今出川夫人(仮名)。
46才。
いつも明るい、チームのムードメーカー。
コーチにラブ。
普通のオジサンだが、今出川夫人にはかっこよく見えるらしい。
練習が終わると
自分に特訓をしてほしいと願い出る。
コーチは多分、今出川夫人が嫌いだ。
人格者なので表情には出さないが、ボールを打つ目つきでわかる。
時に鼻血を出しながら、巨乳を揺らしてのたうち回る光景は
なかなかのミモノ。
誰を好きになろうと構わないが、困るのは宴会。
コーチの送迎は、キャプテンである私の役目だ。
宴会の翌朝5時に、必ず今出川夫人から電話がある。
「朝早くからごめんね~!
昨日はお疲れ様!」
平静を装ってはいるが
私がコーチとどっか行って、なんかヤッてないか
確認するのだ。
「私、早起きだからさ~!」
ウソこけ…嫉妬と妄想で眠れなかったくせに…。
家族は「なにごとか?」とぞろぞろ起きてくる。
迷惑この上ない。
面倒臭いので一度留守電にしたら、チャリで家まで来た。
もっと迷惑。
どっか行って、なんかヤッて、家に帰ってなかったら
騒ぎ立てるつもり満々。
しかし、私にも選ぶ権利があるというものだ。
今出川夫人が送迎を買って出れば問題はない。
私も宴会で酒が飲める。
コーチには気の毒だが、持ち帰ろうと襲おうと自由だ。
だが、彼女には運転免許が無かった。
しゃくにさわるが、抗議して
恋に不慣れな女心を傷つけることはできない。
それは、彼女の生き甲斐であるバレーボールまで
奪いかねないからだ。
私がこの手の感情に対して寛大であるとしたら
それはひとえに今出川夫人の功績といえよう。