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転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨夜は、ベルリン交響楽団の広島公演を聴いた。
リオール・シャンバダール指揮、ソリストはイリヤ・カーラー。

前半はメンデルスゾーンで、交響曲第4番『イタリア』と、
『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』。
交響曲のほうはともかくとして、メン・コンには馴染みがあり、
また当夜の使用楽器がグァルネリだということで、
自分としては結構期待していたのだが、
どうも、完全には入りきれないまま終わってしまった。
思ったよりテンポが速かったということかもしれないが、
私がまだ存分に聴いていないのに、音楽がどんどん進展してしまって
そんなに弾き飛ばさないで、もう少し待っていてくれたら……、
勿体ないから、まだ先に行かないで……、と言いたいような気分になった。

ところが、ソリストのアンコールではこれが一変して、
バッハの『無伴奏パルティータ』第2番のサラバンド、第3番のガヴォットが
演奏されたときには、私は俄然、音楽を楽しむことができたので、
もしかしたらイリヤ・カーラー自身に、今はメンデルスゾーンではなくて、
バッハのほうが『降りて』来ていたということではないだろうか、と思った。
職業的演奏家ならば、そのとき弾きたいものだけを弾いているわけではないし、
決められた曲目で最善を尽くさなくてはいけないのは致し方ないことなのだが、
やはり、弾き手の気持ちのあり方が、
どうしようもなく演奏に出てしまう瞬間というのはあるだろうな、
ということを感じた、アンコールの2曲だった。

後半はベートーヴェンの交響曲第6番『田園』。
田舎の風景描写が美しいのは勿論だが、
この曲の終わりのほうでベートーヴェンが、「神は確かに存在した」
ということを歌っている瞬間があって、私はそれがとても好きで、
この曲は昔から破格に気に入っているもののひとつだ。
だから、最後は、音楽が途絶えたあとに真摯に祈りを捧げるような静寂が、
時間としてはあと数秒で良いから欲しかったのだが、
昨夜の聴衆はあまりにもノリが良すぎて(^_^;、
ブラボーーーー!!!になってしまったのは、個人的に残念だった。

しかし勿論、客席の熱狂的な反応というのは良いものでもあって、
指揮者もオケの面々も、ああした拍手や歓声を喜んでくれていただろうと思う。
アンコールは4曲もあって、
ドヴォルザーク『スラヴ舞曲第8番』、
ブラームス『ハンガリー舞曲第2番』、
ビゼー『「アルルの女」より「ファランドール」』
エルガー『「エニグマ変奏曲」より 第9変奏「ニムロッド」』。
最後のニムロッドが、ある意味、ベートーヴェンへのオマージュになっていて、
しゃれた選曲だなと思った。
これを演奏する前に、指揮者のシャンバダールは日本語で謝辞を述べ、
広島という地から、世界平和への祈りを込めて演奏したい、
という意味のスピーチをした。
演奏も含めて大変感動的で、客席では涙をぬぐう人の姿も見られた。

**********

このベルリン交響楽団が、5月13日以後の私の、
「演奏会活動」復帰・第一回演奏会(笑)で
(5月26日には仮装ぴあにすと様のリサイタルを聴かせて頂いたが、
これは演奏者を個人的によく知っている特殊な演奏会だったので、例外だ)、
曲目に思い入れがあり、独奏は弦楽器、という内容のものにしたのは、
我ながら、手堅くて良い選択だったと思った。
心地よく音楽に浸れて、客席も演奏家に対して大変好意的で雰囲気が良く、
最後はブラボーの声が飛び交い、盛り上がった演奏会になった。
こういう場に、そろそろ、また積極的に来るようにしたいな、
と久しぶりに思った一夜だった(笑)。

ときに、『ALSOKホール』はこの7月から、またしても名前が変わり、
『上野学園ホール』になるのだそうだ。
『ALSOK』自体、タクシーで行き先として言ったときに一発で通じることは
最近でもまだ、決して多くなかったのだが、更に『上野学園』って。
しかも( )つきで『広島県立文化芸術ホール』って書いてあるし。
なんとかもうちょっと、安定的に一本化できないものか。
結局のところ広島人にとってあのホールは、未だに、
『郵便貯金ホール』以外の何物でもないのだがな(汗)。

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市内の某ホールでフルコンサートグランドの試奏会があり、
誘って下さる方があった御蔭で、参加することができた。
ありがとうございました~<(_ _)>。

素晴らしい楽器を舞台で実際に弾いてみる、というのは、
(私の場合、腕前はともかくとして)なかなか気持ちの良い体験だった。
狭い自宅で弾くのとは違って、響きが段違いに良く、開放感があり、
楽器そのものもよく整っていて、快適だった。
こちらがもっと場数を踏んだ弾き手ならば、響かせ方を更に味わって、
ホールや楽器の特性を活かした打鍵やペダリングを、
積極的に追求してみることができたのだろうけれど、
何しろ私は限られた発表会程度しかステージ経験がないので、もうとにかく、
『こんなところで弾いている!』
ということ自体に感激するだけで終わったひとときだった。

10時から11時までの60分と、12時から13時までの60分、
という2枠を私たちのグループで予約してあったので、
第一部のほうはピアノのソロ、第二部はアンサンブルや歌、
ということで、それぞれ今弾きたいもの・歌いたいものを持ち寄った。
前半は私は、ハノンの30番(B dur→ H dur→ C durの順で、
スケール・アルペジオ、カデンツつき)と、ツェルニー30番の21番を弾いた。
ほかの参加者は、趣味ながら上級の腕前の方や、
実際にピアノを教えたり音楽をお仕事にしていらっしゃる方々だったので、
バラエティに富んだ見事な演奏を、タダで聴かせて頂いて、至福だった。

後半は、オカリナやカホンなど、他楽器も登場して、これまた楽しかった。
歌のほうも、日頃からゴスペルをやっていらっしゃる方々があり、
選曲も多彩で、皆さんどなたも本当に芸達者なのだった(O_O)。
私は、なぜか、本当になぜか!QUEENのMy Melancholy Bluesを歌うことに
なってしまい、某氏にピアノ伴奏をして貰って、歌った。
どうして歌をやることになってしまったのか、全然わからない(爆)が、
考えてみたら私はほかの楽器は出来ないし、仕方がなかったのか……(汗)。
ちなみに昨日、QUEENの『世界に捧ぐ』を聞き直していたのは、
実は、これのためだったのだ(恥)。どんだけドロ縄(殴)。
ふれで先生のようには全く歌えないばかりか、イギリス英語ができないので、
妙にアメリカンになるしかなく、本当に本当に申し訳なかった。
Queen: My Melancholy Blues(YouTube)

しかし、自分の出来映えに関する不備はともかくとして、
滅多にできない経験ができたし、良い演奏もたくさん聴かせて貰えて、
普段出会えないような曲目にも出会え、本当に楽しい時間だった。
誘って下さった某氏、ご一緒させて下さった皆様に、
心よりお礼を申し上げます<(_ _)>。
またの機会がありましたら、是非っ(^^)!

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依然としてピアノ弾く気なし、なワタクシなのだが、
某試奏会に誘って頂いたので、ほんの頭数ということで、
参加させて頂くことにした。
何をやるかというと、私はハノンを弾くつもりだ。
何番にするか決めていないが、どれかをハ長調でなくいくつか移調して
できればリズム変えも入れて、弾いてみたいと思っている。
舞台に来てまで普段の練習すんな!と怒られそうだが、
これについては、私なりに結構、真面目にヤル気だ。

ピアノは平均律だから、ハノンなんか移調しても出だしの音が変わるだけで
演奏効果なんか無い、という言い方もあるかもしれないが、
ハ長調で弾くときは、たとえばB♭とかE♭などの音は鳴っていないのだから、
移調してこういう音が混じるハノンというものを、私は面白いと感じている。
それに、これは私の手の都合のせいもあるが、黒鍵が必要な調になると、
全体として鍵盤の奥のほうで弾かないと速さが出せないので、
そうなると、音色もハ長調で弾いているときとは違って来るのだ。

英雄気取りなEs dur(変ホ長調)、キモ愉しいB dur(変ロ長調)、
……なハノンが、有り得るかどうか知らないが、やってみる(笑)。
こんなアホなこと、ド素人じゃなかったら絶対やらないではないですか。
私はどちらかというと♭系が好きなのだが、負荷を掛けるという意味では、
♯系の調も混ぜて、あと各種短調もヨイかもしれない。
なんなら、ハノンの移調で使用した調性のスケールもついでに弾いて、
アルペジオまでやってからカデンツをつけて、まとめにしようかね。
まあ、つまるところ、こういうことでもやって遊んでいないと、
今の私は、まっとうなピアノを弾くことなどno thank youなのだ。

あとは何か、アンサンブルに参加するように言われた記憶があるが
そのほうは、多分コーラスする妖精ちゃんをやるということで(逃)。

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仮装ぴあにすと様のピアノ・リサイタルに行ってきた。

本当に素晴らしかった。
勿論、個人的にもお付き合いがあり、私なりに演奏者を知っていて、
どういうふうにプログラムを組まれたかも漏れ聞いたりしていたので、
普通に世間で開かれている音楽会に行くのとは、最初から意味が違ったが、
純粋に演奏者としての彼女の時間を満喫する機会は、
普段、そう多くないので、今夜は久々に浸らせて貰った。
仮装様はシューマンの音楽を心から愛していらっしゃるのだな、
ということが、アンコールまで含めてよくわかった。

約5年前にも同じ場所でリサイタルをなさったのを聴かせて頂いているので、
この五年間の彼女の研鑽のあとが非常によくわかり、
師匠の松本和将氏の、良い意味での大きな影響も感じることができた。
プログラムの組み方も興味深いものだったが、
前半には、ロベルトとクララのシューマン夫妻の曲と、ブラームスが並び、
後半はすべてフランスものということで、
和音の色合いやリズムの揺らぎが、ドイツ系とフランス系で異なることが
対比としてよく伝わって来た。
一般的な演奏会ではほとんど取り上げられる機会のない曲も含まれており、
そうしたものを、この場の聴き手や学習者の人達に紹介することも、
仮装様の今夜の目標のひとつであるようだった。

前半の最後がブラームス『主題と変奏 作品18』で、
後半の1曲目がクープランの『ゆりの花ひらく』だったのだが、
楽器は同じでも、後半の開始で響きがクラヴサンに変わったのには驚嘆した。
私は去年ハイドンのソナタを練習したときに、一定期間毎日、
クラヴサンのCDを聴いていたので、その響きには馴染みがあったのだが、
クープランが始まった途端に、はっきりとその覚えのあるイメージが
自分の中に戻って、浮かんできた。
ここ数年、仮装様がチェンバロを学んで来られたことが
確実に活きていると思った。
ちなみに、クープランに関しては、チェンバロの小田郁枝師匠のご指示で、
譜面を見ての演奏となっていた。

演奏会終了後に仮装様とお話したのだが、そこで出た話題は、
・会場リハーサルをしてあっても、実際にお客さんが入ると響きが変わってしまう
・暗譜で弾くと、やろうと思っていたことが半分になってしまう
・前半を弾いたあたりで調子が出て、後半からやっと良くなるので、
開場した後も舞台にいてしばらく弾いてから、改めてリサイタルを始めたいと思った、
・本番照明は明るすぎ、眩しすぎて、少なくとも演奏者にとっては不要、
……というもので、つまるところ、
「ポゴレリチは、非常に正しいのですよ」(爆)と仮装様は仰った。

*******************

仮装様は、このリサイタルを決して大々的に宣伝したりはなさらなかったが、
会場には、お友達や演奏仲間、ピアノ学習者のお子さん方もたくさん来ていて、
皆が仮装様の演奏や普段の活動を知って、応援していることが伝わって来た。
私もまた、ピアノの会でご一緒させて頂いたお友達と、
久々にお目にかかることができ、楽しい時間を過ごさせて頂いた。
とりわけ、これまでネットとメールだけでのお付き合いだった某氏が、
会場で私を探してお声をかけて下さったのには感激した。
本当にありがとうございました<(_ _)>。
某氏は、私のイメージ通りの方でした。
改めて、今度はもっとゆっくりお会いしたいと思いました。
これからもどうぞよろしくお願い致します。
ご一緒だったお友達の方にも、心からお礼を申し上げたいと思います<(_ _)>。

何より、仮装ぴあにすと様、本日は本当に素晴らしい演奏会でした。
ありがとうございました。
次には何を聴かせて下さるか、今から楽しみにしております。

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一週間ほど前のことになるが、ピアニストのフランス・クリダが
79歳で亡くなったそうだ。
葬儀が、明日25日にパリの教会で行われる。

La pianiste France Clidat est décédée(la-Croix)

クリダは、私の祖父が最も愛したピアニストだった。
昔から祖父は彼女を贔屓にしており、FMで放送があるたびに録音して、
祖父編集による「フランス・クリダ全集」(に近いもの)が家にあり、
私もまた、クリダの弾くリストを聴いて育った。

当時は私は彼女のことを、リストの難曲を弾きこなす男勝りのピアニスト、
と勝手に思っていたが、後になってみると彼女はそういうタイプではなかった。
技巧的に見事であるというだけなら、ほかにも腕自慢のピアニストはいたし、
クリダ自身、テクニックが最大の武器というピアニストではなかったと思う。
どういう生い立ちの人であるか、私はほとんど知識は無いのだが、
音で聴くクリダは、とても「高級な」女性だった。
精神的な豊かさ、贅沢さこそが、彼女のピアノからあふれる美しさだった。
彼女の持つ「クラスの高さ」が、実によくリストに似合ったのだと思う。

祖父は趣味としてピアノを聴いており、FMからカセットテープに録音した、
世界各国の様々なピアニストの演奏を、作曲家別にではなく演奏家別に
詳細に記録を取って整理していた。
クリダ関係は、その中でも祖父にとって最も大切だったコレクションで、
最晩年まで祖父はこれだけは手放さなかった。
クリダ以外ではホロヴィッツの名演をいくつか手元に残していたが、
祖父は年齢を重ねるほどに、ほかのピアニストへの関心を失い、
私が祖父の家に遊びに行くと、クリダとホロヴィッツ以外は、
どのテープでもあげるから持って帰って良い、などと言ったりした。
そこで、デジュー・ラーンキなどをせしめて帰っていた、
ミーハーな女子中学生だったワタクシだった(汗)。

イーヴォ・ポゴレリチが、国際舞台に登場するどころか、
まだモスクワ音楽院の一学生だった頃の話だ。

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森岡 葉さまが、今度は『遊藝黒白』から新たに、
クリスチャン・ツィメルマンのインタビューを翻訳して下さっています。
量が多い上、森岡さまご自身もお仕事のかたわら訳して下さっていますので、
連載のかたちで、少しずつ掲載して行かれるようです。
楽しみが続くのも、また良いものです(^^)。
森岡さま、ありがとうございます。どうかご無理なさいませんよう。
こちらこそ、ゆっくり、じっくりと拝見させて頂きます。

『遊藝黒白』~クリスティアン・ツィメルマン(1)~May Each Day

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田村響がベートーヴェンの「皇帝」を弾くというので、名古屋まで行った。
(行けて良かった(T_T)。お腹が不安で昨夜まで新幹線を予約していなくて、
なおかつ、もし朝起きて腹痛だったらと、今朝まで心配していたのだ。)

名古屋フィルハーモニー交響楽団 第390回定期演奏会
@愛知県芸術劇場コンサートホール、指揮はロリー・マクドナルド。

なるほど、ベートーヴェンの変ホ長調は「覇者」の調だった、
と聴いていて改めて思った。
田村響のピアノを聴いていると、
この調がいかにベートーヴェンを生き生きさせるものだったかが
本当によく伝わって来て、面白かった。

併せて、当時としてのこの曲の「新しさ」を、21世紀の今なのに、
まるでタイムスリップして体験させて貰ったような気がした。
音楽の組み立て、和音の使い方、リズムの面白さ、技巧のきらびやかさ、
……1800年代になったばかりの頃に、初めてこの曲に触れた人たちは、
次々と繰り出されるベートーヴェンの革新的なアイディアに
おそらく目を見張ったことだろう。
何しろ皆が、モーツァルトやハイドンなどを、
流行曲や新曲として聴いていた時代だったのだ。
ベートーヴェンの書いた、ピアノとオーケストラの目覚ましい対話は、
時に、かなり突飛で奇をてらったものとして、聴衆には感じられたかもしれない。
現代とは違い、こうした音楽が「創造」の真っ只中にあった時代、
働き盛りであったベートーヴェンは、それまで前例のなかったような、
数多くの挑戦をここで行ったのだ。
そして当時、腕自慢のピアニストであった若きツェルニーは、
この曲を、どんなに颯爽と弾いたことだろうか…。

……と、そのようなことも、本日のソリストが大変に若々しいだけに、
実に様々に想像させられた演奏会だった。
考えてみると、もうとっくによく知っている曲の「新しさ」を、
あたかも初めて聴くかのように曲のあちこちで感じさせてくれたのだから、
田村響の演奏は、この曲の本質と位置づけとに、ぴたりと添ったものだった、
ということではないかなと、あとで思った。
変ホ長調という調性について、ごく自然に納得させてくれたことも含めて…。

会場はブラボーと拍手に包まれ、ソリストは幾度もステージに呼び出され、
最後にアンコールとしてショパンのワルツ第1番を弾いた。
かなり速度があり、どこか「意気揚々」としたところのあるワルツだった。
故意か偶然か、この曲もまた変ホ長調だった。
だからベートーヴェンの「覇者の魂」がなんらかの影響を与えていたのか?
そのような演奏も、きょうの場合は良いと思った。

楽器はスタインウェイだったが、私の席はうんと下手寄りだったので、
音は、どうしても真正面から来るというわけには行かず、
その点だけは少し残念だった。

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舅姑のお墓に行ったら、桜がとても綺麗だった。
願わくは花の下にて春死なん、
と歌ったのは西行で、ここで言う『花』とは『桜』のことだそうだが、
本当に、桜吹雪に包まれた朝の墓地は、穏やかで優しい場所だなと思った。
私はだいたい、喧しいことや、けたたましいことが嫌いなので、
墓も、騒がしくないという点で、私にはかなり居心地の良い場所だ。
座る場所があったら、ちょっと長居してもいいと思うくらいだ。
……しかし勿論、いくらうちの舅姑のいる場所とは言っても、
私も、夜が更けてからあそこに行く気には、ちょっとならない。
それこそ、スカルボが跋扈していそうではないですか。
算命学をやっている友人も、墓にはできるだけ午前中に行けと言っていた。
静かな桜の風景も、太陽の下だから良いということだな。多分(^_^;。

*****************

昼前から、ピアノの稽古に行った。
ハノンは30番でトリル練習、それと変ロ長調のスケールとアルペジオ、
これはシューベルトの即興曲が変ロ長調だからと、
先生から指定されて練習しているのだが、
変ロ長調のアルペジオのシンドさには、たまらないものがある。
これ以後、フラットの数が増える調の間は、
変ホ長調・変イ長調・変ニ長調と、同じパターンの指使いで楽なものが続くし、
変トもほぼ全部黒鍵だからまだ割り切れるものがあるのだが、
変ロ長調だけは、スケールもアルペジオも、黒鍵の混ざる箇所が特別で、
それが私にとってはデコボコの原因になり、全然綺麗に弾けない。
角度の問題なのか、指換えで突然落下するような音になる1番の指と、
それに釣られて無駄に強い音を出してしまう2番の指が、如何ともしがたい。

そして私の愛するツェルニー30番は、今は21番、半音階の練習だ
Czerny 30 etudes Op.849 No.21(YouTube))。
このツェルニーの半音階は指使いが特徴的で、1と2の指で弾くよう指定されている。
私の狭い練習歴の範囲では、1と2で半音階がどこまでも進行するなんて
(白鍵二連続のあとだけ3を足す)、ツェルニー以外で出会ったことがない。
バイエル時代は勿論のこと、その昔ハノンで40番を弾いていた頃だって、
半音階はオクターブも短3度も長6度も短6度もやったが、
どれもすべて1と3で弾くようになっていたはずだ。
なのに、今回のツェルニーでは、2が、あまりにも大活躍なのだ。

小学校の頃から大脳にインプットされた指使いと違うものを、
今更覚えなくてはならず、私は大変なことになってしまった。
1で弾くとき、もう同時に3が無意識にスタンバイして待っているので、
3の指は使えないように縛っておきたい(爆)くらいイライラする。
もともとが、柔軟なテクニックなどろくに身につけていないので、
自分の中で反射になっている指使いを修正することは、至難のワザだ。
とにかく2、次も2、今はとにかく2なんだっ、と意識して弾くのだが、
それでも油断すると3が出てきて、千鳥足みたいになって自爆、
もう速度を上げるとワヤワヤだ。
……こう見て来ると、つまり私はハノンもツェルニーも、
1の指と2の指が、あまりにも駄目駄目だ、ということのようだ。
まあ、5本ともどれも駄目なのだが、特に1と2の不器用さは目に余る(^_^;。

私はツェルニー30番を子供時代に一応やっているのだが、
そのときは、ル・クーペの『ラジリテ』を併用なさる先生だったので、
30番からは選択的に勉強することになっており、全曲は弾かず、
運悪くこの21番も、当時は飛ばしてしまって、全く手つかずだった。
私は半音階は結構得意だと内心思っていたのだが、今、その自信は崩れ去った。
目下、私の半音階は、いつまでも譜読みできないヒト同然の聞き苦しさである(涙)。

ほかには、バッハの6つの小さなプレリュードから6番(BWV938)
Glenn Gould - Bach Little Prelude BWV 938 in E minor(YouTube))、
それとシューベルトの即興曲作品142-3
Valentina Lisitsa - Schubert Impromptu op. 142 No.3 B flat major(YouTube))。
シューベルトのほうは秋の発表会で弾いてみないかと、先生が仰った。
量が多いから、変奏曲は全部弾かなくても選んでいい、とのことだった。
うぅむ。そうすると多分、主題と第一変奏のあとは、
いきなり第五変奏に飛んで、lentoで終わりですな(逃)。

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ピアニストについて、日頃からエラソーに上げ下げしている割には、
実は私は音楽の素養が大変に乏しく(爆)、というより音痴に近く、
以前から『When You Wish Upon A Star(星に願いを)』と
『Somewhere Over The Rainbow(虹の彼方に)』がよく区別できないし、
『港町ブルース』のイントロに続けて『恍惚のブルース』を歌っても何ともない。
広島本通商店街テーマソングの『幸せのプレリュード』にしたところが、
長い間、よもやそんな題があるとは思ってもみず、
ただ、どうして、札幌五輪テーマ『虹と雪のバラード』のカバー曲を、
今頃になって本通で毎日流しているのだろう、と疑問に思っていた。

中でも私にとって、今も昔も最高難度であると思われるのは、
『早春賦』と『知床旅情』のどこが違うか(爆)という問題だ。
勿論、歌詞も全く異なるし、別の曲だということはよくわかっているのだが、
例えば前半を伴奏なしで誰かがハミングして、
今どっちを歌ったか当てろ、と言われたら、
私はきっとかなりの確率で間違えるだろう。

早春賦(坂本明佳)(YouTube)
知床旅情(加藤登紀子)(YouTube)

んなことで悩んでいるのは私だけかと、ずっと思っていたのだが、
ふと考えついて、目の前のハコで検索してみたら、あるわあるわ、
『早春賦と知床旅情は同じ曲では』とか『盗作じゃないんですか』とか、
言い方は様々だったが、とにかくこの二曲が実によく似ている、
ということを指摘した言葉や質問が、あちこちのページに出ていた。
なんのことはない、随分と有名なハナシだったのだ。
『早春賦』は1913年に発表されており、『知床旅情』のほうは1960年なので、
『知床旅情』が『早春賦』を真似た、あるいは何らかの影響を受けて作曲された、
という程度のことは、もしかしたら言えるかもしれない。

しかし続けて調べてみたら、事態はそれほど単純ではないことがわかった。
『早春賦』自体が、もっと昔の、とある曲にそっくりだと言われているのだった。
その曲とは、モーツァルトの『春への憧れ』。
モーツァルトが晩年(と言っても30代)に作曲した歌曲のひとつだ。

Mozart K.596 Sehnsucht nach dem Frühling(春への憧れ)Ruth Ziesak(YouTube)

いやいや、ちょっと待て。この曲だと、『早春賦』というより、
ピアノ協奏曲第27番の第3楽章と、少なくとも出だしは同じでないかい?
モーツァルト/ピアノ協奏曲第27番 第3楽章K.595/演奏:大谷 真美子(YouTube)

それで更に検索を続けてみると、『春への憧れ』は、
まさにこの協奏曲第3楽章のロンド主題を転用して書かれた曲だとわかった。
自分で自分の曲から取ったのだから、盗作でもなんでもないわけだが、
そもそも、モーツァルトは書いた曲を念入りに推敲するようなことはせず、
様々なジャンルの曲を次々と量産していたと考えられ、
彼の作品には、互いにそっくりなフレーズを共有している曲が他にもいくつもある。
『春への憧れ』のように、意図的に以前の作品から主題を得た場合もあれば、
ことわりもなく(多分本人も特に意識せずに)似たフレーズを再び書いていた、
というものもあるようだ。
だからモーツァルトの作品同志で『似ている』ことそのものは、
偶然かどうかも含めて、とりたてて問題にするような発見ではないと思う。

興味深いのは、『春への憧れ』が『早春賦』誕生に影響を与えたかどうか、
という点だろう。
その可能性は多いにあり得そうな気はする。
どちらも春の芽生えを歌った曲ではあるし、モーツァルトへの憧憬は、
音楽に携わる日本人なら当然、皆、持っていただろうと思うからだ。

というわけで、ここまでのところを並べてみると、
『ピアノ協奏曲第27番第3楽章』から『春への憧れ』ができて、
『春への憧れ』に似た『早春賦』が日本で作曲され、
そのあと、『早春賦』にそっくりな『知床旅情』が世に出た、ということになる。
だが、そうかと言って、
『知床旅情』が『ピアノ協奏曲第27番第3楽章』に似ているかと言われると、
私は全然そんな気はしないのだった。
ここまで隔たると、かなり別のものになっているように感じられる。
昔、高校のとき、数学のF先生と化学のH先生はそっくりで、
更に体育のM先生も化学のH先生とよく似ていると言われていたが、
数学のF先生と体育のM先生は、特に似ているわけではなかった、
という一件があったのだが、あれと同じようなものかな、と思ったり(違)。

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春から、音楽会関係が重なり過ぎていて、嬉しいことではあるのだが、
こうなると到底、全部は行けない(太字は既にチケット手配済み)。
勿体ないが、どこでどれを断念するかが、大変な問題だ(泣)。
……っていうか、きっとこのほかにも、まだ何か出て来るよね……。

3月18日(日)某おさらい会
3月19日(月)―29日(木)エリザベト音楽大学第24回国際音楽セミナー
3月20日(火・祝)19:00 三宅伸治@LIVE CAFE' JIVE
3月24日(土)18:00 T.M.Revolution@霧島市民会館

4月13日(金)19:00 小山実雅恵@広島市文化交流会館
4月20日(金)18:45 田村響(名フィル)@愛知県芸術劇場コンサートホール
4月21日(土)16:00 同上
4月21日(土)14:00 シプリアン・カツァリス@兵庫県立芸術文化センター
4月29日(日)14:00 親子のためのゆかいなコンサート@アステールプラザ

5月3日(木・祝)―27日(日)11:00/16:00 團菊祭@大阪松竹座
5月4日(金・祝)14:00 イーヴォ・ポゴレリチ@金沢LFJ
5月7日(月)19:00 イーヴォ・ポゴレリチ@サントリーホール
5月9日(水)19:00 イーヴォ・ポゴレリチ@サントリーホール
5月12日(土)14:00/18:00 宝塚歌劇花組全国ツアー@ALSOKホール
5月13日(日)15:00 イーヴォ・ポゴレリチ@しらかわホール
5月18日(金)―20日(日) 和央ようか@NHK大阪ホール
5月26日(土)17:00 某音楽会

7月6日(金)18:30 ベルリン交響楽団@ALSOKホール


これらのほか歌舞伎の公文協東コースのことも、ずっと気に掛かっている。
既に、音羽屋(菊五郎)が出ることと、
演目が義経千本桜(鳥居前~道行初音旅~川連法眼館)というのは、
チケットぴあからのメールで判明しているのだが、
肝心のツアー日程が部分的にしかわかっていないのだ。

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