と思った。
休憩中にプログラムを買って、初めて名前を覚えたのだ。
そのAngel Blackと、冴月瑠那の扮するAngel White
(こちらは可憐だった。Angelsが二人並ぶとBL的なヤバさ)とは、
それぞれ、「悪なるもの」「善なるもの」を体現する存在なのだが、
私の印象ではこの二人は決して敵対する関係ではなく、
むしろ「二人で一人」のようなパートナー同士に見えた。
レイくんのAngel Blackは妖しい雰囲気がとても魅力的で、
動きも大変に美しく、首の角度一つにも色気があったし、
それらが、B席からオペラグラスも使っていない私のところに、
ちゃんと届いていたことには、心から感服した。
私にとってノーマークの若手だったのに、
オーラを二階の後部席まで飛ばしてきた力量は素晴らしかった。

このお芝居の新人公演の配役を見ると、彼女は、
二番手である上記みりおくんのジェラール役を貰っているので、
劇団も今、レイくんを育てる意向があるのだろうかな、
という印象を持った。
後半のショーでも、第三場『蜃気楼』でみりおくんの相手役に抜擢されていて、
これまた注目されるに十分な役で、観ていても面白かった。
レイくんに出会えて、今後の花組を観る新たな楽しみができたのは、
私にとってこのたびの大きな、そして久しぶりの収穫だった。
しかしAngel Black同様、ショーで務めたのも『幻』の役だったし、
今回は妖怪変化モノ(笑)だけしか観られなかったので、
生身の人間役だとどうなるのか、また姿は良くても歌うとどうなのか、
という点については、私にはほとんど判断材料がなかった。
ご縁があれば、次の機会には、そのあたりを是非(^_^;。

さて、芝居が当たりだとショーはハズレ、またはその逆、
ということが私の観劇歴にはこれまで結構あったように思うのだが
(例えば旧東宝時代にはD席1100円を買いつつ、よく、
「100円の芝居と1000円のショー」などと言ったものだ・爆)、
今回は後半のショー『Mr.Swing』もまた、意外にもなかなか良かった。
作・演出は稲葉太地、…とあったが、何しろ、
本公演デビューが2010年雪組宝塚大劇場公演『Carnevale 睡夢』、
というお若い先生なので、私は全然予備知識などなく、
ゆえに全く期待していなかった(殴)………のだが、
これが実に手応えがあって、楽しかったのですね(^_^;。

出だしからエネルギー全開なのも気に入ったが、
私にとっては、第4場In Full Swingでのらんとむくんの明るさが
ほかの何より鮮やかで、強く印象に残った。
らんとむくんは、コメディが巧かったのだな?と今更だが思った。
そういえば、2008年の宙『雨に歌えば』のコズモ役も良かったという記憶がある。
コメディの巧い人は本当に芝居が巧い、と私は思っているので
(元・雪トップのユキ(高嶺ふぶき)ちゃんなど、その典型!)、
ショーの一場面とはいえ、こういうものを観られて幸せだった。

みつる(華形ひかる)くんも、ふうと(望海風斗)くんも、
お芝居でも思ったがまことに綺麗な男役さんだなと感じ入り、
現在の花組の布陣は、みりおくん加入もあって実に豪華だなと思った。
そんな中、みーちゃん(春風弥里)が、もう卒業して行ってしまうのかと、
第8場エピローグではそれを特にはっきりと感じて、とても切なく思った。
私の、みーちゃんとの出会いは2010年3月バウ公演『Je Chante』だった。
若いにも関わらず男役度の高い、味のある人だと思っていたのに、
こういう、イイ余韻を残してくれるような男役に限って、
どういうわけだかあるときあまりにも潔く区切りをつけて、
去って行ってしまうのだよな……。

……というわけで、芝居もショーも予想以上に楽しめた観劇だったのだが、
唯一、私にとって宝塚らしくなかったのは、
芝居・ショーともに、主題歌がほとんど記憶に残らなかったことだった。
これはまたどうしたことだ。
宝塚歌劇は、帰りに花の道を歩きながら我知らず主題歌が鼻歌になり、
うろ覚えの歌詞を繋いでご機嫌で鼻ずさみながら駅に向かう、
というのが当然だと思っていたのだが、
今回に限り、私はどちらの主題歌も出てこなかった。
そんなにアッサリした主題歌だったっけ。
それとも私の耳が変になったのだろうか??
今、プログラムを開いて歌詞を眺めてみても、
『♪聞こえる 翼の羽音 魂の声が 自由求め 平等 愛 魂の翼 広げ』
……って、意味わからんし(殴)、
どんな旋律だったか、全く思い出せないんですが???

Trackback ( 0 )




二泊三日の横浜からの帰り道、やって参りました宝塚。
全然予習していない花組公演(殴)。


追記:観終わった。なんかかなり良い公演だった(爆)。
花組公演『愛と革命の詩(うた)-アンドレア・シェニエ-』(宝塚歌劇団)

Trackback ( 0 )




昨日は凰稀かなめの宙組が広島に来ていたので、昼公演を観に行った。
演目は、『うたかたの恋』『Amour de 99!!―99年の愛―』
14:00@上野学園ホール(旧・郵便貯金ホール)。

『うたかたの恋』という物語そのものは、突き放してみれば、
命がけの恋愛どころか傍迷惑な心中事件だろうと私は思っているので、
話の中身に関して陶酔したことはこれまで無いのだが、
一方でこの作品には縁があり、観なかったのは83年雪組の初演だけで、
再演の93年星組以降、歴代ルドルフはすべて観てきた(汗)。
話の内容や登場人物の行動に共感はしないものの、
宝塚の舞台としては秀逸な作劇になっていると、観るたびに思うし、
昭和の宝塚歌劇の美点が集約された演目だと感じてもいる。
皇太子ルドルフは、宝塚的「白い王子様」の王道、教科書のような役だ。
軍服及び白フリルブラウスの着こなし、マントの扱い、
劇中劇ハムレットの扮装、ラブシーン、デュエットとしての歌と踊り、
……これらは、二枚目男役ならば避けて通れない必修科目みたいなものだ。

その点で言うと、昨日のかなめ(凰稀かなめ)ちゃんのルドルフは、
私が思っているものとは少し違った。
歌も踊りも悪くないと思うし、スタイルも良くて大変に美しかったが、
男役として観ると、凰稀かなめならばこそ!というほどの極め方は、
私には感じられなかった。
宙大劇場のエドモン・ダンテスのときには、芝居に熱があって良かったし、
雪ベルばらにオスカルで客演したときも、役との一体感が素晴らしかったのに、
今回のルドルフには、ソツなくやっていても何か距離があるように見えた。
もしかして彼女自身、ルドルフにはあまり共感を覚えていないということか。
それとも、まだツアーの初めだからぎこちなさがあるというだけなのだろうか。

一方、出色だったのはともちん(悠未ひろ)のフランツ・ヨゼフで、
歴代でも屈指の、美しさと貫禄を兼ね備えた見事な皇帝陛下だと思った。
これまで皇帝役は、専科や組長クラスの上級生が務めることが多かったが、
長身のうえに実年齢が若く、なおかつ男役度の高いともちんが演じると、
美青年ルドルフを息子に持つ父親として感心するほど似合っていたし、
愛人シュラット夫人(桜音れい)との関係も、とても艶っぽくて良かった。
ラストシーンのカゲソロも、いいなあと思ってあとでプログラムを見たら、
なんとこれまた、歌っていたのはともちんだった。
いやはや、全く立派な男役になったのだなと感慨深いものがあった。

すっしー(寿つかさ)演じるロシェックも実に良かった。
昨日の舞台で一番観客に愛された役は、このロシェックだったかもしれない。
立ち姿に一分の隙もなく、一瞬の姿勢の変化にさえ彼の気持ちが表れていて、
ロシェックの出番が私は楽しみだった。
もともとダンサーなので、今回のショーでもすっしーは大活躍だったが、
彼女が上級生としてお芝居の方面にも抽出をたくさん持っていることを
昨日はロシェックを通じて随所で感じることができた。

後半のショー『Amour de 99!!―99年の愛―』は予想外に(殴)楽しかった。
宝塚歌劇99年の歩みを振り返り、代表的な5人の先生方の作品から、
主題歌や名場面などを選んでオムニバス形式で盛り込んだショーなのだが、
大劇場のときは、その先生方を紹介し業績を振り返る台詞があり、
ステージのスクリーンに往年の舞台写真が映されたりしていて、
私にはそれがかえってショーの流れを悪くしているように感じられ、
あまり良い印象でなかった。
ところが今回は旅公演という都合上、そのような演出はなくなっており、
そのことがショー全体のためにはかえって良かった(汗)。
私の思った通り、過去の名場面をたたみかけるように展開することで、
途中での失速がなくなり、ショーとして断然、魅力が増した。

目玉となるのがかなめちゃんの『パイナップルの女王』であることは
100人中99人くらいの方が同意して下さるのではないだろうか(笑)。
あれはもう、文字通りまばゆいばかりの美しさで、
大劇場でも知っていたが、また観られて眼福だった。
普段の男役姿とはまた違い、本人のスターとしての輝きだけでなく、
舞台人としての立ち姿、ボディラインそのものに、圧倒的な魅力があった。
かなめちゃんは宝塚を志す前に、モデルになりたいと考えていたそうで、
身体全体を使った表現者としての彼女には、やはり傑出したものがあると思った。
この場面はほかの生徒さんたちの華やかな客席降りもあるので、
一瞬、ステージ中央のかなめちゃんから視線をそらすことになってしまい、
一人分の目では全部観きれず、あともう二組ぐらい目が欲しいと思った(^_^;。

それと、全国ツアーの変更点として、第7場の横沢先生の場面に登場した
『ラ・ラ・フローラ』(84年)は、なーちゃんファンとして懐かしいものがあり
(大劇場公演時の第7場は『ボン・バランス』(75年))、
更に、第14場の小原弘稔先生の最初のシーンに
『あなたはフラッシュのよう』(91年)の歌が使用されたのもとても嬉しかった
(同じく大劇場では『愛のクレッシェンド』(81年)だった)。
ここから次の『パッシィの館』(86年)につながる流れは、私にとっては、
さながら、なーちゃん(大浦みずき)へのオマージュみたいなものだった。
ともちん、きたろう(緒月遠麻)くん、まなと(朝夏まなと)くんが、
なーちゃんの歌を、なーちゃんの踊りを、こうして再現してくれて、
往年のファンとしての私は、こんな幸せなことは無いと思った。
いろいろあったが(爆)、宝塚をずっと観続けてきたお蔭で、
今になってこんな良いこともあったんだなあ、と……。

ところで、昨日の公演はPAの問題だと思うが音がやたらと大きかった。
席にもよるのかもしれないが、大したスピーカーでもなさそうなのに
私のところにはパーカッションや管楽器などの音が響きすぎて困った。
大劇場や東宝の生オーケストラと違い、地方公演では録音が使用されるのだが、
昨日に限って音量が大きすぎて、生歌の声や歌詞が聴き取りにくかったし、
客席が拍手や手拍子をしていても、場面によってはほとんど響かなかった。
昔からずっと、この会場では幾度も宝塚の広島公演が行われていて、
私も宝塚の全国ツアーというと、ここで観た回数が一番多いのだが、
あれほどウルサい音響というのは初めて経験した。
バンドのライブじゃないのだから、
がつんがつん来れば迫力があっていい、というものではないよ(--#)。

終わって、劇場を出ながら私の背後では見知らぬ女性たちが
「○ちゃんこれから夜の部も観るんだって!」
「えええ~~、なんで!?同じ中身じゃろ!?」
という会話をしていた。
いや、出演者のファンなら観るって普通。夜観たら出待ちもよ。
公演さえあるのなら明日も観るね。
このあと福岡くらいには着いて行くんと違います?日帰りできるよ…?

Trackback ( 0 )



« 前ページ 次ページ »