アルバイトで入ったU君。
面接で大学中退の理由を聞くと
「教授と寮の管理人からいじめを受け
耐えられなくなって実家に帰りました」
それからすぐに就職した地元企業を3ヶ月で退職した理由を聞く。
「上司から陰湿な嫌がらせをされて、退職に追い込まれました」
では、ここに来るまでの空白の2年間は何をしていたのかたずねる。
「大学と就職でのいじめで心が傷つき、引きこもりをしていました」
上司、大喜び。
「よし!オレが面倒見てやる!」
履歴書の「得意な学科」のところに
“キャッチボール”と書いてある。
あなたの手には負えない…
と言っても、聞く耳なし。
「オレは腐っても○大ラグビー部だ!
こういう子を立派に立ち直らせてやるのが
オレの使命だっ!」
U君は、倉庫係として働くことになった。
「キャッチボールが得意なんだって?
オレとやろうじゃないか!」
昼休み、上司はグローブを二つ用意して、U君を広い駐車場に誘う。
U君、ふりかぶって投げた!
あさっての方向に。
「あぁ~~!!」
遠く離れた女子社員の車を直撃。
キャッチボール、一球で終了。
「今30分も続けて働いたので、5分休んでいいですか?」
U君は上司の所へ頻繁にそう言って来る。
「いいとも!いきなりじゃあ体がついて行かないからな。
少しずつ慣れていったらいいよ」
上司は爽やかに微笑んで、U君の肩をたたく。
3ヶ月経っても、半年経っても
U君の体は、まだ慣れないらしい。
仕事にならない…倉庫担当者から苦情が出る。
やがて上司も飽き、そのうち誰も相手にしなくなった。
結局、一日事務所に居る我々女子社員が
おモリをすることになる。
「ボクは、倉庫で肉体労働より
事務のほうが向いていると思う」
などと言い出すが、無視。
1年が経過。
その頃になるとU君、仕事には慣れないが会社には慣れて
気に入らないことがあると
事務所の電話でこれ見よがしに次のバイト先を探すようになった。
「私用電話禁止!」
上司が厳しく注意する。
「10円払えばいいんでしょっ!」
U君も負けてはいない。
「そういう問題じゃない!」
「そうやってボクをいじめて!
いいんです!ここじゃなくても、来てくれと言う会社は
たくさんあるんですっ!」
上司、キレた。
やばい…顔が、赤じゃなくて青だ。
U君になぐりかかろうとする。
私は羽交い締めで止めた。
「離せ!こいつは一発殴ってやらないとわからないんだっ!」
「殴ってもわからんっ!
この子、警察へ行くよ!
傷害の前科1犯になりたいんかっ!」
…U君!逃げろ!帰れ!
私は叫んだ。
それきり会社を辞めたU君を
次に見たのは、数ヶ月後の新聞記事だった。
「高速を逆走、男性即死」
次に入った会社で、移動中の事故である。
「あの時、オレの鉄拳であいつの根性をたたき直してやってれば
こんなことにはならなかったのに…
みりこんが止めたからなぁ…」
上司がうそぶく。
この一件は「松の廊下事件」として
長く語られることとなる。
合掌
面接で大学中退の理由を聞くと
「教授と寮の管理人からいじめを受け
耐えられなくなって実家に帰りました」
それからすぐに就職した地元企業を3ヶ月で退職した理由を聞く。
「上司から陰湿な嫌がらせをされて、退職に追い込まれました」
では、ここに来るまでの空白の2年間は何をしていたのかたずねる。
「大学と就職でのいじめで心が傷つき、引きこもりをしていました」
上司、大喜び。
「よし!オレが面倒見てやる!」
履歴書の「得意な学科」のところに
“キャッチボール”と書いてある。
あなたの手には負えない…
と言っても、聞く耳なし。
「オレは腐っても○大ラグビー部だ!
こういう子を立派に立ち直らせてやるのが
オレの使命だっ!」
U君は、倉庫係として働くことになった。
「キャッチボールが得意なんだって?
オレとやろうじゃないか!」
昼休み、上司はグローブを二つ用意して、U君を広い駐車場に誘う。
U君、ふりかぶって投げた!
あさっての方向に。
「あぁ~~!!」
遠く離れた女子社員の車を直撃。
キャッチボール、一球で終了。
「今30分も続けて働いたので、5分休んでいいですか?」
U君は上司の所へ頻繁にそう言って来る。
「いいとも!いきなりじゃあ体がついて行かないからな。
少しずつ慣れていったらいいよ」
上司は爽やかに微笑んで、U君の肩をたたく。
3ヶ月経っても、半年経っても
U君の体は、まだ慣れないらしい。
仕事にならない…倉庫担当者から苦情が出る。
やがて上司も飽き、そのうち誰も相手にしなくなった。
結局、一日事務所に居る我々女子社員が
おモリをすることになる。
「ボクは、倉庫で肉体労働より
事務のほうが向いていると思う」
などと言い出すが、無視。
1年が経過。
その頃になるとU君、仕事には慣れないが会社には慣れて
気に入らないことがあると
事務所の電話でこれ見よがしに次のバイト先を探すようになった。
「私用電話禁止!」
上司が厳しく注意する。
「10円払えばいいんでしょっ!」
U君も負けてはいない。
「そういう問題じゃない!」
「そうやってボクをいじめて!
いいんです!ここじゃなくても、来てくれと言う会社は
たくさんあるんですっ!」
上司、キレた。
やばい…顔が、赤じゃなくて青だ。
U君になぐりかかろうとする。
私は羽交い締めで止めた。
「離せ!こいつは一発殴ってやらないとわからないんだっ!」
「殴ってもわからんっ!
この子、警察へ行くよ!
傷害の前科1犯になりたいんかっ!」
…U君!逃げろ!帰れ!
私は叫んだ。
それきり会社を辞めたU君を
次に見たのは、数ヶ月後の新聞記事だった。
「高速を逆走、男性即死」
次に入った会社で、移動中の事故である。
「あの時、オレの鉄拳であいつの根性をたたき直してやってれば
こんなことにはならなかったのに…
みりこんが止めたからなぁ…」
上司がうそぶく。
この一件は「松の廊下事件」として
長く語られることとなる。
合掌